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クリニック向けコラム
作成日:2026.01.20
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

かかりつけ医機能報告制度とは?2025開始の届出義務|税理士が解説

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かかりつけ医機能報告制度とは?2025開始の届出義務|税理士が解説

かかりつけ医機能報告制度とは

かかりつけ医機能報告制度とは、病院・診療所が、自院の「かかりつけ医機能(地域で日常的な診療や予防等を担う機能)」の内容を都道府県知事へ報告し、住民・患者の医療機関選択に資する情報として公表・活用していく仕組みです。厚生労働省は、制度の目的を「地域で必要なかかりつけ医機能の確保」と「情報提供の強化」に置いています。

クリニック経営の現場では、「制度の内容は理解したが、実際に何を、いつ、どう報告すればよいか」が最大の論点になりがちです。本記事では、届出(報告)の義務として押さえるべき実務ポイントを、税理士の視点で整理します。

2025年に始まる背景(制度が狙うこと)

制度施行の背景には、慢性疾患を複数抱え、医療と介護の複合ニーズを持つ高齢者の増加があります。医療機関が個々に努力するだけでなく、地域で機能分担・連携を進めるために、まず「どの医療機関が何を担えるのか」を見える化する、という位置づけです。

いつから何が義務?報告対象とスケジュール

施行日と「最初の山場」

制度は令和7年4月1日(2025年4月1日)から施行されています。実務上の山場は、定期報告のタイミングです。厚労省のマニュアルでは、医療機関は「毎年1月から3月の間」に都道府県知事へ報告すると整理されています(運用は都道府県ごとに差があります)。

また、G-MISの操作編では、定期報告機能は令和8年1月1日(2026年1月1日)から利用可能とされています。つまり、施行は2025年4月、定期報告の本格運用は2026年1月以降、という時間差を意識して準備するのが現実的です。

ここがポイント
実際の提出依頼(案内メールや通知)の時期、締切日、紙提出の可否などは都道府県ごとに異なります。まずは、管轄自治体からの通知(メール・文書)を起点に院内スケジュールへ落とし込むことが重要です。

報告対象となる医療機関

厚労省の医療機関向けマニュアルでは、特定機能病院および歯科医療機関を除く、全ての病院・診療所が対象と明記されています。一般のクリニック(無床・有床を問わず)は、原則として対象に含まれると考えてよいでしょう。

報告内容のポイント:1号機能・2号機能と院内掲示/患者説明

かかりつけ医機能報告は、医療機関が「できること/実施していること」を報告し、都道府県が確認・公表し、地域協議の材料にする流れです。医療機関側の実施事項は、マニュアル上、次の3点として整理されています。

  • ①報告(定期報告:毎年1〜3月、原則G-MIS)
  • ②院内掲示(一定の医療機関は掲示が要件)
  • ③患者説明(一定の場合に説明が求められる)

ここで重要なのが、単にオンライン入力すれば終わりではなく、院内掲示と、患者・家族から求めがあったときの説明対応まで含めて「制度対応」だという点です。

1号機能と2号機能の考え方

マニュアルでは、報告対象のかかりつけ医機能を大きく「1号機能」と「2号機能」に区分しています。

  • 1号機能:日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能
  • 2号機能:時間外対応、入退院支援、在宅医療、介護連携など(複数項目)

実務上の理解としては、「まず1号機能としての体制・実施状況を示し、そのうえで2号機能に関する実績・対応状況を報告する」という構造です。マニュアル上、1号機能を有する医療機関では2号機能の報告も行う、と整理されています。

院内掲示と患者説明の位置づけ

院内掲示は、1号機能を有する医療機関の要件として、報告した内容の一定部分を掲示する必要があるとされています。G-MISで掲示用様式を出力できる旨も示されています。

患者説明は、概ね4か月以上継続して医療提供が見込まれる場合で、患者・家族から求めがあったときに治療計画等を説明する、という形で整理されています。ここは「説明の求めがあったとき」の対応設計(誰が、何を根拠に、どの書式で説明するか)を院内で決めておくと、現場負荷が下がります。

実務手順:G-MISでの報告の進め方

制度対応を「年1回の入力作業」と捉えると、毎年の繁忙期に事故が起きやすくなります。おすすめは、年末までに準備を終え、1〜3月は“確認と提出”に寄せる運用です。

Step 1: 管轄自治体の案内を確認する

都道府県からの定期報告依頼(メール・紙通知)を受領し、提出期限、対象期間、問い合わせ窓口を確認します。医療機関内で担当者を固定し、代理入力のルール(入力者・最終承認者)も決めます。

Step 2: G-MISのログイン情報と必要番号を準備する

マニュアルでは、G-MISのユーザ名・パスワードに加え、保険医療機関番号が必要とされています。これらが揃わないと入力が止まります。院内の共有方法(管理責任者、保管場所)を決め、退職・異動時の引継ぎも設計してください。

Step 3: 報告項目を事前に棚卸しする

1号機能・2号機能に関する「実施している/実施できる」項目は、実態に即して判断します。特に、時間外対応、在宅医療、介護連携などは、院内の運用実態(人員配置、連絡体制、書式)と齟齬が出やすい領域です。

Step 4: 提出後の「院内掲示」「患者説明」を運用に落とす

G-MISから掲示用様式を出力し、院内掲示の場所・更新担当・更新頻度を決めます。患者説明は、説明資料(治療計画の雛形等)を用意し、求めがあった際の対応フローをスタッフと共有します。

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医療機能情報提供制度との違い

かかりつけ医機能報告制度は、医療機能情報提供制度(いわゆる医療情報の公表制度)と同じく、都道府県への報告と公表を軸にしています。一方で、目的と報告内容の焦点が異なります。

←横にスクロールできます→
項目かかりつけ医機能報告制度医療機能情報提供制度
主目的地域のかかりつけ医機能の確保・機能の見える化住民・患者の医療機関選択支援(医療機関情報の提供)
対象病院・診療所(特定機能病院・歯科医療機関等は除外)病院等が都道府県知事へ報告(制度詳細は厚労省説明に基づく)
報告頻度年1回(毎年1〜3月が基本)+変更時定期報告:原則毎年1/1〜3/31の間で都道府県が設定(厚労省)
報告方法原則G-MIS令和6年1月からG-MISによるオンライン報告を開始(厚労省)
報告後の運用院内掲示・患者説明が実務論点公表サイト(医療情報ネット等)で住民に情報提供

両制度とも「都道府県への報告→公表」という流れですが、かかりつけ医機能報告制度は、院内掲示や患者説明まで含めて“院内運用”が問われやすい点が特徴です。

税理士としての留意点:院内体制・委託費用・監査対応

制度そのものは医療法領域ですが、実務は経営管理と密接に結びつきます。税理士として現場で相談が多い論点を3つ挙げます。

1. 人員体制と委託費用の見込み

時間外対応、在宅医療、介護連携などを「実施できる」と報告する以上、実態が伴わないと運用負荷・クレームリスクが高まります。必要に応じて、看護師配置、オンコール体制、連携先との契約などを見直し、追加コスト(外注費・人件費)を予算化します。

2. 収益(診療報酬)との混同を避ける

かかりつけ医機能報告制度は「点数を取るための届出」とは別軸です。制度対応を契機に院内体制を整えることは、結果として診療報酬上の算定要件整備につながることがありますが、まずは「報告内容と院内運用の整合性」を優先してください。

3. 記録の残し方(監査・指導対応を意識)

報告内容と院内運用が一致していることを説明できるように、最低限次の資料を残しておくと安全です。

  • G-MIS提出内容の控え(PDF等)
  • 院内掲示の内容・掲示日・更新履歴
  • 患者説明に用いた書式(治療計画、説明記録のテンプレート)
  • 連携先(訪問看護、介護事業者等)との連絡体制資料

よくある質問

Q: かかりつけ医機能報告制度は「届出しないと罰則がある」制度ですか? ▼

A:

医療機関は都道府県知事へ報告する枠組みとして整理されており、少なくとも「制度対応として報告が求められる」点は前提になります。実際の運用(督促、扱い、手続きの細部)は都道府県の案内に従う必要があるため、通知の受領後は期限と提出方法を必ず確認してください。
Q: 報告は紙でもできますか? ▼

A:

厚労省マニュアルでは「原則G-MISによる報告」とされています。例外的な取り扱いの有無は都道府県によって異なり得るため、紙提出の可否は管轄自治体へ確認するのが確実です。
Q: 院内掲示は必ず必要ですか? ▼

A:

マニュアルでは、1号機能を有する医療機関の要件として、報告した一定内容の院内掲示が必要と整理されています。G-MISから掲示用様式を出力できるため、掲示の運用(場所・更新担当)まで院内で決めておくとスムーズです。
Q: 医療機能情報提供制度の報告と一緒に対応できますか? ▼

A:

両制度ともG-MISでの報告が前提となるため、入力体制(担当者、ログイン管理、事前棚卸し)を統合すると効率化できます。医療機能情報提供制度は、定期報告が原則毎年1/1〜3/31の間で都道府県が設定するとされており、繁忙期が重なる点に注意してください。

まとめ

  • かかりつけ医機能報告制度は、病院・診療所が「かかりつけ医機能」を都道府県へ報告し、公表・地域協議に活用する制度
  • 施行は2025年4月1日、定期報告は毎年1〜3月が基本で、原則G-MISで提出
  • 医療機関側の実施事項は「報告・院内掲示・患者説明」の3点で、入力作業だけで終わらない
  • 医療機能情報提供制度と似ているが、院内掲示や説明対応まで含めて運用設計が重要
  • 期限直前の混乱を避けるため、年末までに報告項目の棚卸しと院内フロー整備を行う

参照ソース

  • 厚生労働省「かかりつけ医機能報告制度」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123022_00007.html
  • 厚生労働省「かかりつけ医機能報告マニュアル(医療機関用)」: https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001590091.pdf
  • 厚生労働省「医療機能情報提供制度について(医療機関向けページ)」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35867.html
  • 厚生労働省「医療法第三十条の十八の四第一項に規定する…(概要)」: https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001503943.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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