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クリニック向けコラム
作成日:2025.02.15
更新日:2026.01.02
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

開業医の補助金・助成金一覧|2025年版の探し方

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開業医の補助金・助成金一覧|2025年版の探し方

開業医が使える補助金・助成金は、「設備投資や業務改善にかかった費用の一部を補助する制度」と「雇用・賃上げ等の取組を支援する制度」に大別されます。問題は、制度が多く、募集時期や要件が毎年変わるため「自院が対象か」「いつ・何を出せばよいか」が分かりにくい点です。この記事では、2025年度(令和7年度)を想定し、クリニックで使いやすい制度の見つけ方と、申請で外しやすい実務ポイントを整理します。

開業医が使える補助金・助成金とは

補助金・助成金は似ていますが、実務では次のように捉えると整理しやすいです。

  • 補助金:公募(応募)型。審査・採択があり、事業計画(使い道の妥当性)が重視されます。交付決定前の発注が対象外になりやすい点が要注意です。
  • 助成金:要件(賃上げ、就業環境整備など)を満たすと支給される設計が多く、労務・就業規則・実績管理が重視されます。

また、国の制度に加えて、都道府県・市区町村の制度(設備導入、開業支援、感染症対策、DX等)もあります。制度を横断的に探すには、電子申請・検索の入口を押さえるのが近道です。

まず押さえる「探し方」:jGrantsで公募を俯瞰する

国・自治体の補助金等は、検索と電子申請を一体化した「jGrants」で整理して確認できます。クリニック向けに限らず、業種横断の公募が多いため、まずは以下の軸で絞り込むのが実務的です。

  • 目的:DX(予約/問診/会計)、省力化、感染対策、待ち時間短縮、採用・定着、賃上げ
  • 使途:ソフト/機器、内装・導線改善、広告・広報、研修、外部専門家
  • 申請主体:個人事業(院長)か、医療法人か
  • 対象条件:従業員数、賃上げ要件、最低賃金近傍か、就業規則整備状況

GビズID(電子申請の共通ID)が必要になる制度も多いので、「申請するかもしれない」と思った時点で取得準備を進めるとロスが減ります。

ここがポイント
制度名で探すより、「目的(例:待ち時間短縮、DX、賃上げ)」で探すほうが漏れが減ります。特に医療機関は“医業専用”ではなく、サービス業・中小企業枠に含まれる公募が該当するケースが多い点がポイントです。

クリニックで使われやすい代表例(2025年度想定)

ここでは「開業医が触る頻度が高い」観点で代表例を整理します。募集の有無・枠・要件は年度で変わるため、最終確認は必ず公募要領で行ってください。

販路開拓・集患・院内導線の改善:小規模事業者持続化補助金

小規模事業者等の販路開拓や生産性向上を支援する制度で、チラシ・Web・看板・広報物、導線改善に伴う一部経費などが論点になりやすい領域です。開業初期の「認知獲得」「予約導線の整備」「採用広報」など、投資の目的が明確な場合に検討余地があります。ポイントは、事業計画で「誰に、何を、どう改善し、どんな効果が出るか」を数字で説明することです。

賃上げに連動した設備投資:業務改善助成金

最低賃金の引上げに対応して、賃金引上げと生産性向上(設備投資等)をセットで支援する仕組みです。医療事務・看護助手等の人件費が上がる局面で、レジ・精算、受付、バックヤードの省力化投資を検討する際に候補になります。特に賃上げ要件と投資内容の整合が重要で、申請前の設計が成否を左右します。

労務管理・働き方の整備:働き方改革系の助成(制度の考え方)

労働時間管理、年休取得促進、就業規則整備、労務管理ソフト導入など、就業環境整備に絡む助成は、社労士領域のドキュメント整備が前提になります。制度の枠組みは「成果目標」と「対象取組」がセットで、実施→実績報告の流れを取ります。対象経費の範囲や“原則対象外”が細かいので、事前に要件確認が必須です。

補助金と助成金の違い:選び方を比較表で整理

「どれを見ればよいか」を迷う場合、まず種類で当たりを付けます。

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区分主な目的典型的な必要書類支給の流れクリニックの使いどころ
補助金(公募型)設備投資、DX、販路開拓事業計画、見積、体制図など採択→交付決定→実施→実績報告→精算予約/問診/会計のDX、院内導線改善、広報投資
助成金(要件型)賃上げ、労務改善、人材育成就業規則、賃金台帳、出勤簿等取組→要件充足→申請→支給賃上げ対応、省力化投資、働き方の整備
自治体制度地域政策に連動申請書・見積・事業報告自治体ごと開業支援、内装・設備、DX、感染対策など

結論として、開業医が最初に検討しやすいのは「DX/省力化」「賃上げ対応」「販路開拓(集患・採用)」の3軸です。まずは自院の課題をこの3つに分類すると、制度探索が早くなります。

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申請の方法・手順(実務の流れ)

制度ごとに差はありますが、実務フローは概ね共通です。ここを外すと“対象外”になりやすいため、順番を固定化してください。

Step 1: 目的と投資内容を1枚に整理する

待ち時間短縮、患者満足、レセプト・会計の省力化、採用強化など、目的を先に決めます。目的が曖昧だと、計画書が散漫になります。

Step 2: 対象要件を確認する(従業員数・申請主体・賃上げ要件)

個人か法人か、常勤・非常勤の数え方、最低賃金近傍か等で対象が変わります。助成金は労務書類の整合が最重要です。

Step 3: GビズIDを準備し、jGrantsで該当公募を探す

電子申請が必須・推奨の制度が増えています。GビズIDは取得に時間がかかる場合があるため、早めに動きます。

Step 4: 見積・仕様を固める(交付決定前に契約しない)

補助金は特に、交付決定前の契約・発注・支払が対象外になり得ます。ベンダー選定は“見積取得まで”に留め、契約はタイミング管理を徹底します。

Step 5: 実施・証憑管理→実績報告→精算

領収書、振込記録、納品書、写真等、後から揃わない証憑が多いので、実施開始時点で保管ルールを決めます。補助金は後払いが基本のため、資金繰りも併せて確認します。

ここがポイント
不採択・不支給の典型は「交付決定前に支払ってしまった」「計画書の効果が数字で説明できない」「労務書類(就業規則・賃金台帳等)が整っていない」です。制度選定より“準備の質”で結果が変わります。

注意点と、採択・支給を近づけるポイント

  • 公募要領の“対象外経費”を先に読む:医療機器そのものが対象外になるケース、汎用PCが対象外になるケースなど、落とし穴が多い領域です。
  • 計画は「患者体験」と「職員負荷」を数字で:例)受付の処理時間、会計待ち時間、予約キャンセル率、残業時間など。
  • 助成金は“先に労務整備”:就業規則、36協定、勤怠・賃金台帳の整備が前提になります。社労士と連携すると早いです。
  • 予算制約で早期締切がある:年度の後半ほど競争が激化することが多く、募集開始直後に動いた方が安全です。
  • 税務上の取扱い:補助金等は会計・税務で収益計上や圧縮記帳等の論点が出ます。資金繰りと合わせて、顧問税理士へ早めに共有してください。

よくある質問

Q: 開業直後でも補助金・助成金は使えますか? ▼

A:

使える可能性はあります。ただし、制度ごとに「創業後○年以内」「開業前は対象外」「開業後に一定の実績が必要」など条件が異なります。まず申請主体(個人/法人)と従業員数、投資内容を整理し、該当公募の要件を確認してください。
Q: 予約システムや問診システムの導入は対象になりますか? ▼

A:

制度によります。DX・省力化系の補助金では対象になり得ますが、補助対象経費の範囲(初期費用、月額利用料、保守費など)は公募要領で差があります。交付決定前の契約・支払が対象外となるケースもあるため、導入スケジュールの管理が重要です。
Q: 申請は自院だけでできますか? ▼

A:

可能ですが、補助金は事業計画の作り込み、助成金は労務書類の整合が難所です。院内で体制が組めない場合、税理士・社労士等の専門家と役割分担(計画、労務、証憑管理)を決めると成功確率が上がります。

まとめ

  • 開業医の制度活用は「DX/省力化」「賃上げ対応」「販路開拓」の3軸で整理すると探しやすい
  • 補助金は公募型で審査があり、助成金は要件充足と労務書類が鍵になりやすい
  • jGrantsで公募を俯瞰し、GビズIDの準備を早めに行う
  • 交付決定前の契約・支払、証憑管理の不備が最も多い失敗要因
  • 税務・労務の論点が絡むため、顧問税理士・社労士との連携が実務上有効

参照ソース

  • jGrants(補助金の検索・電子申請): https://www.jgrants-portal.go.jp/
  • 厚生労働省「業務改善助成金」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
  • 中小企業庁「小規模事業者持続化補助金について」: https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shokibo/jizoku/

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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