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相続・事業承継コラム
作成日:2025.02.13
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

土地の相続税評価額の出し方|路線価と倍率方式を税理士が解説

7分で読めます
土地の相続税評価額の出し方|路線価と倍率方式を税理士が解説

土地の相続税評価額とは、売買価格(いわゆる時価)ではなく、相続税・贈与税のための評価ルールに従って算定した金額です。土地は評価額のブレが大きく、特に「路線価は見つけたが、補正や方式の選択が分からない」という点でつまずきがちです。本記事では、土地の相続税評価額を算定するために必要な「路線価の調べ方」と「計算方法(路線価方式・倍率方式)」を、手順ベースで解説します。

土地の相続税評価額とは何か

相続税の計算は「相続財産の評価額」を土台に進みます。土地の場合、原則として国税庁の財産評価(財産評価基本通達等)に基づき、地域ごとに次のいずれかで評価します。

  • 路線価方式:路線価が定められている地域(市街地など)
  • 倍率方式:路線価が定められていない地域(倍率地域)
ここがポイント
評価で最も重要なのは「どの年分の路線価等を使うか」です。原則として、相続開始日(被相続人が亡くなった日)を含む年分の「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」を用います。例えば2026年(令和8年)に相続が発生した場合は、令和8年分を確認します。

路線価の調べ方(路線価図の見方)

路線価は「道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額(千円単位)」です。路線価図は国税庁の「財産評価基準書」で閲覧できます。

Step 1: 財産評価基準書を開く
国税庁「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」にアクセスし、対象年分を選びます。

Step 2: 都道府県・市区町村を選択する
対象の所在地まで絞り込み、地図(路線価図)を表示します。

Step 3: 土地が接する道路の路線価を読む
道路に「300D」のような表記があれば、300=30万円/㎡(千円単位)、アルファベットは借地権割合(借地権が絡む場合に使用)です。路線価がなく「倍率地域」などの表示であれば、倍率方式の対象です。

Step 4: 地区区分(補正率に関係)を確認する
同じ路線価でも、地区(普通住宅地区・商業地区など)や奥行等で補正率が変わります。路線価図に付随する地区区分も確認します。

路線価方式の計算方法(基本式と補正の考え方)

路線価方式の基本は「路線価 × 補正後の1㎡単価 × 地積」です。実務で頻出の調整は、まず奥行補正、その次に角地や二方路線などの加算・調整です。

まずは基本式(一路線に面する宅地)

  • 1㎡あたり価額 = 正面路線価 × 奥行価格補正率
  • 評価額 =(1㎡あたり価額)× 地積(㎡)

ここで鍵となるのが補正率です。奥行が標準より短い・長い、間口が狭い、不整形地など、土地の使い勝手を評価に反映させます(該当する補正を組み合わせて評価)。

角地・二方路線・側方路線がある場合

宅地が複数の道路に接している場合、正面路線を決めた上で、側方路線影響加算・二方路線影響加算などを加味して1㎡単価を調整します。国税庁の解説では、正面路線価の奥行補正に加え、側方・裏面路線について影響加算額を計算して合算し、最終的な1㎡単価を求める流れが示されています。

ここがポイント
「路線価 × 面積」だけで終わらないのが土地評価の難しさです。現場では、角地・二方路線よりも、間口狭小や不整形地、セットバック(後退)などの論点で評価差が出やすく、資料の整合確認が重要になります(登記簿地積と実測、道路種別、現況利用など)。

倍率方式の計算方法(路線価がない地域)

路線価が定められていない地域の土地は、固定資産税評価額に「評価倍率表の倍率」を乗じて評価します。

倍率方式の基本式

  • 評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率

倍率は国税庁の財産評価基準書(評価倍率表)で確認します。固定資産税評価額は、市区町村役場等で確認できるとされています。路線価が見当たらない場合は、まず「倍率地域」かどうかを確認し、倍率方式へ切り替えます。

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路線価方式と倍率方式の違い(比較表)

土地評価は「どちらの方式か」を誤ると計算が成り立ちません。まずは方式判定から着手してください。

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項目路線価方式倍率方式
対象地域路線価が付された地域路線価が付されていない地域(倍率地域)
参照する主データ路線価図(道路ごとの単価)評価倍率表(倍率)
基本の計算路線価 × 補正 × 面積固定資産税評価額 × 倍率
実務の難所補正(奥行・不整形・角地等)固定資産税評価額の確認、地目・現況の整合

評価でつまずきやすい注意点(実務チェック)

税理士法人 辻総合会計の実務でも、「路線価は調べたが、どこまで補正すべきか」「現況と登記が違う」など、評価の前提整理で時間を要するケースが少なくありません。代表的な注意点を整理します。

1) 相続開始日の年分が違う

路線価等は年ごとに設定されています。相続開始日の年分を取り違えると、前提から誤ります。

2) 地目(宅地・田・畑・雑種地など)と現況利用の確認

評価は「地目」や「利用区分」で取り扱いが変わります。宅地評価のつもりで進めてしまうと、後で評価区分の見直しが必要になることがあります。

3) 形状・接道・セットバック等で評価差が大きい

不整形地、間口狭小、奥行長大、セットバックの要否などは、評価額を左右します。測量図、建築計画概要、道路台帳等の裏取りが有効です。

4) 借地・貸宅地など「権利関係」が絡む

借地権割合が関係する場合、単に土地の自用地評価を出すだけでは不十分です。契約内容、地代、更新状況等も含めた整理が必要になります。

よくある質問

Q: 路線価が見当たりません。どうすればよいですか? ▼
路線価図で「倍率地域」等の表示であれば、倍率方式で評価します。固定資産税評価額に、評価倍率表の倍率を乗じて計算します。
Q: 路線価方式は「路線価×面積」で終わりですか? ▼
原則は「路線価×補正×面積」です。奥行補正に加え、角地・二方路線・不整形地などの補正や加算を検討します。土地の形状や接道状況で評価差が出ます。
Q: どの年の路線価を使えばよいですか? ▼
原則として、相続開始日(亡くなった日)を含む年分の財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)を使用します。年分の取り違えは典型的なミスなので注意が必要です。

まとめ

  • 土地の相続税評価額は、原則として路線価方式または倍率方式で算定する
  • 路線価は財産評価基準書で確認し、路線価がない地域は倍率方式に切り替える
  • 路線価方式は「路線価×補正×面積」が基本で、補正(奥行・形状・接道)が重要
  • 倍率方式は「固定資産税評価額×倍率」で、固定資産税評価額の確認が出発点
  • 年分(相続開始日)、地目・現況、権利関係の整理が評価精度を左右する

参照ソース

  • 国税庁「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」: https://www.rosenka.nta.go.jp/
  • 国税庁「No.4604 路線価方式による宅地の評価」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4604.htm
  • 国税庁「No.4606 倍率方式による土地の評価」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4606.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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