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相続・事業承継コラム
作成日:2025.05.28
更新日:2026.01.02
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

相続税とは何か?仕組みと計算の基本を解説【2026年版】|税理士監修

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相続税とは何か?仕組みと計算の基本を解説【2026年版】|税理士監修

相続税とは、亡くなった方(被相続人)から財産を相続・遺贈などで取得したとき、基礎控除を超える部分に課される国税です。相続税は「うちは関係ない」と思われがちですが、実務では土地や保険金が思った以上に評価され、申告の要否判断を誤る相談が少なくありません。特に相続人にとっての課題は、申告期限(10か月)の中で、遺産の全体像把握・分割協議・納税資金確保を同時並行で進める点にあります。

相続税とは:課税されるケースをわかりやすく

相続税は、相続や遺贈で取得した財産の合計額から、債務や葬式費用などを差し引き、一定の非課税枠も考慮したうえで計算します。結論として、正味の遺産額が基礎控除を超えなければ、原則として申告も納税も不要です。

相続税が「かかる・かからない」の分岐点

基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。たとえば法定相続人が配偶者と子2人なら、3,000万円+600万円×3=4,800万円が基礎控除です。まずは遺産総額ではなく、控除後の「正味」を把握することが第一歩になります。

ここがポイント
法定相続人の数は、相続放棄があっても「放棄がなかったもの」として数える点が実務でつまずきやすいポイントです。養子がいる場合は、法定相続人に含められる人数に上限があるため、戸籍で確認します。

どこまでが相続財産か:みなし相続財産に注意

預貯金や不動産だけでなく、死亡保険金や死亡退職金などは「みなし相続財産」として課税対象になる場合があります。生命保険金は、受取人が相続人であれば「500万円×法定相続人の数」まで非課税枠がありますが、相続人以外が受け取る場合は適用されません。

相続税の仕組み:課税遺産総額までの流れ

相続税は、各人が取得した財産にそのまま税率を掛けるのではなく、いったん全体を法定相続分で按分して税額を出し、最後に実際の取得割合に配分し直す仕組みです。計算の入り口となる「課税遺産総額」までを整理すると、全体像が掴みやすくなります。

課税遺産総額の考え方(簡単に)

  • 遺産総額(預貯金・不動産・有価証券など)+相続時精算課税適用財産
  • - 非課税財産(墓地・仏具など)- 債務 - 葬式費用
  • + 加算対象期間内の生前贈与(暦年課税分)
  • = 課税価格の合計
  • - 基礎控除
  • = 課税遺産総額

ここで重要なのが、生前贈与の加算です。令和6年1月1日以後の贈与については、相続開始日によって加算対象期間が最長7年になるため、生前贈与の加算(3年→7年)を前提に記録を残す必要があります。

相続税を簡単に計算する方法:税率表と具体例

相続税の税率は累進課税で、法定相続分に応ずる取得金額ごとに速算表を当てはめます。実務上は「概算→精査」の順番で進めると、納税資金の見通しが立ちやすくなります。

相続税の速算表(法定相続分に応ずる取得金額)

←横にスクロールできます→
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%0円
1,000万円超〜3,000万円以下15%50万円
3,000万円超〜5,000万円以下20%200万円
5,000万円超〜1億円以下30%700万円
1億円超〜2億円以下40%1,700万円
2億円超〜3億円以下45%2,700万円
3億円超〜6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

ざっくり試算の例(配偶者+子2人)

正味の遺産額が9,000万円、法定相続人が3人の場合、基礎控除は4,800万円なので、課税遺産総額は4,200万円です。まず法定相続分で配偶者1/2、子は各1/4として按分し、速算表で相続税総額のベースを計算します。その後、実際の分割内容に応じて各人の税額を再配分します。

相続税の申告手続き:10か月以内にやること

相続税は「いつまでに何をするか」が最重要です。相続開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納税が必要になります。期限に間に合わないと、加算税や延滞税のリスクが高まります。

Step 1: 相続人と財産の棚卸しを行う

戸籍で相続人を確定し、預貯金・不動産・保険・借入金などを一覧化します。不動産は路線価や倍率方式を踏まえた評価が必要なため、早めに資料(登記簿、固定資産税課税明細など)を集めます。

Step 2: 申告要否を判定し、納税資金を確保する

基礎控除を超えるかを概算し、納税が見込まれる場合は資金計画を立てます。現預金が少なく不動産比率が高いケースでは、分割設計と納税資金の確保が表裏一体になります。

Step 3: 遺産分割協議と申告書作成を進める

遺言がない場合は遺産分割協議書を作成し、印鑑証明書等を整えます。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などは、要件確認と書類整備が重要です。

Step 4: 申告・納税、必要なら更正の請求まで見据える

期限内に分割がまとまらない場合でも、一定の書類を添付して申告し、後日分割成立後に手続きを行う場面があります。期限管理は最優先で運用します。

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相続税とは、亡くなった方から財産を受け取るときに一定額を超える部分へ課税される税金です。本記事では、仕組みをわかりやすく、基礎控除の計算、税率表、申告期限10か月の流れ、配偶者の税額軽減や生前贈与の注意点までまとめます。

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相続税で失敗しない注意点:分割・特例・生前対策

税額を下げること以上に、家族の合意形成と期限内手続きを両立させることが実務の成否を分けます。税理士法人 辻総合会計では、相続税申告だけでなく、分割方針と納税資金の設計をセットで支援してきました。

配偶者の税額軽減は「申告が前提」

配偶者は「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い金額までは相続税がかからない制度があります。ただし、適用には原則として申告が必要で、申告期限までに分割が未了だと適用できない点に注意します。

生前贈与は「証拠」と「影響範囲」を意識する

贈与契約書や入出金記録が弱いと、名義預金などとして否認されるリスクがあります。また、暦年贈与は相続開始前の加算対象期間が延長されるため、近年の贈与ほど相続税計算に影響しやすくなります。

現場で多い相談(匿名ケース)

たとえば「預貯金は少ないが土地が多い」ご家庭で、評価額を把握しないまま分割協議を進め、申告直前に納税資金が不足するケースがあります。この場合、早期に概算税額と資金繰りを示し、分割案を複数作って比較することが有効です。

相続税と贈与税の違い(整理表)

←横にスクロールできます→
項目相続税贈与税
課税のきっかけ死亡により財産を取得生前に財産を無償で取得
基本的な控除基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)基礎控除(年110万円)
税率の考え方法定相続分で一度計算し配分受贈者ごとに累進税率
期限相続開始を知った翌日から10か月原則、翌年2月1日〜3月15日

よくある質問

Q: 相続税は誰でも払うものですか? ▼

A:

いいえ。正味の遺産額が基礎控除を超える場合に、申告・納税が必要です。まずは法定相続人の数を確定し、基礎控除を計算したうえで、遺産の概算評価を行うと判断しやすくなります。
Q: 配偶者がいると相続税はゼロになりますか? ▼

A:

配偶者の税額軽減により、配偶者が実際に取得した正味の遺産額が「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」までなら、配偶者の税額はゼロになり得ます。ただし適用には原則として申告が必要で、分割未了の場合は要件確認が重要です。
Q: 生前贈与をしていれば相続税はかからなくなりますか? ▼

A:

一概には言えません。暦年贈与には相続税への加算(相続開始前の一定期間)があり、制度改正で加算対象期間が段階的に延長されています。贈与の事実を証明できる資料整備も含め、相続全体の設計として検討する必要があります。

まとめ

  • 相続税とは、相続・遺贈等で取得した財産が基礎控除を超える場合に課税される税金
  • 基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、申告要否の判断軸になる
  • 死亡保険金などの「みなし相続財産」や非課税枠を踏まえて遺産を把握する
  • 申告・納税は原則10か月以内。期限と書類整備が最大のリスクポイント
  • 配偶者の税額軽減や生前贈与の加算期間など、制度の要件確認が重要

参照ソース

  • 国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4102.htm
  • 国税庁「No.4155 相続税の税率」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
  • 国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm
  • 国税庁「相続税のあらまし」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2024/pdf/E3.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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