
執筆者:辻 勝
会長税理士
診療報酬改定2026泌尿器科|前立腺・排尿検査点数|税理士法人解説

診療報酬改定2026 泌尿器科の結論(前立腺・排尿機能検査)
結論から言うと、2026改定(令和8年度改定)は「令和8年6月施行」とされており、泌尿器科で頻出の排尿機能検査(残尿測定・尿流測定・尿水力学的検査)は、少なくとも現時点で公開されている中医協資料(個別改定項目)では“点数改定の対象として明示されていません”。一方で、前立腺領域は「前立腺針生検」など周辺の包括評価(短期滞在手術等基本料の対象)で議論が示されており、実施形態(外来算定か、包括の対象か)で影響が分かれる可能性があります。
現場で大事なのは、今の点数を押さえたうえで、2026年の正式な「点数表(告示)」「留意事項通知」が出たタイミングで差分を機械的に洗い出す運用です。この記事では、泌尿器科クリニックの実務に寄せて整理します。
泌尿器科の「前立腺検査」とは(点数が絡む範囲)
「前立腺検査」と一口に言っても、保険請求上は大きく次のレイヤーに分かれます。
- スクリーニング(例:PSA等の検体検査)
- 画像(例:前立腺エコー、MRI等)
- 確定診断のための検体採取(例:前立腺針生検)
このうち、泌尿器科クリニックで点数インパクトが出やすいのは「生検」と、その実施形態(外来での出来高か、短期滞在手術等基本料などの包括か)です。
D413 前立腺針生検法(令和6年点数の整理)
令和6年(直近の点数表)では、前立腺針生検法(D413)は区分があり、代表的には次の点数です。
- D413「MRI撮影及び超音波検査融合画像によるもの」:8,210点
- D413「その他のもの」:1,540点
また、実施には施設基準・対象患者などの要件が付く区分があるため、算定可否は点数だけでなく運用要件まで含めて確認が必要です。
排尿機能検査とは(残尿測定・尿流測定・尿水力学的検査)
泌尿器科の「排尿機能検査」で、外来レセプトに頻出しやすいのは次の2系統です。
- 残尿評価:D216-2 残尿測定検査
- 机上の尿流だけで終わらない精査:D242 尿水力学的検査(膀胱内圧、尿道圧、尿流測定、括約筋筋電図)
D216-2 残尿測定検査(令和6年点数)
令和6年点数表では、残尿測定検査は方法で点数が分かれます。
- 1 超音波検査によるもの:55点
- 2 導尿によるもの:45点
- 注:患者1人につき月2回に限り算定
この「月2回上限」は、慢性疾患フォローの頻回測定や、処方日数が長い患者の定期チェックで超過しやすいポイントです。測定回数の管理は、医師の意図とレセプト運用がズレやすいので注意してください。
D242 尿水力学的検査(令和6年点数)
尿水力学的検査(D242)は、実施した検査内容ごとに点数が設定されています。
- 1 膀胱内圧測定:260点
- 2 尿道圧測定図:260点
- 3 尿流測定:205点
- 4 括約筋筋電図:310点
泌尿器科では「尿流測定=D242の一部」として整理されることが多く、残尿(D216-2)と同日に実施するケースもあるため、院内の検査プロトコルと算定ルールをセットで運用するとミスが減ります。
2026改定で点数はどう変わる?(現時点での公表範囲)
2026改定の“確定点数”は、最終的に告示・通知で確定します。ただし、中医協の「個別改定項目」資料(令和8年1月時点)を読むと、泌尿器科周辺では次の読み取りができます。
- 排尿機能検査(D216-2、D242)は、少なくとも当該資料上で改定対象として明示されていない
- したがって「点数据え置きの可能性が高い」とは言える一方、最終確定までは断定できません。
- 前立腺領域は、短期滞在手術等基本料の対象手技の並びの中で、前立腺針生検法(D413)が掲載されている
- ただし、資料上は改定案点数が伏せ字(●●点)で、点数の確定値は未公表です。
点数の整理(令和6年 → 2026改定の見え方)
少なくとも“現時点での実務”として、院内で共有しやすい形に落とすと次の表になります。
| 項目(区分番号) | 令和6年点数(現行) | 2026改定(現時点の公表資料ベース) | 実務上の見どころ |
|---|---|---|---|
| 残尿測定検査(D216-2) | 超音波55点/導尿45点 | 個別改定項目で明示なし(据え置きの可能性) | 月2回上限の運用管理 |
| 尿水力学的検査(D242) | 膀胱内圧260点、尿道圧260点、尿流205点、筋電図310点 | 個別改定項目で明示なし(据え置きの可能性) | 検査の組み合わせとオーダー設計 |
| 前立腺針生検法(D413) | 融合画像8,210点/その他1,540点 | 個別改定項目では包括側の並びに登場(点数は伏せ字) | 外来出来高か包括対象かで影響が分岐 |
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泌尿器科クリニックの改定対応手順(点数確認・算定整備)
改定時のトラブルは「知識不足」より「更新作業の手順が曖昧」なことが原因になりがちです。税理士法人 辻総合会計では、クリニックの月次を見ながら、改定時は次の順番で差分を潰すことが多いです。
Step 1: 影響範囲を“コード”で棚卸しする
D216-2、D242、D413のように、院内で使う区分番号を先に固定し、過去3か月分の算定回数・算定日・併算定を一覧化します。
Step 2: 「点数表(告示)」で点数差分を確認する
最終確定は告示の点数表です。中医協資料は方向性把握、確定は告示と割り切ると混乱が減ります。
Step 3: 「留意事項通知」で算定要件の差分を拾う
点数が据え置きでも、算定回数・対象患者・摘要記載などの運用が変わることがあります。ここを落とすと返戻・査定の温床になります。
Step 4: 院内マニュアルを1ページで更新する
検査ごとに「誰が」「何を見て」「どこに記録するか」を固定します。例として、残尿は月2回上限があるため、検査実施時に“当月回数”を一目で分かる運用にするだけでも効果があります。
クリニック経営への影響(泌尿器科は「検査の組み合わせ」で粗利が動く)
泌尿器科は、検査(残尿・尿流・尿水力学・画像)と治療(投薬・処置)の組み合わせで外来の単価が決まりやすい診療科です。点数が大きく変わらなくても、次の要因で収益は動きます。
- 上限回数の遵守が厳格化すると、実施しても請求できない検査が増える
- 包括評価の対象範囲が見直されると、出来高で積み上げていた部分が包括に吸収される
- 摘要記載の要件強化で、記載漏れが返戻・査定につながる
ケーススタディ(匿名)
例えば、月の外来患者が延べ1,200人規模の泌尿器科で、残尿測定(D216-2)を“処方更新のたびにルーチン”で入れている運用だと、月2回上限を超えた測定が発生しやすく、算定漏れや返戻が積み上がります。
この場合、検査を減らすのではなく、「どの患者群に、どの頻度で必要か」をプロトコル化し、算定可能な範囲で医療の質と収益性を両立させるのが現実的です。
よくある質問
Q: 診療報酬改定2026はいつ施行ですか?
A:
厚労省の資料では、令和8年度の診療報酬は「令和8年6月施行」とされています。薬価等は別途の施行時期が示されています。Q: 残尿測定(D216-2)は同じ月に何回まで算定できますか?
A:
令和6年点数表では「患者1人につき月2回に限り算定」とされています。ルーチン運用の場合は上限超過に注意が必要です。Q: 尿流測定は単独の区分番号ですか?
A:
令和6年点数表では、尿流測定は尿水力学的検査(D242)の「3」として205点が設定されています。院内のオーダー名称と区分番号の対応を明確にすると安全です。Q: 2026改定の“新しい点数”はどこで確定確認できますか?
A:
最終的には厚労省告示の点数表と留意事項通知で確定します。中医協の個別改定項目資料は、方向性把握に有用ですが、点数が伏せ字の段階では確定値として扱えません。まとめ
- 診療報酬改定2026(令和8年度改定)は、厚労省資料で令和8年6月施行と示されている
- 排尿機能検査(D216-2、D242)は、現時点の個別改定項目資料では改定対象として明示されていない
- 前立腺領域は、短期滞在手術等基本料の並びでD413が示されるなど、実施形態次第で影響が分かれる可能性がある
- 改定対応は「コード棚卸し→告示で点数確認→通知で要件確認→院内1ページ運用」に落とすと事故が減る
- 収益影響は点数差だけでなく、上限回数・摘要記載・包括対象の見直しで出やすい
参照ソース
- 厚生労働省「診療報酬改定について(令和7年12月24日)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001620952.pdf
- 厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第645回) 議事次第」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69484.html
- 厚生労働省「個別改定項目について(その2)(第645回総会資料)」: https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001643628.pdf
- 厚生労働省「別表第一 医科診療報酬点数表(令和6年)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251499.pdf
この記事を書いた人

辻 勝
会長税理士
税理士 / 行政書士
税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。
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