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クリニック向けコラム
作成日:2026.02.08
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

基礎控除引き上げ2026確定申告|税理士が解説

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基礎控除引き上げ2026確定申告|税理士が解説

基礎控除は2026年確定申告から「最大95万円」になり、次の改正で「104万円」も視野に入ります

結論として、2026年の確定申告(令和7年分)から、所得税の基礎控除は合計所得金額に応じて段階的に増額され、合計所得金額132万円以下では95万円になります。さらに、物価上昇に連動して控除額を見直す仕組みが示され、令和8年分以後は「本則62万円」+「特例加算(最大42万円)」により、条件次第で104万円となる設計が提示されています(いずれも所得税)。

開業医(個人事業主)の場合、給与所得控除は原則ありませんが、基礎控除は全員が使うため「課税所得の下げ幅」がそのまま税額に影響します。一方で、今回の基礎控除は「誰でも一律増」ではなく、所得帯で変わる点が実務上の落とし穴です。

基礎控除95万円は「誰が」「いつの申告で」使えるのか(2026年確定申告の要点)

2026年の確定申告は、原則として令和7年分(2025年分)の所得税を申告します。この令和7年分から、基礎控除は次のとおり所得帯で変動します。

令和7年分(2026年確定申告)での基礎控除の新しい考え方

  • 合計所得金額132万円以下:95万円(改正前48万円から大幅増)
  • 合計所得金額655万円超2,350万円以下:58万円
  • それ以外も複数の段階あり(88万円、68万円、63万円など)

ポイントは、「95万円」は低所得帯限定であり、開業医の利益水準では「58万円(または63〜88万円帯)」に着地するケースが多いことです。

ここがポイント
開業医の「合計所得金額」は、売上ではなく「各所得の合計(必要経費控除後)」です。青色申告特別控除後の事業所得や、不動産所得、配当等がある場合は合算して判定します(個別計算で変動します)。

95万円→104万円へ:物価連動方式と「段階的改正」の全体像

「95万円→104万円」という見え方は、実は改正が2段階で語られているためです。

  • 第1段階:令和7年度税制改正(令和7年分以後)で、合計所得金額に応じて基礎控除を増額(最大95万円など)
  • 第2段階:令和8年度税制改正の大綱で、物価上昇に連動して「本則部分」を見直し、さらに「特例加算」を見直す方針(結果として最大104万円=62万円+42万円が想定される設計)

104万円の内訳(考え方)

  • 基礎控除(本則):58万円 → 62万円(令和8年分以後)
  • 基礎控除の特例加算:所得帯により、令和8・9年分は「最大42万円」などに見直し

したがって、「104万円」は「誰でも自動的に」ではなく、合計所得金額が一定以下などの条件を満たした場合の“最大値”として理解するのが安全です。

開業医にどう効く?税額インパクトの見方(事業所得ベース)

基礎控除が増えると、その増加分だけ課税所得が減ります。税額の減少幅は、ざっくり言えば「増えた控除額 × あなたの限界税率(所得税)」に近いイメージです(復興特別所得税等は別途)。個別事情で変動します。

2026年確定申告(令和7年分)で起きる代表パターン

  • 利益が比較的小さい年:基礎控除が大きく(例:88万円〜95万円帯)なり、還付・納税額に影響が出やすい。
  • クリニック利益が一定以上の年:基礎控除は58万円(または63〜68万円帯)となり、「95万円ほどのインパクトは出ない」ケースが多い。

比較表:改正の見取り図(所得税)

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年分(申告時期の目安)基礎控除の特徴最大水準の例
改正前(令和6年分以前)原則48万円48万円
令和7年分(2026年確定申告)所得帯で段階増(95/88/68/63/58万円など)95万円(合計所得132万円以下)
令和8年分以後(方針)物価連動で本則を見直し、特例加算も再設計104万円(62万円+42万円の最大例)

数値の根拠は、国税庁の改正概要(令和7年度改正)および財務省の令和8年度税制改正大綱に基づきます。

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Step 1: 「合計所得金額」を確定させる
事業所得(収入−経費)に、他の所得(不動産・配当・一時所得など)を合算し、基礎控除の段階を判定します。

Step 2: 基礎控除の金額を当てはめる
令和7年分は「132万円以下=95万円」などの段階表で判定します。

Step 3: 他の控除・特例と“二重カウント”を防ぐ
青色申告特別控除、医療費控除、生命保険料控除等は別枠です。基礎控除は自動で入る一方、申告ソフトの入力ミスで控除漏れ・過大計上が起きやすいので、最終の控除一覧で照合します(個別状況により必要書類が変わります)。

Step 4: 令和8年分以後の“見込み”も一緒に確認する
物価連動で本則が62万円になる方針や、特例加算の見直しは、翌年以降の資金繰り・概算納付の見積りに影響します。特に利益が489万円前後で推移する場合、加算の扱いが変わる設計が示されているため、注意が必要です。

ここがポイント
「2026年確定申告(令和7年分)」で104万円を使うわけではありません。104万円は、令和8年分以後に向けた“本則+特例”の最大例として示される設計です。年分(いつの所得か)を取り違えると、見積りがズレます。

よくある質問

Q: 開業医(個人事業主)でも、基礎控除95万円になりますか? ▼

A:

令和7年分以後、合計所得金額132万円以下であれば基礎控除は95万円です。ただし開業医は事業所得が132万円を超えるケースが多く、その場合は88万円・68万円・63万円・58万円など所得帯に応じた額になります。
Q: 「95万円→104万円」はいつから、誰が対象ですか? ▼

A:

95万円は令和7年度税制改正により令和7年分以後で適用される段階の一つです。104万円は、令和8年度税制改正の大綱で示された「本則62万円」と「特例加算(最大42万円)」の組合せによる最大例です。年分や所得帯により適用可否・金額が変わります。
Q: 物価連動方式って、毎年自動で控除が上がるのですか? ▼

A:

財務省の大綱では、直近2年間の消費者物価指数(総合)の上昇率を用いて基礎控除(本則)等を調整する考え方が示されています。実際の改正のタイミング・具体額は制度設計に従うため、年分ごとの公表資料で確認が必要です。

まとめ

  • 2026年確定申告(令和7年分)から、所得税の基礎控除は所得帯に応じて段階的に増額される
  • 「基礎控除95万円」は合計所得金額132万円以下のケースで、開業医の利益水準では58万円等に着地することが多い
  • 令和8年度税制改正の大綱では、物価連動で本則を62万円に見直し、特例加算も再設計し、最大104万円となる設計が示されている
  • 実務は「年分(いつの所得か)」と「合計所得金額の判定」を取り違えないことが最重要
  • 具体的な適用は個別事情で変わるため、申告前に所得見込みと控除適用を一度棚卸しするのが安全

参照ソース

  • 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」: https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm
  • 国税庁「No.1199 基礎控除」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm
  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱(1/9)」: https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_01.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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