
執筆者:辻 勝
会長税理士
診療報酬改定2026再診料76点の収益試算|税理士が解説

結論:再診1回あたり+30円相当、年1万回で+30万円が目安
「再診料が75点→76点(+1点)」に加えて、「物価対応料(再診時等)2点(+2点)」が算定できる前提なら、再診1回あたりの増収は合計+3点です。点数の単価を10円として計算すると、増収は概ね+30円/回(=3点×10円)になります。
つまり、年間の再診回数が
- 1万回なら+30万円/年
- 3万回なら+90万円/年
- 5万回なら+150万円/年
が大まかなレンジです。
本記事では、患者数(再診回数)別に「年間でいくら変わるか」を、現場で使える形に落とし込みます。なお、制度の細部(算定条件・包括範囲・経過措置)は告示・通知で確定するため、最終確認は必須です。
前提整理:再診料76点・物価対応料2点とは(ロングテール:76点とは)
今回の試算は、次のよくある院内の前提で統一します。
- 再診料:75点→76点(+1点)
- 物価対応料:外来・在宅の「再診時等」2点(+2点)
- 合計:+3点/再診
- 1点=10円で換算(※地域加算等は別途)
収益シミュレーション:患者数(再診回数)別の年間増収(ロングテール:収益シミュレーション)
まずは計算式(テンプレ)
- 年間増収(円)= 年間再診回数 × 3点 × 10円
- 年間再診回数 = 1日再診数 × 年間診療日数
ここでは「年間診療日数=240日」で置きます(週5×約48週のイメージ)。自院の実績日数に差し替えるだけで精度が上がります。
早見表:年間再診回数別(最も使う表)
| 年間の再診回数 | 1回あたり増収 | 年間の増収(概算) |
|---|---|---|
| 5,000回 | 30円 | 150,000円 |
| 10,000回 | 30円 | 300,000円 |
| 20,000回 | 30円 | 600,000円 |
| 30,000回 | 30円 | 900,000円 |
| 50,000回 | 30円 | 1,500,000円 |
| 80,000回 | 30円 | 2,400,000円 |
ポイントは、増収は「再診回数」にほぼ比例することです。患者単価が上がるというより「再診のボリューム」が効きます。
早見表:1日再診数別(年間240日稼働)
| 1日あたり再診数 | 月あたり(20日)増収 | 年間(240日)増収 |
|---|---|---|
| 50人/日 | 30,000円 | 360,000円 |
| 100人/日 | 60,000円 | 720,000円 |
| 150人/日 | 90,000円 | 1,080,000円 |
| 200人/日 | 120,000円 | 1,440,000円 |
| 300人/日 | 180,000円 | 2,160,000円 |
「再診100人/日」規模で、年72万円程度。ここに他の点数改定・加算の影響が重なると、体感として効いてきたとなりやすい水準です。
診療所の実務での見方:増収=手取りではない(ロングテール:注意点)
増収がそのまま利益になるわけではありません。税理士としては、次の3点をセットで見ます。
- 物価上昇で増えたコスト(光熱費・リース・委託費等)をどこまで埋めるか
- 人件費(ベースアップ・採用難による賃金上昇)に充てる余力になるか
- そもそも算定漏れがない運用になっているか(取りっぱぐれ防止)
特に、「患者負担が増えるかどうか」と「医療機関の総収益が増えるかどうか」は別問題です。医療機関の収益は「保険者分+患者一部負担」の合計(総点数)で決まります。
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平日 9:15〜18:15(土日祝休業)
自院での当てはめ手順(ロングテール:方法/手順)
Step 1: 年間の再診回数を把握する
- レセコンから「再診料算定回数」を12か月分集計
- まだ出せない場合は「平均再診数/日 × 診療日数」で推計
Step 2: 増分の点数を設定する
- 想定:再診料+1点、物価対応料(再診時等)+2点
- 合計:+3点/回
Step 3: 年間増収を計算する
- 年間増収(円)= 再診回数 × 3 × 10
Step 4: 使途(賃上げ・物価・DX)を先に割り付ける
- 増収をなんとなく消すと効果が見えにくいです
- 例:ベア原資、委託費上昇分、IT運用費(予約・問診・請求周辺)などに予算化
よくある質問
Q: 「患者数」と「再診回数」は同じですか?
Q: 物価対応料2点は、すべての再診で算定できますか?
Q: 年間診療日数は何日で計算すべきですか?
Q: 増収分は税金でどれくらい減りますか?
まとめ
- 再診料+1点と物価対応料(再診時等)+2点を前提にすると、再診1回あたり+3点=概ね+30円/回が目安
- 年1万回の再診なら+30万円/年、年5万回なら+150万円/年のイメージ
- 実務は「再診回数(算定回数)」で把握すると精度が上がる
- 物価対応料は併算定の設計なので、包括・除外・算定条件の最終確認が重要
- 税務上は「増収=手取り」ではないため、賃上げ・物価・DXの使途設計まで一体で検討する
参照ソース
- 別紙1-1 医科診療報酬点数表(傍線部分は改正部分): https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655178.pdf
- 総-1 個別改定項目について(改定案の考え方・要件等): https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655176.pdf
- 厚生労働省「保険診療の仕組み(1点10円)」: https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/11-2/kousei-data/PDF/23010202.pdf
この記事を書いた人

辻 勝
会長税理士
税理士 / 行政書士
税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。
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