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クリニック向けコラム
作成日:2026.01.28
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

診療報酬改定2026 脳神経外科点数|脳血管内手術・MRIを解説

9分で読めます
診療報酬改定2026 脳神経外科点数|脳血管内手術・MRIを解説

診療報酬改定2026で脳神経外科が押さえるポイント

診療報酬改定2026(令和8年度)は、最終的に「告示(点数表)・通知・疑義解釈」で確定します。脳神経外科では、脳卒中の超急性期対応と、それを支える画像診断(CT/MRI)、そして脳血管内治療の運用が収益と体制要件の両面で影響を受けやすい領域です。

一方で、改定前(2026年1月時点)には「議論・骨子・個別項目」が先行し、点数そのものは確定していないことも多く、現場は“準備は必要だが数字が置けない”状態になりがちです。

ここがポイント
本記事は「点数が確定する前でも、準備と確認を迷わない」ための実務整理です。最終判断は必ず公表後の告示・通知・疑義解釈で行ってください。

当法人(税理士法人 辻総合会計)では、クリニック・病院の収益構造(外来・入院・DPC/出来高)を踏まえ、改定時期の「試算」と「算定ルール変更への対応」を支援してきました。改定は医事課だけで完結せず、経営・人員配置・設備投資まで連動します。

脳血管内手術 点数の現行水準と改定で見直されやすい論点

まず「現行(令和6年度改定後)」の代表的な点数を押さえると、改定後の差分確認が速くなります。脳神経外科の脳血管内領域では、Kコードを軸に確認します。

現行(令和6年度)でよく参照する点数例

  • K178 脳血管内手術:1箇所 66,270点、2箇所以上 84,800点、ステントを用いるもの 82,850点
  • K178-4 経皮的脳血栓回収術:33,150点
  • K178-4 脳血栓回収療法連携加算:5,000点(算定条件あり)

また、K178(脳血管内手術)やK178-4(血栓回収術)は、注記として「手術に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない」など、“包括される範囲”が明示されています。点数の増減だけでなく、この「含まれる/別算定できる」ルールが変わると収益インパクトが大きくなります。

2026改定で論点になりやすいチェック観点

点数が動くかどうか以前に、次の観点は改定のたびに確認が必要です。

  • 施設基準・連携体制の要件(届出の要否、実績要件、連携先の範囲)
  • 算定条件(対象患者、時間要件、同一月・同一入院の制限)
  • 併算定不可の整理(同日に取れる加算・取れない加算の再定義)
  • 医療材料・薬剤(特定保険医療材料、血栓回収デバイス等)との整合

ここが変わると、現場運用(救急搬送フロー、当直/オンコール、画像検査の優先順位)まで再設計が必要になります。

MRI 診療報酬(E202)の点数と算定ルール

MRIは「点数」だけでなく、頻回撮影の逓減、造影加算、加算の施設基準がセットです。ここを理解しておくと、改定で数字が変わっても影響を即時に試算できます。

現行(令和6年度)E202の点数(代表例)

E202 磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)(一連につき)

  • 3テスラ以上:共同利用施設 1,620点/その他 1,600点
  • 1.5テスラ以上3テスラ未満:1,330点
  • その他:900点

加えて、造影剤使用加算(250点)や、心臓MRI撮影加算(400点)など、目的・部位での加算設計があります。脳神経外科では、脳血管評価を含む適応の整理と「加算対象の読み違い」が実務リスクになりやすい点です。

よく見落とす算定ルール(運用に直結)

  • 同一月にCT(E200)とMRI(E202)を含め2回以上行う場合、2回目以降は所定点数の80%になる
  • 電子画像管理加算(120点)の算定可否(フィルム算定不可等)
  • 小児鎮静下MRI撮影加算等、年齢・麻酔/鎮静・一連撮影の要件

改定でMRIの点数自体が動かなくても、「逓減の条件」や「加算の要件」が変われば、実績の取り方・説明文書・同意取得の運用が変わり得ます。

2026改定の点数を最速で確認する方法

点数の確定後にやるべきことはシンプルです。「点数表(告示)でコードを引き、通知で算定条件を読む」。これを短時間で回す手順を作ると、改定初月の混乱が減ります。

Step 1: 告示(点数表)でKコード/Eコードを検索する

  • 脳血管内治療:K178、K178-4など
  • MRI:E202、関連する加算や逓減規定

Step 2: 通知で“注”の意味を確認する

  • 併算定不可
  • 画像・検査が包括される範囲
  • 施設基準・届出の要否

Step 3: 疑義解釈でグレーゾーンを潰す

  • 連携加算の対象となる「助言」や「搬送」の扱い
  • 同月複数回のカウント方法
  • 算定タイミング(入院/外来、同日算定の整理)

Step 4: 院内ルールに落とす(医事・看護・放射線・救急)

  • オーダーセット、テンプレ、同意書、記録要件
  • 連携先との合意(搬送前画像、トリアージ、連絡方法)
ここがポイント
改定直後は「点数より通知の一文」で算定可否が変わるケースが出ます。疑義解釈まで見て、院内ルールを固定してください。

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改定影響を経営に落とす:試算とチェックリスト

脳神経外科は、救急と高額材料・高難度手技の比重が高く、改定の影響が「単価」ではなく「件数と体制」で出ることがあります。特に当直・オンコール体制、放射線技師の配置、設備更新(MRI/アンギオ)は固定費に直結します。

比較表:現行点数と2026改定の確認ポイント

←横にスクロールできます→
項目現行(令和6年度点数)令和8年度改定(公表後に確認)
K178 脳血管内手術66,270点(1箇所)ほか点数の増減、注記変更の有無
K178-4 血栓回収術33,150点連携・施設基準・加算設計の変更
K178-4 連携加算5,000点(条件あり)連携要件・併算定不可の見直し
E202 MRI(3T以上)1,600点(一般)ほか逓減・加算の条件変更、点数改定
E202 造影加算250点対象部位・適応の再整理

事前にやっておくと強い「改定前チェック」

  • 実績の棚卸し:血栓回収術、脳血管内治療、MRIの月次件数と算定漏れ
  • 逓減影響:同一月2回目以降の割合、患者属性(救急・入院・外来)
  • 連携加算:連携先の届出状況、搬送フロー、助言記録の標準化
  • 設備計画:MRI更新や保守費の見直し(点数改定後の投資回収を試算)
  • 人員配置:放射線/救急/脳外当直のシフト(加算算定要件に耐えるか)

当法人では、改定公表後に「点数差分×件数」だけでなく、上記の固定費(人件費・保守費)を含む形で損益を試算し、現場ルール(記録・同意・連携)まで落とし込む支援を行っています。

よくある質問

Q: 診療報酬改定2026の点数は、いつ確定しますか? ▼

A:

点数は最終的に「告示(点数表)」で確定します。改定前は議論や資料が先行するため、確定版が出たタイミングでKコード/Eコードを必ず引き直してください。
Q: 脳血栓回収術(K178-4)の“連携加算”は、何をすれば算定できますか? ▼

A:

現行では施設基準の届出や連携体制の確保、他院救急患者への助言と搬送後の実施など、条件が定められています。算定の可否は通知・疑義解釈での要件確認と、記録(助言内容・時刻・連絡経路)の標準化が重要です。
Q: MRI(E202)は同じ月に複数回撮ると減点されますか? ▼

A:

現行では、同一月にCT(E200)やMRI(E202)を2回以上行う場合、2回目以降が所定点数の80%になるルールがあります。改定で条件が変わる可能性があるため、確定版で再確認してください。
Q: 改定影響は医事だけで見れば十分ですか? ▼

A:

不十分です。脳神経外科は救急・当直・画像・高額材料が一体のため、算定要件が変わると人員配置・連携・設備投資の判断まで連動します。収益(出来高/DPC)と固定費を同時に見てください。

まとめ

  • 診療報酬改定2026は、最終的に告示(点数表)・通知・疑義解釈で確定するため、改定直後は「コードで引く→通知で読む」が最短ルート。
  • 脳血管内治療は点数の増減だけでなく、施設基準・連携体制・併算定不可の変更が収益に直結する。
  • MRI(E202)は点数に加えて、同一月複数回の逓減や造影加算など運用ルールの確認が不可欠。
  • 改定対応は医事だけでなく、救急フロー、放射線体制、設備更新、人件費まで含めて試算する。
  • 個別判断は施設基準・患者要件で変わるため、必ず公表後の原文で確認する。

参照ソース

  • 厚生労働省「別表第一 医科診療報酬点数表(令和6年度)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251499.pdf
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定に係る中央社会保険医療協議会(資料・議事録)」: https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128164.html
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について(基本方針等)」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00052.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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