税理士法人 辻総合会計グループ
無料相談
医療経営ブログに戻る
クリニック向けコラム
作成日:2026.02.08
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

ベースアップ評価料2026拡充|全職種対象・届出簡素化を税理士が解説

9分で読めます
ベースアップ評価料2026拡充|全職種対象・届出簡素化を税理士が解説

ベースアップ評価料2026拡充の結論|全職種の賃上げを「算定+届出」で回す

ベースアップ評価料2026拡充とは、これまでの対象職種の枠を広げ、医療機関の幅広い職種で賃上げを確実にするための診療報酬上の措置を強化する流れです。特にクリニックでは「事務職・看護助手も上げたいが原資が足りない」「届出が面倒で未算定」という課題が起きがちです。

令和8年度(2026年度)改定の資料では、賃上げ分として一定の改定率が示され、看護補助者・事務職員については上乗せ支援(ベースアップ実現支援の比率が高い)も明記されています。また、令和9年度(2027年度)にかけて賃上げ分の比率が拡大する見通しが示されています。こうした流れの中で、まずは「評価料を算定できる状態」を作るのが現実的な第一歩です。

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、スタッフ30名規模の税理士法人として医療機関の記帳・給与設計の相談を数多く受けますが、現場では「制度の趣旨は理解しているのに、届出の手間で止まっている」ケースが少なくありません。

ベースアップ評価料の「全職種」対象とは|事務職・看護助手も含む考え方

2026年の拡充ポイント:既存対象に加えて「入院基本料等で措置する職種」も賃上げ枠へ

令和8年度改定の整理では、令和6年度改定でベースアップ評価料の対象だった職種に加え、入院基本料等で措置することとされた職種の賃上げも、賃上げ分として取り込む(賃上げの実効性確保の取組と併せて)という方向が示されています。つまり、評価料だけに閉じず、幅広い医療関係職種の賃上げを「確実に」する設計に寄せている点が重要です。

さらに、賃上げの実効性確保として、初・再診料や入院基本料で配分される職種(例:事務職員等)についても、評価料対象職種と同様に、実際に支給される給与(賞与含む)の賃上げ実績を把握する仕組みを構築する旨が示されています。ここが「事務職・看護助手も含む」という理解の中核です。

看護助手・事務職の上乗せが示されている理由

資料では、医療現場の生産性向上と併せてベースアップ実現を支援する措置として、令和8年度・令和9年度それぞれで「+3.2%分のベースアップ実現」を支援し、看護補助者・事務職員は「それぞれ5.7%」と明記されています。人材獲得競争が厳しい職種へのテコ入れが読み取れます。

ここがポイント
「全職種」といっても、実務上は“誰にいくら配分したか”を説明できる設計(賃金改善計画と運用)が要になります。給与規程や手当設計とセットで整えると、届出後の運用が安定します。

ベースアップ評価料の届出はどう変わった?|「評価料Ⅰ専用様式」で簡素化

厚労省の特設ページでは、未届出の医療機関は「今からでも届出でき、届出の翌月から算定できる」こと、また外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)のみを届出する場合に「よりシンプルになった」専用様式が用意されていることが明記されています。

さらに、届出は原則として、医療機関所在地を管轄する地方厚生(支)局都道府県事務所の専用メールアドレスへExcelファイル提出で行う旨も示されています。紙提出はやむを得ない事情がある場合の例外です。

「簡素化」の実務的な意味

ポイントは、まず評価料Ⅰだけで届出を完結できるルートを使えることです。クリニック(無床診療所)の多くは、評価料Ⅰの算定から着手するのが現実的です。人員規模が小さいほど、資料上も「特に簡単に届出できる」と整理されています。

2026→2027で何が「倍増」なのか|賃上げ分の拡大を数字で読む

令和8年度改定資料では、診療報酬改定率が「令和8年度+2.41%、令和9年度+3.77%」と示され、賃上げ分についても「令和8年度+1.23%、令和9年度+2.18%」と、令和9年度(2027年度)で大きく増える見通しが示されています。賃上げ分だけを見ると、2026→2027で約1.8倍のイメージです(“倍増”と表現される背景)。

←横にスクロールできます→
観点2026年度(令和8年度)2027年度(令和9年度)
診療報酬改定率(医療全体)+2.41%+3.77%
うち賃上げ分+1.23%+2.18%
ベースアップ実現支援(目安)+3.2%分+3.2%分
看護補助者・事務職員の上乗せ(目安)5.7%5.7%

※いずれも公表資料の記載に基づく整理で、各医療機関の配分・算定額は施設基準や患者数等により変動します。

医療機関専門の税理士にご相談ください

40年以上の実績。クリニック・医療法人の経営を税務・会計の両面からサポートします。

無料相談を申込む 📞 06-6206-5510

平日 9:15〜18:15(土日祝休業)

関連記事

ベースアップ評価料2026|賃上げ3.2%算定・届出|税理士解説

ベースアップ評価料2026(令和8年度改定)で職員の賃上げ原資を確保する方法を解説。賃上げ3.2%の賃金改善額の計算、評価料収入の見積り、届出(Excelをメール提出)と実績報告まで、診療所・病院の実務ポイントを整理。

続きを読む

クリニックの届出手順|「最短で翌月算定」までのステップ

厚労省ページの案内どおり、届出が受理されれば「翌月から算定」できるため、資金繰り上も“早く始める”メリットが大きいです。

Step 1: 自院が狙う算定パターンを決める(まずは評価料Ⅰが基本)
無床診療所は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)から着手するのが一般的です。評価料Ⅰ専用様式が用意され、簡素化されています。

Step 2: 専用様式(Excel)を入手し、必須シートだけ埋める
評価料Ⅰ専用届出様式では、別添・計画書・届出書など「届出時に必要なシート」が明示されています。まずは必須範囲に集中します。

Step 3: 地方厚生(支)局の専用メールへExcel提出(原則)
届出は、管轄の専用メールアドレスへExcel提出が原則です(例外として書面提出)。送信記録・提出ファイルの保管は必須です。

Step 4: 翌月算定開始 → 賃金改善の運用を回す
届出後、算定が始まったら「どの職種に、どの項目で」賃金改善したかを、給与明細・賃金台帳・賞与台帳で追える形にします。

ここがポイント
よくある落とし穴は「算定は始めたが、手当設計が曖昧で説明できない」ことです。役割手当・職務手当・ベア手当など、名称と支給根拠を統一し、社会保険料・所得税への影響も含めて設計すると監査対応が楽になります。

税理士の実務視点|評価料の“原資”を院内で揉めずに配るには

ベースアップ評価料は制度として「職員の賃金改善」が目的です。一方で、クリニックでは職種間の不公平感が起きやすく、特に事務職・看護助手を含めた配分設計が難所になります。

当法人の現場感では、次の整理が有効です。

  • 全職種を対象にする前提で、配分ルール(定額+職種別加算など)を先に決める
  • ベア分(固定的賃上げ)と、業績連動(賞与・インセンティブ)を混ぜない
  • 診療報酬の入金タイミングを踏まえ、月次の支給設計にする(賞与一括に寄せすぎない)
  • 税務・社保の影響(源泉税、標準報酬月額、賞与支払届)をセットで確認する

よくある質問

Q: ベースアップ評価料は、今から届出しても間に合いますか? ▼

A:

厚労省の案内では、未届出の医療機関は「今からでも届出でき、届出の翌月から算定できる」とされています。まずは評価料Ⅰ専用様式での届出を検討すると進めやすいです。
Q: 事務職や看護助手も賃上げ対象にできますか? ▼

A:

令和8年度改定資料では、幅広い医療関係職種での賃上げを確実にする趣旨が示され、看護補助者・事務職員については上乗せ措置(5.7%)も明記されています。配分ルールを決め、給与(賞与含む)で実績が追える形にするのが実務上のポイントです。
Q: 届出が簡素化されたのは具体的に何が変わったのですか? ▼

A:

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)のみを届け出る場合に、よりシンプルな「評価料Ⅰ専用届出様式」が用意されています。提出は原則メールでExcelファイルを送付します。
Q: 2027年に“倍増”と言われるのは何が増えるからですか? ▼

A:

公表資料では、賃上げ分が2026年度+1.23%、2027年度+2.18%と示されており、賃上げ分だけで見ると約1.8倍の規模になります。実際の算定・配分は施設基準等で変動するため、個別に試算するのが安全です。

まとめ

  • ベースアップ評価料2026拡充は、幅広い職種の賃上げを確実にする方向の制度強化
  • 看護補助者・事務職員は上乗せ支援(5.7%)が示され、人材確保の観点が強い
  • 届出は評価料Ⅰ専用様式で簡素化され、原則メールでExcel提出
  • 未届出でも今から届出でき、受理されれば翌月から算定できる
  • 2027年度は賃上げ分が大きく増える見通しで、早期に運用基盤を作るのが得策

参照ソース

  • 厚生労働省「ベースアップ評価料等について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html
  • 厚生労働省「診療報酬改定について(令和7年12月24日)」PDF: https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001620952.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

シェア:
医療経営ブログに戻る

お電話でのご相談

06-6206-5510

受付時間 9:15〜18:15(土日祝休業)

Webお問い合わせ

おすすめコラム

防衛特別法人税と医療法人の影響|税理士が解説

防衛特別法人税と医療法人の影響|税理士が解説

暗号資産申告分離課税は2026に?医師向け税務最新|税理士が解説

暗号資産申告分離課税は2026に?医師向け税務最新|税理士が解説

特定親族特別控除2026とは?|税理士が解説

特定親族特別控除2026とは?|税理士が解説

人気コラムランキング

1
内科の訪問診療戦略|収益設計と集患・運用の実務を税理士が解説

内科の訪問診療戦略|収益設計と集患・運用の実務を税理士が解説

2
【失敗しない】クリニック開業税務の5つの注意点

【失敗しない】クリニック開業税務の5つの注意点

3
医師の講演料は確定申告必要?経費と手順|税理士が解説

医師の講演料は確定申告必要?経費と手順|税理士が解説

4
出資持分あり医療法人と持分なし医療法人の違いと承継・税務ポイント

出資持分あり医療法人と持分なし医療法人の違いと承継・税務ポイント

5
医師国保と厚生年金の加入判断ポイント|クリニック専門税理士が解説

医師国保と厚生年金の加入判断ポイント|クリニック専門税理士が解説

CONTACT

無料相談のご案内

開業・法人化・承継・経営改善など、どんなご相談でもお気軽にどうぞ。初回相談は無料です。

ご相談だけでも歓迎です。お気軽にお問い合わせください。

06-6206-5510
平日 9:15〜18:15

© 2026 税理士法人 辻総合会計グループ. All rights reserved.

プライバシーポリシー

お電話はこちら

06-6206-5510

06-6206-5510

無料相談する

平日 9:15〜18:15