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相続・事業承継コラム
作成日:2026.01.24
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

相続税 自分で申告できる?依頼すべき5ケース|税理士が解説

8分で読めます
相続税 自分で申告できる?依頼すべき5ケース|税理士が解説

相続税申告は自分でできる?結論と判断軸

相続税申告は、財産構成がシンプルで評価も明確なら自分で行うことは可能です。一方で、期限は「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」と短く、評価や特例のミスがあると追加の税負担や手続負担が増えがちです。特に、土地評価や特例適用、遺産分割の状況によっては、「自力でやり切れるか」より「修正リスクが高いか」で判断するのが実務的です。

本記事では、まず「相続税 簡単なケース」の目安を示し、そのうえで「税理士に依頼すべき5つのケース」を具体化します。

相続税が「簡単なケース」の目安(自力申告に向く条件)

自分で申告しやすいのは、次の条件が概ねそろう場合です。

  • 相続人が少なく、遺産分割が早期に確定している
  • 財産が預貯金・上場株式・小規模な不動産(評価が単純)中心
  • 特例(小規模宅地等・配偶者の税額軽減など)を使わなくても税額が大きく変わらない、または要件が明快
  • 名義預金や生前贈与の加算など、論点が少ない
  • 申告書作成に必要な資料を期限内にそろえられる
ここがポイント
相続税は「基礎控除以下なら申告不要」が原則ですが、特例を使って税額がゼロに近づくケースでは、申告して初めて適用される実務が多い点に注意が必要です。特例を使う前提なら、申告要否の判断から慎重に行いましょう。

相続税申告を自分で行う手順(相続税 自分で申告 方法/手順)

期限管理が最重要です。大枠は次の流れになります。

Step 1: 期限と提出先を確定する

相続税の申告期限は原則10か月、提出先は原則として被相続人の住所地を所轄する税務署です。まずここを固定します。

Step 2: 財産と債務を棚卸しする

預貯金、株式、不動産、保険金、退職金、貸付金、未収金などを洗い出し、債務・葬式費用も集計します。漏れがあると、後から修正申告になりやすい領域です。

Step 3: 財産評価を行う

預貯金は残高証明等で比較的明快ですが、不動産は路線価・倍率方式、地形補正、利用区分など論点が増えます。非上場株式はさらに複雑化します。

Step 4: 特例・控除の適用可否を検討する

小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減などは税額に与える影響が大きく、要件判定と添付資料の整備がカギです。「要件を満たす」だけでなく「期限内に分割が成立するか」も実務上の分岐点になります。

Step 5: 申告書作成・添付・提出、納税(延納/物納の検討)

国税庁の「申告のしかた・手引き」や様式一覧を参照し、申告書と添付資料を整えて提出します。納税までが期限内です。資金手当てが難しい場合は延納・物納の検討も必要になります。

税理士に依頼すべき5つのケース(相続税 税理士 依頼)

「やろうと思えばできる」よりも、誤りが起きたときの影響が大きいケースは、依頼による期待値が高くなります。以下の5ケースは、実務上の相談が特に多い類型です。

ケース1:土地・不動産が多い、または小規模宅地等の特例を使う

不動産評価は、路線価だけでは完結せず、利用状況や形状、貸付の有無で評価が変わります。さらに小規模宅地等の特例は、適用可否の判定と資料整備が難所です。評価や特例判定の誤りは、税額差が大きくなりやすい典型です。

ケース2:非上場株式・事業用資産がある(会社オーナー、医療法人等)

非上場株式の評価は、会社規模区分、類似業種比準・純資産価額、含み損益の整理など論点が多岐にわたります。事業用資産の評価や、役員退職金・貸付金等の整理まで含めると、申告書作成というより「財務・税務の総合調整」になります。

ケース3:相続人が多い/遺産分割が難航/期限までに分割が固まらない

相続税は「10か月」という時間制約の中で、分割協議と申告を並行する必要があります。分割が未確定だと、特例(例:配偶者の税額軽減)は期限時点での適用が制限される論点があり、後日の更正の請求など手続が増えます。税額だけでなく「手戻りコスト」が大きくなるため、早期に専門家を入れるメリットがあります。

ケース4:生前贈与・名義預金・相続時精算課税が絡む

生前贈与の加算や相続時精算課税の整理は、金融履歴や管理状況の確認が必要になりやすく、家族間の認識差が出やすい領域です。加算対象期間の取扱いは制度改正の影響も受けるため、年度・相続開始日によって判断が変わる点も注意が必要です。

ケース5:海外資産・国外居住者がいる、または準確定申告など周辺手続も多い

国外資産、国外口座、国外居住の相続人がいる場合は、資料収集だけでも時間がかかります。加えて、相続税以外に準確定申告や各種名義変更が重なると、スケジュール管理が破綻しやすいのが実務です。期限遅れは加算税・延滞税のリスクがあるため、体制を組む価値があります。

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税理士に依頼する費用の目安と、見積りで確認すべき点(相続税 税理士 依頼 費用)

相続税申告の報酬は、財産規模・不動産評価の難易度・非上場株式の有無・相続人の人数・資料の整い具合で大きく変わります。一般的な相場感としては、次のようなレンジで語られることが多いです(個別事情で上下します)。

  • シンプルなケース:30万〜80万円程度
  • 不動産が複数/特例適用あり:80万〜200万円程度
  • 非上場株式評価を含む:200万円超となることもある

見積りでは、次を必ず確認しましょう。

  • 土地評価(現地確認・評価明細作成)の範囲
  • 非上場株式評価の有無と評価手法
  • 特例適用の可否判断と添付資料作成
  • 申告後の税務調査対応の範囲(別料金か)
  • 遺産分割が未確定の場合の追加報酬の考え方

自力申告と税理士依頼の比較(失敗しない選び方)

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項目自分で申告税理士に依頼
コスト報酬は不要(実費のみ)報酬が発生
精度評価・特例でブレやすい専門判断でブレを抑えやすい
時間調査・資料収集で長期化分担でき、期限管理がしやすい
リスク修正申告・追徴の可能性事前に論点整理しやすい
向くケース財産が単純で論点が少ない不動産・特例・非上場株式・未分割など
ここがポイント
「税理士に依頼=丸投げ」ではなく、資料を早くそろえるほど報酬が抑えやすく、期限遅れも防ぎやすくなります。自力で進める場合も、少なくとも論点がある部分だけスポット相談する選択肢は有効です。

よくある質問

Q: 相続税申告はe-Taxで自分でも提出できますか? ▼
相続税申告書はe-Taxで提出(送信)する方法のほか、郵送等でも提出できます。ご自身で提出する場合は、様式・添付書類の要否を手引きで確認し、期限内に申告と納税まで完了させることが重要です。
Q: 配偶者の税額軽減を使えば税金がゼロになりそうですが、申告は不要ですか? ▼
配偶者の税額軽減は、配偶者が実際に取得した遺産額を基に計算され、申告期限までに分割されていない財産は対象にならないなど要件があります。適用を前提にする場合は、申告要否を自己判断せず、分割状況も含めて確認することを推奨します。
Q: 相続税が「簡単なケース」かどうか、最短で見分ける方法は? ▼
まず財産の内訳を「預貯金・上場株式・不動産・その他」に分け、不動産の数と評価の難易度(貸付・事業用・形状)を確認します。次に、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など、特例を使わないと税額が大きく変わるかを確認し、該当するなら専門家の関与を検討するのが効率的です。

まとめ

  • 相続税申告は条件がそろえば自分でも可能だが、期限は原則10か月と短い
  • 自力申告に向くのは、財産が単純で評価・特例の論点が少ないケース
  • 税理士に依頼すべき5ケースは「不動産・非上場株式・未分割・生前贈与整理・国際要素」
  • 費用は難易度で大きく変動するため、見積りでは作業範囲と追加条件を確認する
  • 判断に迷う場合は、論点のある部分だけでもスポット相談すると手戻りを減らせる

参照ソース

  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
  • 国税庁「相続税の申告書等の様式一覧(令和7年分用)」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/r07.htm
  • 国税庁「No.4124 小規模宅地等の特例」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
  • 国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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