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相続・事業承継コラム
作成日:2026.02.08
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

兄弟の相続の注意点|相続分と遺留分なしを税理士が解説

7分で読めます
兄弟の相続の注意点|相続分と遺留分なしを税理士が解説

兄弟姉妹の相続とは|「子も親もいない」時に登場する相続人

兄弟姉妹が相続人になるのは、原則として「被相続人に子(代襲含む)がおらず、直系尊属(父母・祖父母等)もいない」ケースです。配偶者は常に相続人なので、実務上は「配偶者+兄弟姉妹」または「兄弟姉妹のみ」の形で問題化しやすい類型です。国税庁も相続人の順位と法定相続分を整理しています。

ここでの難点は、兄弟姉妹には遺留分がないことです。遺言で配偶者や第三者に偏らせても、兄弟姉妹は原則として金銭請求で取り戻せません。結果として「相続分の計算は簡単でも、納得形成が難しい」状況が起きやすいのが特徴です。

兄弟姉妹が相続人になるケースと相続分(兄弟姉妹 相続分)

兄弟姉妹が相続人になる順位

  • 第1順位:子(子が死亡なら孫等が代襲)
  • 第2順位:直系尊属(父母、祖父母など)
  • 第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡なら甥姪が代襲)

兄弟姉妹の相続は「第3順位」なので、まずは子・親の有無の確認が最優先です(戸籍収集で確定させます)。

配偶者がいる場合の法定相続分

配偶者と兄弟姉妹が相続人のとき、法定相続分は次のとおりです。

  • 配偶者:4分の3
  • 兄弟姉妹(全員合計):4分の1

兄弟姉妹が複数なら、その4分の1を原則として均等割します(例外は後述)。この整理は国税庁のタックスアンサーにも明記されています。

配偶者がいない場合(兄弟姉妹のみ)

配偶者も子も直系尊属もいない場合、兄弟姉妹が全財産を相続します。兄弟姉妹が2人なら2分の1ずつ、3人なら3分の1ずつが基本です。

ここがポイント
「相続分=最終的な取り分」ではありません。遺産分割協議で合意すれば、法定相続分と違う分け方もできます。ただし、兄弟姉妹は当事者が多くなりやすく、合意形成に時間がかかりがちです。

兄弟の相続分の計算ポイント|半血兄弟・代襲相続でズレる

兄弟姉妹の相続で頻出する計算の落とし穴は次の2つです。

半血兄弟姉妹は相続分が「2分の1」

父母のどちらか一方のみが同じ兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)は、父母とも同じ兄弟姉妹(全血)に比べて、相続分が2分の1になります(民法の規定)。
たとえば「全血の兄A」と「半血の妹B」が相続人で、兄弟姉妹の取り分合計が1,000万円相当なら、A:B=2:1で配分するイメージです。

兄弟姉妹の代襲相続は「甥姪まで」

兄弟姉妹が先に亡くなっている場合、その子(甥・姪)が代襲相続人になります。ここで重要なのは、兄弟姉妹の代襲は一般に甥姪までで、再代襲(甥姪の子への承継)は原則として認められない点です。
相続人の範囲を誤ると、遺産分割協議がやり直しになり、預金解約や不動産登記が止まる原因になります。

兄弟には遺留分がない|遺言で外れるリスク(兄弟 相続 遺留分)

遺留分とは、一定の相続人に最低限保障される取り分です。ところが民法の遺留分規定では、遺留分権利者は「兄弟姉妹以外の相続人」と整理されます。つまり、兄弟姉妹は遺留分侵害額請求ができません。

このため、次のような場面で兄弟姉妹が強い不満を抱えても、法的な巻き戻し手段が乏しいのが実情です。

  • 「全財産を配偶者へ」という遺言
  • 「内縁の相手へ遺贈」という遺言
  • 生前贈与で財産が移転している

ただし、遺言の方式不備、意思能力、詐欺・強迫などの争点があれば、別ルートで争いになる余地はあります。現場では「遺留分がない=揉めない」ではなく、「遺留分がない=感情対立が長期化しやすい」と捉える方が安全です。

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兄弟相続のトラブルと実務対応(兄弟 相続 トラブル)

兄弟姉妹相続で揉めやすい論点を、実務目線で整理します。

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争点典型トラブル実務の着地点
不動産配偶者が居住継続、兄弟は換価希望代償分割(配偶者が金銭で調整)/売却・共有回避
預金凍結で生活費が止まる払戻し制度・仮払いの活用、当面の支払ルール化
葬儀費用誰が負担したかで精算揉め領収書ベースで立替精算、遺産からの控除整理
使途不明金介護名目の引出し疑い通帳履歴の開示、使途説明、必要なら調停へ
遺言遺言の内容が一方的方式・意思能力の検討、争点整理して早期収束

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、兄弟姉妹が相続人になる案件は「戸籍が複雑」「当事者が遠方」「不動産が核」という要素が重なり、調整コストが上がりやすい印象です。早い段階で論点を見える化し、交渉の順序を誤らないことが重要です。

手続きの進め方(実務のステップ)

Step 1: 相続人の確定(戸籍収集)
被相続人の出生から死亡までの戸籍を連続で取り、子・直系尊属の不存在、兄弟姉妹(半血含む)と代襲(甥姪)を確定します。

Step 2: 遺言・贈与・名義の確認
公正証書遺言の有無、自筆証書遺言の保管状況、生命保険の受取人、預金・不動産の名義を洗い出します。兄弟姉妹は遺留分がないため、遺言の影響が特に大きくなります。

Step 3: 遺産の棚卸しと評価
預金・有価証券・不動産・貸付金などを一覧化し、相続税申告が必要か、納税資金は足りるかも同時に確認します。

Step 4: 遺産分割協議(争点の順序付け)
「居住の継続」「売却の要否」「代償金の原資」を先に決め、細部(動産・費用精算)に降りるのが安全です。

よくある質問

Q: 兄弟姉妹が相続人になるのはどんなときですか? ▼
原則として、被相続人に子(代襲含む)がおらず、直系尊属(父母・祖父母等)もいない場合です。配偶者がいれば「配偶者+兄弟姉妹」、配偶者もいなければ「兄弟姉妹のみ」になります。
Q: 兄弟には遺留分がないと聞きました。遺言で外されたら終わりですか? ▼
遺留分侵害額請求はできません。ただし、遺言の方式違反、意思能力、偽造・変造などが疑われる場合は、遺言自体の有効性が争点になります。事実関係の精査が必要です。
Q: 半血兄弟(片親だけ同じ)の相続分はどうなりますか? ▼
全血の兄弟姉妹に比べて相続分が2分の1になります。相続人の確定段階で、戸籍から「全血か半血か」を整理することが重要です。
Q: 兄弟が先に亡くなっている場合、誰が相続しますか? ▼
兄弟姉妹の子(甥・姪)が代襲相続人になります。相続人の取り漏れがあると協議が無効になるため、戸籍で確定させましょう。

まとめ

  • 兄弟姉妹が相続人になるのは「子も直系尊属もいない」場合が基本
  • 配偶者がいるときは、配偶者3/4・兄弟姉妹1/4(兄弟内で分配)
  • 半血兄弟姉妹は相続分が2分の1となり、計算がズレやすい
  • 兄弟姉妹には遺留分がなく、遺言で外れるリスクが高い
  • まず戸籍で相続人を確定し、争点の順序付けで協議を進める

参照ソース

  • 国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm
  • e-Gov法令検索「民法」: https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
  • 法務省「遺留分制度の見直し(PDF)」: https://www.moj.go.jp/content/001167831.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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