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クリニック向けコラム
作成日:2026.01.24
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

青色申告と白色申告の違い徹底比較|65万円控除を税理士監修

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青色申告と白色申告の違い徹底比較|65万円控除を税理士監修

青色申告と白色申告の違いとは?結論から整理

青色申告と白色申告の違いは、「税務上の特典がある代わりに、事前申請と帳簿のルールが厳しいかどうか」です。白色申告は原則として事前申請不要で始めやすい一方、税務上の上乗せメリットは限定的です。

一方、青色申告は、所定の手続きを行い、帳簿を整えて申告することで、青色申告特別控除(最大65万円)などの優遇を受けられます。節税だけでなく、経営管理の精度を上げたい個人事業主にも向きます。

税理士法人 辻総合会計では、開業初年度の個人事業から、複数拠点運営の事業まで幅広く支援してきました。現場感として多いのは「最初は白色で良いと思ったが、利益が出てから青色に切り替えたい」という相談です。切替は可能ですが、申請期限と帳簿の準備がボトルネックになりがちです。

【比較表】青色申告と白色申告の違いを徹底比較

青色と白色は「どちらが得か」ではなく、「どのレベルの管理と手続きを受け入れられるか」で選ぶのが合理的です。

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項目青色申告白色申告
事前手続青色申告承認申請書の提出が必要原則不要
帳簿の要件65万/55万控除は原則「正規の簿記(複式簿記)」+決算書類添付記帳・保存義務あり(簡易な記帳が中心)
青色申告特別控除10万・55万・65万円の区分ありなし
赤字の取扱い損失の繰越等の特典がある(要件あり)原則として特典なし
実務負担会計ソフト前提なら効率化しやすい手作業でも可能だが、後から整合性を取る負担が出やすい
向いている人利益が出る見込み/融資や管理を重視/将来法人化も視野まずは小さく開始/利益が小さい/管理負担を最小化したい
ここがポイント
白色申告でも「記帳・帳簿等の保存」は必要です。白色だから“何もしなくてよい”という意味ではありません(収支内訳書の添付なども含め、一定の実務は発生します)。

青色申告のメリット:節税だけでなく“数字が見える化”する

青色申告 メリットとして分かりやすいのは、青色申告特別控除による所得控除です。控除は所得から差し引けるため、利益が出るほど税率面の効果が出やすくなります。

ただ、実務での本質は「月次で数字を把握できる」点にあります。複式簿記で収支を整理すると、利益率や固定費の構造が見え、値付け・広告投資・人件費の判断が速くなります。

例えば、同じ売上でも「外注費が増えて粗利が落ちている」「在庫回転が悪い」など、税金以前に経営課題が早期に発見できます。結果として、節税+経営改善の両方に波及するケースが多いです。

青色申告65万円控除の条件:3つを満たすと最大化できる

青色申告 65万円控除 条件は、整理すると次の3つです。いずれかが欠けると、55万円や10万円に下がる可能性があります。

条件1:複式簿記で記帳し、決算書類を添付する

65万円控除の前提として、55万円控除の要件を満たす必要があります。具体的には、取引を正規の簿記(一般に複式簿記)で記帳し、その記帳に基づく貸借対照表・損益計算書等を確定申告書に添付します。

会計ソフトを使えば、仕訳入力から決算書作成までを一気通貫で行えます。手書きや表計算でも可能ですが、誤り訂正や証憑突合に時間がかかりやすい点には注意が必要です。

条件2:確定申告期限までに申告する

65万円控除(55万円控除も同様)は、原則として申告期限(通常は翌年3月15日)までに提出する必要があります。期限後申告になると、控除が受けられないリスクが高まります。

「還付申告だから遅れても大丈夫」と誤解されがちですが、65万円・55万円控除は期限内提出が前提になります。スケジュールは早めに確保してください。

条件3:e-Tax提出または優良な電子帳簿保存を行う

65万円に上げるための追加条件は、次のいずれかです。

  • e-Taxを使用して、期限内に申告書・決算書類等を提出する
  • 仕訳帳・総勘定元帳について、電子帳簿保存(優良な電子帳簿の要件など)を満たして保存する

実務上は「e-Taxで期限内提出」を選ぶ方が多い印象です。電子帳簿保存を選ぶ場合は、運用設計(要件充足・届出等)が必要になるため、導入前に要件確認を推奨します。

ここがポイント
65万円控除は「青色なら自動的に65万円」ではありません。多い落とし穴は、複式簿記はできているのに“紙提出”で55万円止まり、または期限後申告で控除そのものが使えないケースです。

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青色申告にする方法:申請から運用までの手順

青色申告は「やる」と決めたら、申請と帳簿のセットで準備するとスムーズです。

Step 1: 青色申告承認申請書を期限内に提出する

原則として、青色申告をしようとする年の3月15日までに提出します。新たに事業を開始した場合などは「開始日から2か月以内」といった別ルールがあるため、開業タイミングに応じて確認してください。

Step 2: 会計処理のルールを決める(複式簿記の運用)

勘定科目、摘要ルール、領収書・請求書の保存方法、現金・口座の管理などを整備します。最初にルールを決めると、後からの修正が減ります。

Step 3: e-Taxで期限内提出できる体制にする

65万円控除を狙う場合は、e-Tax提出の動線(マイナンバーカード、利用者識別番号、会計ソフト連携等)を早期に確保します。申告直前の設定はトラブルが起きやすいため、1〜2か月前倒しが安全です。

どちらを選ぶべき?判断の目安とよくあるケース

最適解は「利益規模」と「管理体制」で変わります。目安としては次の通りです。

  • 利益が年間で一定以上見込める、または今後伸ばしたい:青色申告が有利になりやすい
  • 事業が小さく、まずは継続できる形を優先したい:白色申告で開始し、翌年から青色へ段階移行も現実的
  • 融資・補助金・外部委託を視野に入れる:数字の整合性が求められるため青色が相性良い

当法人の支援現場では、開業直後は忙しさで記帳が後回しになり、結果として期限後申告や資料不足につながるケースが見られます。青色を選ぶなら、最初から「月次でためない」運用に寄せることが重要です。

よくある質問

Q: 青色申告は途中から切り替えできますか? ▼

A:

可能です。ただし、青色申告を適用したい年に対して、青色申告承認申請書の提出期限があります。開業時期によって期限が異なるため、早めに確認して準備してください。
Q: 65万円控除の「3つの条件」を満たせないとどうなりますか? ▼

A:

追加要件(e-Tax提出または優良な電子帳簿保存)を満たせない場合、55万円控除となる可能性があります。さらに、複式簿記や期限内提出などの要件を満たさない場合は、10万円控除となることがあります。
Q: 白色申告なら帳簿は不要ですか? ▼

A:

不要ではありません。白色申告者にも記帳と帳簿書類の保存が求められます。収入・経費を説明できる形で整理しておくことが重要です。
Q: 会計ソフトがないと青色申告は難しいですか? ▼

A:

不可能ではありませんが、複式簿記・決算書作成・証憑管理の手間を考えると、会計ソフトの活用が実務的です。e-Tax提出まで含めて設計すると、65万円控除の要件充足にもつながります。

まとめ

  • 青色申告は特典が多い一方、申請と帳簿要件がある。白色申告は開始しやすいが上乗せメリットは限定的
  • 青色申告65万円控除は「複式簿記+決算書添付」「期限内申告」「e-Tax提出または優良な電子帳簿保存」の3条件が要点
  • 白色申告でも記帳・保存義務があり、“何もしなくてよい”わけではない
  • 迷う場合は、利益見込みと管理体制で判断し、段階的に青色へ移行する選択肢もある
  • 個別の状況(業種、取引量、家事按分、電子帳簿保存の運用など)により最適解は変わるため、専門家へ相談すると安全

免責事項 本記事は一般的な制度説明であり、個別事情により取扱いが異なる場合があります。申請・申告の最終判断は、最新の公表情報をご確認のうえ、必要に応じて税理士等へご相談ください。


参照ソース

  • 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
  • 国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
  • 国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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