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クリニック向けコラム
作成日:2026.01.15
更新日:2026.01.15
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

時間外対応加算の算定要件と届出|税理士が解説

9分で読めます
時間外対応加算の算定要件と届出|税理士が解説

時間外対応加算とは、標榜時間外の電話等の問い合わせに対応する体制を整え、患者に周知している診療所を評価する加算です。夜間対応を「やっているのに評価されない」背景には、届出・周知・連携の設計が要件に合っていないケースが少なくありません。院長にとっては負担が増えやすく、事務側にとっては運用が曖昧になりやすい点が問題です。この記事では、時間外対応加算の算定要件(施設基準)と届出の流れを、クリニック実務の観点で整理します。

時間外対応加算とは(時間外加算との違い)

時間外対応加算は「夜間・休日に診療した」ことへの評価ではなく、電話等での問い合わせに応じる体制を整備し、患者へ周知していることを評価する仕組みです。
一方で「時間外加算(診療行為に付く加算)」は、実際に時間外に診療した場合の算定であり、趣旨が異なります。

混同しやすいポイントは次のとおりです。

  • 時間外対応加算:電話等での相談・問い合わせ対応体制の整備と周知(届出が前提)
  • 時間外加算:時間外に実際の診療を行った際に点数表のルールで算定(届出とは別の論点)
ここがポイント
時間外対応加算は「夜間に診療する体制」ではなく、「夜間に相談・問い合わせに応じられる体制」を軸に評価されます。院内掲示や診察券記載など、周知の証跡が弱いと指摘対象になりやすい点に注意してください。

時間外対応加算の施設基準(算定要件)を整理

時間外対応加算は1〜4があり、基本の考え方は共通です。まず通則として、診療所であること、標榜時間外の問い合わせに応じる体制を整備し、対応者・緊急時の対応体制・連絡先等を院内掲示や文書配布、診察券記載などで患者に周知していることが求められます。

時間外対応加算1の施設基準

継続受診患者からの電話等の問い合わせに対し、原則として当該診療所で常時対応できる体制であることが要点です。加えて、やむを得ず応答できなかった場合でも、速やかにコールバックできる体制が必要です。
運用上は「転送」「留守録+折り返し」など、実際に回る仕組みが要件に沿っているかを点検します。

時間外対応加算2の施設基準

加算2は、標榜時間外の夜間の数時間について原則として当該診療所で対応できる体制を求めつつ、応答できなかった場合の速やかなコールバック体制も必要です。
また、休診日・深夜・休日等は留守番電話等で地域の救急医療機関等の連絡先案内を行うなど、対応に配慮する取扱いが示されています。

時間外対応加算3の施設基準(連携型)

複数の診療所による連携で対応する体制を構築する類型です。当番日は夜間の数時間は原則として当番診療所が対応し、応答できない場合の速やかなコールバックも必要です。
当番日以外の深夜・休日等は、留守番電話等で当番診療所や救急医療機関等を案内するなどの配慮が求められます。さらに、連携する診療所の数は最大3つまでという上限があります。

時間外対応加算4の位置づけ(輪番・連携の考え方)

加算4は、連携(輪番)により対応する設計を前提に、連携医療機関数などの条件を整理して届出書に記載する運用が想定されます。特に、輪番により連携する医療機関数が3以下であること、連携体制や診療情報の共有方法等を備考欄で具体化することが届出書側で求められます。
加算3と同様に「実際に回る夜間導線」を先に作り、届出書の記載で一致させるのが実務上の近道です。

加算1〜4の違いを比較(どれを選ぶべきか)

どの区分を選ぶかは、「自院で常時対応できるか」「夜間の数時間は自院で持てるか」「連携で回すか」で決まります。目安を比較表で整理します。

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区分夜間対応の設計イメージ主なキーワードつまずきやすい点
加算1原則、標榜時間外も当該診療所で常時対応常時対応、速やかにコールバック転送・折返しが属人的で記録が残らない
加算2夜間の数時間は当該診療所で対応+深夜/休日は案内等で配慮夜間の数時間、留守番電話案内「数時間」の運用が曖昧で周知が弱い
加算3連携する複数診療所で当番制(最大3診療所)連携、当番日、最大3当番表・案内文書の更新漏れ
加算4輪番等の連携で対応(連携数等を具体記載)輪番、連携医療機関数、備考記載連携内容が抽象的で届出書と実態が不一致

届出(施設基準届出)の流れと実務チェック

時間外対応加算は、算定開始前に施設基準の届出が必要です。届出実務は地域(地方厚生局・都県事務所)により案内が分かれるため、基本は「管轄の地方厚生(支)局の届出一覧」を起点に進めます。

届出で使う主な様式

  • 基本診療料の施設基準に係る届出書(別添7)
  • 時間外対応加算に係る届出:別添7の様式2(時間外対応加算)

あわせて、添付書類(様式2:時間外対応加算の施設基準に係る届出書添付書類)で、標榜診療科、標榜診療時間、応答できない場合の体制(転送・留守録後折返し等)、連携医療機関、患者への周知方法などを整理します。

届出のステップ(クリニック向け)

Step 1: 体制設計(運用を先に固める)

  • 連絡先(代表番号/専用番号)と夜間導線(転送・当番・留守録)を決める
  • 応答できない場合の「速やかなコールバック」ルールを決める(時間目安、担当者、記録方法)

Step 2: 患者周知(掲示・文書・診察券)を整備する

  • 対応者、緊急時の対応体制、連絡先等を周知する
  • 周知媒体は複線化(院内掲示+配布文書など)し、差替え履歴を残す

Step 3: 届出書類を作成する(様式2+届出書)

  • 加算区分(1〜4)を確定し、標榜時間・職員数・連携医療機関等を記載
  • 加算4は備考欄に連携体制、診療情報共有方法、相手先の対応体制を具体化する

Step 4: 管轄へ提出し、控えを保管する

  • 提出方法(郵送・電子申請等)は管轄の案内に従う
  • 届出書・添付書類の写しを院内で保管し、運用と一致しているか定期点検する
ここがポイント
届出は「書類が揃っている」だけでなく、「書類の記載と現場の導線が一致している」ことが重要です。電話転送先の変更、当番表の更新、スタッフ入替があった場合は、周知物・運用記録・届出内容の整合を再点検してください。

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算定・運用で指摘されやすい注意点(現場目線)

夜間対応で加算を安定して取るには、次の3点を押さえると再現性が上がります。

  • 継続受診患者への対応設計:新患・一見の問い合わせをどこまで受けるかを院内ルール化し、説明文書に整合させる
  • 記録の残し方:留守録→折返し、転送→応答の有無など、最低限のログ(受付メモ、コール履歴)を残す
  • 連携先との取り決め:連携型(加算3・4)は、当番日・情報提供・対応範囲を文書化し、患者周知と一致させる

よくある質問

Q: 時間外対応加算は「夜間診療」をしていなくても算定できますか? ▼

A:

はい。時間外対応加算は夜間に実際に診療すること自体ではなく、標榜時間外の電話等の問い合わせに応じる体制を整備し、患者に周知していることが前提です。体制と周知、届出が揃っているかを確認してください。
Q: 「速やかにコールバック」の運用は、どこまで厳密に求められますか? ▼

A:

形式より実効性が重視されます。留守録対応にした場合でも、折り返しが遅れない仕組み(担当者・時間帯・記録)を作り、患者に説明できる状態にしておくことが重要です。
Q: 連携型(加算3・4)で、連携医療機関は何施設までですか? ▼

A:

連携による対応は上限が示されており、加算3では連携する診療所数が最大3つまでとされています。加算4でも輪番により連携する医療機関数が3以下であることを前提に、届出書で具体的に記載します。
Q: 届出後に電話番号や当番体制が変わった場合、どうすべきですか? ▼

A:

患者周知(掲示・配布文書・診察券記載)を先に更新し、院内の控え類と運用の整合を取り直してください。変更内容によっては再届出や追加の整理が必要になる場合があるため、管轄の案内に従って確認するのが安全です。

まとめ

  • 時間外対応加算は、標榜時間外の電話等の問い合わせ対応体制と患者周知を評価する加算
  • 加算1〜4は「自院で常時対応」か「夜間の数時間」か「連携・輪番」かで設計が分かれる
  • 届出は運用設計→周知整備→様式作成→提出・控え保管の順で進めると手戻りが少ない
  • 指摘の多くは「書類と実態の不一致」「周知の弱さ」「連携内容の曖昧さ」から発生する
  • 体制変更(番号・当番・連携)があれば、周知物と運用ログを含めて整合点検する

参照ソース

  • 厚生労働省「初・再診料の施設基準等(別添1)」: https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039464.pdf
  • 関東信越厚生局「基本診療料の届出一覧(令和6年度診療報酬改定)」: https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/shinsei/shido_kansa/shitei_kijun/kihon_shinryo_r06.html
  • 関東信越厚生局「時間外対応加算の施設基準に係る届出書添付書類(様式2)」: https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/r6-k02.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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