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相続・事業承継コラム
作成日:2026.02.08
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

相続税税制改正2026の要点|贈与税も税理士が解説

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相続税税制改正2026の要点|贈与税も税理士が解説

2026年度税制改正で相続税・贈与税は何が変わった?

2026年度(令和8年度)税制改正の相続・贈与分野の結論は、「制度の延長・期限管理が中心」です。特に影響が大きいのは、教育資金の一括贈与(非課税)が終了する点と、事業承継・医業承継の納税猶予制度の各種期限が延長された点です。資産家・事業オーナーの方にとっては「いつまでに何を出すか」が最大の論点になります。

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、直前になって制度期限を知り「間に合わない」相談が毎年一定数あります。2026年度改正は節税テクニックの話というより、スケジュール設計の話になりやすい改正です。

相続税の変更点 最新(2026年度)を全体像で整理

2026年度改正(資産課税)で、相続税・贈与税に直接関係する主な論点は次のとおりです。

  • 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置:適用期限(令和8年3月31日)を延長せず終了
  • 事業承継(個人の事業用資産):相続税・贈与税の納税猶予制度の計画提出期限を延長
  • 事業承継(非上場株式等):特例承継計画の提出期限を延長
  • 医業承継:医業継続に係る納税猶予制度の適用期限を延長し、認定要件の一部も実務に合わせて整理
ここがポイント
「税制改正=すぐ全員の税額が増減する」とは限りません。今回の資産課税は、期限到来の制度(教育資金)と、延長される制度(事業承継・医業)の入替が中心です。

贈与税 改正 2026:教育資金一括贈与(非課税)の終了が最大の注意点

教育資金の一括贈与(非課税)がどう変わる?

直系尊属(祖父母・父母など)から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税非課税措置について、適用期限が「令和8年3月31日」までとされ、延長されません。つまり、制度としては終了します。

ただし、改正大綱では「同日までに拠出された金銭等」については、引き続き本措置を適用できる旨も整理されています(契約・拠出のタイミングが重要です)。

実務での影響(よくある詰まりどころ)

  • 「口座を作っただけ」で安心し、拠出(入金)や契約の締結が期限後になってしまう
  • 祖父母側の資金移動と、金融機関側の手続き日程が合わず、期限をまたぐ
  • 受贈者(子・孫)の教育費の見込みが曖昧で、必要以上に拠出してしまう
ここがポイント
制度終了が近い局面では、金融機関の予約が取りづらい、確認書類に時間がかかる等の事務渋滞が起きがちです。実務は税法だけでなくオペレーションが支配します。

相続税・贈与税の事業承継:納税猶予の期限延長(2026年度改正)

事業承継税制(納税猶予)は「使える人には非常に強い」一方で、提出期限や要件充足がシビアです。今回の改正は、制度そのものの骨格というより計画書提出の期限延長が中心です。

個人の事業用資産:承継計画の提出期限を延長

個人事業者の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、個人事業承継計画の提出期限が「2年6月延長」されます。
後継者選定や事業の磨き上げに時間を要するケースでは、実務上ありがたい延長です。

非上場株式等(法人オーナー):特例承継計画の提出期限を延長

非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予(特例)について、特例承継計画の提出期限が「1年6月延長」されます。
オーナー社長の相続・贈与対策では、株価対策だけでなく「計画提出→実行→継続要件管理」の順番が肝になります。

医業承継(クリニック等):納税猶予の延長と要件の実務調整

医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等については、適用期限を「3年延長」する改正が示されています。加えて、認定医療法人の移行計画に関する認定要件の一部について、特定外国人患者の診療報酬の扱い等を踏まえた整理が記載されています。

医療法人・診療所の承継は、「法人(持分・出資・定款)」と「個人(院長家計・不動産・相続)」が絡みます。税制の延長があっても、手続きの段取りが崩れると選択肢が狭まるため、早めの棚卸しが有効です。

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比較表:2026年度改正のやることが見える早見表

←横にスクロールできます→
項目2026年度改正のポイント実務での対応
教育資金一括贈与(非課税)令和8年3月31日で終了(延長なし)契約・拠出・書類の期限管理を最優先
個人事業承継(納税猶予)承継計画の提出期限を2年6月延長後継者・資産範囲・要件の再点検
非上場株式(特例納税猶予)特例承継計画の提出期限を1年6月延長株価対策と並行して計画・実行・継続管理
医業承継(納税猶予等)適用期限を3年延長、要件の一部整理医療法人移行・承継スキームの工程表作成

手続きの進め方:相続・贈与の期限管理(実務ステップ)

Step 1: 対象制度の棚卸し(使っている/使う可能性がある制度)
教育資金、結婚・子育て資金、住宅取得資金、相続時精算課税、事業承継税制など、家族単位で整理します。

Step 2: 「期限」「提出物」「提出先」を1枚に落とす
税務署だけでなく、都道府県・自治体・金融機関が絡むものは別管理が必要です。期限は法律上の期限と事務上の締切が別と考えます。

Step 3: 実行順序を決める(先にやるほど効果が高いものから)
教育資金のように終了が確定しているものは最優先。次に、計画提出が必要な制度(事業承継・医業承継)を工程表化します。

Step 4: 税額影響の試算と、家族合意(贈与契約・資金移動の整合)
贈与は税金だけでなく家族の納得が継続性を左右します。想定外の資金需要(学費・介護・設備投資)も織り込みます。

よくある質問

Q: 「教育資金の一括贈与」は2026年4月以降は一切使えませんか? ▼
改正大綱では、適用期限(令和8年3月31日)を延長せず終了とされます。一方で、同日までに拠出された金銭等については引き続き適用できる旨も整理されています。実務は「契約・拠出日」を中心に確認が必要です。
Q: 事業承継税制の期限延長があれば、準備は後回しで大丈夫ですか? ▼
後回しは危険です。納税猶予は計画提出の期限だけでなく、その後の実行要件・継続要件の管理が本番です。延長は猶予時間が増えるだけで、必要作業が減るわけではありません。
Q: 相続税そのもの(税率や基礎控除)は2026年度改正で変わりましたか? ▼
資産課税の改正ポイントとしては、教育資金非課税の終了や、納税猶予制度の期限延長等が中心です。税率・基礎控除のような根幹部分の変更があるかは、個別改正項目として別途確認します。

まとめ

  • 2026年度(令和8年度)改正の相続・贈与は、「終了する制度」と「延長される制度」の期限管理が中心
  • 教育資金の一括贈与(非課税)は令和8年3月31日で終了(延長なし)
  • 個人事業承継・非上場株式の納税猶予は、計画提出期限が延長され準備時間が増える
  • 医業承継の納税猶予は適用期限が延長され、要件の一部も実務に合わせて整理
  • 個別事情(家族構成、資産内容、事業計画)で最適解が変わるため、工程表を作って早めに設計するのが安全

参照ソース

  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱(PDF)」: https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf
  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」: https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_gaiyou.htm
  • 国税庁「(贈与税の手引き等:制度説明PDFの例)」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/tebiki2023/pdf/030.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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