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クリニック向けコラム
作成日:2025.01.27
更新日:2026.01.02
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

医師のアルバイト収入の確定申告手順と注意点|税理士が解説

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医師のアルバイト収入の確定申告手順と注意点|税理士が解説

医師のアルバイト収入の確定申告とは

医師のアルバイト収入に関する確定申告とは、勤務先が複数になったり、業務委託で報酬を受け取ったりした場合に、1年分の所得税を精算する手続きです。特に「常勤先で年末調整は済んだのに、スポット勤務分が漏れていた」「源泉徴収はされているが申告していない」といった状況は、後から指摘されやすい論点です。忙しい医師ほど、収入区分の判定と提出書類の整理が課題になりやすい点に注意が必要です。

医師アルバイトでよくある収入パターン

・非常勤(雇用契約)として病院・クリニックで勤務し、給与として支払われる
・スポット勤務や当直を、医療機関と業務委託契約で行い、報酬として支払われる
・講演・原稿・監修など、医業以外の報酬を受け取る

同じ「アルバイト」でも、給与か報酬かで確定申告の要否や入力先が変わります。まずはご自身の支払明細や契約形態から、どちらに該当するかを確認しましょう。

確定申告が必要なケースと20万円ルール

結論として、医師のアルバイト収入は「年末調整が完結していない給与がある」「給与以外の所得が一定額を超える」などの条件に当てはまると、確定申告が必要になります。

代表的に申告が必要になりやすいケース

  • 常勤先とは別に、複数の勤務先から給与を受け取っている(年末調整されなかった給与がある)
  • 業務委託(報酬)で受け取った収入があり、必要経費を差し引いた所得が発生している
  • 年収が高額で、そもそも給与所得者として申告義務が生じるケースがある
  • 医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税)等で還付申告を行いたい
ここがポイント
「20万円ルール」は誤解が多いポイントです。一般に、給与所得者で年末調整を受けている場合でも、給与以外の所得合計が20万円を超える、または年末調整されなかった給与収入があり一定条件に該当すると申告が必要になる可能性があります。判定は「所得(収入-経費)」基準で行う点が重要です。

申告時期の目安

確定申告は原則として翌年2月中旬〜3月中旬に行います。該当年分の期間は毎年公表され、休日の関係で期限が延長される年もあります。提出期限は「その年の公表情報」を必ず確認してください。

給与所得と業務委託報酬の違い

医師のアルバイト収入で最重要なのは、収入が「給与所得」なのか「報酬(業務委託)」なのかの切り分けです。申告書上の入力場所だけでなく、必要書類(源泉徴収票か支払調書か)や、経費計上の考え方も変わります。

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項目給与(雇用契約)業務委託報酬(請負・委任等)
代表例非常勤医として雇用、時給・日給の支給スポット当直・健診などを委託で実施
主な書類源泉徴収票支払調書(発行されない場合もあり)・入金明細
申告の入力先給与所得事業所得または雑所得(実態により)
経費の扱い原則、給与収入に直接対応する経費計上は限定的必要経費を計上しやすい(実態・証憑が前提)
源泉徴収給与の源泉徴収(年末調整で精算)一定の報酬は源泉徴収対象となる場合あり

医師のアルバイトが「報酬」扱いになりやすい場面

・勤務日や業務の裁量が大きい
・雇用保険・社会保険の加入がなく、業務委託契約書がある
・請求書を発行している、または「謝金」「業務委託料」名目で支払われている

この切り分けを誤ると、税務調査以前に「入力が合わない」「控除や経費の取り扱いが不自然」になり、修正対応が増えます。給与か報酬かの判定は、申告作業の最初に行ってください。

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確定申告の手順と注意点

ここでは、忙しい医師でも迷いにくいように、実務の流れをステップ形式で整理します。

事前準備:集める書類(最低限)

  • すべての勤務先の源泉徴収票(給与がある場合)
  • 報酬の入金明細、支払調書、請求書控え(業務委託がある場合)
  • 控除関係:生命保険料控除証明書、iDeCo、小規模企業共済、寄附金受領証明書など
  • 経費証憑:交通費、学会参加費、医書、白衣等(業務委託の必要経費に該当するもの)
ここがポイント
「支払調書が届いていない=申告不要」ではありません。入金ベースで収入を集計し、必要経費を差し引いて所得を計算します。証憑は電子データでも構いませんが、保存性と検索性を意識して整理しましょう。

申告のステップ

Step 1: 収入を「給与」と「報酬」に分類する

まず、勤務先ごとに契約形態と支払名目を確認し、給与・報酬を分けて集計します。混在している場合は、明細の表題(給与、委託料、謝金等)と契約書の有無を確認します。

Step 2: 所得を計算する(報酬は「所得=収入-経費」)

業務委託報酬がある場合、必要経費を差し引いて所得を計算します。経費は「業務に直接必要」であることが前提で、領収書や利用記録の保存が重要です。所得計算の根拠資料が整理されているほど、後日の説明コストが下がります。

Step 3: 控除(医療費控除・寄附金控除等)を適用する

控除が多い年は、還付(税金が戻る)になることがあります。医療費控除は明細書の添付が必要で、領収書は一定期間の保管が求められます。家族分をまとめる場合は「生計を一にする」かどうかの要件も確認します。

Step 4: 確定申告書を作成する(作成コーナー・e-Taxの活用)

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」は、案内に沿って入力すれば自動計算されるため、計算誤りを減らせます。マイナンバーカード方式であれば自宅から電子送信も可能で、繁忙期の時間を圧縮できます。

Step 5: 提出・納付(または還付)を完了する

納付の場合は期限までに納税します。還付の場合でも、提出が遅れると入金も遅れます。書面提出の場合、提出控えへの収受印が廃止されているため、提出事実の管理方法(控えの作成、提出年月日の記録等)を自分で整備しておくと安心です。

申告でつまずく注意点(医師アルバイト特有)

  • 複数の源泉徴収票の取り込み漏れ(特に短期スポット分)
  • 報酬の源泉徴収税額を「給与の源泉徴収」と混同する
  • 経費の範囲が広くなりすぎ、私用混在(按分)説明ができない
  • 住民税の通知で副業が判明しないようにしたい場合の手続き(自治体運用差があるため要確認)
  • 年収規模が大きい医師ほど、見込み納税・追加納付が発生しやすい

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、医療機関・医師の税務相談を30年以上にわたり多数支援してきましたが、最も多いのは「申告の要否は分かっていたが、収入整理が間に合わない」という相談です。スポット勤務が増えるほど集計が難しくなるため、月次で入金管理をしておくことが実務上有効です。

よくある質問

Q: 常勤先で年末調整済みなら、アルバイト分は申告しなくてよいですか? ▼

A:

追加の勤務先がある場合でも、年末調整されなかった給与がある、または給与以外の所得が一定額を超えるなど、条件により申告が必要になります。源泉徴収票が複数ある場合は特に注意してください。
Q: 業務委託の当直で源泉徴収されていました。確定申告すると有利になりますか? ▼

A:

源泉徴収されていても、確定申告で所得を精算します。必要経費や控除を反映できれば還付になることもありますが、所得が大きければ追加納付になる場合もあります。収入と経費、控除の全体像で判定します。
Q: 経費として計上できるものの具体例はありますか? ▼

A:

業務委託報酬に対応する費用で、業務に直接必要なものが中心です。例えば、業務場所への交通費、業務に必要な書籍・学会参加費などが典型です。私用が混在するものは按分根拠が必要で、領収書や利用記録の保存が重要です。

まとめ

  • 医師のアルバイト収入は「給与」か「業務委託報酬」かで申告実務が大きく変わる
  • 申告要否は「年末調整されなかった給与」「給与以外の所得(収入-経費)」などで判定する
  • 申告は、収入分類→所得計算→控除→作成コーナー入力→提出・納付の順で進めると迷いにくい
  • スポット勤務ほど漏れが起きやすいので、源泉徴収票・入金明細を月次で整理する
  • 高所得・複数収入・経費按分がある場合は、早めに税理士へ相談するとリスクと工数を抑えやすい

参照ソース

  • 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
  • 国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
  • 国税庁「令和7年分の所得税等の確定申告の相談及び申告書の受付」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/02/2_02.htm
  • 国税庁「確定申告書等の作成(確定申告書等作成コーナー)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/kakushin-sakusei/

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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