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クリニック向けコラム
作成日:2026.01.10
更新日:2026.01.10
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

診療報酬改定2026整形外科リハ点数と運動器加算|税理士が解説

8分で読めます
診療報酬改定2026整形外科リハ点数と運動器加算|税理士が解説

整形外科のリハビリ収益への影響は、「点数そのものの増減」だけで決まりません。診療報酬改定2026(令和8年度)は、基本方針の段階から、人手不足・賃上げ対応、医療機能の分化・連携、地域包括ケアの推進、そして効率化・適正化が軸になります。整形外科の外来リハでは、運動器リハビリテーション料や関連加算(本記事では便宜上「運動器加算」と総称)の「算定要件」「運用負荷」「長期算定の見え方」が変わると、収益構造は大きく動きます。

診療報酬改定2026の全体像

改定は「基本方針 → 議論 → 告示・通知」で確定する

診療報酬改定は、まず社会保障審議会の「基本方針」で方向性が示され、その後、中医協の議論を経て、告示・通知で点数や算定要件が固まります。したがって、現時点(2026年1月時点)で重要なのは、「改定の方向性から、整形外科リハがどこで影響を受けやすいか」を先に押さえ、数字の確定を待たずに準備することです。

ここがポイント
点数・算定要件は、最終的に告示・通知で確定します。本記事は、基本方針や直近改定の流れから「影響を受けやすい論点」と「準備すべき実務」を整理するものです。個別の算定可否は、必ず最新の告示・通知と地方厚生(支)局の取扱いで確認してください。

整形外科に効くのは「評価の仕方」の変更

整形外科の外来リハは、患者数と単位数で売上が立つ一方で、スタッフ配置や算定要件により供給制約を受けやすい分野です。改定で起こりやすい変化は次の3つです。

  • 点数(単価)の調整
  • 加算要件の厳格化・新設(記録・計画・連携・データ提出など)
  • 長期算定や提供体制の「適正化」論点の強化

整形外科のリハビリ点数で論点になりやすいポイント

1) 外来リハの「質」と「アウトカム」の見え方

リハは「やっている」だけでは評価されにくく、計画性、目標設定、ADLや疼痛、運動機能の改善など、成果やプロセスが問われやすい領域です。整形外科では、慢性期・長期の外来リハが多いほど、算定の妥当性を説明できる運用(記録、目標、再評価)が収益の安定に直結します。

  • 初診〜介入初期の目標設定
  • 一定期間ごとの再評価(継続理由の明確化)
  • 生活機能・就労・スポーツ復帰などゴールの言語化

2) 長期算定・通院頻度の「適正化」リスク

改定では、長期算定の見直しや、同一患者への介入のあり方が論点になりやすくなります。整形外科は患者満足度の高い運用ほど通院が継続しやすい一方、制度上の評価が変わると、急に算定が難しくなるケースもあり得ます。

  • 長期患者の割合(売上構成比)
  • 1人あたり平均単位数・頻度
  • 介護保険サービスへの移行・併用の実態

3) 医療・介護の情報連携の運用負荷

直近改定(令和6年度)でも、医療から介護への移行局面の情報連携が論点として扱われています。整形外科リハは介護領域と接点が大きいため、連携要件が強まるほど、算定の前提となる「書類・連絡・カンファレンス」などのコストが増えやすい点に注意が必要です。

運動器加算(運動器リハ関連加算)を整理する

ここでいう「運動器加算」は、運動器リハビリテーション料に付随して議論されやすい加算・要件(初期介入、計画・評価、連携、データ提出、体制評価など)をまとめた呼び方です。実務では、点数よりも「要件を満たせるか」が先に問題になります。

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論点(運動器加算で起こりやすいこと)収益への影響事前に点検すべきこと
要件の追加(記録・計画・再評価)算定継続の可否、事務工数増記録様式、再評価のタイミング、監査耐性
体制要件の見直し(配置・研修・会議等)人件費増、採用難で供給制約PT/OT配置、稼働率、教育計画、代替要員
連携要件(介護・他院・多職種)連携工数増、算定漏れリスク連携フロー、テンプレ、担当者割当
データ提出・ICT活用の促進システム費増、運用定着が必要レセコン/電子カルテ連携、入力責任分界

「点数が上がっても儲からない」典型パターン

点数(単価)が上がっても、要件が重くなり現場が回らなければ、供給できる単位数が減ります。整形外科では、次の式で“現実の収益”を見積もるのが実務的です。

  • 収益(概算)= 1単位あたり点数 × 単位数 × 10円 ×(算定可能率)

算定可能率とは、要件未達・記録不備・算定漏れ・人員不足で「本来算定できたはずの単位が落ちる割合」を意味します。改定局面ではここがブレます。

整形外科のリハビリ収益への影響を試算する方法

ここからは、院長・事務長が改定前にやるべき「数字の下準備」を手順化します。税理士法人 辻総合会計では、改定のたびに「点数が出てから慌てる」のではなく、改定前に利益インパクトの感度分析を作っておくことを推奨しています。

Step 1: 現状の算定実績を3つの軸で棚卸しする

  • 患者構成:新規/継続(長期)/介護移行見込み
  • 算定実績:運動器リハの単位数、月次推移、スタッフ別生産性
  • 体制:施設基準、人員配置、稼働率、キャンセル率

Step 2: 改定で動きやすい“弱点”を特定する

  • 長期患者の売上依存度が高い
  • 記録・再評価が属人化している
  • 連携書類が未整備で算定漏れが起きやすい
  • PT/OT採用難で供給が頭打ち

Step 3: 3つのシナリオで利益感度を見る

  • シナリオA:点数は微増、要件も微増(事務工数+)
  • シナリオB:点数は据置、要件が増(算定可能率↓)
  • シナリオC:点数調整+要件増(単位数上限に影響)

利益感度は「売上」だけでなく、人件費(採用・賃上げ)、外注費、ICT費、教育費を同時に動かして確認します。

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改定に備える実務対策(整形外科リハの“守りと攻め”)

施設基準・運用の整備で算定可能率を上げる

改定時に最も損をするのは、点数がどうこう以前に、要件を満たせず算定が落ちることです。現場に過度な負担をかけず、監査耐性を上げるには「仕組み化」が有効です。

  • 計画・再評価のテンプレート化(実施日をルール化)
  • 連携文書の定型化(介護移行、他院紹介、退院時など)
  • 算定チェックを月次ルーティン化(算定漏れの検知)

人手不足局面では「単位数を増やす」より「生産性を守る」

PT/OTが増えない状況で単位数拡大を狙うと、待ち時間増や離職リスクに跳ね返ります。改定前から取り組めるのは、予約枠設計、キャンセル対策、書類作業の分離(事務補助)など、供給能力を守る投資です。

  • 予約枠の平準化(ピーク集中の解消)
  • リハ記録の入力時間短縮(定型文・音声入力等の検討)
  • キャンセル率のKPI化と対策(リマインド、当日枠運用)

介護移行・併用を“失注”にしない

介護領域への移行は、医療側の収益が減る局面になり得ます。ただし、紹介・情報提供の質が高いほど、医療としての役割が明確化し、必要な医療リハへの回帰や併用の整理が進みます。ここは、制度対応と患者満足を両立させる運用設計が鍵です。

よくある質問

Q: 診療報酬改定2026で、運動器リハの点数は上がりますか? ▼

A:

2026年1月時点では、点数は告示・通知で確定する前段階です。重要なのは、点数の増減だけでなく、算定要件(記録・連携・体制)の強化で「算定可能率」が下がると収益が落ち得る点です。まずは現状の算定実績と運用負荷を棚卸しして備えるのが実務的です。
Q: 「運動器加算」は何を指しますか? ▼

A:

現場では、運動器リハビリテーション料に付随する加算や要件(初期介入、計画・評価、連携、体制評価、データ提出など)をまとめて「運動器加算」と呼ぶことがあります。正式名称・要件は改定ごとに整理されるため、告示・通知での定義確認が必須です。
Q: 改定前にやっておくべき最優先は何ですか? ▼

A:

「施設基準の点検」と「算定ルールの仕組み化」です。点数が確定してからでは、体制整備(採用・研修・帳票整備)が間に合わないことがあります。月次で算定漏れを検知できる仕組みを作ると、改定局面のブレを最小化できます。

まとめ

  • 整形外科リハの収益は、点数の増減よりも「要件変更による算定可能率」の影響が大きい
  • 運動器リハは、長期算定・外来頻度・医療介護連携が論点になりやすい
  • まずは患者構成、単位数、生産性、施設基準を棚卸しし、利益感度を作る
  • 記録・再評価・連携文書のテンプレ化で、算定漏れと運用負荷を同時に下げる
  • 人手不足局面では、単位数拡大より生産性維持(予約設計・キャンセル対策・事務分離)が有効

参照ソース

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の基本方針」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66904.html
  • 厚生労働省(令和6年度改定資料・リハビリテーション関連): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251539.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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