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相続・事業承継コラム
作成日:2026.01.24
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

準確定申告とは?4か月期限と手続き|税理士が解説

9分で読めます
準確定申告とは?4か月期限と手続き|税理士が解説

準確定申告とは?故人の確定申告を相続人が行う手続き

準確定申告とは、年の途中で亡くなった方(被相続人)の「1月1日から死亡日まで」に確定した所得について、相続人が申告・納税(または還付請求)を行う制度です。結論から言うと、相続開始をに手続きを完了させる必要があります。

誰にとって何が問題かというと、相続手続き(葬儀・役所・金融機関)と並行して税務の締切が走る点です。特に、事業所得や不動産所得がある方、医療費控除等の適用を検討する方は、資料収集に時間がかかり「気づいたら4か月が迫る」ケースが少なくありません。

準確定申告が必要になるケース・不要なケース

準確定申告が必要になりやすい典型例

以下に該当する場合、原則として準確定申告の要否チェックが必要です。

  • 給与所得者で、年末調整で完結していない(副業、2か所給与、医療費控除等)
  • 公的年金等の収入があり、確定申告が必要な水準に達する
  • 不動産賃貸、個人事業、株式・投信の譲渡、暗号資産など申告分離・雑所得がある
  • 源泉徴収された税金の還付余地がある(医療費控除、寄附金控除など)

実務では「確定申告が不要だと思っていたが、死亡後に届いた支払調書で申告対象の所得が判明した」という相談がよくあります。故人の郵便物(支払調書・年間取引報告書)は必ず確認しましょう。

準確定申告が不要になりやすい典型例

一方、次の条件が揃えば不要となる可能性が高いです(ただし最終判断は所得状況によります)。

  • 給与収入のみで、年末調整済み
  • 医療費控除・寄附金控除等の追加適用がなく、他の所得もない
  • 公的年金等が少額で、申告不要制度の範囲内
ここがポイント
「不要」と判断する前に、故人の通帳・証券口座・不動産賃貸の入金などを確認し、申告対象となる所得がないか棚卸しすることが実務上の安全策です。

準確定申告のやり方(手続きの流れ)と提出方法

準確定申告の実務は、「期限管理」と「相続人の合意形成(代表者・署名)」が成否を分けます。以下の流れで進めると事故が減ります。

Step 1: 申告期限(4か月)を確定し、担当者を決める

  • 期限は、原則として「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」
  • 相続人が複数なら、資料収集・作成の主担当(代表者)を早めに決める

Step 2: 故人の所得を洗い出す(1月1日〜死亡日まで)

  • 給与:源泉徴収票
  • 年金:公的年金等の源泉徴収票
  • 事業・不動産:帳簿、収支、請求書、領収書、通帳入金
  • 金融所得:年間取引報告書、配当支払通知書等

Step 3: 控除・税額計算に必要な証憑を集める

  • 生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除などの証明書
  • 医療費控除の明細(後述の注意点あり)
  • 寄附金控除(ふるさと納税等)の受領証明

Step 4: 申告書を作成し、準確定申告書の付表を添付する

準確定申告では、通常の確定申告書に加えて、相続人の氏名・住所・続柄等を記載する「付表」を添付します。相続人が複数の場合は、原則として相続人全員が連署して提出します(一定の場合、他の相続人の氏名を付記して各自提出も可能とされています)。

Step 5: 提出・納税(または還付手続き)を行う

  • 提出先は、原則として「故人の死亡時の納税地」を所轄する税務署
  • e-Tax(確定申告書等作成コーナー等)を利用できるケースもあるため、電子提出の可否・添付書類の提出方法は事前確認が安全です
ここがポイント
還付金を相続人の代表者が受領する場合、付表とは別に委任状の提出が必要になることがあります。代表受領を想定する場合は、早い段階で委任関係を整えておくと手戻りが減ります。

準確定申告の必要書類(チェックリスト)と集め方

「準確定申告 必要書類」はご相談が最も多い論点です。提出時に慌てないよう、まずは以下を一括で揃える発想が有効です。

1. 申告の基礎書類

  • 故人の確定申告書(第一表・第二表、必要に応じて各種明細書)
  • 死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(相続人情報)
  • 本人確認書類(提出方法に応じて)

2. 所得を証明する書類

  • 給与:源泉徴収票(勤務先)
  • 年金:公的年金等の源泉徴収票(年金機構等)
  • 不動産:賃貸借契約書、入金明細、修繕費等の領収書
  • 事業:売上・経費の根拠資料、帳簿、請求書、領収書
  • 株式等:年間取引報告書、配当関係書類

3. 所得控除の書類(落とし穴が多い領域)

  • 社会保険料控除:国民年金・国保等の納付証明、給与天引き分の明細
  • 生命保険料控除・地震保険料控除:控除証明書
  • 寄附金控除:受領証明書(ワンストップ特例をしていても準確定申告の対象関係に注意)
  • 医療費控除:医療費控除の明細書、領収書等

特に医療費控除は誤解が多い項目です。原則として、準確定申告で対象になるのは「死亡日までに故人が支払った医療費」であり、死亡後に相続人が支払った分は故人の準確定申告に含められません(取扱いの理解が必要です)。

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通常の確定申告との違い(比較表で整理)

準確定申告は「誰が」「いつまでに」「どう署名するか」が通常と大きく異なります。実務で混乱しやすい点を表にまとめます。

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項目通常の確定申告準確定申告
申告主体本人相続人(包括受遺者を含む)
対象期間1月1日〜12月31日1月1日〜死亡日まで
期限原則2/16〜3/15相続開始を知った翌日から4か月以内
提出書類申告書・明細書等申告書等+「付表」(相続人情報)
署名本人署名相続人が連署(一定の場合は各自提出も)
還付金受領本人相続人(代表受領は委任関係が問題になりやすい)

4か月以内に間に合わないとどうなる?期限遅れの実務リスク

準確定申告が遅れると、状況に応じて無申告加算税・延滞税などの負担が生じ得ます。加えて、相続税申告(通常10か月)と資料整合が取れず、後日「所得の修正→相続財産の再確認」と二度手間になることもあります。

実務上の対処としては、次の優先順位が現実的です。

  • 期限が迫る場合:まず「申告の骨格(所得の全体像)」を固め、最低限の提出に間に合わせる
  • 資料不足が見込まれる場合:早期に税務署や専門家へ相談し、提出方法・不足資料の扱いを整理する
  • 相続人間で調整が難航する場合:代表者・連絡手段・押印(署名)段取りを先に決める

4か月以内という期限は短く、相続人の心理的負担も大きくなりがちです。期限管理だけは「相続手続きのToDo」と同列ではなく、別枠で管理することをお勧めします。

よくある質問

Q: 相続人が複数いる場合、誰が準確定申告を出すのですか? ▼
原則は相続人全員が連署して提出します。ただし一定の場合、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出する方法も想定されています。実務では、作成担当(代表者)を決め、署名・資料の回収を前倒しするのが重要です。
Q: 還付になりそうです。還付金は代表者が受け取れますか? ▼
代表者が受領する設計は可能ですが、付表とは別に委任関係を示す書類が必要になるケースがあります。相続人間で「誰が受け取り、どう分配するか」も含めて、書面で整理しておくとトラブル予防になります。
Q: 医療費控除は、死亡後に相続人が支払った分も使えますか? ▼
原則として、準確定申告で医療費控除の対象になるのは「死亡日までに故人が支払った医療費」です。死亡後に相続人が支払った分は、故人の準確定申告の対象に含めない取扱いです。領収書の日付と支払者の整理が重要になります。
Q: e-Taxで提出できますか? ▼
ケースにより可能です。確定申告書等作成コーナー等の対応状況や、添付書類(付表・委任状等)の提出方法が論点になりますので、電子提出を選ぶ場合は事前に手順を確認してください。

まとめ

  • 準確定申告は、故人の所得税を相続人が申告する手続きで、対象期間は「1月1日〜死亡日まで」
  • 期限は相続開始を知った翌日から4か月以内と短い
  • 相続人が複数なら、原則は連署提出。作成担当と署名段取りを早期に決める
  • 付表の添付が必要。還付金を代表者が受領する場合は委任状が問題になりやすい
  • 医療費控除など控除関係は「死亡日までに支払った分」など要件整理が重要

参照ソース

  • 国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2022.htm
  • 国税庁 確定申告書等作成コーナー(よくある質問)「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」: https://www.keisan.nta.go.jp/r4yokuaru/cat2/cat20/cid064.html
  • 国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和7年分)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/syotoku/r07.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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