税理士法人 辻総合会計グループ
無料相談
相続コラムに戻る
相続・事業承継コラム
作成日:2025.04.22
更新日:2026.01.01
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

法定相続分とは?配偶者・子・親・兄弟の割合|税理士が解説

7分で読めます
法定相続分とは?配偶者・子・親・兄弟の割合|税理士が解説

法定相続分とは

法定相続分とは、遺言がない(または遺言で指定がない)場合に、相続人が相続財産を取得する「基準となる割合」です。実際の分け方は、相続人全員の合意(遺産分割協議)で調整できますが、合意形成の出発点として法定相続分が使われます。

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、相続税申告の前段で「まず法定相続分で整理してから、分割協議に入る」という進め方が最も多い印象です。割合が曖昧なまま話し合いを始めると、感情論になりやすく、結果として手続きが長期化しがちです。


配偶者がいる場合の法定相続分(子・親・兄弟との組み合わせ)

法定相続分は「配偶者がいるか」「他の相続人が誰か」で大きく変わります。まず、実務で最も多い3パターンを押さえましょう(条文上の考え方は民法第900条の枠組みで整理されます)。

配偶者+子(または代襲相続人)

  • 配偶者:1/2
  • 子(複数なら均等):1/2

例:配偶者1人+子2人なら、配偶者1/2、子は各1/4です。

配偶者+直系尊属(親など)

  • 配偶者:2/3
  • 直系尊属(複数なら均等):1/3

例:配偶者1人+父母2人なら、配偶者2/3、父1/6、母1/6です。

配偶者+兄弟姉妹

  • 配偶者:3/4
  • 兄弟姉妹(複数なら原則均等):1/4

加えて重要なのが、兄弟姉妹の中に「父母の双方が同じ兄弟姉妹(全血)」と「父母の一方のみが同じ兄弟姉妹(半血)」が混在する場合です。半血の相続分は全血の1/2として扱います(いわゆる2分の1ルール)。この点は、遺産分割の場面で見落としやすいので要注意です。


相続人の組み合わせ別:法定相続分一覧(早見表)

「どの組み合わせなら誰が何割か」を一枚で把握できるよう、代表パターンを表にまとめます。まずはこの表で自分のケースに近い形を見つけると、以降の計算がスムーズです。

←横にスクロールできます→
相続人の組み合わせ配偶者子直系尊属(親等)兄弟姉妹
配偶者+子1/21/2(子で均等)--
配偶者+直系尊属2/3-1/3(尊属で均等)-
配偶者+兄弟姉妹3/4--1/4(原則均等)
子のみ-全部(子で均等)--
直系尊属のみ--全部(尊属で均等)-
兄弟姉妹のみ---全部(原則均等)

法定相続分の計算方法(実務の手順)

計算自体はシンプルですが、「相続人の確定」と「人数按分」の順序を誤るとズレます。実務では次の順で確認すると安全です。

Step 1: 相続人の組み合わせを確定する(配偶者・子・親・兄弟)
戸籍で相続人を確定し、「配偶者がいるか」「子がいるか」「子がいないなら親か兄弟か」を整理します。

Step 2: 組み合わせに応じた法定相続分(大枠)を当てはめる
上の早見表に沿って、配偶者が1/2、2/3、3/4のどれかを確定させます。

Step 3: 同順位の相続人で均等按分する(例:子が複数)
子が3人なら子の取り分(合計)を3等分、尊属が2人なら尊属の取り分(合計)を2等分します。

Step 4: 兄弟姉妹が混在する場合は「半血は全血の1/2」で調整する
兄弟姉妹の中に半血がいる場合は、機械的に均等割りせず、比率(全血2:半血1)で配分します。

ここがポイント
法定相続分は「分割の基準」です。実際の遺産分割は、相続人全員の合意で法定相続分と異なる配分にすることも可能です(遺産分割協議の枠組み)。ただし、合意が整わない場合の“落としどころ”として法定相続分が強く意識されます。

相続・事業承継の専門家にご相談ください

相続税申告、事業承継対策など、資産に関するお悩みをトータルでサポートします。

無料相談を申込む 📞 06-6206-5510

平日 9:15〜18:15(土日祝休業)

関連記事

戸籍謄本の取り方(相続)|戸籍収集を税理士が解説

相続手続きに必要な戸籍謄本の取り方を解説。被相続人の「出生から死亡まで」の戸籍を漏れなく集める手順、広域交付・郵送請求のポイント、よくあるミスと対処法まで整理します。

続きを読む

遺産分割で揉めやすい注意点(遺言・遺留分・兄弟姉妹の位置づけ)

法定相続分と「遺産分割協議」は別物

共同相続人は、原則としていつでも協議により遺産分割できます(遺言で禁じられている場合などを除く)。つまり、法定相続分どおりに分ける義務が常にあるわけではありません。協議の結果、特定の相続人が不動産を取得し、他の相続人が預金を多めに取得する、といった設計も一般的です。

兄弟姉妹には遺留分がない

相続トラブルで重要なのが遺留分(最低限の取り分)です。兄弟姉妹は遺留分権利者ではありません。裁判所の手続案内でも、遺留分侵害額の請求の申立人が「兄弟姉妹以外の相続人」と整理されています。
そのため、遺言で兄弟姉妹への配分がゼロでも、原則として遺留分侵害額請求で取り戻すことはできません(配偶者・子・直系尊属とは扱いが異なります)。

ここがポイント
「配偶者+兄弟姉妹」のケースは、相続税申告以前に“感情的な対立”が起きやすい類型です。遺留分がない一方で法定相続分は存在するため、遺言の有無や内容が結果を大きく左右します。遺言の設計は早めに検討することをお勧めします。

よくある質問

Q: 法定相続分どおりに分けないと違法になりますか? ▼

A:

いいえ。相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる配分も可能です。合意がまとまらない場合の基準として法定相続分が用いられる、という位置づけです。
Q: 子が先に亡くなっている場合、孫はどうなりますか? ▼

A:

一般に、子が相続開始前に死亡しているなど一定の場合、孫が子に代わって相続人になります(代襲相続)。法定相続分の「子の取り分(合計)」を、代襲者を含めて按分するのが基本です。個別の戸籍関係で結論が変わるため、相続人確定は慎重に行ってください。
Q: 兄弟姉妹が相続人のとき、遺留分侵害額請求はできますか? ▼

A:

原則できません。兄弟姉妹は遺留分権利者ではないためです。遺留分の議論が出るのは、配偶者・子・直系尊属が相続人となる場合が中心です。

まとめ

  • 法定相続分は、相続財産を分ける際の「基準となる割合」
  • 配偶者がいる場合は、相手方(子・親・兄弟)により配偶者の割合が1/2・2/3・3/4と変わる
  • 子や親は複数なら均等、兄弟姉妹は半血が混在すると全血の1/2ルールで調整する
  • 実際の分割は遺産分割協議で調整可能だが、合意形成の起点は法定相続分
  • 兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言の影響が大きい

参照ソース

  • 法務省「民法の一部を改正する法律案新旧対照条文(第900条)」: https://www.moj.go.jp/content/000116011.pdf
  • 裁判所「参考条文(民法907条等)」: https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file4/H310121-11sankoujoubunn.pdf
  • 裁判所「遺留分侵害額の請求調停」: https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/lkazi_07_26/index.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

シェア:
相続コラムに戻る

お電話でのご相談

06-6206-5510

受付時間 9:15〜18:15(土日祝休業)

Webお問い合わせ

おすすめコラム

家族信託とは?認知症対策と相続対策を同時に実現|税理士が解説

家族信託とは?認知症対策と相続対策を同時に実現|税理士が解説

住宅取得資金贈与の非課税特例|条件と手続き|税理士解説

住宅取得資金贈与の非課税特例|条件と手続き|税理士解説

事業承継税制とは?納税猶予と特例承継計画|税理士が解説

事業承継税制とは?納税猶予と特例承継計画|税理士が解説

人気コラムランキング

1
ゆうちょ銀行の相続手続き方法|必要書類・期間を解説

ゆうちょ銀行の相続手続き方法|必要書類・期間を解説

2
遺産分割協議書の作り方|必要書類と注意点を解説

遺産分割協議書の作り方|必要書類と注意点を解説

3
相続税の基礎控除とは|計算方法と申告要否を税理士が解説【2025年版】

相続税の基礎控除とは|計算方法と申告要否を税理士が解説【2025年版】

4
遺留分とは?請求できる人と計算方法・期限の要点|税理士が解説

遺留分とは?請求できる人と計算方法・期限の要点|税理士が解説

5
共有名義不動産相続のトラブル回避ポイント|税理士が解説

共有名義不動産相続のトラブル回避ポイント|税理士が解説

© 2026 税理士法人 辻総合会計グループ. All rights reserved.

プライバシーポリシー

お電話はこちら

06-6206-5510

06-6206-5510

無料相談する

平日 9:15〜18:15