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クリニック向けコラム
作成日:2026.01.28
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

オンライン診療 診療報酬2026|対面と点数比較|税理士が解説

9分で読めます
オンライン診療 診療報酬2026|対面と点数比較|税理士が解説

オンライン診療の収益性は、「オンラインだから高い/低い」では決まりません。結論から言うと、オンライン診療(情報通信機器を用いた場合)の基本点数は対面より低めですが、その差は限定的で、実際の採算は運用設計(予約枠、スタッフ動線、再診比率、加算の取りこぼし)で大きく変わります。特に院長・事務長にとっての課題は、点数差を正しく把握せずに設備投資や人員配置を先に決めてしまうことです。本記事では2026年1月時点の公表資料に基づき、点数比較と実務上のチェックポイントを整理します。

2026年の「オンライン診療 診療報酬」を読む前提

2026年は改定年だが、1月時点では「確定点数」と「改定議論」が混在する

診療報酬は原則2年ごとに改定されます。2026年度(令和8年度)改定に向けた資料は厚生労働省ページで公表されていますが、個別点数は今後の中医協で最終化されます。したがって「2026年の点数」を検討する際は、(1)現在算定できる点数(既存点数)で採算を試算し、(2)改定で変わり得る部分は幅を持たせて意思決定する、という二段構えが安全です。

ここがポイント
2026年1月時点では、令和8年度改定の“基本方針・議論の経緯”は公表されていますが、最終的な個別点数は確定していません。投資判断は、現行点数で損益分岐を置きつつ、改定リスクは感度分析(±数%など)で管理するのが実務的です。

「オンライン診療」と「情報通信機器を用いた診療」の関係

診療報酬の世界では、一般に「オンライン診療」と呼ばれるものは、点数上は「情報通信機器を用いた場合」として初・再診料等に組み込まれて評価されます。つまり、オンライン専用の“別メニュー”ではなく、基本診療料の中の区分として理解するのが近道です(例:初診料(情報通信機器を用いた場合)など)。

オンライン診療の点数とは(情報通信機器)—算定の骨格

初診・再診は「情報通信機器を用いた場合」の点数を使う

オンラインで初診・再診を行う場合、通常の初診料/再診料とは別に、情報通信機器を用いた場合の評価が設定されています。点数だけを見ると「オンラインは少し低い」設計ですが、これは触診・聴診などの制約を踏まえた制度設計として説明されています(後述の比較表参照)。

算定要件は「指針準拠」「体制」「記載」で落ちやすい

点数そのものよりも、算定要件の不備で否認・返戻リスクが出やすい点に注意が必要です。資料上、情報通信機器を用いた診療は、厚労省の指針に沿って行うこと、緊急時に対面へつなげられる体制、診療録やレセプト摘要欄への記載等が要件として整理されています。

ここがポイント
オンライン診療は「やった事実」だけでは足りず、摘要欄や診療録の要点記載が実務上の防波堤になります。運用開始前に、院内テンプレ(診療録・説明同意・紹介連携の記録様式)を整備しておくと、返戻対応コストを大きく下げられます。

対面診療との点数比較(初診・再診・外来診療料)

ここでは、経営判断に直結しやすい「基本診療料」の差を並べます。1点=10円(一般的な換算)で概算収入も併記します。

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区分(医科)対面診療の点数情報通信機器を用いた場合の点数差(点)差(円換算)
初診料291点251点-40点-400円
再診料75点73点-2点-20円
外来診療料76点73点-3点-30円
  • 初診は差が出やすく、オンライン初診は対面より40点低い設計です。
  • 再診は差が小さく、オンライン運用の採算は「件数×差額」よりも、運用コスト(スタッフ工数、通信・システム費、キャンセル率)で決まりやすい構造です。

収益性の見方:点数差より「再診比率」と「運用コスト」を見る

ざっくり試算:月100件のオンライン再診は点数差が小さい

たとえばオンライン再診が月100件で、対面再診に置き換わる想定なら、差は2点×100件=200点(概算2,000円)です。ここに時間短縮(受付・会計・導線)、ノーショー率、患者単価(検査や処置が絡むか)などが上乗せされ、実際の損益が決まります。

逆に「オンライン初診を増やす」ほど、点数差の影響が表に出る

オンライン初診が月30件で対面からの置換なら、40点×30件=1,200点(概算12,000円)の差になります。もちろん、オンライン初診は来院障壁を下げ新規獲得に寄与する面もあるため、差額を「機会損失の回避」と見なせるかが判断軸です。

収益性を上げる実務の要点(院長・事務長向け)

  • 「オンラインは再診中心」に設計する(慢性疾患の経過観察、検査結果説明、薬の継続など)
  • 対面が必要な患者を速やかに誘導できる導線を作る(緊急時・悪化時)
  • 算定できる加算を“取りこぼさない”(医療DX関連など、施設基準と運用が噛み合っているか)
  • スタッフ工数を下げる(予約前問診、本人確認、決済、次回予約までの一気通貫)

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算定ミスを防ぐ:オンライン診療の実務手順(レセプト運用)

オンライン診療は、制度要件とレセプト実務がズレると返戻・査定の温床になります。最低限、次の流れで院内標準を作ることを推奨します。

Step 1: 対象患者・対象メニューを先に固定する

  • 初期は「再診中心」「定型フロー中心」(慢性疾患、経過観察、結果説明など)に絞る
  • 初診はリスク(情報不足・急変)を織り込んで、適応と除外基準を明文化する

Step 2: 施設基準・体制要件を点検する

  • オンラインで診療する医師が、原則として保険医療機関内で実施する運用になっているか
  • 緊急時に対面へ接続できる体制(自院対応/連携医療機関)が説明・記録されているか
  • 指針に沿った説明同意、診療録の要点記載がテンプレ化されているか

Step 3: レセプト摘要欄・診療録の記載ルールを統一する

  • 「情報通信機器を用いた診療」であることが判別できる記載
  • 初診・再診の区分、実施日時、同意の有無、緊急時連携先など、返戻時に聞かれやすい項目を定型化

Step 4: 資格確認(オンライン)と個人情報対応を運用に落とす

  • オンラインでの資格確認手順(マイナ在宅受付WEB等)を、受付フローに組み込む
  • 録画・録音の扱い、通信環境、端末管理(院内・院外)をルール化する

よくある落とし穴と対策(収益性を崩す原因)

「オンラインにすれば効率化する」と思い込み、工数が増える

オンラインは導線が短い反面、本人確認・同意取得・通信トラブル対応など“新しい工数”が増えます。特に初診比率が高いと、医師の情報収集時間が伸び、枠効率が落ちがちです。

点数差を埋めるには「枠設計」が一番効く

再診の点数差は小さいので、採算の決定要因は「1枠あたりの処理件数」と「キャンセル率」です。予約リマインド、事前問診、決済、次回予約の自動化まで含めて設計すると、同じ点数でも利益が残りやすくなります。

よくある質問

Q: 2026年のオンライン診療の点数は、今後変わりますか? ▼

A:

2026年度(令和8年度)改定に向けた資料は公表されていますが、個別点数は中医協等で最終化されます。したがって、現時点では「現行点数で試算し、改定による変動は感度分析で管理する」運用が現実的です。
Q: オンライン初診は対面初診よりどれくらい下がりますか? ▼

A:

公表資料上、初診料(情報通信機器を用いた場合)は251点、対面の初診料は291点で、40点(概算400円)低い設計です。初診比率が高いモデルほど、この差が月次収益に反映されます。
Q: 「オンライン診療料」という項目を算定するのですか? ▼

A:

現行の制度整理では、オンライン専用の「オンライン診療料」を別建てで算定するのではなく、初診料・再診料等の中で「情報通信機器を用いた場合」として評価する考え方が示されています。院内の算定ルールは、使用しているレセコン・マスターの区分(医科診療行為マスター等)と合わせて確認してください。

まとめ

  • オンライン診療(情報通信機器)は、基本診療料の中で「情報通信機器を用いた場合」として評価される
  • 点数差は初診で大きく、再診では小さい(採算は運用コスト・再診比率で決まりやすい)
  • 収益性は「点数差」よりも「枠設計」「キャンセル率」「記載・要件整備」で左右される
  • 2026年度改定は議論が進行中のため、現行点数で試算しつつ改定リスクは感度分析で管理する
  • レセプト実務では、診療録・摘要欄の記載統一が返戻・査定リスクを下げる鍵

参照ソース

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省(資料PDF)「情報通信機器を用いた初診・再診に係る評価(初診251点、再診73点等)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000911810.pdf
  • 厚生労働省(別紙PDF)「医科診療報酬点数表(初診料291点、再診料75点、外来診療料76点等)」: https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001276106.pdf
  • 厚生労働省「診療報酬情報提供サービス(マスター検索)」: https://shinryohoshu.mhlw.go.jp/shinryohoshu/searchMenu/

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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