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相続・事業承継コラム
作成日:2025.04.12
更新日:2026.01.02
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

遺言書 検認とは?手続きと流れ|税理士が解説

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遺言書 検認とは?手続きと流れ|税理士が解説

遺言書の検認とは?まず結論

遺言書の検認とは、相続人に遺言の存在・内容を知らせつつ、遺言書の形状や訂正状況などを確認して記録化し、偽造・変造を防ぐための家庭裁判所の手続きです。重要なのは、検認は「遺言の有効・無効を判断する場ではない」という点です。相続手続きの入り口でつまずくと、預金解約や不動産名義変更が進まず、相続人間の説明コストが増えがちです。まずは「どの遺言書が検認対象か」「何を準備すべきか」を押さえて進めましょう。

検認が必要な遺言書・不要な遺言書の違い

検認が必要かどうかは、遺言書の種類(作成方式・保管方式)で決まります。特に自筆証書遺言は「法務局保管かどうか」で扱いが分かれるため要注意です。

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遺言書の種類検認の要否実務上のポイント
自筆証書遺言(自宅・金庫等で保管)必要申立て後、裁判所が検認期日を指定し相続人へ通知
自筆証書遺言(法務局保管)不要相続人等は法務局で遺言書情報証明書等を取得して手続きへ
公正証書遺言不要公証役場で原本保管され、証拠保全の趣旨から検認不要
秘密証書遺言必要封印されていることが多く、開封ルールに注意
ここがポイント
封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いのもとで開封する扱いです。勝手に開封せず、そのまま申立て・提出する運用が安全です。

遺言書の検認手続きの流れ(家庭裁判所)

申立先は「遺言者の最後の住所地」を管轄する家庭裁判所です。全相続人が当日そろわなくても手続き自体は進みます(出席は各人の判断)。

Step 1: 申立て準備(戸籍・相続人確定、申立書作成)

相続実務では、検認より前に「相続人の確定(戸籍の収集)」で時間がかかるケースが多いです。戸籍が揃うほど、裁判所からの追加指示や補正が減り、期日設定もスムーズになります。

Step 2: 家庭裁判所へ申立て(書類提出・費用納付)

申立て時に、遺言書1通につき収入印紙800円と、連絡用の郵便切手が必要です(切手額は裁判所ごとに異なります)。

Step 3: 検認期日の通知(裁判所→相続人)

申立て後、裁判所が検認を行う日(検認期日)を指定し、相続人へ通知します。申立人以外の相続人が出席するかは任意です。

Step 4: 検認期日当日の実施(必要に応じ開封)

申立人が遺言書を提出し、裁判官が遺言書の状態(署名・日付・訂正の状況等)を確認して記録します。封印がある場合は立会いのもと開封して進めます。

Step 5: 検認後に「検認済証明書」を申請

相続手続き(預金解約・登記等)では、遺言書に検認済証明書が付いていることを求められる場面が多いため、検認後に申請します。遺言書1通につき収入印紙150円が必要です。

検認の必要書類(標準的な添付書類)

裁判所が示す「標準的な添付書類」は、相続関係(子がいる/直系尊属が相続人/兄弟姉妹が相続人等)で追加が発生します。まずは共通部分を揃え、該当するケースの追加分を準備するのが実務的です。

  • 申立書(裁判所の書式・記載例を利用)
  • 【共通】遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)
  • 【共通】相続人全員の戸籍謄本
  • 【子(代襲者)が死亡している場合】その子(代襲者)の出生から死亡までの戸籍
  • 【第二順位(直系尊属)が相続人の場合】死亡した直系尊属の死亡記載のある戸籍等
  • 【第三順位(兄弟姉妹等)が相続人の場合】父母の出生から死亡までの戸籍、直系尊属の死亡記載戸籍、兄弟姉妹や代襲者の戸籍等
ここがポイント
申立前に入手困難な戸籍がある場合、申立後に追加提出できる運用も示されています。まず「申立て可能な状態」まで持っていき、不足分は裁判所の指示に沿って補完するのが現実的です。

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検認にかかる期間の目安と、遅れる典型要因

検認の所要期間は、裁判所の事件量や書類の整い具合で変動します。裁判所は一律の所要日数を明示していないため、実務では次の要因で「数週間〜数か月」程度の幅が出る前提で工程を組むのが安全です。

  • 戸籍の収集に時間がかかる(転籍が多い、除籍・改製原戸籍が複数にまたがる)
  • 相続人の範囲が広い(兄弟姉妹相続、代襲が連鎖する等)
  • 申立書の記載不足・添付漏れによる補正
  • 遺言書が封印されており、期日調整が必要

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、相続手続きの停滞要因として「戸籍不足で申立てが進まない」「相続人への説明が後追いになる」ケース相談が一定数あります。最初に相続人関係を確定し、必要書類をパッケージで整えることが、結果的に最短ルートになりやすい印象です。

検認でよくある注意点(誤解が多いポイント)

検認=遺言の有効性を保証するものではない

検認は、遺言書の偽造・変造を防ぐための「証拠保全」の性格が中心で、内容の有効・無効判断はしません。たとえば方式不備や能力などの争点は、別途の紛争手続きで問題になります。

検認が終わってから「実行」フェーズに移る

検認後、預金解約や登記で求められることが多いのは「検認済証明書付きの遺言書」です。検認期日を終えたら、実務ではこの取得までをワンセットで進めると二度手間になりにくいです。

法務局保管の自筆遺言は、検認が不要な設計

自筆証書遺言を「法務局で保管」している場合、裁判所の検認ではなく、法務局で証明書を取得して相続手続きに進む設計です。検認プロセスの省略は、相続のスピード面でのメリットになり得ます。

よくある質問

Q: 検認をしないと、相続手続きは進められませんか? ▼

A:

実務上は、金融機関や登記手続きで「検認済証明書付きの遺言書」を求められることが多く、検認を飛ばして進めるのは難しい場面が出やすいです。なお、公正証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言(遺言書情報証明書等)では、そもそも検認が不要です。
Q: 相続人が遠方で、検認期日に出席できません。手続きは止まりますか? ▼

A:

止まりません。申立人以外の相続人が出席するかは各人の判断に委ねられており、全員がそろわなくても検認手続きは行われます。
Q: 費用はどのくらい見込めばよいですか? ▼

A:

裁判所に納める基本費用として、遺言書1通につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手が必要です。検認後に検認済証明書を申請する場合は、遺言書1通につき収入印紙150円が必要です(郵便切手は裁判所により異なります)。

まとめ

  • 検認は、遺言書の偽造・変造防止のために状態を確認し記録化する手続き(有効性判断ではない)
  • 検認が必要なのは主に「自宅等で保管された自筆証書遺言」や秘密証書遺言
  • 公正証書遺言と「法務局保管の自筆証書遺言(遺言書情報証明書等)」は検認不要
  • 申立先は遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所。必要書類は戸籍一式が中心
  • 期間は書類の整い具合で大きく変動するため、戸籍収集を早期に着手するのが実務的

参照ソース

  • 裁判所「遺言書の検認」: https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_17/index.html
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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