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相続・事業承継コラム
作成日:2025.05.13
更新日:2026.01.02
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

相続税の基礎控除とは|計算方法と申告要否を税理士が解説【2025年版】

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相続税の基礎控除とは|計算方法と申告要否を税理士が解説【2025年版】

相続税の基礎控除とは、相続税がかかるかどうかの判定ラインとなる金額です。結論から言うと、相続や遺贈で取得した財産の「正味の遺産額(課税価格の合計額)」が、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると、原則として相続税の申告が必要になります。
一方で、基礎控除を超えない場合は相続税が課税されず、通常は申告も不要です。ただし現場では「法定相続人の数え方」や「特例・控除の使い方」によって申告要否が逆転し、期限(10か月)直前に慌てるケースが少なくありません。

本記事では、税理士法人 辻総合会計の実務経験を踏まえ、基礎控除の計算方法と申告が必要なケースを、具体例とチェック手順で整理します。

相続税の基礎控除とは

基礎控除は、相続税の計算において「課税される遺産の総額(課税遺産総額)」を求める際に差し引く控除額です。基礎控除があることで、一定額までは相続税の課税対象から外れます。

基礎控除の計算式(3,000万円+600万円×法定相続人)

基礎控除額は次の式で計算します。

  • 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば「配偶者+子2人」の場合、法定相続人は3人なので、基礎控除は 3,000万円+600万円×3人=4,800万円 です。

「課税価格の合計額」とは何を足すのか

申告要否の判定で問題になりやすいのが、「何を合計するのか」です。一般的には次のイメージになります。

  • プラスするもの:預貯金、不動産、有価証券、生命保険金(みなし相続財産)、退職金(みなし相続財産)など
  • マイナスするもの:借入金、未払金、葬式費用など

さらに、状況によっては生前贈与の加算(いわゆる持ち戻し)なども絡みます。特に2024年以降の税制改正で、暦年贈与の加算期間が段階的に延長される論点があり、相続開始日によって扱いが変わる点は早めに確認したいところです。

ここがポイント
法定相続人の数は、相続放棄があっても「放棄がなかったもの」として数えます。また養子がいる場合は、法定相続人に含められる人数に上限があります(実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人までが原則)。

相続税の基礎控除の計算方法を具体例で解説

ここでは、よくある家族構成で基礎控除額と申告要否の見立てを確認します。

ケース1:配偶者+子2人(法定相続人3人)

  • 法定相続人:3人
  • 基礎控除:3,000万円+600万円×3=4,800万円

(例)正味の遺産額が4,500万円なら、基礎控除内に収まるため相続税はかからず、通常は申告も不要です。
一方、正味の遺産額が6,000万円なら、課税遺産総額は 6,000万円-4,800万円=1,200万円 となり、原則として申告対象になります。

ケース2:配偶者+子1人(法定相続人2人)

  • 法定相続人:2人
  • 基礎控除:3,000万円+600万円×2=4,200万円

家族構成が変わるだけで基礎控除が600万円変動します。「子が1人か2人か」「代襲相続があるか」などは、早い段階で確定させることが重要です。

ケース3:子がいない(配偶者+親など)

「配偶者+親(直系尊属)」のようなケースでは、法定相続人の数自体は少なくなりがちです。その結果、基礎控除が小さくなり、同じ資産規模でも申告が必要になることがあります。

申告が必要なケース・不要なケースの判断基準

結論を整理すると、判断軸はシンプルです。

  • 正味の遺産額(課税価格の合計額)が、基礎控除額を超えるかどうか

ただし実務では「申告が必要になる代表例」がいくつかあります。以下の表で整理します。

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判定典型パターン実務上のポイント
申告不要(原則)正味の遺産額 ≤ 基礎控除額通常は申告不要。ただし財産把握が不十分だと後日判明で申告漏れになり得る
申告必要(原則)正味の遺産額 > 基礎控除額相続税の申告期限は原則10か月。評価(不動産・非上場株式等)で時間がかかる
税額ゼロでも申告が必要になり得る配偶者控除・小規模宅地等の特例などを適用して最終税額がゼロ「納税がない=申告不要」ではない。特例適用は申告が前提になることが多い

「相続税がかからないと思っていたのに、実は基礎控除を超えていた」あるいは「税額はゼロになりそうだが、特例適用のために申告が必要だった」という相談は、当法人でも繰り返し見られる典型です。

ここがポイント
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内が原則です。期限後申告や過少申告は、加算税・延滞税の対象になり得ます。

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相続税の申告要否を判断する手順

申告が必要かどうかは、「早く・荒く」一次判定し、必要なら「正確に」詰めるのが鉄則です。次のステップで進めると、手戻りを減らせます。

Step 1: 法定相続人を確定する(数の確定が最優先)

戸籍収集により相続人を確定します。相続放棄の予定があっても、基礎控除の計算では人数に含める点に注意します。

Step 2: 財産と債務を棚卸しし、概算の正味額を出す

預貯金・不動産・有価証券・保険金・退職金などを洗い出します。借入金や葬式費用等も控除要素として整理します。
この段階では「評価の厳密さ」より「漏れなく集める」ことが重要です。

Step 3: 基礎控除を計算し、一次判定する

  • 課税価格の合計額(概算)- 基礎控除額 = 課税遺産総額(概算)

ここでプラスになれば、申告が必要になる可能性が高いと見ます。

Step 4: 申告が必要なら、評価と特例適用の可否を詰める

不動産評価、非上場株式、名義預金、過去贈与の加算など論点がある場合、期限内に詰め切るには時間がかかります。
国税庁の「申告要否判定コーナー」等も活用しつつ、早めに専門家へ相談すると安全です。

税理士法人の現場でよくある相談(匿名ケース)

たとえば「自宅+賃貸不動産+預貯金」のご家庭で、預貯金は少ないが不動産評価が想定より高く、基礎控除を超えて申告対象となったケースがあります。
当初は「現金が少ないから大丈夫」と思い込みやすいのですが、相続税は不動産を含めた総額で判定します。財産の種類によって“見え方”が変わる点が、申告要否の落とし穴です。

よくある質問

Q: 基礎控除以下なら、必ず申告不要ですか? ▼

A:

正味の遺産額が基礎控除以下であれば、通常は相続税がかからず申告も不要です。ただし財産の漏れや評価誤りで「実は基礎控除を超えていた」となると、申告漏れになります。一次判定でも、財産の棚卸しは丁寧に行いましょう。
Q: 相続税がゼロになりそうでも申告が必要なことはありますか? ▼

A:

あります。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、制度の適用に申告が前提となるものが多いためです。「納税がない=申告不要」とは限りません。
Q: 申告期限(10か月)に間に合わないとどうなりますか? ▼

A:

期限後申告や過少申告となった場合、本税に加えて加算税・延滞税が課される可能性があります。評価に時間がかかる財産がある場合は、早めに着手することが重要です。

まとめ

  • 相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
  • 正味の遺産額が基礎控除を超えると、原則として相続税の申告対象
  • 法定相続人の数え方(相続放棄・養子の上限)で基礎控除が変わる
  • 税額がゼロでも、特例・控除の適用で申告が必要な場合がある
  • 申告期限は原則10か月。財産評価に時間がかかるため早期着手が重要

参照ソース

  • 国税庁「No.4152 相続税の計算」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
  • 政府広報オンライン「相続税はいくらから?基礎控除とは?」: https://www.gov-online.go.jp/article/202407/entry-6250.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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