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相続・事業承継コラム
作成日:2026.02.08
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

相続税申告不要のケース一覧|基礎控除以下でも申告が必要な例

8分で読めます
相続税申告不要のケース一覧|基礎控除以下でも申告が必要な例

相続税の申告が不要かどうかは、原則として「遺産の課税価格の合計」が基礎控除以下かで決まります。ただし、基礎控除以下でも特例を使って税額をゼロにする場合などは、申告しないと適用できず不利益が出ることがあります。自分のケースで「申告が必要か」を短時間で判定できるよう、不要なケースと例外的に申告すべきケースを一覧で整理します。

相続税の申告不要とは何か(まず結論)

相続税の申告は、原則として「課税価格の合計額」が基礎控除を超える場合に必要です。裏返すと、基礎控除以下であれば通常は申告不要です。

一方で、相続税の申告書を提出することで初めて適用できる制度(代表例:小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減)があり、これらを使う前提だと「税額がゼロでも申告が必要」になり得ます。期限は相続開始を知った日の翌日から10か月です。申告期限(10か月)は、判断がついた時点で逆算して動くのが安全です。

相続税の申告が不要なケース一覧(相続税 申告しなくていい)

ここでは「原則どおり申告不要になりやすい」代表例を整理します。最終的には課税価格の合計と基礎控除の比較で確定しますが、実務上よくあるパターンを先に押さえると判断が早くなります。

申告不要になりやすい典型例

  • 遺産総額(課税価格の合計)が基礎控除以下
  • 主な財産が預貯金と少額の保険金で、土地・非上場株式などの評価が重くない
  • 相続人が少なく、基礎控除が相対的に大きい(例:相続人2人なら基礎控除は増える)
  • 相続人間で大きな遺産分割トラブルがなく、申告で特例適用を狙う必要がない
ここがポイント
「申告不要」と「手続き不要」は別です。相続税の申告が不要でも、相続登記、預金解約、名義変更、遺産分割協議書の作成などは別途必要になることが一般的です。

申告が不要かどうか、よくある誤解

  • 「相続税がかからない=必ず申告不要」ではありません
    特例で税額をゼロにする場合は、申告を要することがあります(後述)。
  • 「遺産が少ないと思う」だけで判断すると危険
    土地評価(路線価)、名義預金、死亡前後の資金移動、生命保険金の扱いなどで課税価格が想定より膨らむことがあります。

基礎控除以下でも申告すべき場合(相続税 基礎控除以下 申告)

ここが最重要ポイントです。税額がゼロでも、申告が必要な制度があります。使う予定なら、申告不要とは言えません。

1) 小規模宅地等の特例を使う場合

自宅や事業用の土地などがある相続では、小規模宅地等の特例により、一定面積まで評価額を大きく減額できる可能性があります。この特例は、要件確認と添付書類を伴うため、申告書の提出が前提になります。

  • 土地評価が大きい相続では、特例の有無で「申告要否」が逆転しやすい
  • 分割内容(誰が土地を取得するか)で適用可否が変わるため、遺産分割とセットで検討が必要

2) 配偶者の税額軽減を使う場合

配偶者の税額軽減は、配偶者が実際に取得した財産額に基づき、一定額まで相続税がかからない仕組みです。ただし、原則として相続税申告書の提出と添付書類が必要です。

特に注意したいのは「申告期限までに遺産分割が終わっていない」ケースです。分割未了だと軽減の対象にならないのが原則で、所定の手続き(見込書の添付など)で対応します。

3) 「申告して特例を確保する」目的がある場合(税額ゼロでも)

税額が結果的にゼロでも、次の事情があるなら、申告で将来の争いを減らす効果があります。

  • 土地や非上場株式など評価が難しい財産がある
  • 名義預金や生前贈与の論点がある(税務調査リスクの整理)
  • 二次相続(配偶者の相続)を見据え、配分を設計したい
ここがポイント
当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、相続税がゼロ見込みでも「特例適用の取りこぼし」「分割未了」「土地評価の見込み違い」から、期限直前に再整理が必要になる相談が少なくありません。早期に論点を洗い出すことが実務のコツです。

申告不要・申告必要を一発で整理する比較表

「相続税 かからない 申告」では判断が混乱しがちなので、実務目線で整理します。

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判定の観点申告不要になりやすい申告が必要になりやすい
課税価格と基礎控除基礎控除以下で確定、評価が単純評価が難しく、基礎控除超えの可能性がある
特例の利用特例を使わない(使う余地が小さい)小規模宅地等の特例を使いたい
配偶者がいる相続配偶者取得が小さく、特段の調整なし配偶者の税額軽減を使いたい/分割未了
財産の中身預貯金中心、保険金も少額土地・非上場株式・賃貸不動産などが多い
分割状況分割がスムーズに確定分割協議が長期化・揉めている

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申告要否の判断手順(ステップ形式)

「自分は申告不要だと思うけど不安」という方は、次の順番で確認すると迷いが減ります。

Step 1: 相続財産を棚卸しする(漏れ防止)

預貯金、不動産、株式、保険金、退職金、貸付金、名義預金の疑いがある口座などを一覧化します。相続開始前後の資金移動も確認します。

Step 2: 評価が難しい財産を先に概算する

土地(路線価等による評価)、賃貸不動産、非上場株式は、概算でよいので早めに当たりをつけます。ここで基礎控除超えが見えたら、申告前提で動きます。

Step 3: 基礎控除と比較して「原則の申告要否」を判定

課税価格の合計が基礎控除以下なら原則は申告不要、超えるなら申告必要です。

Step 4: 基礎控除以下でも申告が必要になる制度をチェック

  • 小規模宅地等の特例を使うか
  • 配偶者の税額軽減を使うか
  • 分割未了があるか(期限までに分割できない可能性)

Step 5: 10か月期限から逆算して実行計画を組む

申告が必要なら、評価・分割・添付書類準備を10か月以内で完了させます。期限後はペナルティが生じ得るため、早めに段取りを固めます。

現場で多い相談例(匿名ケース)

税理士法人 辻総合会計でよくある相談を、個人情報を伏せて紹介します。

  • ケース:自宅土地+預貯金中心で「基礎控除以下のはず」と考えていた
    実際には、土地評価が想定より高く、基礎控除をわずかに超える見込みに。さらに、同居親族の状況により小規模宅地等の特例の適用可否が分かれ、分割案の作り直しが必要になりました。
    ポイントは、土地評価の見込み違いが申告要否をひっくり返すこと、そして特例適用のためには申告が前提になることです。

よくある質問

Q: 相続税が0円なら申告しなくていいですか? ▼
常にそうとは限りません。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など、申告書の提出が前提となる制度を使って税額が0円になる場合は、申告しないと適用できない可能性があります。
Q: 基礎控除以下か微妙です。どう動くべきですか? ▼
評価が難しい財産(特に土地・賃貸不動産・非上場株式)を先に概算し、基礎控除超えの可能性があるなら申告前提で進めるのが安全です。申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月なので、逆算して早めに評価と分割の方針を固めてください。
Q: 遺産分割が10か月に間に合わない場合はどうなりますか? ▼
原則として期限内申告が必要です。配偶者の税額軽減は分割未了だと対象外が原則ですが、一定の手続きにより後日分割した場合に適用できる扱いがあります。分割が長引く見込みなら、期限対応を含めて専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

  • 相続税の申告要否は、原則として「課税価格の合計」と基礎控除の比較で決まる
  • ただし基礎控除以下でも、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使うなら申告が必要になり得る
  • 土地評価の見込み違いで「申告不要だと思っていたのに必要」へ逆転しやすい
  • 期限は相続開始を知った日の翌日から10か月。分割・評価・添付書類を逆算して準備する
  • 迷う場合は、評価が難しい財産の概算と特例の適用可否を先に確認する

参照ソース

  • 国税庁「相続税(手続・用紙案内)」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/sozoku/sozoku.htm
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
  • 国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
  • 国税庁「No.4124 小規模宅地等の特例」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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