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相続・事業承継コラム
作成日:2025.06.08
更新日:2026.01.02
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

ゆうちょ銀行の相続手続き方法|必要書類・期間を解説

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ゆうちょ銀行の相続手続き方法|必要書類・期間を解説

ゆうちょ銀行の相続手続きとは、亡くなった方(被相続人)のゆうちょ口座を相続人名義へ承継し、払戻し(解約・振替)や名義変更を行う手続きです。最大の問題は、死亡の申出後は口座が事実上「凍結」し、公共料金や葬儀費用の支払いが滞ることがある点です。相続人の確定と書類収集に時間がかかりやすく、相続税申告など他の期限とも並走するため、段取り設計が重要になります。

税理士法人 辻総合会計では、医療法人・資産家の相続に関する相談を継続的に受けており、現場では「戸籍の集め直し」「相続人全員の押印が揃わない」「相続税申告期限が迫る」など、手続きの詰まりポイントが共通しています。本記事では、ゆうちょ銀行の相続手続きで迷いやすいポイントを実務目線で整理します。

ゆうちょ銀行の相続手続きとは

口座が止まる理由と、手続きを急ぐべき場面

金融機関は、相続関係が確定するまで「誰が正当な請求者か」を確認できません。そこで、死亡の事実を把握すると、被相続人名義口座は払戻し等が制限されるのが一般的です。

特に次のケースは早めに動くほど負担が減ります。

  • 家賃・施設費などの口座振替が被相続人口座に集中している
  • 葬儀費用や当面の生活費を預金から捻出する必要がある
  • 相続人が複数で、遺産分割協議に時間がかかりそう

誰が手続きできるか

一般に手続きの窓口になれるのは、相続人(代表者)や遺言執行者、委任を受けた代理人です。実務では「相続人の代表者が一括して書類を提出し、各相続人の意思確認書類も揃える」進め方が多くなります。

ゆうちょ銀行の相続手続きに必要書類

必要書類は「相続関係を証明する書類」と「請求者本人の確認書類」に大別されます。ゆうちょ銀行から指定される書式(相続手続請求書等)もあるため、まずは取引店(郵便局・ゆうちょ窓口)へ連絡し、案内を受けたうえで揃えるのが安全です。

共通で求められやすい書類(代表例)

  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍(除籍)等
  • 相続人全員が分かる戸籍一式、または法定相続情報一覧図
  • 相続人の本人確認書類(運転免許証等)
  • 相続人の印鑑・印鑑証明書(押印が求められる場合)
  • 対象口座の情報(通帳、キャッシュカード、記号番号の控え等)
ここがポイント
戸籍一式の提出は「出生から死亡まで」を求められることが多く、転籍が多いと集め直しが発生しがちです。法務局が交付する法定相続情報一覧図を用意しておくと、同じ戸籍束を何度も提出する手間を減らせます(ただし、手続先が一覧図の利用に対応しているかは事前確認が必要です)。

ケース別に追加されやすい書類

  • 遺言書がある:遺言書(公正証書遺言の謄本等)、遺言執行者の権限確認資料
  • 遺言がない・相続人が複数:遺産分割協議書(相続人全員の署名押印)
  • 相続人に未成年者がいる:親権者資料、場合により特別代理人選任の審判書等
  • 相続放棄がある:相続放棄申述受理通知書等(状況により)

「戸籍一式」と「法定相続情報一覧図」の違い(比較表)

相続手続きで書類収集が長期化する最大要因は、戸籍の不足・不一致です。ここを先回りして整理するのがポイントです。

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項目戸籍一式を提出法定相続情報一覧図を活用
準備負担転籍が多いと収集が重い一度作れば複数手続で使いやすい
金融機関側の確認原本確認で時間がかかることも一覧で相続人関係が見やすい
注意点不足があると「取り直し」相続放棄があっても一覧図に記載されることがある
向いている場面手続先が一覧図未対応複数の金融機関・年金等を同時に進める

ゆうちょ銀行の相続手続きの流れ

ここからは「何を、どの順で進めるか」をステップ形式で整理します。個別の様式名や提出方法は窓口案内に従ってください。

Step 1: 口座情報と相続人の全体像を把握する

  • 被相続人の通帳・郵便物から、記号番号・支店情報・残高の当たりを確認
  • 相続人の範囲を仮確定(配偶者・子、代襲相続の有無など)
  • 生活費・葬儀費用など、当面必要な資金を洗い出す

Step 2: ゆうちょ窓口へ連絡し、必要書類と提出先を確定する

  • 取引のある郵便局(ゆうちょ窓口)に連絡
  • 案内される「ゆうちょ所定の申請書類」を受け取る(郵送対応の有無も確認)
  • どの書類が「原本」「コピー可」かを確認(後工程の手戻り防止)

Step 3: 証明書類を一気に揃える(戸籍・印鑑証明など)

  • 戸籍の不足がないかを点検(出生から死亡まで、相続人側の戸籍が必要な場合も)
  • 印鑑証明書は「提出期限(作成後◯か月以内)」の指定があることが多いので、取得タイミングを後ろに寄せる

Step 4: 相続人間の合意形成(必要な場合)

  • 遺言がない・相続人が複数なら、遺産分割協議書を作成
  • 相続人全員の署名押印を揃える(海外在住・疎遠があると長期化しやすい)

Step 5: 書類提出 → 審査 → 払戻し・解約・名義変更

  • 提出後、金融機関側で相続関係と請求権限を審査
  • 問い合わせや補正依頼が入ったら即対応(時間短縮に直結)
  • 完了後、指定口座への振込、または所定方法で承継が行われます
ここがポイント
相続手続きの処理期間は、書類の整い方・相続人の人数・相続関係の複雑さで大きく変わります。目安としては「書類が一度で揃うほど早い」「補正が入るほど延びる」と捉え、余裕を持って着手してください。

期間の目安と、他の期限との関係

相続手続き自体に「法定期限」は少ないが、遅れるほど不利

金融機関の相続手続きに「何日以内に必ず完了させる」といった一律の期限は通常ありません。ただし、放置すると次の不利益が出やすくなります。

  • 公共料金・医療費などの決済が滞り、延滞や契約変更が必要になる
  • 相続人間で「誰が立替えたか」が不明確になり、後の精算が揉める
  • 相続税申告や不動産手続きと並行できず、全体工程が破綻する

相続税申告期限(10か月)を起点に逆算する

相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。預金の解約・移し替えが間に合わないと、納税資金の手当てや財産評価資料の収集がタイトになります。相続税が関係しそうな場合は「口座手続き→残高証明等→評価→申告」の順で逆算し、早期に資料を押さえるのが実務的です。

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注意点・よくあるトラブル

書類不備の典型パターン

  • 戸籍の「取り漏れ」(転籍・婚姻・養子縁組などで枝分かれ)
  • 署名押印の漏れ、押印が実印ではない
  • 印鑑証明書の期限切れ、住所表記の不一致

「一度で通す」ことが最短ルートです。提出前に、氏名・住所の表記揺れ(旧字体、ハイフン、マンション名)まで点検してください。

相続人の合意が整わない場合

遺言がなく相続人が複数の場合、金融機関は「誰にいくら渡すか」を判断できません。結果として、遺産分割協議がまとまるまで手続きが進まないことがあります。合意形成が難航しそうなら、早期に専門家(税理士・弁護士・司法書士)へ相談し、論点整理を先に行うのが現実的です。

当面の資金需要(葬儀費用・生活費)の扱い

被相続人の口座が止まると、葬儀費用や当面の生活費の支払いに支障が出ることがあります。金融当局は、災害等の特別な事情がある場合に限らず、事情を踏まえた柔軟な対応を促している情報もあります。まずは取引窓口へ状況を具体的に説明し、必要書類と対応可否を確認してください。

よくある質問

Q: どの郵便局でも相続手続きはできますか? ▼

A:

取引状況や手続内容によって対応窓口が指定されることがあります。まずは通帳等で取引店の情報を確認し、ゆうちょの窓口に「相続手続きの提出先・予約要否・郵送可否」を照会するのが確実です。
Q: 手続き完了までの期間はどのくらいですか? ▼

A:

目安として数週間程度で完了するケースもありますが、相続人が多い、戸籍の不足がある、遺産分割協議が未了などの場合は延びます。期間短縮の鍵は「提出書類の一括収集」と「記載不備のゼロ化」です。
Q: 法定相続情報一覧図があれば、戸籍は全部不要ですか? ▼

A:

一覧図で代替できる場面は多い一方、手続先の運用や案件の内容によって追加書類が求められます。また一覧図には、相続放棄等で実際には相続しない人が記載されることがあります。利用可否と追加書類の要否は、提出前に窓口へ確認してください。
Q: 相続税の申告期限に間に合うか不安です。どう進めるべきですか? ▼

A:

申告期限(10か月)から逆算し、「口座の残高資料の確保」と「分割方針の決定」を先行させます。預金手続きが長引く見込みなら、納税資金の調達方法(立替・借入・延納の検討等)も並行して設計し、早めに税理士へ相談してください。

まとめ

  • ゆうちょ銀行の相続は、口座が止まる前提で早期着手が重要
  • 必要書類は「相続関係」と「本人確認」が核で、ケース別の追加書類がある
  • 法定相続情報一覧図を使うと、戸籍提出の手間を減らせる可能性がある
  • 手続きの詰まりポイントは、戸籍不足・押印不備・遺産分割協議の未了
  • 相続税申告期限(10か月)を起点に、全体工程を逆算して進める

参照ソース

  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
  • 法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」: https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html
  • 金融庁「預金者の皆さまへ」: https://www.fsa.go.jp/ordinary/earthquake201103/deposit.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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