税理士法人 辻総合会計グループ
無料相談
医療経営ブログに戻る
クリニック向けコラム
作成日:2026.01.28
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

かかりつけ医機能報告制度と診療報酬|機能強化加算への影響を2026視点で整理

8分で読めます
かかりつけ医機能報告制度と診療報酬|機能強化加算への影響を2026視点で整理

かかりつけ医機能報告制度とは(まず押さえる結論)

かかりつけ医機能報告制度は、病院・診療所(※特定機能病院・歯科を除く)が、自院の「かかりつけ医機能」について都道府県へ報告し、その内容を地域で共有・協議して、地域のかかりつけ医機能の確保につなげる制度です。

重要なのは、この制度は“診療報酬の届出制度”ではなく、“医療法ベースの機能報告”だという点です。
ただし、報告内容は都道府県で集計・公表され、地域の協議にも使われます。結果として、診療報酬(とくに「かかりつけ医」関連の加算)と“整合性が求められる局面”が増えます。

ここがポイント
ポイント - 機能報告=「医療提供体制(地域の見える化)」が主目的 - 診療報酬=「算定要件(施設基準等)を満たした医療機関への評価」が主目的 - ただし、両者が別々に進むと現場は二重管理になるため、今後“ひも付け”が論点になりやすい

2026(令和8年)から何が始まる?スケジュールと対象

実務で大事な“いつ・誰が・どうやって”を先に整理します。

  • 対象:特定機能病院・歯科医療機関を除く、すべての病院・診療所
  • 定期報告:毎年1〜3月に都道府県へ報告(原則G-MIS)
  • 初回の定期報告:G-MIS操作機能は令和8年1月1日から利用可能(=2026年1月)
  • 報告後:都道府県が確認・集計・分析し、内容・確認結果を公表、協議の場で検討

「毎年1〜3月」「G-MIS」「2026年1月から」がキーワードです。


報告する“かかりつけ医機能”は2階建て(1号機能・2号機能)

報告項目は大枠として「1号機能」と「2号機能」に整理されます。

1号機能:日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能

1号機能に関しては、一定の報告事項について「実施している/実施できる」などの要件があり、さらに報告した内容の一部を院内掲示することが求められます(G-MISから掲示用様式の出力が可能)。

2号機能:具体的な体制(4類型)を支える機能

1号機能を有する医療機関は、2号機能についても報告します。2号機能は、たとえば次のような領域です。

  • 通常の診療時間外の診療
  • 入退院時の支援
  • 在宅医療の提供
  • 介護サービス等と連携した医療提供

「報告」だけで終わらず、院内掲示・患者説明までがセットになる点は、診療報酬よりも運用負荷として効いてきます。


診療報酬の「機能強化加算」とは(点数・位置づけ)

機能強化加算は、初診時に所定点数へ加算される評価で、2024年度点数表では「機能強化加算として80点を加算」と整理されています。

ここで誤解されやすいのは、

  • 機能報告=都道府県への報告(医療提供体制)
  • 機能強化加算=施設基準に適合し届出した医療機関が、初診時に算定(診療報酬)

という“制度の土台”が違うことです。現時点では、機能報告を出したから機能強化加算が算定できる、という直結関係にはなっていません。


かかりつけ医機能報告制度は機能強化加算にどう影響する?

影響は「今すぐの算定可否」ではなく、主に次の3層で効いてきます。

1) 直近:算定要件の自動変更は起きない(ただし説明整合性は問われる)

機能報告は“地域への説明責任(院内掲示・患者説明)”の色が強い制度です。
一方、機能強化加算は“算定要件の適合・届出・算定ルール”が中心です。

しかし、患者・地域から見れば「“かかりつけ”と名のつく制度が複数ある」状態になります。
そのため、院内掲示や説明内容が、算定実態(機能強化加算を取っている/いない)と矛盾していると、クレームや問い合わせの火種になり得ます。

2) 2026以降:報告データが“評価設計の材料”になりやすい

機能報告は、都道府県が内容を確認し、集計・分析し、公表し、協議の場で検討する設計です。
つまり、制度的に「データが溜まり、比較可能な形に整う」方向へ進みます。

診療報酬側(検証・評価の場)でも、機能強化加算などの届出状況や、施設基準(介護連携等)をどう検証するかが議論されています。
したがって、将来的には「機能報告で示される機能」と「診療報酬上の“かかりつけ医”評価(機能強化加算等)」の整合が論点化する可能性が高い、という構図です。

3) 監査・運用:二重管理を避ける“内部統制”が必要になる

現場的には、次が起こります。

  • 報告内容:院内掲示・患者説明と結びつく(外部に見える)
  • 算定内容:届出・算定実績として残る(審査支払・指導の対象)

この2本が並ぶと、「説明と請求の整合性」=内部統制が重要になります。
ここを放置すると、現場は「掲示はこう言っているが算定はこう」「報告はこうだが体制はこう」になり、突合対応のコストが増えます。


比較表:機能報告と機能強化加算は何が違う?

←横にスクロールできます→
観点かかりつけ医機能報告制度機能強化加算
根拠医療提供体制(医療法ベース)診療報酬(点数表・施設基準・届出)
目的地域のかかりつけ医機能の見える化・確保初診時の機能評価(加算)
対象病院・診療所(特定機能病院・歯科除く)届出し要件を満たす保険医療機関
手続毎年1〜3月に都道府県へ報告(G-MIS)施設基準に適合→届出→算定
付随義務院内掲示・患者説明(運用面が重い)算定ルール遵守(請求面が重い)

医療機関専門の税理士にご相談ください

40年以上の実績。クリニック・医療法人の経営を税務・会計の両面からサポートします。

無料相談を申込む 📞 06-6206-5510

平日 9:15〜18:15(土日祝休業)

関連記事

かかりつけ医機能報告制度とは?2025開始の届出義務|税理士が解説

かかりつけ医機能報告制度は、病院・診療所が自院の「かかりつけ医機能」を都道府県へ報告する制度です。2025年4月施行、原則G-MISで年1回報告。対象、スケジュール、院内掲示・患者説明、実務手順と注意点を税理士が整理します。

続きを読む

実務対応:2026に向けた“ズレない”準備(手順)

ここからは、現場が迷いやすい順に“やること”を並べます。

Step1:自院の「1号機能」「2号機能」を棚卸しする

  • 何を「実施している/実施できる」と言えるか
  • 実績・体制の根拠(当番表、連携先、実績一覧等)は何か

「できると言ったのに実態が追いつかない」が一番危険です。

Step2:院内掲示に落とし込む(G-MIS出力前提で文章を整える)

  • 掲示に出る言い回しは、患者の解釈が先に立つ
  • 算定(機能強化加算等)との“印象矛盾”がないか確認

Step3:機能強化加算の算定は「届出・要件・運用」を別管理でチェック

  • 点数表上の位置づけ(初診時の加算)
  • 自院の届出状況・更新・運用(初診判定、算定頻度、他加算との関係)

Step4:説明・掲示・請求の三点突合(内部監査の型を作る)

  • 報告(G-MIS)
  • 掲示(院内掲示物)
  • 請求(算定実績)

この3点がズレなければ、制度が進んでも対応がブレません。


よくある質問(FAQ)

Q1. 機能報告を出さないと、機能強化加算は算定できませんか?

直結はしません。機能報告は都道府県への報告で、機能強化加算は診療報酬上の施設基準に基づく届出・算定です。別制度として管理してください。

Q2. 機能報告で「2号機能あり」としたら、機能強化加算の算定が必須になりますか?

必須ではありません。ただし、患者・地域からは「かかりつけ機能を掲げる医療機関」として認識されやすくなるため、掲示・説明と算定実態の整合性は強く意識すべきです。

Q3. 2026年(令和8年)はいつから準備が必要ですか?

定期報告は毎年1〜3月で、G-MIS操作機能は令和8年1月1日から利用可能とされています。少なくとも前年の秋〜年末には、体制整理と掲示文案の準備に着手するのが安全です。


まとめ:影響は「算定可否」より「整合性」と「将来の評価設計」

かかりつけ医機能報告制度は、機能強化加算を“今すぐ変える仕組み”ではありません。
一方で、2026年から定期報告が動き、院内掲示・患者説明・公表・協議という流れが始まります。

その結果、医療機関側に求められるのは、制度間のズレをなくす運用です。
「報告」「掲示」「請求」を三点突合できる形にしておけば、診療報酬側で“かかりつけ医評価”が見直されても、対応が急に苦しくなるリスクを大きく下げられます。


参照ソース

  • https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41118.html
  • https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001427057.pdf
  • https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001427054.pdf
  • https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001427356.pdf
  • https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001590091.pdf
  • https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251499.pdf
  • https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190167_00062.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

シェア:
医療経営ブログに戻る

お電話でのご相談

06-6206-5510

受付時間 9:15〜18:15(土日祝休業)

Webお問い合わせ

おすすめコラム

防衛特別法人税と医療法人の影響|税理士が解説

防衛特別法人税と医療法人の影響|税理士が解説

暗号資産申告分離課税は2026に?医師向け税務最新|税理士が解説

暗号資産申告分離課税は2026に?医師向け税務最新|税理士が解説

特定親族特別控除2026とは?|税理士が解説

特定親族特別控除2026とは?|税理士が解説

人気コラムランキング

1
内科の訪問診療戦略|収益設計と集患・運用の実務を税理士が解説

内科の訪問診療戦略|収益設計と集患・運用の実務を税理士が解説

2
【失敗しない】クリニック開業税務の5つの注意点

【失敗しない】クリニック開業税務の5つの注意点

3
医師の講演料は確定申告必要?経費と手順|税理士が解説

医師の講演料は確定申告必要?経費と手順|税理士が解説

4
出資持分あり医療法人と持分なし医療法人の違いと承継・税務ポイント

出資持分あり医療法人と持分なし医療法人の違いと承継・税務ポイント

5
医師国保と厚生年金の加入判断ポイント|クリニック専門税理士が解説

医師国保と厚生年金の加入判断ポイント|クリニック専門税理士が解説

CONTACT

無料相談のご案内

開業・法人化・承継・経営改善など、どんなご相談でもお気軽にどうぞ。初回相談は無料です。

ご相談だけでも歓迎です。お気軽にお問い合わせください。

06-6206-5510
平日 9:15〜18:15

© 2026 税理士法人 辻総合会計グループ. All rights reserved.

プライバシーポリシー

お電話はこちら

06-6206-5510

06-6206-5510

無料相談する

平日 9:15〜18:15