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クリニック向けコラム
作成日:2026.01.20
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

オンライン診療の施設基準と点数|2026年版を税理士が解説

8分で読めます
オンライン診療の施設基準と点数|2026年版を税理士が解説

2026年の結論:オンライン診療は「施設基準+運用体制」で決まる

オンライン診療は、単にツールを導入すれば算定できるわけではありません。診療報酬上は、「情報通信機器を用いた診療」として、届出(施設基準)と運用ルールの整備が前提になります。
2026年は診療報酬改定(通常2年ごと)の年でもあるため、運用開始時点の最新通知・点数表の確認が不可欠です。現時点で公表されているルールを踏まえ、開業前に押さえるべき要件を整理します。

ここがポイント
「オンライン診療=オンライン診療料(A003)を算定」という理解は、現在の制度とズレが生じやすい点です。点数表上、A003は削除扱いとなっており、初診・再診の枠組みで整理して運用設計する必要があります。

オンライン診療の施設基準とは:何を満たし、何を届け出るのか

施設基準の対象は「A000(初診)・A001(再診)・A002(外来診療料)」

オンライン診療は、点数表上の初診料・再診料等に「情報通信機器を用いた」ケースが組み込まれています。
そのため、算定の出発点は「施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出ている」ことです。

施設基準(体制要件)の要点

施設基準の中核は、オンライン診療が対面診療の代替ではなく、適切に組み合わせて提供されることを担保する点にあります。代表的な確認事項は次のとおりです。

  • 厚労省のオンライン診療指針に沿う体制(運用ルール・記録・説明の整備)
  • 対面診療を提供できる体制(自院での対面、または連携先での対応)
  • 患者の状態によりオンラインでは困難な場合に、他医療機関と連携して対応できる体制
  • オンライン初診で向精神薬を処方しない旨をホームページ等に掲示
  • オンライン診療に関する厚労省所定研修の修了確認(修了証等の保管)

上記は、実地指導等で確認され得る前提条件として整理されています。

【2026年】オンライン診療の点数:初診・再診はどう扱う?

オンライン診療の「点数」は、診療行為の内容や患者区分(初診/再診)、算定月の取り扱いで変わります。まずは基本点数の全体像を押さえましょう。

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区分対面での点数(代表)オンラインでの点数(代表)ポイント
初診(A000)288点251点(施設基準届出の上で情報通信機器を用いた初診)初診は点数が異なるため、算定誤りが起きやすい
再診(A001)73点73点(情報通信機器を用いた再診を含む)「オンライン再診もA001に含む」整理が基本
外来診療料(A002)74点73点(施設基準届出の上で情報通信機器を用いた再診)病院等でA002算定の場合の整理に注意

また、点数表上は「オンライン診療料(A003)」が削除扱いとなっており、過去の情報を前提に制度設計するとミスが起きます。初診・再診の点数体系に沿って、予約導線・問診・同意・処方・フォロー体制を組み立てることが実務上の近道です。

ここがポイント
新型コロナ流行期の時限的な特例的取り扱い(電話・情報通信機器の臨時運用)は、令和6年3月末で終了しています。現在は「平時ルール」に沿った運用設計が前提です。

開業前にやること:届出から算定までの実務ステップ

オンライン診療は「制度」と「現場オペレーション」が噛み合わないと、算定可否だけでなくクレーム・返戻・指導リスクが上がります。開業前は、次の順で整備すると手戻りが減ります。

Step 1: どの患者をオンライン対象にするか決める
慢性疾患の継続処方、経過観察、軽症フォローなど、オンライン適性の高い領域から始めるのが一般的です。対面が必要なケースの切り分け基準も、院内で言語化します。

Step 2: 施設基準を満たす体制を整える
対面診療の提供体制、緊急時の対応、連携先、研修修了の管理、掲示事項(オンライン初診で向精神薬を処方しない等)を整備します。ここが施設基準の核です。

Step 3: 事務手続(届出)を準備する
地方厚生局(支局)への届出が必要です。提出書類の体裁だけでなく、運用実態が伴うよう、規程・掲示・同意書式・記録様式まで揃えます。

Step 4: 算定ルールに沿ってレセプト運用を設計する
A000(オンライン初診 251点)と、A001/A002(オンライン再診を含む)の使い分けを、電子カルテ・レセコン側のマスターと運用で固定します。受付~診察~会計までの導線も確認します。

Step 5: 開始後1〜2か月でモニタリングする
返戻理由(摘要不足、算定月の扱い、施設基準との齟齬)を分析し、運用を微調整します。特に「初診扱い」判定と、説明・同意・記録の粒度は早期に固めるべきです。

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よくある落とし穴:算定より前に「経営・ガバナンス」も整える

税理士法人 辻総合会計では、クリニックの開業支援・運用設計の相談を受ける中で、オンライン診療は「算定可否」よりも「運用の継続性」で躓くケースが多いと感じます。

典型例(匿名ケース)

開業直後からオンライン診療を導入したAクリニックでは、予約数は伸びた一方、初月のレセプトで「オンライン初診の扱い」「掲示・説明の不足」が論点となり、運用を全面見直ししました。
結果として、対象患者の定義と、同意取得・記録テンプレートを標準化し、返戻が減少。オンライン診療が「受付の混雑緩和」と「再診の平準化」に寄与しました。

実務上のチェックポイント

  • ホームページ等の掲示(特にオンライン初診の向精神薬処方を行わない旨)
  • 研修修了の証跡管理(監査・指導に耐える保管)
  • 緊急時・対面切替の導線(患者説明とスタッフ教育)
  • 個人情報・通信の安全管理(運用ルールと記録)
ここがポイント
免責事項:本記事は公表資料に基づく一般的整理です。診療科、患者属性、地域連携、レセコン設定等により最適解は変わります。届出・算定は必ず最新の告示・通知、地方厚生局の取扱いで最終確認してください。

よくある質問

Q: 2026年にオンライン診療を始める場合、まず何から確認すべきですか? ▼

A:

まずは「情報通信機器を用いた診療」の施設基準を満たせるか(対面体制、連携、研修、掲示)を確認し、その上でA000(オンライン初診 251点)とA001/A002(オンライン再診を含む)の運用設計を行うのが安全です。
Q: オンライン診療料(A003)は算定できますか? ▼

A:

点数表上、A003は削除扱いの整理となっており、オンライン診療は初診・再診の点数体系で設計するのが実務的です。過去情報を前提にするとレセプト運用で混乱しやすいため注意してください。
Q: 「オンライン初診」で向精神薬を処方できないのはなぜですか? ▼

A:

施設基準の要件として、情報通信機器を用いた初診において向精神薬の処方を行わない旨の掲示が求められています。算定要件と運用ルールが連動するため、院内ルールと掲示をセットで整備してください。
Q: 電話診療はオンライン診療と同じ扱いですか? ▼

A:

コロナ禍の時限的・特例的な取り扱いは令和6年3月末で終了しています。現在は、オンライン診療のルールと、電話等での対応の算定可否を分けて整理する必要があります。運用前に必ず最新の取扱いを確認してください。

参照ソース(go.jp)

  • 厚生労働省「オンライン診療について」:https://www.mhlw.go.jp/stf/index_0024_00004.html
  • 厚生労働省「医科診療報酬点数表(改正部分)」:https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000894873.pdf
  • 厚生労働省「情報通信機器を用いた診療に係る基準(A000、A001、A002)」:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/dl/chousa_shisetsukijungai01-2.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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