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クリニック向けコラム
作成日:2026.02.08
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

暗号資産申告分離課税は2026に?医師向け税務最新|税理士が解説

8分で読めます
暗号資産申告分離課税は2026に?医師向け税務最新|税理士が解説

暗号資産が申告分離課税(20%)になるのはいつ?結論と前提

暗号資産(仮想通貨)の利益が「最大55%→約20%」に下がる、という話は、現時点(2026年2月)では“成立済みの確定ルール”ではなく、制度見直しの検討・要望が示されている段階として理解するのが安全です。

医師の方にとって問題になりやすいのは、給与・事業(医業)所得が高いほど、暗号資産利益が現行制度(原則:雑所得・総合課税)で上乗せされ、税率が跳ね上がりやすい点です。特に、夜間当直や非常勤の収入が積み上がるほど、暗号資産の利益が「追加の高税率ゾーン」で課税されるケースが増えます。

一方で、金融庁の令和8年度税制改正要望では、暗号資産取引を他の多くの金融商品と同様に分離課税とする趣旨が示されています。ここが「20%になるのでは」という話の根拠になっています。

ここがポイント
改正の有無・時期は、要望→与党大綱→法案→成立→施行というプロセスで確定します。SNSやブログで「決定」と断定されていても、一次情報(省庁・国税庁)での確認が不可欠です。

そもそも「申告分離課税」とは?暗号資産と株の違い

申告分離課税の基本(イメージ)

申告分離課税は、給与・医業などの所得と切り離して、特定の所得だけを別枠で計算する方式です。上場株式等の譲渡益や配当などでは一般的で、税率も一定(例:20.315%など)として設計されることが多い仕組みです。

現行の暗号資産は原則「雑所得・総合課税」

国税庁の整理では、暗号資産を売却・使用して得た利益は、事業所得等に付随する場合などを除き、原則として雑所得に区分され、所得税の確定申告が必要とされています。つまり、給与や医業所得と合算されるため、所得が高い医師ほど税率インパクトが大きくなります。

「最大55%」という表現は、所得税の最高税率帯(45%)に住民税(10%)が加わることを踏まえた一般的な理解として流通しています(復興特別所得税等の取り扱いで実効は変動し得ます)。この点も、医師の方が体感しやすいところです。

2026年の最新動向:55%→20%は「決定」か「検討」か

金融庁の税制改正要望で「分離課税化」の方向性は明示

令和8年度税制改正要望事項(金融庁関係)では、暗号資産取引を他の多くの金融商品と同様の分離課税とすることで、投資しやすい環境整備を図る趣旨が示されています。ここが、申告分離課税(20%)への“方向性”の一次情報です。

一方、与党大綱・閣議決定資料に「暗号資産の分離課税」が明記されているかは要確認

税制改正は、要望がそのまま実現するとは限りません。制度化されるには、改正の大綱や法令で具体的な要件・税率・適用開始日が明記される必要があります。

したがって、「2026年から20%」と断定するよりも、“分離課税化が検討・要望されているが、適用時期と対象条件は確定情報で確認する必要がある”という整理が実務上のリスクを下げます。

ここがポイント
税率だけでなく、損失の扱い(損益通算・損失繰越)や対象取引(現物・レバレッジ・ステーキング等)も制度設計の核心です。ここが決まらない限り、実務の動き(年内利確・含み損処理など)を決め打ちしない方が安全です。

暗号資産 申告分離課税 2026の「対象条件」はどう設計されそうか

現時点で、暗号資産が申告分離課税に移行する場合に論点となりやすいのは次の3つです。ここは“制度設計の争点”として押さえておくと、ニュースの読み解きが早くなります。

  • 対象となる取引範囲
    現物売買だけか、デリバティブ、レンディング、ステーキング報酬、エアドロップ等をどう扱うか。
  • 計算方法・帳票の標準化
    取引所ごとに履歴の形式が異なると申告精度が落ちるため、年間取引報告や集計の標準化がセットで議論されやすい。
  • 損失の扱い
    分離課税化するなら、株式等と同様に損益通算や損失繰越の可否が投資行動に直結します。

医師の方は本業が多忙なため、制度がどうであれ「正確な損益集計」を先に固めるのが最優先です。税制が変わっても、集計できていない利益は守れません。

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医師の確定申告:暗号資産の申告手順(現行制度ベース)

ここからは、現行制度(原則:雑所得)での実務手順を、医師の方に多い状況を前提に整理します。制度が変わっても、まずこの型ができていると対応が早くなります。

Step 1: 取引データを確定させる(年内の全口座)

  • 国内取引所・海外取引所・ウォレット移動を含め、年内取引を漏れなく集めます。
  • 取引所の年間取引報告書が出る場合は保存します。

Step 2: 損益計算(総平均法・移動平均法)を統一する

  • 暗号資産の損益は、取得価額をどう計算するか(例:総平均法、移動平均法)で結果が変わります。
  • 年ごとに一貫性を持たせ、途中で恣意的に変えない運用が重要です。

Step 3: 所得区分の確認(医業所得に“付随”していないか)

  • 原則は雑所得ですが、医業の役務提供と一体となるなど特殊事情があると、分類の検討が必要になることがあります。
  • 「暗号資産で決済した」「報酬の一部が暗号資産」などは、事実関係の整理が必須です。

Step 4: 確定申告書へ反映し、根拠資料を保管する

  • 損益計算の根拠(取引履歴、計算シート、レートの根拠)を保管します。
  • 高所得の医師ほど、暗号資産利益の追加課税インパクトが大きく、説明可能性が重要になります。

ポイントは「税率」よりも先に「損益を説明できる状態」を作ることです。ここができていれば、分離課税化が実現しても制度移行の実務がスムーズになります。

比較表:現行(雑所得)と分離課税化(想定)で何が変わるか

←横にスクロールできます→
項目現行:雑所得(総合課税が中心)分離課税化(要望ベースの方向性)
税率の考え方給与・医業所得と合算し累進一定税率(例:20%前後)を想定
高所得者への影響税率が上がりやすい(医師は影響大)税率が平準化しやすい
損失の扱い原則、給与等との損益通算は不可で運用が難しい損益通算・損失繰越が論点になりやすい
実務の難所取引履歴の整備と取得価額計算対象取引範囲・帳票の整備が鍵

この比較を見ても、医師の方にとっては、「税率の見通し」より「損益を正確に作れる運用」がリスク管理の中心になります。

よくある質問

Q: 暗号資産が20%の申告分離課税になるのは、2026年から確定ですか? ▼

A:

2026年2月時点では、「分離課税化の方向性が要望として示されている」一方で、適用開始日・要件・対象範囲が法令として確定したと断定できる段階かは一次情報での確認が必要です。要望→大綱→法案→成立→施行の順で確定します。
Q: 医師は暗号資産の利益が出たら、必ず確定申告が必要ですか? ▼

A:

原則として、暗号資産を売却または使用して利益が出た場合は、雑所得に区分され所得税の確定申告が必要と整理されています(例外として、他の所得に付随する場合などは個別判断)。まずは年間の損益を正確に集計することが先決です。
Q: 分離課税化を見込んで、今年は利確を先送りした方がいいですか? ▼

A:

施行時期・経過措置・対象条件が確定していない局面で、税制だけを理由に利確時期を決め打ちするのは危険です。価格変動リスクと納税資金を踏まえ、まずは損益集計と資金繰りを整えたうえで判断しましょう。

まとめ

  • 暗号資産が「最大55%→約20%」になる話は、現時点では検討・要望の方向性として捉えるのが安全
  • 現行は原則として雑所得扱いで、医師は高所得ゆえ税率インパクトが大きくなりやすい
  • 分離課税化が実現しても、対象取引範囲・損失の扱い・帳票整備が実務の鍵
  • まずは「年間取引の網羅」と「取得価額計算の一貫性」を固めることが最優先
  • 一次情報(国税庁・財務省・金融庁)での確認を前提に、拙速な利確判断は避ける

参照ソース

  • 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/index.htm
  • 財務省「令和8年度税制改正要望事項(金融庁)」(PDF): https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/request/fsa/08y_fsa_k_03.pdf
  • 財務省「令和8年度 税制改正の概要(ページ)」: https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/index.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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