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相続・事業承継コラム
作成日:2025.01.08
更新日:2026.01.02
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

戸籍謄本の取り方(相続)|戸籍収集を税理士が解説

8分で読めます
戸籍謄本の取り方(相続)|戸籍収集を税理士が解説

相続で必要な戸籍謄本は、結論から言うと「被相続人(亡くなった方)の出生から死亡まで連続した戸籍」と「相続人の現在戸籍」をそろえることが基本です。何通・どこの役所に請求すべきかが見えにくく、金融機関や法務局の手続きが止まってしまう点が、多くのご遺族にとっての実務上のつまずきになります。

相続手続きで戸籍が必要になる理由と範囲

相続では、誰が相続人か(法定相続人の範囲)を客観資料で示す必要があります。そこで使われるのが戸籍で、家庭裁判所手続(相続放棄、遺言書検認等)でも戸籍提出が求められます。

特に重要なのが、被相続人について「出生から死亡までの連続した戸籍(戸籍・除籍・改製原戸籍など)」をそろえることです。転籍や改製(様式変更)があると戸籍が分かれ、どこか1通が欠けるだけで“連続性”が崩れます。

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、相続の初期対応で最も時間を使うのが戸籍収集です。30年以上にわたり多数の相続支援を行う中で、「最初に正しい戸籍リストを作る」ことが結果的に最短ルートになるケースを多く見てきました。

まず集めるべき戸籍のリスト(被相続人・相続人)

相続の戸籍は、原則として次の2系統に分けて考えると整理しやすくなります。

  • 被相続人:出生から死亡まで(連続した一式)
  • 相続人:原則「現在戸籍」(結婚・転籍で戸籍が動いている場合は、つながりが分かる範囲を追加)

手続きの目的によって“追加で必要になりやすい戸籍”があります。代表例を整理すると次のとおりです。

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目的(手続き)基本で必要な戸籍追加で必要になりやすい戸籍
銀行・証券の相続手続被相続人:出生から死亡まで/相続人:現在戸籍代襲相続がある場合の関係戸籍(子の死亡等)
相続登記(不動産)被相続人:出生から死亡まで/相続人:現在戸籍遺産分割協議の前提確認のため相続人側の補強戸籍
家庭裁判所手続(相続放棄等)被相続人:出生から死亡まで/申述人:現在戸籍兄弟姉妹相続などで関係が遠い場合の補強戸籍
ここがポイント
相続では「戸籍抄本(個人事項)」では足りず、求められるのは原則「戸籍謄本(全部事項)」です。請求時に種類を取り違えると、取り直しで日数が延びやすい点に注意してください。

戸籍謄本の取り方は3通り(窓口・広域交付・郵送)

戸籍の入手方法は大きく3つです。相続では「スピード」と「手戻り防止」を優先して組み合わせるのが実務的です。

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取り方向いている場面主な注意点
本籍地の窓口で請求1自治体で完結する/急ぎ開庁時間の制約、混雑
広域交付(最寄り窓口でまとめて)本籍が複数自治体に散っている対象者・対象証明に制限、郵送不可など運用ルールあり
郵送請求遠方で来庁が難しい自治体ごとに請求書式・同封物が異なる

広域交付は、一定の条件のもとで本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍証明書等を請求できる制度で、相続の戸籍収集を大幅に短縮できる可能性があります。一方で、窓口に出向く必要があり、代理人・郵送では使えないなど制約もあるため、事前に使いどころを見極めます。

出生から死亡までの戸籍を漏れなく集める手順

ここからが実務の核心です。「次にどこへ請求するか」を戸籍から読み取り、連続性が切れないように集めていきます。

Step 1: 最後の本籍地で“死亡記載のある戸籍”を取る

まずは被相続人の死亡が記載されている最新の戸籍(または除籍)を取得します。ここから直前の本籍地(転籍前)や、戸籍の改製・除籍の有無をたどる起点ができます。

Step 2: 戸籍の「本籍」「戸籍筆頭者」「改製・転籍」履歴を確認する

戸籍には、転籍や改製により「前の戸籍」に移っている旨が記載されます。次に請求すべき自治体・戸籍の種類(除籍・改製原戸籍等)をメモし、リスト化します。

Step 3: 1つ前の戸籍(転籍前・改製前)を請求し、同様に遡る

取得した戸籍を見て、さらに1つ前があるかを確認し、同じ作業を繰り返します。これを出生の記載がある戸籍まで続けます。

Step 4: 相続人側の現在戸籍をそろえ、代襲・養子・認知などの有無を確認する

相続人の現在戸籍で相続関係が確定できるか確認します。代襲相続(相続人となるはずの子が先に死亡している等)がある場合は、関係者の戸籍を追加で収集します。

Step 5: 提出先(法務局・金融機関・家庭裁判所)の要求水準で“過不足”を最終確認する

同じ「相続」でも、提出先によって実務運用が微妙に異なることがあります。提出前に、戸籍の連続性(出生→死亡)と相続人網羅性を最終チェックします。

ここがポイント
現場では「窓口で“相続で、出生から死亡まで一式が必要”と目的を明確に伝える」だけで、請求漏れが減ることがあります。ただし自治体の判断や保管状況により対応は異なります。

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郵送請求で失敗しないための実務ポイント

郵送請求は、遠方の本籍地から取り寄せる際に有効です。多くの自治体で、概ね次の同封物が求められます(詳細は各自治体の案内で確認してください)。

  • 郵送請求書(自治体所定様式がある場合が多い)
  • 手数料(定額小為替、または現金書留等の指定に従う)
  • 請求者の本人確認書類の写し
  • 返信用封筒(切手貼付、返送先住所を記載)

よくある相談として多いのが、返送先が住民票住所と異なる、手数料の形式が違う、本人確認書類が不足している、といった「形式不備」です。形式不備は“やり直し郵送”になり、相続全体のスケジュールに直結します。

ケースで見る「戸籍が集まらない」原因と対処

例えば、被相続人が生前に複数回転籍していると、最新戸籍だけでは出生まで遡れません。古い戸籍(改製原戸籍・除籍)を請求して初めて、前婚の子の存在や認知の記載が判明するケースもあります。

このとき重要なのは、戸籍を「書類」ではなく「履歴データ」として読み、次の請求先を特定することです。読みにくい古い様式が混ざる場合は、無理に自己判断せず、提出先の要件も踏まえて専門家に確認するほうが手戻りが減ります。

よくある質問

Q: 相続では、被相続人の戸籍はどこまで遡ればよいですか? ▼

A:

原則として、被相続人について「出生から死亡まで連続した戸籍(戸籍・除籍・改製原戸籍を含む)」が必要です。相続人の確定に必要なため、途中が欠けると受理されない、または追加提出を求められることがあります。
Q: 本籍地が分からない場合、どうやって調べますか? ▼

A:

本籍地は住所と一致しないことがあります。手元の書類(住民票の写し等)で本籍記載が確認できる場合があるため、まず“本籍の情報を特定する”のが第一歩です。分からない場合は、関係機関で取得可能な書類の範囲を確認してください。
Q: 広域交付を使えば、相続の戸籍はすべて1回で集まりますか? ▼

A:

まとめて請求できる可能性は高まりますが、対象外の戸籍がある場合や、証明書の種類に制約がある場合があります。また窓口来庁が必要で、郵送や代理人では利用できない運用があります。実務では、広域交付と郵送請求を併用することも多いです。
Q: 郵送請求でどのくらい日数がかかりますか? ▼

A:

郵送往復と自治体の処理時間がかかるため、余裕を見て計画するのが安全です。書類不備があると往復回数が増え、相続登記や金融機関手続の期限管理に影響します。

まとめ

  • 相続の戸籍は「被相続人の出生から死亡まで」と「相続人の現在戸籍」が基本
  • 転籍・改製で戸籍は分かれるため、連続性を意識して“次の請求先”をたどる
  • 取得方法は窓口・広域交付・郵送の3つで、状況に応じて組み合わせる
  • 郵送請求は自治体ごとに運用が異なるため、同封物と手数料形式の確認が重要
  • 途中で詰まる場合は、提出先要件も踏まえて専門家のレビューで手戻りを減らす

参照ソース

  • 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00082.html
  • 法務省「行政手続における戸籍電子証明書の利用について(PDF)」: https://www.moj.go.jp/content/001434764.pdf
  • 裁判所「相続関係手続における戸籍の入手方法Q&A(仙台家庭裁判所・PDF)」: https://www.courts.go.jp/sendai/vc-files/sendai/file/205002.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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