
執筆者:辻 勝
会長税理士
紹介・逆紹介の診療報酬2026|点数と病診連携を整理

2026年改定の全体像:いつ、何が決まっているか
結論から言うと、2026年(令和8年度)の診療報酬改定は「2026年6月施行予定」とされており、1月時点では紹介・逆紹介に関する個別点数の最終形までは公表資料だけで確定できません。
そのため本記事は、現行(令和6年度点数表)での「紹介状の点数」「逆紹介(返書)の点数」「病診連携の評価(加算・電子連携)」を整理したうえで、2026年6月以降に見直しが入り得る論点を押さえる構成にしています。
紹介状の点数:診療情報提供料(I)と加算
診療情報提供料(I)=紹介状の基本(B009)
いわゆる「紹介状(診療情報提供書)」で中心になるのが、診療情報提供料(Ⅰ)です。現行点数は 250点 です。
算定の骨格はシンプルで、「他の保険医療機関での診療が必要」と判断し、患者の同意を得たうえで、診療状況を示す文書を添えて紹介する場合に、紹介先ごと・患者ごとに算定します(回数制限あり)。
退院時やデータ添付で増える「加算」要素
紹介は外来だけでなく、退院前後の連携でも論点が出ます。現行では、退院月または翌月に、治療計画・検査結果・画像情報など「必要な情報」を添付して紹介する場合に 加算(200点) が設定されています。
また、検査結果や画像情報等を電子的に閲覧可能な形式で提供する場合の加算(退院患者200点、外来患者30点など)もあり、電子的方法での連携を実装しているかが差になりやすい領域です。
逆紹介・返書の点数:連携強化診療情報提供料など
逆紹介(返書)に近い評価=連携強化診療情報提供料(B011)
「逆紹介」は実務上、(1)病院が診療所へ患者を戻す(紹介元へ返す)、(2)紹介元へ返書(経過・結果)を返す、が混ざって語られます。
点数として分かりやすいのが、連携強化診療情報提供料で、現行点数は 150点 です。紹介された患者について、紹介元の求めに応じ、患者同意のもとで診療状況を示す文書を提供する場面が基本線です(細かな施設基準・対象類型の枝分かれがあります)。
セカンドオピニオン支援=診療情報提供料(II)(B010)
患者の要望で他医の意見を求める(セカンドオピニオン支援)として整理されるのが、診療情報提供料(Ⅱ)で、現行点数は 500点 です。
紹介状(I)と同じ「情報提供」でも、目的と算定対象が違うため、院内の受付フロー(自費セカンドオピニオンとの切り分け等)を決めておくと混乱が減ります。
受け取った電子情報を評価=電子的診療情報評価料(B009-2)
逆紹介や病診連携の「受け手側」で見落とされやすいのが、電子的に閲覧・受信した主要情報を診療に活用した場合の評価(現行 30点)です。
地域の共有システムや連携ネットワークを使っている場合、算定対象の要件に合致しているか、運用(閲覧ログ・活用記録)まで落としておく価値があります。
病診連携の評価を比較:点数・用途・回数制限の一覧
| 区分(現行) | 点数 | 典型シーン | 回数・頻度の考え方(要点) |
|---|---|---|---|
| 診療情報提供料(Ⅰ)(B009) | 250点 | 紹介状(紹介先へ診療情報提供) | 原則、紹介先ごとに患者1人「月1回」などの制限 |
| 診療情報提供料(Ⅱ)(B010) | 500点 | セカンドオピニオン支援の情報提供 | 患者1人「月1回」などの制限 |
| 連携強化診療情報提供料(B011) | 150点 | 返書・逆紹介に近い連携文書提供 | 患者1人「月1回」などの制限(施設基準等で枝分かれ) |
| 電子的診療情報評価料(B009-2) | 30点 | 受け取った主要情報を電子的に閲覧・受信して活用 | 対象患者・活用要件に注意 |
| 検査・画像情報提供加算等(B009注の加算) | 30点/200点 等 | 画像・検査等の主要情報を電子的に提供(退院時など) | 退院患者と外来患者で点数が異なる |
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迷いやすいケース別チェック:算定可否をStepで判断
Step 1: 目的を確定する(紹介か、返書か、セカンドオピニオン支援か)
紹介先での診療が必要なら、まず診療情報提供料(Ⅰ)の領域です。
紹介元への結果返し・経過返しなら、連携強化診療情報提供料等の領域に寄ります。
患者の要望で他医の意見を求める支援なら、診療情報提供料(Ⅱ)が候補になります。
Step 2: 提供先と「患者の同意」を確認する
算定の前提として、提供先(医療機関、介護/福祉、薬局など)がどこかを確定し、患者の同意を取得します。
同意取得が運用で曖昧だと、算定の継続性が崩れます(受付・看護・医師のどこで取るかを統一)。
Step 3: 回数制限と同月算定の制約を確認する
多くの項目は「患者1人につき月1回」などの頻度制限があります。
さらに、同一月に同一提供先へ同種の評価を重ねて算定できない整理が入る項目もあるため、レセプト前点検で「同月・同一提供先・同一患者」をキーに突合するのが現実的です。
Step 4: 添付情報の粒度を決める(検査・画像・退院時要約など)
病診連携の質を上げる観点では、退院時要約や検査・画像情報の添付が重要です。
ただし「添付したから必ず加算」ではなく、退院月/翌月などの要件、電子提供の形式要件などが絡むため、院内の標準セット(退院時要約+直近検査+画像所見など)を定め、実装と算定要件を揃えます。
よくある質問
Q: 紹介状(診療情報提供書)を書けば必ず250点(診療情報提供料I)になりますか?
A:
いいえ。紹介の必要性判断、患者同意、診療状況を示す文書の添付、回数制限(例:紹介先ごとに月1回など)といった要件を満たす必要があります。テンプレ運用だけでなく、同意取得と提供先の管理が重要です。Q: 逆紹介(返書)はどの点数で見るのが実務的ですか?
A:
実務では、紹介元からの求めに応じた情報提供として「連携強化診療情報提供料(現行150点)」が整理の起点になります。患者を戻す運用(予約・フォロー方針)と、返書のタイミングを標準化すると算定の安定性が上がります。Q: 2026年(令和8年度)改定で、紹介・逆紹介の点数は必ず変わりますか?
A:
変わるとは限りません。2026年6月施行予定で改定が動くため、個別点数・要件は告示・通知で確定します。現時点では、現行の点数表で取り漏れをなくし、改定後に差分を当てる設計が安全です。まとめ
- 2026年(令和8年度)改定は2026年6月施行予定で、個別点数は告示・通知で確定していく
- 紹介状の基本は診療情報提供料(Ⅰ)(現行250点)で、同意・文書・回数制限が核
- 逆紹介(返書)は連携強化診療情報提供料(現行150点)を起点に、運用を標準化すると安定する
- セカンドオピニオン支援は診療情報提供料(Ⅱ)(現行500点)で、目的の切り分けが重要
- 検査・画像の電子提供や退院時の情報添付は評価が分かれるため、テンプレと運用ログを整える
参照ソース
- 厚生労働省「別表第一 医科診療報酬点数表」: https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251499.pdf
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 厚生労働省「診療報酬改定について(令和7年12月24日)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001620952.pdf
- 厚生労働省「診療報酬情報提供サービス」: https://shinryohoshu.mhlw.go.jp/
この記事を書いた人

辻 勝
会長税理士
税理士 / 行政書士
税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。
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