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クリニック向けコラム
作成日:2026.05.10
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

クリニック有給休暇5日義務|シフト管理の実務

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有給休暇5日義務はシフト表だけでは管理できない

クリニックの有給休暇5日義務とは、年10日以上の年次有給休暇が付与されるスタッフについて、使用者が年5日を確実に取得させる必要がある制度です。2026年5月11日時点でも、厚生労働省は年次有給休暇の確実な取得を働き方改革の重要項目として説明しています。

院長にとって悩ましいのは、休ませたいけれど診療を止められないことです。受付、会計、レセプト、採血、検査補助など、少人数で回すクリニックでは1人の休みが診療体制に直結します。有給休暇は福利厚生ではなく、シフト設計と人件費管理のテーマとして扱う必要があります。

税理士法人 辻総合会計グループでは、有給取得日数だけでなく、代替勤務、パート比率、残業代、採用予算への影響を月次の数字で確認します。社労士の労務判断と連携しながら、院長が診療体制を崩さず運用できる資料づくりを重視します。

ここがポイント
この記事は2026年5月11日時点の公的資料をもとに、クリニック経営者向けに整理しています。実際の付与日数、比例付与、時季指定、就業規則の定めは個別の雇用契約と勤務実態により確認してください。
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年5日取得義務の対象者を確認する

年5日取得義務は、正社員だけの話ではありません。週所定労働日数や勤続期間に応じて、パートスタッフにも年次有給休暇が付与される場合があります。クリニックでは、看護師、医療事務、受付、助手など勤務日数が異なるため、対象者を一覧化しないと漏れが起きやすくなります。

特に注意したいのは、扶養内勤務、午前だけ勤務、週3日勤務などのスタッフです。勤務日数が少ないから対象外と決めつけるのではなく、付与日数と年5日義務の有無を分けて確認します。

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確認項目見る資料院長が見るべき点
入職日雇用契約書、台帳付与基準日が人ごとに違う
週所定日数シフト、雇用契約比例付与の対象にならないか
取得済日数勤怠、有給管理簿年5日に足りない人がいないか
代替体制シフト表休みが特定職種に集中していないか

有給管理簿とシフト表を分けて運用する

有給休暇の管理をシフト表だけで済ませると、いつ付与され、何日残り、年5日をいつまでに取得させるべきかが分かりにくくなります。厚生労働省資料でも、年次有給休暇管理簿を作成し、基準日、日数、時季を管理する考え方が示されています。

クリニックでは、毎月のシフト作成時に有給残日数を確認する流れを作ると実務が安定します。たとえば、付与月から3か月以内に1日、繁忙期を避けて計画的に2日、年度後半で残りを調整する、といった院内ルールを決めます。

年末や年度末にまとめて休ませる運用は、診療体制と残業代の両方を悪化させることがあります。早めに分散取得する方が、患者対応にもスタッフ満足にもつながります。

クリニックで有給を取りやすくする手順

Step 1: 対象者一覧を作る

正社員、パート、扶養内勤務者を分けず、全スタッフの入職日、週所定日数、付与日数、取得済日数を一覧にします。

Step 2: 職種別に代替可能業務を整理する

受付、会計、レセプト、採血、検査補助など、誰が代替できるかを見ます。属人化した業務があると、有給取得のたびに診療が止まりやすくなります。

Step 3: 月次シフトに取得予定を組み込む

有給希望を聞くだけでなく、取得不足者には早めに候補日を提示します。時季指定の運用は、労務面の確認をしたうえで行います。

Step 4: 人件費と残業の変化を見る

有給取得日に代替勤務や残業が増える場合、単に休めているだけではありません。辻総合会計グループでは、給与計算と月次試算を並べ、有給運用が人件費率に与える影響を確認します。

有給取得とスタッフ定着をつなげる視点

有給が取りにくい職場は、採用時の魅力が下がり、定着にも影響します。ただし、全員の希望をそのまま受けるだけでは、診療体制が崩れます。院長が作るべきなのは、休みにくい雰囲気ではなく、休んでも回る業務設計です。

具体的には、受付締め作業を標準化する、レセプト点検を複数人で分担する、繁忙曜日に休みが集中しないルールを作る、パートの勤務時間を少しずつずらす、といった工夫が考えられます。

有給取得は、税務上の損金や給与計算だけで完結しません。休暇、残業、採用、教育を一体で管理することが、少人数クリニックの現実的な労務管理です。

よくある質問

Q: パートスタッフも年5日取得義務の対象になりますか? ▼
年10日以上の年次有給休暇が付与される場合は対象になります。週所定労働日数や勤続期間により異なるため、スタッフごとに確認します。
Q: 有給を買い取れば年5日取得義務を満たせますか? ▼
原則として取得させる制度です。買い取りで代替する発想は避け、実際に休めるシフト設計を優先します。
Q: 有給管理は誰が担当すべきですか? ▼
勤怠・給与担当だけに任せず、院長または事務長が月次で不足者を確認する運用が安全です。社労士と就業規則や時季指定の扱いも確認します。
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まとめ

  • 年5日取得義務は、正社員だけでなく一部のパートスタッフにも関係します。
  • シフト表だけでなく、有給管理簿で付与日、取得日、残日数を管理します。
  • 有給取得を年度末に集中させると、残業や患者対応に影響します。
  • 税理士法人 辻総合会計グループでは、有給取得、代替勤務、残業代、人件費率を月次で整理し、休める体制づくりを支援します。

有給取得を採用・定着の材料にする

有給休暇の取りやすさは、求人票に大きく書くだけでは意味がありません。実際に休めているか、急な休みに対応できるか、取得が特定のスタッフだけに偏っていないかを説明できる状態が重要です。看護師や医療事務は、給与だけでなく勤務の予測可能性を見ています。

たとえば、入職後6か月時点で付与される日数、希望休との関係、土曜日勤務者の取得方法、レセプト時期の取得制限、急な家庭事情への対応を整理しておくと、面接時の説明にも使えます。既存スタッフにとっても、ルールが見えることで不公平感が減ります。

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採用・定着で効く項目院内で準備する資料数字で見る指標
有給取得のしやすさ有給管理簿、取得予定表取得率、未取得者数
休みの公平感希望休ルール、繁忙期ルール特定スタッフへの偏り
代替体制業務分担表、引継ぎ表休暇日の残業時間
人件費への影響月次試算、給与明細残業代、代替勤務コスト

辻総合会計グループでは、有給運用をスタッフ満足だけでなく、採用費や紹介料の削減にもつなげて考えます。休める職場は、採用後の早期離職を防ぎやすく、結果として教育コストを抑える効果があります。

院長が避けたい運用ミス

よくあるミスは、取得義務の期限が近づいてからまとめて休ませることです。年度末や繁忙期に休みが集中すると、残ったスタッフの残業が増え、結局は人件費と不満が増えます。もう一つのミスは、パートスタッフを対象外だと思い込むことです。勤務日数によって比例付与されるため、対象者の確認が欠かせません。

また、院長や事務長が口頭で有給を調整しているだけでは、後から確認しにくくなります。希望日、取得日、残日数、時季指定の有無を残すことで、給与計算や労務確認がスムーズになります。

有給管理は、スタッフを休ませるための事務ではなく、少人数診療を止めないための計画表です。毎月のシフト作成時に有給残日数を見れば、年度末の混乱を減らせます。

公開前に院長が確認したいチェックリスト

有給休暇の記事を読んだあとに確認したいのは、取得日数だけではありません。誰がいつ付与され、何日残っており、年5日の取得義務まで何日不足しているかを一覧化します。特にパートスタッフは勤務日数により付与日数が異なるため、正社員だけの表では不十分です。

次に、休暇日の診療体制を確認します。有給を取った日に別スタッフの残業が増えているなら、休暇取得はできていても運用は安定していません。代替勤務、教育、業務分担、採用計画を一緒に見直す必要があります。

  • 年10日以上付与されるスタッフの一覧
  • 年5日取得義務の不足日数
  • 有給取得日に増えた残業時間
  • 受付・会計・レセプトの代替可能者
  • 年度末に取得が集中していないか

このチェックを月次シフト作成時に行うと、取得義務の期限が近づいてから慌てる状況を避けられます。

専門家へ相談する前に準備する資料

有給休暇の運用を相談する前には、スタッフ別の入職日、週所定労働日数、付与日数、取得済日数、残日数、今後3か月のシフト表をそろえます。年5日取得義務の対象者と不足日数を一覧化しておくと、社労士への確認が具体的になります。

税理士へは、有給取得日に発生した代替勤務、残業代、採用費、教育コストへの影響を相談します。辻総合会計グループでは、有給管理を単なる勤怠事務ではなく、スタッフ定着と採用コスト削減につながる月次管理資料として整理します。


参照ソース

  • 厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」: https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf
  • 厚生労働省「確かめよう労働条件」: https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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