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クリニック向けコラム
作成日:2026.01.10
更新日:2026.01.06
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

内科クリニック開業費用の相場と設備一覧【2026年版】|税理士が解説

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内科クリニック開業費用の相場と設備一覧【2026年版】|税理士が解説

内科クリニック開業費用はいくら?2026年版の結論

内科クリニックの初期費用は、一般的に「物件条件(テナント/戸建て/居抜き)」「内装工事の範囲」「医療機器の購入水準」で大きく変わり、目安として4,000万円〜1億円程度のレンジに収まることが多い領域です。これから開業する医師・院長にとっての課題は、見積りが出揃う前に意思決定が先行しやすく、資金繰りの余白が不足しがちな点ではないでしょうか。結論として、設備投資だけでなく運転資金(最低でも6か月、可能なら9〜12か月)を含めた総資金で設計することが安全側の判断になります。

まず押さえるべき「3つの開業モデル」

同じ内科でも、モデルで総額が変わります。

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モデル想定初期費用の目安
コンパクト型小規模テナント、検査は最小限4,000万〜6,000万円
スタンダード型一般的なテナント、検査機器を一通り6,000万〜9,000万円
設備充実型画像・検査を厚め、広めの内装9,000万〜1.2億円
ここがポイント
「保険診療での開業」を前提にする場合、診療開始タイミングから逆算して、厚生局への保険医療機関指定申請等の手続きも同時進行になります。申請様式・締切・オンライン資格確認の扱いは、地域厚生局の案内に従って準備します。

初期費用の内訳:何にいくらかかるか(内科の典型)

費用の多くは「場所」と「作り込み」と「機器」です。内科の典型的な内訳レンジを整理します(実額は地域相場・面積・グレードで変動)。

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区分主な内容目安レンジ
物件関連保証金・礼金、仲介、前家賃300万〜1,500万円
内装・設備工事間仕切り、給排水、電気容量、空調、看板1,500万〜4,000万円
医療機器検査機器、診察機器、処置関連800万〜3,000万円
IT・システム電子カルテ/レセコン、予約・問診、ネットワーク200万〜800万円
家具・備品受付、待合、スタッフルーム、消耗備品150万〜600万円
開業前費用設計、広告、採用、各種届出、研修100万〜500万円
当面の運転資金人件費、家賃、リース、外注、仕入800万〜2,500万円

見落としやすいコストの代表例

  • 電気容量増設や空調更新(医療機器・サーバー運用で追加になりやすい)
  • 受付/診察室の動線変更(工事後半での仕様変更が高くつく)
  • 医療廃棄物の保管・収集運搬(委託契約と保管容器の整備が必要)

内科開業で必要な設備・医療機器一覧(必須〜任意)

内科は「問診・診察」に加え、外来での基本検査をどこまで院内で完結させるかが投資判断の軸です。以下は一般的な整理です。

診察・処置(優先度:高)

  • 診察台、血圧計、体温計、パルスオキシメータ
  • 身長体重計、聴診器、耳鏡・鼻鏡等(診療方針に応じて)
  • ネブライザー、処置ワゴン、救急カート(最低限の一次対応)

検査(優先度:中〜高)

  • 心電計(12誘導)
  • 迅速検査(インフル/COVID-19等は地域需要と運用設計で判断)
  • 血液検査(外注中心なら最小化、院内実施なら分析装置の選定が必要)
  • 超音波(腹部・頸動脈など、得意領域がある場合は投資対効果が高い)

画像・放射線(優先度:方針次第)

  • X線撮影装置・CR/DR等は、導入すると患者利便性は上がりますが、設置・運用に当たり法令・通知に基づく管理体制や届出対応が論点になります(放射線の取扱い・管理の考え方は厚労省通知等で整理されています)。

IT・医療DX(優先度:高)

  • 電子カルテ/レセコン、予約・問診、院内LAN/無線、バックアップ
  • オンライン資格確認の運用(診療開始月の立ち上げに影響するため、工程管理が重要)
  • 自動精算機・キャッシュレスは、会計オペレーションと人員計画に合わせて判断

バックヤード(優先度:高)

  • 滅菌・消毒(運用量に応じた機器・導線)
  • 医療廃棄物の分別・保管(感染性廃棄物の適正処理はマニュアル等に沿って設計)

初期投資を抑える方法:購入・リース・中古の違い

設備の入れ方でキャッシュアウトが変わります。リースは初期負担を平準化できますが、総支払額・中途解約・保守範囲の確認が必須です。

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方式メリット注意点
購入(新品)故障リスク低、メーカー保証が明確初期資金を圧迫しやすい
リース初期負担を抑えやすい、更新しやすい総額増、契約条件が硬い
中古・再生品大幅なコスト圧縮が可能保守体制、部品供給、保証範囲を要確認
レンタル短期・試験導入に向く長期では割高になりがち

税務・資金繰りの観点では、「開業初年度は手元資金の厚みが最重要」というケースが多く見られます。税理士法人 辻総合会計でも、開業後の資金繰り相談では“想定より立ち上がりが遅れた”局面に備える設計が論点になりやすいと整理しています。

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見積りから開業まで:資金計画の立て方(手順)

開業費用は「積み上げ」だけだと抜け漏れが出ます。手順化して、見積りの順番を固定するのが実務的です。

Step 1: 診療コンセプトと提供範囲を確定する

外注検査中心か、院内検査を厚くするかで機器と面積が変わります。ここが曖昧だと、内装と電気容量の見積りが揺れます。

Step 2: 物件条件と内装仕様を仮決めする

テナントの設備条件(給排水、電気容量、天井高、ダクト)を確認し、内装見積りは最低2社で比較します。

Step 3: 医療機器を「必須」「後回し」に分ける

必須機器だけで開業可能な構成にし、追加投資は月次の実績を見て判断できる設計にします。

Step 4: 運転資金を先に確保する

家賃・人件費・外注費・リース料を固定費として算定し、最低6か月、可能なら9〜12か月分を確保します。

Step 5: 申請・届出と導入工程を同時管理する

保険医療機関指定、オンライン資格確認、廃棄物処理委託など、診療開始日に直結する実務を工程表で管理します。

ここがポイント
感染性廃棄物は、保管・収集運搬・処分までの手順を踏む前提で院内運用を設計します。X線等を導入する場合も、通知等の考え方に沿った管理が必要になるため、設備選定段階で「設置後の運用要件」まで確認しておくと手戻りを減らせます。

よくある質問

Q: 内科の開業費用は結局いくら見ておくべきですか? ▼

A:

テナント開業で標準的な内装・検査機器を想定するなら6,000万〜9,000万円が一つの目安です。これに加えて、運転資金(最低6か月、可能なら9〜12か月)を別枠で確保するのが資金繰り上は安全です。
Q: 医療機器は新品で揃えるべきですか? ▼

A:

故障時の診療影響が大きい領域(心電計、主要検査、IT基盤など)は新品または保守が厚い構成が無難です。一方で、更新頻度が高いもの・試験導入したいものはリースやレンタル、中古も選択肢になります。契約条件(保守・解約・代替機)まで確認してください。
Q: X線を入れると初期投資はどれくらい増えますか? ▼

A:

機種構成にもよりますが、装置・画像システムに加えて内装(遮へい等)や運用体制の整備が発生し、初期費用が数百万円〜2,000万円程度上振れすることがあります。導入可否は診療方針と立地需要を踏まえて判断してください。

まとめ

  • 内科の初期費用は4,000万〜1億円程度のレンジになりやすい(物件・内装・機器で変動)
  • 内訳の中心は内装工事と医療機器で、電気容量や仕様変更が上振れ要因
  • 運転資金(最低6か月、可能なら9〜12か月)を別枠で確保する設計が重要
  • 購入・リース・中古は総額と運用条件で比較し、保守・解約条件まで確認する
  • 申請・届出、医療廃棄物、放射線等は「導入工程」と「運用要件」をセットで管理する

参照ソース

  • 地方厚生局「保険医療機関・保険薬局の指定等に関する申請・届出」: https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/shinsei/shido_kansa/hoken_shitei/index.html
  • 厚生労働省「病院又は診療所における診療用放射線の取扱いについて(通知等)」: https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001161275.pdf
  • 環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」: https://www.env.go.jp/content/000044789.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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