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クリニック向けコラム
作成日:2026.02.08
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

源泉徴収税額表2026変更|クリニック給与計算3点を税理士解説

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源泉徴収税額表2026変更|クリニック給与計算3点を税理士解説

2026年の源泉徴収税額表は何が変わる?

2026年1月支給分から、給与の源泉所得税は「令和8年分 源泉徴収税額表」に基づいて計算します。今回の改定は、令和7年度税制改正で基礎控除や給与所得控除、さらに扶養の所得要件などが見直されたことが背景です。税額表そのものが変わるため、給与計算の「前提」がズレると、毎月の源泉額が連鎖的にズレてしまいます。

税理士法人 辻総合会計では、医療機関(クリニック・医療法人)の給与計算と年末調整を継続支援する中で、「税額表の切替」「扶養の判定」「甲乙欄の選択ミス」が最も多い論点だと実感しています。匿名化した相談でも、旧税額表のまま運用して数か月後に発覚するケースは珍しくありません。

ここがポイント
本記事は一般的な制度解説です。個別の源泉徴収額は、扶養申告書の内容、社会保険料、賞与の有無、他社給与(従たる給与)等で変動します。最終的には年末調整・確定申告で精算される点も踏まえて確認してください。

変更点の全体像|「控除」と「扶養」の前提が動く

令和7年度税制改正では、源泉徴収実務に直結する改正が複数あります。特に押さえるべきは次の3つです。

  • 基礎控除の見直し(合計所得金額に応じて控除額が改正)
  • 給与所得控除の最低保障額の引上げ(55万円→65万円)
  • 特定親族特別控除の創設、および扶養親族等の所得要件の改正(48万円→58万円等)

この結果、税額表の金額そのものに加え、「扶養親族等の数の数え方」「源泉控除対象配偶者・源泉控除対象親族の判定」も実務上の注意点が増えています。

クリニックの給与計算で間違えやすい3つのポイント

ポイント1:旧税額表(令和7年分以前)で計算してしまう

最初に起きがちなミスはシンプルで、2026年1月以後の給与を「旧税額表」で処理してしまうことです。院内で給与担当が交代したタイミングや、外注先・ソフトの更新漏れで発生しやすいです。

  • 給与ソフト・外注先の適用年(令和8年分)を確認
  • 自作Excelの場合は、税額表データ差替えが必須
  • 賞与は「賞与に対する算出率表」を使うため、月例と別ロジックになる点も要注意
ここがポイント
源泉徴収額の誤りが見つかった場合、原則は「その後の給与で調整」や「年末調整で精算」など、状況に応じた実務対応になります。早期発見のため、1月支給分の初回計算はダブルチェックを推奨します。

ポイント2:扶養の「所得要件」と「数え方」を前年の感覚で処理する

今回、扶養親族等の所得要件が改正され、例えば扶養親族・同一生計配偶者の合計所得金額要件は「58万円以下(改正前:48万円以下)」に変わっています。
さらに税額表の甲欄は「扶養親族等の数」に応じて選びますが、この「扶養親族等の数」には、源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計数が入ります。加えて、寡婦・ひとり親・勤労学生・障害者等に該当する場合は、一定の加算ルールがあります。

また、2026年分からは「特定親族特別控除」に絡む判定も実務上の混乱ポイントです。特定親族の定義(19歳以上23歳未満、所得見積額58万円超123万円以下等)や、源泉徴収で適用される範囲(所得見積額100万円以下等)が税額表側の注記に組み込まれています。

改正前後の「扶養」関連の比較(要点)

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項目改正前(主に令和7年分以前の取扱い)改正後(令和8年分以後)
扶養親族・同一生計配偶者の所得要件合計所得金額48万円以下合計所得金額58万円以下
勤労学生の所得要件合計所得金額75万円以下合計所得金額85万円以下
税額表「扶養親族等の数」の基本源泉控除対象配偶者+源泉控除対象親族左記に加え、注記・加算ルールを含めて厳密化
特定親族特別控除なし創設(年末調整・源泉での適用範囲あり)

ポイント3:甲欄/乙欄の選択と「社会保険料等控除後」の金額の取り方

税額表を使う前提として、当てはめる金額は「その月(日)分の給与等」から厚生年金・健康保険・雇用保険などの社会保険料等を控除した後の金額です。ここを「支給総額」で当てはめると、源泉額がズレます。

また、税額表の使い分けとして、原則は次の理解が実務上安全です。

  • 甲欄:扶養控除等申告書を提出している人(本業給与の想定)
  • 乙欄:扶養控除等申告書を提出していない人(副業・短期雇用などで起きやすい)

クリニックはパート・アルバイトが多く、入退社も頻繁です。「申告書未提出のまま支給して乙欄で処理していた」「提出後も乙欄のまま」などの運用ミスが、2026年の税額表改定を機に顕在化しやすい点に注意してください。

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2026年1月からの給与計算|実務の確認手順(チェック用)

Step 1: 令和8年分の税額表に切替(ソフト・外注・Excel)
税額表の適用年と、賞与・日額計算の設定も合わせて確認します。

Step 2: 扶養控除等申告書の回収・更新(扶養の異動確認)
前年から扶養状況が変わっていないか、特定親族特別控除の対象になり得るかを含めて確認します。

Step 3: 「社会保険料等控除後」の金額を確定
税額表に当てはめる前提金額を統一し、支給総額と混在させない運用にします。

Step 4: 甲欄/乙欄の選択と扶養親族等の数の確定
甲欄は扶養親族等の数で列が変わります。源泉控除対象配偶者・源泉控除対象親族の定義(所得見積額の基準等)も踏まえて判定します。

Step 5: 1月支給分は「前年同条件」の試算で差分チェック
同じ手取りイメージで大きく変動していないか、初回だけは手計算または別担当で照合します(ミスの早期発見が目的)。

よくある質問

Q: 2026年1月支給分から必ず新税額表を使うのですか? ▼

A:

原則として、令和8年(2026年)中に支払う給与等は「令和8年分 源泉徴収税額表」で源泉徴収します。税額表は年分が違うと前提控除が異なるため、旧表の流用は避けてください。
Q: 扶養の所得要件が48万円から58万円に変わったと聞きました。給与計算では何が変わりますか? ▼

A:

扶養控除等の対象となる扶養親族・同一生計配偶者の合計所得金額要件が「58万円以下」に改正され、税額表の扶養親族等の数の判定にも影響します。申告書の内容が旧基準のままだと、甲欄の列選択を誤る原因になります。
Q: 特定親族特別控除は、毎月の源泉徴収にも関係しますか? ▼

A:

はい。特定親族の定義(19歳以上23歳未満など)や所得見積額の範囲が示され、令和8年1月以後に支払う給与について源泉徴収の場面でも反映される設計になっています。年末調整では所定の申告書提出が必要となるため、院内の回収フローを整備してください。

まとめ

  • 2026年1月支給分から令和8年分の源泉徴収税額表に切替が必要
  • ミスが多いのは「旧表のまま」「扶養の判定(所得要件・数え方)」「甲乙欄と社会保険料控除後金額」
  • 扶養の所得要件は48万円→58万円などに改正され、申告書の更新が重要
  • 特定親族特別控除の創設により、19〜22歳前後の扶養判定が複雑化
  • 初回(1月支給分)は必ずダブルチェックし、誤りの早期発見を優先

参照ソース

  • 国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表(PDF)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2026/data/all.pdf
  • 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」: https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm
  • 国税庁「各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)」: https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/shinkokusyo/index.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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