税理士法人 辻総合会計グループ
無料相談
医療経営ブログに戻る
クリニック向けコラム
作成日:2026.02.14
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

ベースアップ評価料 歯科・薬局2026点数比較|税理士が解説

8分で読めます
ベースアップ評価料 歯科・薬局2026点数比較|税理士が解説

結論:業態ごとに「単位」と「伸び方」が違う

ベースアップ評価料は、同じ賃上げ原資でも業態ごとに設計が異なります。歯科は「初・再診や訪問で上乗せ(点数)」、薬局は「処方箋受付1回あたり(点数)」、訪問看護は「利用者あたり(月1回の円評価)」という構造です。さらに各業態で令和9年6月以降に200%(倍増)となるフェーズ制が示されています。
一方で、中医協資料では一部が「案段階(●●表記)」の箇所もあり、最終点数は告示・点数表での確定確認が必須です。

ベースアップ評価料とは?医科・歯科・薬局・訪問看護で何が違う

制度の狙い:賃上げの実行性を診療報酬で担保する

ベースアップ評価料は、医療機関・薬局・訪問看護ステーションが行う賃金改善の取組を、報酬上の評価で後押しする枠組みです。届出(施設基準)と賃金改善の実施がセットで運用されます(特設ページも参照)。

「点数・円」の単位が違うことが経営インパクトの差になる

  • 医科:外来・在宅、入院などで区分設定(点数)
  • 歯科:歯科外来・在宅(点数)
  • 薬局:調剤(処方箋受付1回につき点数)
  • 訪問看護:訪問看護(利用者あたり月1回の円評価)

ここを取り違えると、「点数が上がったのに収益が伸びない(算定回数が少ない)」が起きます。自院(自局)の算定ボリュームに合う単位かを先に見てください。

【比較表】2026改定の点数(単位)とフェーズ制を横並びで確認

下表は「業態別に何に対して、いくら(点数・円)付くのか」と「倍増タイミング」を整理したものです。歯科は公表情報として示されている点数例を併記し、その他は中医協資料の算定単位・倍増を軸に整理しています(最終点数は告示で確定確認)。

←横にスクロールできます→
業態評価料の名称(代表)算定単位2026改定のポイント(例)令和9年6月以降
医科外来・在宅ベースアップ評価料 等初診・再診・訪問等(区分)区分制で段階評価(詳細は点数表で確定)所定点数の200%(フェーズ)
歯科歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)初診・再診・歯科訪問診療等初診21点、再診4点、(訪問)66点/11点倍増(フェーズ)
薬局調剤ベースアップ評価料処方箋の受付1回につき新設・段階評価(点数は確定資料で確認)所定点数の200%
訪問看護訪問看護ベースアップ評価料利用者1人につき(月1回)見直し・段階評価(円は確定資料で確認)倍増(フェーズ)
ここがポイント
中医協資料では「令和8・9年度は段階評価」「令和9年6月以降は200%」が明記されています。点数や円が「●●」表示の箇所は、最終的に告示・点数表で確定する前提で読み替えてください。

収益インパクトの考え方:歯科・薬局で試算の型を作る

ここでは、顧問先でよく使う「増収額の型」を示します。ベースアップ評価料は算定回数×点数×10円が基本(薬局も点数評価なら同様)で、訪問看護は算定回数×円です。

歯科:外来中心か、訪問があるかで効き方が変わる

歯科は初診・再診に加え、訪問診療の有無で伸び方が変わります。

Step 1: 算定対象の回数を出す

  • 月の初診回数、再診回数、訪問診療回数を把握(レセ統計でOK)

Step 2: 点数を掛ける(初診21点、再診4点など)

  • 例:初診300回、再診2,000回
    • 初診:300×21点=6,300点
    • 再診:2,000×4点=8,000点
    • 合計:14,300点

Step 3: 円換算して月次・年次に落とす

  • 14,300点×10円=143,000円/月
  • 年間(単純化):約171.6万円
    訪問が多い医院は、訪問点数の寄与が大きくなり、外来中心とインパクトが逆転することがあります。

薬局:処方箋枚数(受付回数)にほぼ比例する

調剤は「処方箋の受付1回につき」算定であるため、基本的に処方箋枚数(受付回数)がドライバーになります。

Step 1: 月間の処方箋受付回数を確定

  • 例:月7,000枚

Step 2: 点数(確定値)×10円で月次増収を算定

  • 月増収=7,000×(点数)×10円
    点数が確定したら即座に試算できるよう、先に受付回数だけは整備しておくのが実務的です。
ここがポイント
令和9年6月以降は「200%」で算定するフェーズが示されているため、資金繰り・賃上げ計画は「2026〜2027前半」と「2027/6以降」で二段階に分けて設計すると説明が通りやすくなります。

医療機関専門の税理士にご相談ください

40年以上の実績。クリニック・医療法人の経営を税務・会計の両面からサポートします。

無料相談を申込む 📞 050-1808-9643

平日 9:15〜18:15(土日祝休業)

届出の注意点:失点しやすいのは「施設基準の読み違い」と「賃上げの証跡」

1) 届出は算定開始の前提。月途中の扱いも要確認

ベースアップ評価料は、施設基準に適合し地方厚生局長等へ届出をした上で算定する建付けです。新設・見直しのタイミングでは、算定開始月の取り扱い(いつから算定できるか)を必ず確認してください。

2) 「賃金改善の対象範囲」と「原資の使途」を先に決める

現場で混乱しやすいのが「誰に、どう配分するか」です。医療機関では職種間バランス、薬局では薬剤師・事務の配分、訪問看護では看護職以外を含む配分など、説明責任が残ります。給与規程・手当設計まで含めて証跡を残す運用が安全です。

3) フェーズ(倍増)対応は「追加の届出・要件確認」が発生しうる

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)等では、追加届出の手引きが別途示されています。歯科・薬局でも、フェーズ移行時に実務手続(届出様式・要件確認)が発生する可能性があるため、令和9年6月前後の運用変更を年間計画に織り込むのが無難です。

よくある質問

Q: 歯科と薬局で、どちらが増収インパクトが大きいですか? ▼
点数そのものではなく、算定単位(回数)が鍵です。歯科は初診・再診・訪問など複数の回数ドライバーがあり、薬局は処方箋受付回数にほぼ比例します。まずは自院・自局の月間回数を出し、点数確定後に「回数×点数×10円」で比較してください。
Q: 令和9年6月以降に倍増するなら、今は届出しなくても良いですか? ▼
いいえ。フェーズ移行は増収機会ですが、前提は届出と賃金改善の実行です。未届出のままでは算定できず、賃金改善の説明も後追いになります。
Q: 賃上げに使わなかった分はどうなりますか? ▼
ベースアップ評価料は賃金改善の取組とセットで運用されるため、原資の使途・配分の整合性が重要です。個別の取扱いは施設基準・通知・指導監査の観点も絡むため、社労士・税理士と運用設計を行うことを推奨します。

まとめ

  • ベースアップ評価料は、歯科・薬局・訪問看護で「算定単位」が異なり、増収は回数構造で決まる
  • 令和9年6月以降は200%(倍増)のフェーズ制が示されており、賃上げ計画は二段階設計が有効
  • 歯科は初診・再診・訪問の回数を先に整備すると、点数変更への対応が速い
  • 薬局は処方箋受付回数がドライバー。点数確定後すぐ試算できるよう回数管理を整える
  • 届出と賃金改善の証跡(配分ルール・規程・支給実績)を残すことが、実務上の失点防止になる

参照ソース

  • 厚生労働省(中医協 総会 第646回)「個別改定項目について(その3)」: https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001646857.pdf
  • 厚生労働省「ベースアップ評価料等について(特設ページ)」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html
  • 厚生労働省「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)の追加届出の手引き」: https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001397655.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

シェア:
医療経営ブログに戻る

お電話でのご相談

050-1808-9643

受付時間 9:15〜18:15(土日祝休業)

Webお問い合わせ

おすすめコラム

訪問介護 介護報酬2026改定の要点

訪問介護 介護報酬2026改定の要点

介護報酬改定2026の全体像|+2.03%内訳を税理士解説

介護報酬改定2026の全体像|+2.03%内訳を税理士解説

クリニック医療機器節税2026|40万円特例と投資税制

クリニック医療機器節税2026|40万円特例と投資税制

人気コラムランキング

1
【失敗しない】クリニック開業税務の5つの注意点

【失敗しない】クリニック開業税務の5つの注意点

2
内科の訪問診療戦略|収益設計と集患・運用の実務を税理士が解説

内科の訪問診療戦略|収益設計と集患・運用の実務を税理士が解説

3
出資持分あり医療法人と持分なし医療法人の違いと承継・税務ポイント

出資持分あり医療法人と持分なし医療法人の違いと承継・税務ポイント

4
医師の講演料は確定申告必要?経費と手順|税理士が解説

医師の講演料は確定申告必要?経費と手順|税理士が解説

5
医師国保と厚生年金の加入判断ポイント|クリニック専門税理士が解説

医師国保と厚生年金の加入判断ポイント|クリニック専門税理士が解説

CONTACT

無料相談のご案内

開業・法人化・承継・経営改善など、どんなご相談でもお気軽にどうぞ。初回相談は無料です。

ご相談だけでも歓迎です。お気軽にお問い合わせください。

050-1808-9643
平日 9:15〜18:15

© 2026 税理士法人 辻総合会計グループ. All rights reserved.

プライバシーポリシー

お電話はこちら

050-1808-9643

050-1808-9643

無料相談する

平日 9:15〜18:15