税理士法人 辻総合会計グループ
無料相談
医療経営ブログに戻る
クリニック向けコラム
作成日:2026.02.14
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

歯科疾患管理料改定2026の減収試算|税理士が解説

7分で読めます
歯科疾患管理料改定2026の減収試算|税理士が解説

歯科疾患管理料100点→90点で、年間減収はいくら?

結論から言うと、歯科疾患管理料が(仮に)100点→90点へ10点引下げになる場合、減収は「10点=100円」×算定回数で決まります。つまり、月の算定回数が多い医院ほど影響が直線的に大きくなります。

一方で、次期改定に向けては「歯科疾患・口腔機能の管理」の評価のあり方自体が議論されており、継続的・計画的な管理や、患者に分かりやすい管理内容の整理が論点に上がっています。減点を算定の作法で取り戻す発想が重要です。

ここがポイント
2026年2月13日時点で、中央社会保険医療協議会 総会(第647回)の開催案内ページには「議題・資料は準備中」との記載があります。個別項目の確定内容は、告示・通知・正式資料の公開後に必ず突合してください。

減収シミュレーションの考え方(10点=100円×回数)

まず押さえる計算式

  • 1回当たりの減収:10点 × 10円 = 100円
  • 月間減収:100円 × 月の算定回数
  • 年間減収:100円 × 年間算定回数(=月回数×12)

ここで重要なのは、減収は「患者数」ではなく「算定回数」に比例する点です。月1回の定期管理が多い医院は影響が出やすく、逆に管理の算定が少ない医院は影響が限定されます。

回数別・年間減収の早見表

←横にスクロールできます→
月間の算定回数(目安)年間算定回数1回減収(円)年間減収(円)
200回/月2,400回100円240,000円
400回/月4,800回100円480,000円
600回/月7,200回100円720,000円
800回/月9,600回100円960,000円
1,000回/月12,000回100円1,200,000円

月800回で約96万円/年が下げ幅10点のインパクトです。人件費高騰下では無視しづらい水準になります。

新設・見直し評価でカバーする「算定戦略」の型

「新加算でカバー」といっても、闇雲に加算を増やすのではなく、管理の質と記録の整備で取れるものを取り切るのが現実解です。ここでは、制度改定の方向性(歯科疾患・口腔機能の管理の整理、分かりやすい評価設計の必要性等)を踏まえ、医院が実装しやすい戦略を型として示します。

戦略A:管理の継続性を上げ、取りこぼしを減らす

歯科疾患管理は、初診だけでなく継続的・計画的な管理が本筋です。患者の来院間隔が空きやすい医院ほど、算定の連続性が崩れ、結果として「管理で稼げない構造」になりがちです。

  • 定期管理(メンテ)患者の予約導線を固定(次回予約率のKPI化)
  • 管理計画の見える化(患者説明の型を統一)
  • 口腔機能・生活習慣の把握項目をテンプレ化(記録の標準化)

狙いは、算定回数を増やすのではなく、発生した算定機会を落とさないことです。

戦略B:口腔機能管理・重症化予防をメニュー化して同意・記録を強化

次期改定に向けた議論では、口腔機能管理(小児・高齢者を含む)や重症化予防の評価の整理が論点です。ここに対応するには、診療プロセスを「診断→説明→同意→実施→評価→記録」の順に整える必要があります。

  • 対象患者の抽出ルール(年齢・病名・所見)を院内で統一
  • 説明文書・同意の取得フローを整備
  • 衛生士・管理栄養士等の多職種連携の記録(実施内容の可視化)

「やっているのに記録が弱く算定が伸びない」ケースが最も多いので、記録設計は投資対効果が高い領域です。

戦略C:医療DX・運用要件への対応を設備投資ではなく運用投資で回収

2026年度改定全体では、医療DXや生産性向上と絡む評価設計が強く意識されています。歯科でも、オンライン資格確認・情報活用・業務効率化の運用が点数設計に影響しやすくなります。

  • 受付〜会計の業務フロー棚卸し(ムダ作業の削減)
  • 診療録テンプレ・定型文で記載の再現性を上げる
  • 算定チェックを「人→仕組み」に寄せる(チェックリスト化)

減点の穴埋めは、現場の運用の細部で決まることが多いです。

医療機関専門の税理士にご相談ください

40年以上の実績。クリニック・医療法人の経営を税務・会計の両面からサポートします。

無料相談を申込む 📞 050-1808-9643

平日 9:15〜18:15(土日祝休業)

実務で回る「算定・記録」再設計の手順

Step 1: 直近3か月の算定回数を把握する

レセコンから「歯科疾患管理料」の月次算定回数を抽出し、平均値を出します。ここが減収試算の母数になります。

Step 2: 取りこぼしパターンを分類する

  • 予約が途切れて算定機会が消える
  • 記録・説明が不足し算定要件を満たせない
  • 対象患者の抽出が曖昧で運用がぶれる

パターン別に原因を特定します。

Step 3: テンプレとチェックリストで運用を固定する

  • 初診時:説明テンプレ(管理目的・頻度・セルフケア)
  • 再診・メンテ:評価項目テンプレ(所見・指導・次回計画)
  • 算定:日次・週次のチェックリスト(誰が、いつ、何を見るか)

Step 4: 1〜2か月でKPIを確認し微調整する

  • 次回予約率
  • メンテ継続率
  • 管理関連の算定回数(推移)

数値で回し、改善点だけを追加します。

ここがポイント
算定戦略は「点数を取りに行く」設計ではなく、「診療の質を上げた結果として算定が付いてくる」設計に寄せるほど、監査リスクと運用負荷が下がります。

よくある質問

Q: 年間減収の試算は、患者数から出せますか? ▼
患者数よりも「歯科疾患管理料の算定回数」が直接の母数です。患者数が同じでも、定期管理の継続率や算定漏れで回数が変わるため、まずレセコンから月次の算定回数を抽出して試算するのが確実です。
Q: 新設加算が出るまで、何を準備すべきですか? ▼
新設・見直しの有無にかかわらず有効なのは、(1)管理計画の説明と記録のテンプレ化、(2)対象患者の抽出ルールの統一、(3)算定チェックの仕組み化です。正式な告示・通知が出た段階で、テンプレの文言と要件の突合だけで済む状態にしておくのが最も効率的です。
Q: 取り戻すために算定回数を増やすのは問題ありませんか? ▼
診療実態に裏付けがある範囲で、取りこぼしを減らすのは問題になりにくい一方、実態が伴わない算定や記録の不整合はリスクになります。個別の運用は、院内の診療フローと整合する形で設計し、必要に応じて専門家に確認してください。

まとめ

  • 10点引下げは、1回あたり100円の減収で、年間減収は算定回数に比例する
  • 月800回なら年間約96万円が目安となり、固定費上昇局面では影響が出やすい
  • カバー策の本丸は、新設加算待ちよりも「取りこぼし削減」と「記録の標準化」
  • 管理・口腔機能・重症化予防の流れをメニュー化し、同意と記録を強化する
  • 告示・通知・正式資料の公開後に、要件を必ず突合して運用を確定させる

参照ソース

  • 厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70414.html
  • 厚生労働省「診療報酬改定について(令和8年度・予算大臣折衝を踏まえた資料)」: https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001623410.pdf
  • 厚生労働省「歯科医療その2(次期改定に向けた論点)」: https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001598463.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

シェア:
医療経営ブログに戻る

お電話でのご相談

050-1808-9643

受付時間 9:15〜18:15(土日祝休業)

Webお問い合わせ

おすすめコラム

訪問介護 介護報酬2026改定の要点

訪問介護 介護報酬2026改定の要点

介護報酬改定2026の全体像|+2.03%内訳を税理士解説

介護報酬改定2026の全体像|+2.03%内訳を税理士解説

クリニック医療機器節税2026|40万円特例と投資税制

クリニック医療機器節税2026|40万円特例と投資税制

人気コラムランキング

1
【失敗しない】クリニック開業税務の5つの注意点

【失敗しない】クリニック開業税務の5つの注意点

2
内科の訪問診療戦略|収益設計と集患・運用の実務を税理士が解説

内科の訪問診療戦略|収益設計と集患・運用の実務を税理士が解説

3
出資持分あり医療法人と持分なし医療法人の違いと承継・税務ポイント

出資持分あり医療法人と持分なし医療法人の違いと承継・税務ポイント

4
医師の講演料は確定申告必要?経費と手順|税理士が解説

医師の講演料は確定申告必要?経費と手順|税理士が解説

5
医師国保と厚生年金の加入判断ポイント|クリニック専門税理士が解説

医師国保と厚生年金の加入判断ポイント|クリニック専門税理士が解説

CONTACT

無料相談のご案内

開業・法人化・承継・経営改善など、どんなご相談でもお気軽にどうぞ。初回相談は無料です。

ご相談だけでも歓迎です。お気軽にお問い合わせください。

050-1808-9643
平日 9:15〜18:15

© 2026 税理士法人 辻総合会計グループ. All rights reserved.

プライバシーポリシー

お電話はこちら

050-1808-9643

050-1808-9643

無料相談する

平日 9:15〜18:15