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クリニック向けコラム
作成日:2026.01.28
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

在宅医療DX情報活用加算の算定要件|訪問診療向け専門家解説

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在宅医療DX情報活用加算の算定要件|訪問診療向け専門家解説

在宅医療DX情報活用加算とは

在宅医療DX情報活用加算とは、在宅での訪問診療において、オンライン資格確認等で得られる診療情報・薬剤情報等を踏まえ、計画的な医学管理の下で診療を行った場合に、所定点数へ上乗せできる加算です。訪問診療クリニックにとっては、居宅同意取得型のオンライン資格確認を実装し、訪問先でも情報を活用できる運用に落とし込めるかが実務上の肝になります。

誰にとって何が問題かというと、訪問診療は「院内で情報を見られる体制」を整えるだけでは足りず、訪問先での本人同意や通信環境、端末管理まで含めて体制整備が必要で、算定要件・届出・掲示・レセプト運用が分断されがち、という点です。

当法人(税理士法人 辻総合会計)では、クリニックの算定体制整備と運用設計(委託先・ベンダー調整、掲示文案、月次チェック)まで一体で支援するケースが多く、制度要件を「現場で回る手順」に翻訳していくことが重要だと感じています。

対象患者と算定の基本ルール(月1回・併算定制限)

対象となる患者(訪問診療側の点数が前提)

対象は、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の1・2、在宅患者訪問診療料(Ⅱ)、在宅がん医療総合診療料を算定する患者です。つまり「訪問診療(または在宅がん総合)」の算定患者が母集団になります。

算定頻度と点数(加算1・加算2)

令和7年4月1日以降は、評価が見直され、在宅医療DX情報活用加算1と在宅医療DX情報活用加算2に整理されています(医科:加算1が11点、加算2が9点)。加算1は電子処方箋(または電子処方箋管理サービスへの登録)要件が乗り、加算2は電子処方箋要件なし、という理解が実務上の近道です。

併算定できない加算がある(同月の排他)

在宅領域は加算の「同月排他」が多いのが落とし穴です。在宅医療DX情報活用加算は、医療情報取得加算や医療DX推進体制整備加算、訪問看護医療DX情報活用加算等を同月に算定している場合に算定できない扱いがあります。レセ電算・レセプトチェックで「同月に何を算定したか」を機械的に突合するルールを先に作るのが安全です。

ここがポイント
実務では「訪問診療のレセプト担当」と「外来の加算管理担当」が分かれていると、同月排他のチェックが抜けがちです。患者単位で“その月のDX系加算のフラグは1つだけ”というルールを台帳化すると事故が減ります。

施設基準の要点(訪問診療クリニックが詰まりやすいポイント)

施設基準は細目が多いのですが、訪問診療で特に重要なのは次の4ブロックです。

1) オンライン請求・オンライン資格確認(いわゆる土台)

  • オンライン請求を行っていること
  • オンライン資格確認を行う体制を有していること

この2つは前提条件です。未整備だと加算以前の話になります。

2) 居宅同意取得型オンライン資格確認(訪問先での“同意取得”がコア)

在宅医療DX情報活用加算では、居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムを活用し、医師等が患者の診療情報等を「取得・活用」できる体制が求められます。ポイントは「訪問先での同意取得」と「情報閲覧・活用の実態」です。

運用で詰まりやすい論点は以下です。

  • 同意取得の手順(患者・家族・代理人、同意記録の残し方)
  • 端末管理(持ち出し端末のMDM、ログ管理、紛失時対応)
  • 通信(訪問先での回線確保、オフライン時の扱い)

3) 電子処方箋(加算1のみの要件)

令和7年4月以降、施設基準(要旨)上、電子処方箋を発行する体制または調剤情報を電子処方箋管理サービスに登録する体制は、加算1のみの要件です。加算2は電子処方箋要件なしの整理になっています。

なお、疑義解釈では「院外処方の場合は原則として電子処方箋(または引換番号付き紙処方箋)を発行し、処方情報の登録を行っていること」「院内処方の場合は原則として院内で調剤した薬剤情報の登録を行っていること」といった具体化が示されています。ベンダーの“導入済み”の定義とズレやすいので、登録まで含めた業務フローで確認しましょう。

4) 掲示(院内+ウェブサイト)

施設基準では、体制に関する事項や「十分な情報を取得・活用して診療すること」について、見やすい場所やウェブサイトに掲示することが求められます。掲示は「やったつもり」になりやすいので、院内掲示(ポスター等)とWeb掲示(該当ページURL)をセットで保管しておくと監査対応が楽になります。

ここがポイント
掲示物は地方厚生局の周知素材(ポスター等)が案内されていることがあります。施設基準の文言を外さないことが最優先なので、指定素材がある場合は活用し、院内掲示の写真と掲示開始日を記録しておくのがおすすめです。

加算1と加算2の違い(比較表で整理)

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項目加算1(令和7年4月〜)加算2(令和7年4月〜)
点数(医科)11点9点
電子処方箋(または登録)要件あり(施設基準(4))なし
前提となる体制オンライン請求、オンライン資格確認、居宅同意取得型オンライン資格確認の活用、掲示等同左(電子処方箋要件を除く)
届出の注意既届出でも、加算1へ移行する場合は様式で届出直しが必要になることがある加算2の算定なら届出直し不要とされるケースがある

上記の通り、訪問診療では「まず加算2で安定運用→電子処方箋(登録運用)まで固めて加算1へ」という段階移行が現実的です。加算1は点数が高い一方で、登録運用・点検・職員教育まで含めた“落とし込み”が必要になります。

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算定開始までの実務フロー(届出・運用・レセプト)

ここからは「制度要件」ではなく、現場で詰まらない順番に並べます。

Step 1: 現状棚卸(対象患者・訪問フロー・端末)

  • 対象患者(在宅訪問診療料I/II、在宅がん総合)の人数・レセプト月次
  • 訪問時の本人確認・同意取得の導線(家族同席率も含む)
  • 端末(タブレット等)と通信(SIM/テザリング/院内Wi-Fi外の利用)を確認

Step 2: 居宅同意取得型オンライン資格確認の運用設計

  • 同意取得の説明文(患者向け)と記録方法を統一
  • 訪問スタッフの役割分担(医師・看護師・事務)
  • 取得した情報を「診療計画」へ反映する記載テンプレを用意

Step 3: 加算1を狙う場合は電子処方箋(登録)まで通す

  • 院外処方:電子処方箋/引換番号の発行と登録の実運用確認
  • 院内処方:調剤情報登録の運用確認
  • ベンダーの設定・マスタ、点検作業の要否を確認(運用開始日から逆算)

Step 4: 掲示(院内+Web)と証跡化

  • 院内掲示:掲示物、掲示場所、掲示開始日を記録(写真が有効)
  • Web掲示:URL、公開日、更新履歴を残す
  • 掲示の文言は施設基準に沿うこと(独自要約は避ける)

Step 5: 施設基準の届出(様式・届出直しの要否)

  • 地方厚生(支)局の「特掲診療料の届出様式」を確認し、該当様式で提出
  • 既に届出済みでも、令和7年4月の見直しで「加算1を算定するなら新様式で届出直しが必要」とされる整理があります(疑義解釈参照)。加算2のみ算定なら届出直し不要となるケースもあるため、どちらを算定するかで手続が変わります。

Step 6: レセプト運用(同月排他・月1回・患者単位台帳)

  • 患者単位で「その月のDX系加算」を一元管理
  • 同月排他のチェックをレセコン前と請求前の2回実施
  • 月次で「算定漏れ」と「不適切算定(併算定)」の両方を監視

よくある質問

Q: 訪問先でネットが不安定な場合、算定はできませんか? ▼

A:

施設基準は「居宅同意取得型オンライン資格確認等システムの活用により、診療情報等を取得・活用できる体制」を求めています。通信断が常態化して実運用として情報取得・活用ができない状態だと、趣旨に反するリスクがあります。通信手段の複線化(SIM・テザリング等)と、訪問前後で情報確認できる運用(同意取得のタイミング含む)を整えて、実態として“活用できている”説明ができるようにしておきましょう。
Q: 既に在宅医療DX情報活用加算を届出済みですが、令和7年4月以降は出し直しが必要ですか? ▼

A:

疑義解釈では、令和7年4月1日以降に在宅医療DX情報活用加算2を算定する場合は届出直し不要とされる一方、加算1を算定する場合は同年4月1日までに新たな様式で届出直しが必要と整理されています。加算1/2のどちらを算定するかで手続が変わるため、必ず確認してください。
Q: 加算1を取りたいのですが、電子処方箋は“導入しただけ”では足りませんか? ▼

A:

疑義解釈では、院外処方は原則として電子処方箋(または引換番号付き紙処方箋)の発行と処方情報の登録、院内処方は原則として院内調剤した薬剤情報の登録を行っていることを指す、と具体化されています。ベンダー契約や機器導入だけでなく、登録まで含めた業務フローが回っていることが重要です。
ここがポイント
本記事は制度の概要整理です。実際の算定可否は、届出状況、レセコン設定、患者属性や同月算定状況により変わります。個別案件は必ず最新通知・疑義解釈と、管轄の地方厚生(支)局の案内に基づき判断してください。

まとめ

  • 在宅医療DX情報活用加算は、オンライン資格確認等で得た情報を踏まえた計画的な訪問診療を評価する加算(月1回の上乗せ)
  • 対象は在宅患者訪問診療料(Ⅰ)・(Ⅱ)や在宅がん医療総合診療料の算定患者
  • 令和7年4月以降は加算1(11点)・加算2(9点)に整理され、加算1のみ電子処方箋(登録)要件がある
  • 施設基準の実務の核心は「居宅同意取得型オンライン資格確認」の同意取得・端末・通信・記録の運用設計
  • 掲示(院内+Web)と、同月排他のレセプトチェックを“仕組み化”すると算定が安定する

参照ソース

  • 厚生労働省「医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて(令和6年度改定資料)」: https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001521280.pdf
  • 厚生労働省「医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算の見直し」: https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001388387.pdf
  • 厚生労働省「医療DX推進体制整備加算の取扱いに関する疑義解釈資料(その1)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001428135.pdf
  • 地方厚生(支)局「特掲診療料の届出様式(令和6年度)」: https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/shinsei/shido_kansa/shitei_kijun/tokukei_r06.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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