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クリニック向けコラム
作成日:2026.02.14
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

調剤管理料改定2026の減収対策|税理士解説

8分で読めます
調剤管理料改定2026の減収対策|税理士解説

調剤管理料改定2026で短期処方が要注意な理由

調剤管理料の再編により、短期処方(27日以下)に偏る薬局ほど収益影響が出やすい構造になります。背景は、調剤管理料が「4区分→2区分」へ整理され、さらに調剤管理加算が廃止される方向性が示されているためです。

特に、14日以下の処方が多い薬局では、1処方当たりの点数が大きく低下する可能性があります。院外処方の構成(慢性疾患の長期処方が多いか、急性期・短期が多いか)で、改定の体感は大きく変わります。

ここがポイント
本記事の数値シミュレーションは「点数差 × 件数」で機械的に影響額を可視化する目的です。実際の請求は患者負担割合、加算・減算、施設基準、地域要件などで変動します。

調剤管理料の見直しとは(4区分→2区分)

ポイントは「区分の統合」と「短期側の評価低下」です。提示されている方向性では、調剤管理料が次のように整理されます。

  • 28日以上:60点
  • 27日以下:10点
  • 併せて、調剤管理加算の廃止

ここで経営上の論点は、短期処方が多い薬局は10点側に滞留しやすいことです。長期処方が多い薬局は60点側の比率が上がり、相対的に影響が小さくなります。

旧体系との違い(経営目線の整理)

旧体系が複数区分で短期側にも一定の評価があった場合、新体系で「27日以下=一律10点」に近づくと、短期側の単価下落が顕在化します。また、加算廃止が重なると、短期構成の薬局は二重で影響を受けます。

短期×高回転のモデル(駅前・面対応・急性期寄り)ほど、「件数はあるのに点数が伸びない」状態になりやすいため、早めの検証が重要です。

28点→10点の減額インパクトを点数・患者数別に試算

ここでは、ユーザー提示の「28点相当→10点」として、差分18点をベースに影響を見える化します。

  • 差分:18点(= 28点 - 10点)
  • 金額換算(目安):18点 × 10円 = 180円/処方(医療保険の出来高換算の目安)

影響額の早見表(1日件数別・月20営業日)

←横にスクロールできます→
1日あたり短期処方件数1処方あたり減(点)月間減(点)月間減(円・目安)
30件18点10,800点108,000円
60件18点21,600点216,000円
100件18点36,000点360,000円
150件18点54,000点540,000円

上表は「短期処方が改定影響をそのまま受ける」と仮定した単純試算です。短期比率が高い薬局ほど、小さな点数差が月次で大きな金額差になることが分かります。

構成比で見る:短期比率が高いほど効く

短期処方の比率を変数にすると、薬局ごとの影響をより現実に近づけられます。

←横にスクロールできます→
月間処方せん枚数短期(27日以下)比率短期枚数月間減(点)月間減(円・目安)
3,000枚40%1,200枚21,600点216,000円
3,000枚60%1,800枚32,400点324,000円
3,000枚80%2,400枚43,200点432,000円

短期比率の上昇が、そのまま減収の拡大につながります。したがって、対策は「短期を無理に長期へ」ではなく、算定設計と業務設計の両輪で考えるのが実務的です。

薬局が取るべき対策:算定設計と業務設計の二段構え

減収局面でありがちな失敗は、「単に件数を追う」か「一律にコストを削る」ことです。短期処方の特性を踏まえ、収益構造の再設計を優先します。

対策1:算定の取りこぼしをゼロ化する

短期処方中心の薬局は回転が速い分、算定要件の確認漏れが起きやすい傾向があります。まずは「既に取れるはずの点数」を確実に取る設計が必要です。

  • 施設基準や運用要件の棚卸し(要件を満たしているのに未算定がないか)
  • 服薬フォローや指導記録の標準化(記録不足で算定できない、を防ぐ)
  • 処方元・患者属性ごとの算定ルール整理(面対応はパターン化が効く)
ここがポイント
算定強化は「現場に負荷をかける」ものではなく、記録テンプレート化・チェックリスト化で作業時間を増やさずに精度を上げる発想が重要です。

対策2:短期でも価値が伝わる業務に寄せる(患者体験の改善)

短期処方が多い患者層は、急性症状や生活背景の変化が多く、説明の質が満足度に直結します。ここを磨くと、指名・継続・口コミに波及し、面対応の安定につながります。

  • 待ち時間の見える化(受け取り導線の改善)
  • 服薬説明の要点化(1回で理解できる設計)
  • 再来局を前提としたフォロー動線(連絡手段・タイミングの設計)

対策3:処方元構成の偏りを可視化し、営業ではなく連携で補正する

短期処方の多さは、処方元診療科・立地・時間帯で決まりやすい要素です。個別医療機関への過度な営業ではなく、地域連携・機能分担の視点でバランスを取ります。

  • 診療科別(耳鼻科・皮膚科・内科等)に短期率を算出
  • 時間帯別に短期率と待ち時間を把握
  • 連携先の分散(特定処方元依存のリスク低減)

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影響額の算出手順(自薬局で5分でできる)

自薬局の影響を最短で把握するには、「短期枚数 × 点数差」をベースにします。会計側(税理士・経理)と現場側(薬局長・事務)の共通言語にするのがコツです。

Step 1: 対象期間を決める(1か月が基本)

レセコンから「月間処方せん枚数」と「27日以下の枚数」を抽出します。可能なら14日以下も別集計します。

Step 2: 短期枚数を確定する

短期の定義(27日以下/14日以下)を揃え、月間短期枚数を確定します。

Step 3: 点数差(例:18点)を掛ける

短期枚数 × 18点 = 月間減点(点)

Step 4: 円換算(目安)に落とす

月間減点 × 10円 = 月間減収目安(円)
ここはあくまで目安として、患者負担割合や公費割合の影響は別途注記します。

Step 5: 対策の優先順位を付ける

  • 取りこぼし(運用・記録)で回復できる範囲
  • オペ改善で吸収できる範囲
  • 構成比(処方元・患者層)で中期的に調整する範囲

影響額の把握→回復策の棚卸し→運用に落とすまでをワンセットにすると、改定期の混乱を抑えられます。

よくある質問

Q: 14日以下が多い薬局は、どれくらい影響が出ますか? ▼
「短期枚数 × 点数差」で概算できます。例えば14日以下が月2,000枚あり、28点相当→10点(差18点)なら、2,000×18=36,000点(目安36万円相当)となります。実際は加算・減算や公費の有無で変動します。
Q: 短期処方を長期処方に誘導すれば解決しますか? ▼
原則として、薬局側で処方日数を誘導するのは現実的でも望ましいとも言えません。対策は、算定の取りこぼし防止、記録の標準化、待ち時間や説明品質の改善など、薬局がコントロールできる領域から優先するのが実務的です。
Q: まず何から手を付ければ良いですか? ▼
最初は「短期比率の可視化」と「影響額の試算」です。そのうえで、施設基準・運用要件の棚卸し(未算定の洗い出し)を行い、テンプレート化・チェックリスト化で現場負荷を増やさず精度を上げるのが効果的です。

まとめ

  • 調剤管理料の再編で、短期処方(27日以下)に偏る薬局ほど減収が出やすい
  • 影響は「短期枚数 × 点数差(例:18点)」でまず概算する
  • 対策は、算定の取りこぼし防止と記録標準化など確実に取る設計が先
  • 短期×高回転の薬局は、待ち時間・説明品質など患者体験改善が効きやすい
  • 処方元・時間帯・診療科別に短期率を可視化し、構成リスクを下げる

参照ソース

  • 厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第647回)議事次第(総-1 個別改定項目について): https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00286.html
  • 別紙1-1 医科診療報酬点数表(傍線部分は改正部分): https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655178.pdf
  • 総-1 個別改定項目について(改定案の考え方・要件等): https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655176.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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