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クリニック向けコラム
作成日:2026.02.14
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

バイオ後続品調剤体制加算50点の要件と設備投資|専門家解説

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バイオ後続品調剤体制加算50点の要件と設備投資|専門家解説

バイオ後続品調剤体制加算50点とは

バイオ後続品調剤体制加算(以下、本加算)とは、薬局がバイオ後続品(バイオシミラー)の使用促進に資する体制を整えた上で調剤した場合に、所定点数を加算できる新設の評価です。2026年度改定の「後発医薬品・バイオ後続品の使用促進」の一環として位置づけられています。

ポイントは「単に取り扱う」ではなく、適切な保管と患者への説明を含む体制を施設基準(通知)として整備する点です。

何点つく?いつ、どの調剤で算定?

  • 原則:バイオ後続品を調剤した場合に「50点」を加算。
  • 例外:特別調剤基本料Aを算定する保険薬局で調剤した場合は、加算点数が「50点の10%相当(=5点相当)」とされます。
  • ただし、インスリン製剤は除外(本加算の対象外)と明記されています。

算定要件・施設基準の全体像(どこが審査ポイントか)

本加算は「届出している保険薬局」であることを前提に、施設基準(通知)で示される体制整備が中核です。
実務では、次の3点が審査・指導で問われやすい論点になります。

  • 体制整備の実態(保管・在庫・説明の運用が回っているか)
  • 取り扱い実績(バイオ後続品を一定程度、安定的に提供できているか)
  • 患者説明の品質(「同意」「不安」「供給状況」を含めた説明ができるか)
ここがポイント
本加算は「体制の届出」だけでなく、実際の運用(保管温度管理、在庫確保、説明記録)が揃って初めて強い算定根拠になります。監査対応まで見据えるなら、手順書と記録様式を最初に作っておくのが安全です。

施設基準(通知)で押さえるべき要件(要旨)

公表資料では、施設基準(通知)の例として、少なくとも次が示されています。

  1. 調剤した「先発バイオ医薬品+バイオ後続品」の規格単位数量に占める、バイオ後続品の規格単位数量の割合が 80%以上 となる成分について、その成分数が、当該薬局の調剤実績のあるバイオ医薬品成分数の 60%以上 であることが望ましい。

  2. バイオ後続品の調剤を積極的に行っている旨を、薬局の内側および外側の見えやすい場所に掲示すること。

加えて、「バイオ医薬品の適切な保管」および「患者への適切な説明が可能」であることが施設基準の中核として記載されています。

薬局が対応すべき設備投資(最低限〜推奨)とコスト観

本加算の投資ポイントは、実務的には「保管(温度管理)」「在庫(供給)」「説明(資材・教育)」の3領域です。ここを押さえると、算定だけでなくクレーム・監査リスクも下がります。

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投資領域最低限(算定ライン)推奨(監査・継続運用ライン)代表的なコスト感(目安)
保管(温度管理)医薬品保管用冷蔵庫、温度計の設置温度ロガー(自動記録)、アラート、点検記録の標準化数万円〜数十万円
在庫(供給)主要BSの在庫方針、発注ルール需要予測・代替提案(欠品時)ルール、在庫回転の可視化システム次第(運用工数が主)
説明(患者対応)説明用リーフレット、標準トークFAQ集、同意・理解の記録様式、スタッフ研修印刷は軽微、研修工数が主
記録(根拠化)算定根拠メモ「説明実施」「選択理由」「供給状況」のテンプレ記録システム改修/運用設計

※金額は機器・システム形態で大きく異なります。実際は「機器購入」よりも「運用ルールの設計」がコスト(工数)として支配的です。

設備投資の優先順位(失敗しない順番)

現場でよくある失敗は「冷蔵庫は買ったが、温度記録と説明記録が残らない」パターンです。優先順位は次の通りが合理的です。

  1. 温度管理の記録が残る仕組み(ロガー or 点検表の固定化)
  2. 主要BSの採用品目・在庫水準(患者数と処方元の傾向で決める)
  3. 患者説明(標準トーク+リーフ+記録様式)
  4. 掲示(内外掲示、文言テンプレ化)

算定開始までの実務手順(チェックリスト付き)

税理士法人 辻総合会計では、医療・薬局領域の顧問先支援で「届出は通るが運用が続かない」ケースを数多く見てきました。制度対応は、届出・算定・監査の3点セットで設計するのが現実的です。

Step 1: 対象処方(バイオ医薬品)の現状把握

  • 過去3〜6か月の処方内容から、バイオ医薬品(先発/BS)をリスト化
  • 成分別に「BS比率(規格単位数量ベース)」の現状を把握
  • インスリン製剤が混在する場合は、本加算の対象外である点を切り分け

Step 2: 採用・在庫方針を決める(供給途絶も想定)

  • 主要成分ごとに「常備」「都度手配」「近隣薬局連携」を分類
  • 欠品時の代替提案(先発への戻し、別規格等)を手順書に明記

Step 3: 保管(温度管理)と記録様式を整備

  • 冷蔵保管が必要な品目の棚割り、誤出庫防止(ラベル等)
  • 温度記録:自動ロガー or 毎日点検のどちらで回すか決定
  • 監査で提示できる形で「点検表」「逸脱時の対応記録」を用意

Step 4: 患者説明の標準化(トーク+資材+記録)

  • 「品質・有効性・安全性」「選択肢」「供給状況」を説明軸に固定
  • 説明した事実が残るように、薬歴/指導記録にテンプレ項目を設定
  • 特定薬剤管理指導加算3ロの対象拡大(バイオ後続品の説明評価)も併せて運用設計

Step 5: 掲示(内外)と届出の最終確認

  • 施設基準(通知)で求められる掲示を、店内・店外に掲出
  • 算定要件に照らし、運用が毎回再現できる状態かをチェック
ここがポイント
監査対応の観点では、「設備がある」より「記録がある」が強い証拠になります。温度記録・説明記録・掲示の写真(更新日入り)をセットで保管すると、後日の説明が一気に楽になります。

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「設備投資しても取れない」を避ける:要件未達の典型パターン

  • BSの在庫が安定せず、患者都合で先発に戻り続けて比率が上がらない
  • 温度管理はしているが、記録が欠けている(やっていたを証明できない)
  • 掲示はあるが、患者説明が属人化しており、薬歴に残らない
  • 供給不足時の説明が不十分で、トラブルが増える(結果的にBS提案が萎縮)

この加算は、在庫・温度・説明のどれかが欠けると継続算定が難しくなります。最初から「手順書+記録」の運用を小さく回し、段階的に拡張するのが安全です。

よくある質問

Q: 50点は毎回算定できますか? ▼
原則は「バイオ後続品を調剤した場合」に加算されます。加算点数は50点ですが、特別調剤基本料Aを算定する薬局では50点の10%相当とされています。
Q: インスリンのバイオ後続品も対象ですか? ▼
本加算の算定要件の記載では「インスリン製剤を除く」とされており、対象外として整理する必要があります。
Q: 設備投資は冷蔵庫を買えば足りますか? ▼
不十分になりがちです。施設基準の中心は「適切な保管」と「患者への適切な説明が可能で、必要な体制が整備されていること」です。実務では、温度管理の記録、説明資材、説明記録(薬歴テンプレ)まで含めて整えると算定の再現性が上がります。
Q: 特定薬剤管理指導加算3ロとの関係は? ▼
公表資料では、バイオ後続品の品質・有効性・安全性の説明を行う評価が、特定薬剤管理指導加算3のロに追加される扱いが示されています。運用面では「説明トークと記録」を共通化すると効率的です。

まとめ

  • バイオ後続品調剤体制加算は、薬局の体制整備を評価する2026年新設の加算(原則50点)
  • 特別調剤基本料Aの薬局は、50点の10%相当点数になる扱い
  • 施設基準(通知)の要旨は「保管」「説明」「掲示」と、BS比率等の目標(80%・60%)
  • 設備投資は機器より運用(記録・手順書)が勝負。温度記録と説明記録を最優先に整える
  • 特定薬剤管理指導加算3ロの拡大も含め、説明資材と記録テンプレを統合すると現場負荷が下がる

参照ソース

  • 厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70414.html
  • 厚生労働省「総-1 個別改定項目について(令和8年2月13日)」: https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655176.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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