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相続・事業承継コラム
作成日:2026.01.24
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

相続税はいくらからかかる?基礎控除と計算方法|税理士が解説

8分で読めます
相続税はいくらからかかる?基礎控除と計算方法|税理士が解説

相続税はいくらからかかる?結論は「基礎控除を超えたら」

相続税がかかるかどうかは、原則として「正味の遺産額(課税価格の合計)が基礎控除を超えるか」で判断します。基礎控除は 3,000万円+600万円×法定相続人の数 です。正味の遺産額がこの金額以下なら、原則として相続税はかかりません。
一方で、相続税がゼロでも申告が必要になるケース(配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使う等)があるため、「税額が出ない=何もしなくてよい」とは限らない点が実務上の落とし穴です。

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、「相続税がかかるか分からないので、まずラインだけ知りたい」というご相談が最も多くあります。本記事では、判断に必要な数字と計算の流れを、実際の進め方に沿って解説します。

相続税がかからない金額の目安(基礎控除の早見表)

相続税の入口は、課税価格の合計から基礎控除を引いて、課税遺産総額がプラスになるかどうかです。まずは「法定相続人の数」ごとの基礎控除を押さえましょう。

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法定相続人の数基礎控除の計算基礎控除額(目安)
1人3,000万円+600万円×13,600万円
2人3,000万円+600万円×24,200万円
3人3,000万円+600万円×34,800万円
4人3,000万円+600万円×45,400万円

ここでいう「正味の遺産額」は、単純な預金残高だけでなく、不動産評価、保険金の非課税枠、債務控除、葬式費用、相続開始前の一定期間の贈与加算などを織り込んだ後の金額です。特に不動産がある場合は、固定資産税評価額や路線価等を用いるため、見た目の時価とズレることがあります。

ここがポイント
相続税が「かからない」見込みでも、特例を適用して税額をゼロにする場合は申告が必要なことがあります。典型例が、配偶者の税額軽減(配偶者控除)や小規模宅地等の特例です。「申告しないと適用できない」制度がある点に注意してください。

相続税の基礎控除とは?法定相続人の数え方がポイント

基礎控除の式(2026年時点の基本)

基礎控除は次の算式です。

  • 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税の要否判定はこの基礎控除が出発点で、計算実務でも最初に置くべき数字です。

法定相続人の数え方(相続放棄・養子でズレやすい)

法定相続人の数は、実務上つまずきやすい論点です。たとえば相続放棄があっても、原則として「放棄がなかったもの」として数えます。また、養子がいる場合には、法定相続人に含められる養子の人数に上限があります(実子の有無で上限が異なります)。
このカウントが1人違うだけで、基礎控除が600万円動き、相続税がかかる・かからないの結論が変わることもあります。

よくある相談(匿名ケース)

たとえば「配偶者と子2人」のご家庭で、預金2,500万円・自宅土地建物評価3,000万円・その他1,000万円、借入金が500万円あるケースを考えます。
遺産の見た目合計は6,500万円でも、債務控除で6,000万円相当となり、法定相続人3人の基礎控除4,800万円を引いた残りは1,200万円。ここから税額計算に進みます。逆に、土地評価や保険金の非課税枠などで数百万円単位の差が出て、課税ラインを下回ることも珍しくありません。

相続税の計算方法(相続税 基礎控除 計算の全体像)

相続税は「各人が実際に取得した財産に税率を掛ける」だけではなく、いったん相続税の総額を計算してから按分する、という独特の手順です。全体像をステップで押さえると理解が早くなります。

Step 1: 財産と債務を洗い出す(課税価格の合計のベース)
預金、有価証券、不動産、事業用資産、死亡保険金(一定の非課税枠あり)、死亡退職金などを把握します。同時に、借入金、未払金、葬式費用など控除できる項目も整理します。

Step 2: 正味の遺産額(課税価格の合計)を出す
遺産総額から債務・葬式費用・非課税財産等を調整し、必要に応じて相続開始前の一定期間の贈与加算等も加味します。

Step 3: 基礎控除を差し引き、課税遺産総額を計算する
「課税価格の合計-基礎控除=課税遺産総額」です。ここがマイナスなら、原則として相続税はかかりません(ただし申告要否は別途判断)。

Step 4: 相続税の総額を計算する(法定相続分で仮計算)
課税遺産総額を法定相続分で按分し、税率を当てはめて各法定相続人ごとの税額を出し、合計します(これが「相続税の総額」)。

Step 5: 相続税の総額を実際の取得割合で按分し、控除を適用する
各人の実際の取得割合で税額を割り振った後、各種税額控除を適用します。配偶者は配偶者の税額軽減により、一定範囲まで相続税がかからない仕組みがあります。

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税率と「配偶者の税額軽減」だけは先に押さえる

相続税の税率(速算表の考え方)

相続税は累進課税で、課税される金額が大きいほど税率が上がります。実際の計算は速算表を使い、「税率×金額-控除額」で算出します(Step 4の法定相続分での仮計算に適用します)。

配偶者は1億6,000万円(または法定相続分)まで原則非課税

配偶者が遺産分割等で実際に取得した正味の遺産額が、1億6,000万円 または 配偶者の法定相続分相当額 のいずれか多い金額までであれば、配偶者に相続税はかからない制度が用意されています。
ただし、この適用には原則として申告が必要で、申告期限までに分割が未了の場合の取扱いにも注意が必要です。

申告が必要かの最終チェックと、実務での注意点

相続税は「課税ラインを超えたら申告」と覚えがちですが、実務ではもう一段の確認が必要です。

  • 基礎控除以下でも、特例適用のために申告が必要な場合がある(配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例など)
  • 財産評価(特に不動産・非上場株式)で結論が変わりやすい
  • 申告期限は、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内

「相続税がかかるかどうか」だけでなく、「申告が必要か」「分割や名義変更の段取りは間に合うか」まで含めて、早めに全体設計を行うことが実務上の損失回避になります。

よくある質問

Q: 相続税が0円なら、申告は不要ですか? ▼
いつも不要とは限りません。たとえば配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額がゼロになる場合、原則として申告が必要です。税額の有無と申告要否は切り分けて判断してください。
Q: 法定相続人の数は、相続放棄があると減りますか? ▼
原則として減りません。基礎控除などで用いる法定相続人の数は、放棄がなかったものとして数えます。結果として、実際に財産を受け取る人数と一致しないことがあります。
Q: 配偶者の税額軽減は自動で適用されますか? ▼
自動ではありません。配偶者の取得財産が分かる資料を添付した申告が必要です。また、申告期限までに分割が未了だと軽減の対象にならない取扱いがあるため、遺産分割の進め方が重要です。
Q: 相続税がかかるかの判断は、預金残高だけで見てもよいですか? ▼
不十分です。不動産や保険金、債務控除、葬式費用、贈与加算などで「正味の遺産額」が大きく変動します。まずは財産目録を作り、評価の前提をそろえてから基礎控除と比較するのが安全です。

まとめ

  • 相続税は「課税価格の合計」が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)を超えると原則課税される
  • 法定相続人の数え方(放棄・養子)で基礎控除が変わり、結論が逆転することがある
  • 計算は「課税遺産総額→相続税総額→按分→控除」の順で進む
  • 配偶者の税額軽減により、配偶者は一定範囲まで相続税がかからないが、原則申告が必要
  • 税額がゼロでも申告が必要なケースがあるため、「かからない金額」だけで判断しない

参照ソース

  • 国税庁「No.4152 相続税の計算」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
  • 国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
  • 国税庁「財産を相続したとき(暮らしの税情報)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_5.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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