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クリニック向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

ケアマネ処遇改善加算2026の対象要件と算定方法|税理士が解説

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ケアマネ処遇改善加算2026の対象要件と算定方法|税理士が解説

ケアマネ事業所にも処遇改善加算が「新設」されます(2026年)

2026年(令和8年度)の介護報酬改定では、これまで処遇改善加算の対象外だった居宅介護支援(ケアマネ事業所)等について、新たに処遇改善加算を設ける方針が示されています。加算の狙いは、介護職員に限らず介護従事者の処遇改善を広げ、賃上げと職場環境改善を後押しすることです。

一方で、居宅介護支援は「ケアプラン費」が収益の中心で、加算の原資や配分設計が訪問・通所サービスと異なりやすい領域です。制度を取れるかどうかだけでなく、どう配分して説明できるかまで設計しておくことが重要になります。

2026年改定で何が変わるのか(居宅介護支援の位置づけ)

令和8年度改定に関する資料では、処遇改善加算について以下が示されています。

  • 対象の拡大:介護職員のみから介護従事者へ対象を広げ、賃上げを実現する措置
  • 新たな加算区分(上乗せ):生産性向上・協働化に取り組む事業者に対する上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)の創設
  • 新設対象サービス:これまで対象外だった訪問看護、訪問リハ、居宅介護支援等に処遇改善加算を新設

居宅介護支援は「新設対象サービス」に含まれ、加算率も示されています(後述)。また、申請事務負担への配慮として、令和8年度中は要件対応の「誓約」で算定可能とする趣旨も示されています。

ここがポイント
本記事は、令和8年度介護報酬改定に関する公開資料(審議会資料)に基づき、居宅介護支援の処遇改善加算の読み解きと実務上の整理を行うものです。最終的な算定ルール・様式は、今後の通知・Q&A等で具体化される可能性があります。

居宅介護支援(ケアマネ)の処遇改善加算:対象要件の考え方

原則:新設対象サービスは「加算Ⅳ相当」または「令和8年度特例」で算定

公開資料では、居宅介護支援など新たに対象となるサービスは、次のいずれかで算定可能とされています。

  • 加算Ⅳに準ずる要件(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱおよび職場環境等要件)
  • 令和8年度特例要件(後述)

また、加算Ⅳに準ずる要件については、加算申請時点では令和8年度中の対応の「誓約」でも算定可能とされています。つまり、初年度は取りに行きやすい設計が想定されますが、年度内に整備して説明できる状態にしておくことが実務上のポイントです。

令和8年度特例要件(何を満たせばよいか)

資料で示されている「令和8年度特例要件」は、次のア〜ウのいずれかです。

  • ア)訪問・通所サービス等:ケアプランデータ連携システムに加入し、実績報告
  • イ)施設サービス等:生産性向上推進体制加算ⅠまたはⅡの取得、実績報告
  • ウ)社会福祉連携推進法人に所属

居宅介護支援は、制度上「ケアプランデータ連携システム」との親和性が高い領域です。初年度から算定を目指す場合、業務フロー(国保連請求・記録・連携)とセットで体制整備を検討するのが現実的です。

算定方法:加算率2.1%と「何に掛けるか」

居宅介護支援の加算率は2.1%

公開資料の加算率一覧では、居宅介護支援・介護予防支援は2.1%と示されています。
計算の基本は「加減算後の総報酬単位数(処遇改善加算を除く)」に加算率を乗じる、という整理です。

計算イメージ(簡便)

  • 前提:当月の居宅介護支援の総報酬単位数(各種加減算後、処遇改善加算を除く)=100,000単位
  • 処遇改善加算(新設)=100,000 × 2.1% =2,100単位

実際の金額換算は地域区分等で変動しますが、まずは「単位×率」で増分を把握し、年間見込み→賃上げ配分の設計へ落とし込む流れになります。

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居宅介護支援の「配分」と「賃上げ設計」:揉めないための実務ポイント

処遇改善は加算を取るよりも、どう配るか・どう説明できるかでトラブルになりがちです。特に居宅介護支援は職種構成が多様なため、次を先に決めておくと運用が安定します。

  • 対象範囲:常勤ケアマネ、非常勤、主任ケアマネ、事務職等をどう扱うか(事業所内ルールとして明確化)
  • 配分方法:基本給(ベースアップ)、手当、賞与、いずれに寄せるか
  • 評価軸:資格、職責、勤続、担当件数、業務難易度など、納得性のある基準

比較表:居宅介護支援でよくある配分設計

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設計パターンメリット注意点
基本給に上乗せ(ベースアップ)生活設計に直結し定着効果が高い固定費化するため、加算見込みの精度が重要
月次手当で支給調整しやすく運用が軽い手当乱立で不公平感が出やすい(支給基準の明確化が必須)
賞与で還元年度の実績に合わせやすい月次賃金改善の趣旨との整合に留意(説明資料を残す)
ここがポイント
職員説明の場では「何%上がるか」より「なぜこの配分か(基準)」が問われます。就業規則・賃金規程・評価シートの整合を取っておくと、後から修正しやすくなります。

申請・算定の進め方(実務のステップ)

Step 1: 対象要件のルートを決める

  • 加算Ⅳ相当の整備で進めるのか
  • 令和8年度特例要件(例:ケアプランデータ連携システム等)でスタートするのか
    初年度は「誓約」運用が示されているため、年度内に何をいつ整備するかまで工程表に落とします。

Step 2: 賃金改善計画を作り、配分基準を文書化する

  • 誰を対象にするか(職種・雇用形態)
  • どう配るか(基本給/手当/賞与)
  • いつから反映するか(遡及の扱い含む)
    この段階で、説明責任(職員・監査)に耐える形にします。

Step 3: 実績管理(原資と配分の突合)を回す

  • 月次で「加算見込み」と「支給実績」を突合
  • 年度末に向けて不足・過多を調整
    居宅介護支援は件数変動が大きいことがあるため、早めのモニタリングが有効です。

Step 4: 実績報告と次年度更新(改善の継続)

特例要件で始めた場合でも、年度内に要件整備が必要になる想定です。次年度に向けて、規程改定・研修計画・職場環境改善の証跡を揃えます。

よくある質問

Q: 居宅介護支援の処遇改善加算はいつから取れますか? ▼
令和8年度介護報酬改定にあわせて「新設」される方針が示されています。実際の算定開始時期・経過措置・提出期限は、今後の通知やQ&A等で確定します(最新資料を必ず確認してください)。
Q: 居宅介護支援の加算率2.1%は、何に掛け算しますか? ▼
公開資料では、処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数に加算率を乗じる整理が示されています。月次で単位数を把握できれば、増分(単位)を試算できます。
Q: 初年度は要件が揃っていなくても申請できますか? ▼
公開資料では、申請事務負担への配慮として、加算申請時点で「加入・取得の誓約」や「年度内対応の誓約」で算定可能とする趣旨が示されています。とはいえ、年度内に要件を満たし、説明できる状態に整える必要があります。
Q: ケアマネ以外(事務職など)にも配分できますか? ▼
処遇改善は介護従事者に対象を広げる方向性が示されていますが、具体的な範囲や運用は通知・Q&Aで整理されるのが通常です。現時点では、事業所内の配分ルール(対象範囲・基準)を文書化し、過度に恣意的にならない設計が重要です。

まとめ

  • 2026年(令和8年度)から、居宅介護支援(ケアマネ事業所)にも処遇改善加算が新設される方針が示されている
  • 居宅介護支援・介護予防支援の加算率は2.1%とされ、総報酬単位数に率を乗じて算定する整理
  • 新設対象サービスは「加算Ⅳ相当の要件」または「令和8年度特例要件」で算定可能とされ、初年度は誓約による経過的運用が想定される
  • 実務は取るより配る・説明するが重要。配分基準の文書化と月次モニタリングで運用を安定させる
  • 最終ルールは通知・Q&Aで具体化されるため、最新資料で更新しながら準備を進める

参照ソース

  • 厚生労働省(老健局)「令和8年度介護報酬改定について(社保審・介護給付費分科会 資料)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001647819.pdf
  • 厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」: https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/index.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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