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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.08
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

事業承継税制2026期限延長|特例承継計画の締切と対策を税理士が解説

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事業承継税制2026期限延長|特例承継計画の締切と対策を税理士が解説

事業承継税制2026の期限延長は「計画提出」だけが先に延びます

事業承継税制(特例)の期限延長でまず押さえるべき結論は、「特例承継計画の提出期限」と「贈与・相続の適用期限」は別物で、延長の中心は“計画提出側”だという点です。
経営者にとっての問題は、期限が延びたことで安心して準備を先送りし、結果として株価対策・後継者育成・金融機関対応が間に合わなくなることです。

制度は一見「税金がゼロになる」ように見えますが、実務は都道府県の認定、申告、報告がセットで動くため、段取りを誤ると納税猶予の取りやめリスクにも直結します。延長を“猶予期間”ではなく“準備のための追加時間”として使う発想が重要です。

事業承継税制とは何か(納税猶予・免除の基本)

事業承継税制は、後継者が非上場株式(法人版)や事業用資産(個人版)を贈与・相続等で取得した際、一定要件のもとで贈与税・相続税の納税を猶予し、後継者の死亡等により猶予税額が免除され得る制度です。国税庁も、制度趣旨を「納税猶予・免除」の枠組みとして整理しています。

  • 法人版:非上場株式等が対象(納税猶予・免除)
  • 個人版:青色申告の事業に係る一定の事業用資産が対象(納税猶予・免除)

「免除」まで到達するには、継続保有や報告などの運用要件が続きます。税負担だけでなく、ガバナンス・資本政策・後継者の覚悟を含めた設計が必要です。

特例承継計画の提出期限はいつまで延長されたか

2026年度税制改正大綱の資料では、事業承継税制(特例措置)について、承継計画の確認申請(提出)の期限を延長することが示されています。ポイントは以下です。

  • 法人版:特例承継計画の提出期限が「令和9年(2027年)9月末」まで
  • 個人版:特例承継計画の提出期限が「令和10年(2028年)9月末」まで

同資料には、適用期限(贈与・相続で実際に承継を行う期限)も併記されており、法人版は「令和9年(2027年)12月31日まで」、個人版は「令和10年(2028年)12月31日まで」という整理になっています。

ここがポイント
「計画提出が延びた=承継そのものも延びた」ではありません。実務では、贈与・相続の実行と申告期限、都道府県認定・税務署提出の順序を逆算してスケジュールを組みます。

計画提出期限と適用期限の違いを比較(いちばん間違えやすい論点)

「提出期限」と「適用期限」を混同すると、ギリギリに計画だけ出して、承継の実行・認定・申告準備が間に合わない事故が起きます。違いは次の表の通りです。

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区分期限の対象期限の意味今回の延長後(目安)
計画提出期限特例承継計画都道府県へ提出し確認を受ける期限法人版:2027年9月末/個人版:2028年9月末
適用期限贈与・相続等の実行特例措置で承継(贈与・相続等)を行える期限法人版:2027年12月31日/個人版:2028年12月31日
申告・提出実務贈与税・相続税申告、認定書写し等実行後に税務署へ申告・添付、以後報告が継続期限は案件ごと(申告期限・報告期限に従う)

計画提出が間に合っても、承継の実行が適用期限を過ぎれば特例は使えません。また、認定や書類不備で「申告期限の2か月前までに認定申請」などの運用上の制約が出るため、締切直前はリスクが上がります。

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期限が延びても「今すぐ動くべき理由」—実務のボトルネックは税以外にある

期限延長は朗報ですが、当法人(税理士法人 辻総合会計)での事業承継支援の現場感として、詰まるのは次の3点です。

理由1:株価・評価は「短期で下がらない」ことが多い

非上場株式の評価は、業績・純資産・類似業種など複合要素で決まります。
「あとで利益が落ちれば株価も下がるはず」という期待で先送りすると、逆に増益・資産増で評価が上がるケースが珍しくありません。株価対策は“打った施策が評価に反映されるまで時間がかかる”のが実務です。

理由2:後継者・役員体制・金融機関の合意形成に時間がかかる

税制だけで承継は完結しません。代表交代、議決権設計、個人保証、借入条件の見直しなど、関係者合意に数か月〜1年単位を要します。期限延長分は、ここに投入すべき時間です。

理由3:都道府県の認定・書類整備は“差し戻し”が起きる

特例承継計画は、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けて作成し、都道府県へ提出して確認を受けます。記載の整合性や添付の不足で差し戻しが起きると、締切間際はリカバリーが難しくなります。

ここがポイント
「計画を出してから考える」ではなく、「承継の設計(誰に・いつ・何を)→計画→認定→実行→申告」の順で固める方が、結果的に税務リスクと手戻りコストを下げます。

事業承継税制の進め方(特例承継計画から申告までの手順)

期限延長を活かすには、手続きを工程表に落とすことが有効です。

Step 1: 対象判定(法人版/個人版、特例/一般)

  • 法人:非上場株式の保有状況、後継者要件、会社要件の一次判定
  • 個人:青色申告、対象資産(事業用資産)の範囲、除外事業の確認

Step 2: 株価・資産評価の試算と、承継スキームの設計

  • 株価試算(直近決算ベース)
  • 贈与・相続・持株会社・種類株などの選択肢比較
  • 後継者の議決権確保と、他相続人への配慮

Step 3: 特例承継計画の作成・提出(認定支援機関の関与)

  • 計画に「承継予定時期」「経営見通し」「事業計画」等を反映
  • 都道府県へ提出し確認を取得(書類不備の差し戻しリスクを前提に余裕を確保)

Step 4: 都道府県の認定申請〜贈与・相続の実行

  • 認定申請のタイミングを申告期限から逆算
  • 贈与契約、株式移転、役員・代表交代、議事録整備

Step 5: 税務申告と、その後の報告運用(継続管理)

  • 贈与税・相続税申告で必要書類を添付
  • 以後、年次報告・継続届出等の運用を継続
  • 要件未達・手続漏れがあると納税猶予の取りやめにつながるため、管理体制を作る

よくある質問

Q: 期限延長で、特例承継計画は「2027年9月末までに出せばOK」ですか? ▼

A:

法人版は計画提出期限が2027年9月末、個人版は2028年9月末という整理です。ただし、実際に贈与・相続等を行う「適用期限」は別にあり、法人版は2027年12月31日まで、個人版は2028年12月31日までとされています。計画提出だけ間に合っても、承継実行が適用期限を過ぎると特例は使えません。
Q: 「提出期限」と「適用期限」、どちらを優先してスケジュールを組むべきですか? ▼

A:

実務は「適用期限(承継実行の締切)」をゴールに、申告期限・認定の準備期間・差し戻しリスクを織り込んで、計画提出を前倒しします。特に都道府県認定や添付書類整備は時間を要するため、締切直前の提出は避けるのが安全です。
Q: 事業承継税制は使えば税金が完全にゼロになりますか? ▼

A:

「納税猶予」であり、要件を満たし続けることで免除に至る制度です。要件未達や届出漏れがあると猶予の取りやめとなり、利子税を含めた納付が必要になる場合があります。個別の事情でリスクが変わるため、制度設計と運用管理が前提です。

まとめ

  • 2026改正のポイントは、特例承継計画の提出期限が延長されたこと(法人版:2027年9月末、個人版:2028年9月末)
  • 一方で、承継(贈与・相続等)の適用期限は別管理(法人版:2027年12月31日、個人版:2028年12月31日)
  • 期限延長で重要なのは「先送り」ではなく、株価試算・後継者体制・金融機関調整の時間を確保すること
  • 手続は「設計→計画→認定→実行→申告→報告運用」の順で、差し戻しリスクも見込んで前倒しが安全
  • 最終判断は個別要件で変わるため、制度適用と運用負担を含めて専門家と工程表を作るのが合理的

参照ソース

  • 経済産業省「令和8年度税制改正について(資料PDF)」: https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2026/zeisei_k/2026_r8zeiseikaiseigaiyo01.pdf
  • 国税庁「法人版事業承継税制」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/houjin.htm
  • 国税庁「個人版事業承継税制」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/kojin.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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