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クリニック向けコラム
作成日:2026.01.10
更新日:2026.01.10
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

診療報酬改定2026|小児科の予防接種と乳幼児加算はどう変わる?

9分で読めます
診療報酬改定2026|小児科の予防接種と乳幼児加算はどう変わる?

2026年の診療報酬改定で小児科が最初に押さえるべき結論は、「予防接種(とくに定期接種)は診療報酬そのものではなく、市町村との委託契約・公費負担で回っている領域が大きい」という点です。したがって“予防接種の単価が診療報酬改定で直接上下する”と決め打ちするのは危険で、改定の影響は①接種と同日に算定する医科点数、②乳幼児加算等の加算体系、③算定要件(届出・実績)側から読みにいくのが実務的です。

結論:2026改定は「予防接種=契約」「乳幼児加算=医科点数」で分けて確認する

小児科の収益構造は、保険診療(医科点数)と、公費・契約(予防接種、乳幼児健診など)が混在します。2026改定で確認すべきは、次の4点です。

  • 予防接種(定期接種)の収入は、市町村の支弁が原則で「診療報酬改定の点数表」とは別建てになりやすい
  • 一方、乳幼児加算は「初診料・再診料・外来診療料等の医科点数に上乗せ」されるため、改定の影響が直撃する
  • 予防接種と同日に“別の病名で受診”がある場合、初再診料や管理料等の算定可否・算定ルールが収益に効く
  • 2026改定は施行時期が「2026年6月」とされているため、春先の情報収集とシステム対応(レセプト・電子カルテ設定)が重要

情報ボックス:この記事の前提(2026年1月時点)
2026改定は「改定率・基本方針」が先に公表され、個別点数(何点が何点へ)や算定要件の細目は、その後の資料・告示・疑義解釈で確定していきます。したがって本記事は「現行ルールの整理」と「改定を読み解く手順」に重心を置きます。

予防接種は診療報酬の対象か:定期接種と任意接種で“財布”が違う

小児科の「予防接種」は、同じ“接種”でもお金の出どころが異なります。特に定期接種は、予防接種法に基づき市町村が実施主体となり、接種費用は市町村が支弁する整理です(実費徴収の扱いは制度上あり得ます)。

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区分主な根拠・支払い構造収益管理の実務ポイント
定期接種(公費)市町村が実施主体・費用支弁(委託契約)「点数表」ではなく、委託単価・請求様式・締日(市町村ごと)を管理
任意接種(自費)原則として自己負担(クリニックの価格設計)価格設定、同意書、在庫・廃棄ロス、キャンセル規定が利益を左右
受診+接種(同日)保険診療(医科点数)と接種(契約/自費)が同一日で混在“どこまで保険請求できるか”のルール整理が必要

このため「診療報酬改定2026で予防接種はどう変わる?」という問いは、実務上は次のように分解して捉えると判断しやすくなります。

  • 定期接種の委託単価は、診療報酬ではなく市町村の契約条件・予算・入札/見積等で動く(改定は間接要因になり得る)
  • 診療報酬改定が影響し得るのは、接種時に“診察・説明・他疾患対応”が伴うケースの初再診料・加算・管理料の側
  • 経営面では、改定よりも「ワクチン調達価格」「廃棄」「同時接種オペ」「予約導線」の方が損益に直結しやすい

乳幼児加算の現行ルール:どこに付く加算か、対象は誰か

乳幼児加算は、乳幼児(年齢要件は点数表・告示等で定義)に対する診療の負担を評価するため、初診料・再診料・外来診療料・在宅系など複数の“土台点数”に上乗せされる形で設計されています。

実務で特に重要なのは、「乳幼児加算は“診療行為の種類ごと”に付く」点です。たとえば初診料に付く乳幼児加算、再診料に付く乳幼児加算、外来診療料に付く乳幼児加算…と、入口が複数あります。したがって改定時は「加算点数の増減」だけでなく、「どの土台に付くのか/重複・同日算定の整理が変わるのか」も確認対象になります。

また、乳幼児加算は“別の制度要件の判定材料”として使われることがあります。たとえば「前年の延外来患者数のうち6歳未満の患者割合」を把握する方法として、初診料・再診料・外来診療料などで乳幼児加算を算定した患者数を用いて算出する考え方が示されています。こうしたロジックは、将来の施設基準・実績要件の議論でも引用されやすいため、把握方法を院内で固定しておくと改定対応が速くなります。

情報ボックス:院内で“数え方”を統一すると強い
「6歳未満割合」などが要件化・緩和・経過措置の対象になると、同じ診療実態でも“集計の仕方”で判定が変わるリスクがあります。レセプトベース(算定実績)で機械的に出すのか、患者台帳ベースで出すのか、どちらを一次情報にするかを決めておくと安全です。

診療報酬改定2026の公表状況:小児科に関係するのは「施行時期」「配分の考え方」「個別項目」

2026改定を小児科の観点で読むとき、まず“確定情報”として重要なのは施行時期です。2026改定は、診療報酬(医科点数)の施行が「2026年6月」とされています。つまり、4月からではなく6月から点数が動く前提で、予約・同意書・電子カルテ・レセプトの設定変更時期を設計する必要があります。

一方、乳幼児加算や小児科外来に関する“個別点数”は、改定直前期にかけて告示・通知・疑義解釈で確定していきます。したがって現段階では次の優先順位で情報を追うのが現実的です。

  • 施行時期・改定の大枠(いつ、どの方向で、どこに財源が配分されるか)
  • 小児領域で議論対象になっている論点(外来評価、医療DX要件、感染症対応、救急・周産期との連携等)
  • 最終的な点数表・施設基準・経過措置・疑義解釈(ここで乳幼児加算や外来の扱いが確定)

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2026年(令和8年度)診療報酬改定で、小児科の「予防接種」と「乳幼児加算」は何が論点になるかを整理。予防接種は市町村契約が基本という前提から、現行の乳幼児加算ルール、改定情報の追い方、収益影響の試算方法まで解説します。

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影響試算の方法:改定幅が不明でも“変数”で収益インパクトは出せる

改定前の段階で「何点→何点」と断定できないときは、増減点数を変数(Δ点)として置くのが定石です。診療報酬の基本的な換算は「1点=10円(医科)」なので、乳幼児加算が変動した場合のインパクトは次式で概算できます。

  • 年間影響額(円)= Δ点 × 10円 × 年間算定回数

例えば、乳幼児加算が±2点動いた場合の“年間算定回数別”の影響は次のとおりです(あくまで感度分析です)。

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年間算定回数Δ点=+2点の場合Δ点=-2点の場合
3,000回+60,000円-60,000円
6,000回+120,000円-120,000円
12,000回+240,000円-240,000円

小児科の場合、感染症流行期の偏りや、予防接種シーズンに“同日受診”が増えるなど、月次で算定回数が動きます。したがって試算は「年間」だけでなく「6月以降の7か月(6〜12月)」でも作っておくと、資金繰りの見通しが立てやすくなります。

実務の手順(レセプトデータで作る)

  1. 現行点数で「乳幼児加算の算定回数」を月別に集計する(初診・再診・外来診療料など入口別に)
  2. 2026年6月〜12月の季節性を踏まえ、算定回数を見積もる(前年差・2年平均など)
  3. Δ点(仮)を複数置く(例:±1点、±2点、±5点)
  4. 影響額を算出し、スタッフ賃金・ワクチン在庫・予約枠設計の判断材料にする

改定が出たら何を確認するか:小児科のチェックリスト

改定内容が公表された後、院内で優先して見るべきポイントを「3つ」に絞ると運用が回ります。

  • 点数の増減:乳幼児加算そのもの、初再診・外来包括の点数、関連する加算(感染症対応、医療DX等)
  • 算定要件:対象年齢、同日算定の整理、必要な掲示・同意・記録、施設基準と届出期限
  • 経過措置:いつまで旧要件が通るか、届出直しが必要か、レセプト対応の猶予はあるか

特に「予防接種」と絡むのは、次の場面です。

  • 接種のみで来院し、診察(問診・診察・相談)をどこまで行うか
  • 接種当日に、別疾患での受診が成立するケース(発熱、皮疹、喘鳴など)
  • 兄弟同時受診・同時接種で説明や書類業務が増えるケース(オペレーション負担が実質コスト)

よくある質問(FAQ)

Q1. 定期の予防接種は、診療報酬(保険)で請求できますか?

定期接種は、市町村が実施主体となり費用を支弁する仕組みが基本です。したがって「点数表で保険請求する」というより、市町村の委託契約に沿って請求・精算する運用になりやすいです。実務では、契約単価・請求様式・締日・返戻対応を“市町村別”に整理するのが重要です。

Q2. 予防接種と同日に、別の症状で受診した場合はどう扱いますか?

同日内で「契約(接種)」と「保険診療(受診)」が混在し得るため、算定可否や記録の整合性が最重要になります。改定の有無に関わらず、①別疾患として医学的に受診が成立するか、②診療録と請求の整合が取れるか、③同日算定のルールに抵触しないか、の順に確認してください。判断が割れる論点は、告示・通知・疑義解釈で最終確認します。

Q3. 乳幼児加算の影響を早めに見積もるには何を集計すべきですか?

まずは「乳幼児加算の算定回数」を入口別(初診・再診・外来診療料等)に月次集計してください。その上で、改定が6月施行である点を踏まえ、6〜12月の算定回数を季節性込みで見積もると、改定の影響額を変数(Δ点)で概算できます。

Q4. 2026改定の最新情報はどこを見ればよいですか?

一次情報は、厚生労働省が公表する「改定の大枠」「告示・通知」「疑義解釈」です。小児科に関係する項目は、外来・小児周産期・感染症・医療DXなどの資料に分散することがあるため、「小児科外来」「乳幼児加算」などの語で横断検索し、最終的には点数表・施設基準・疑義解釈で確定させる運用が安全です。


参考資料(公式)

  • 厚生労働省「診療報酬改定について(令和8年度・施行時期等)」
    https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001620952.pdf
  • 関東信越厚生局「医療情報取得加算及び医療DX推進体制整備加算の取扱いに関する疑義解釈(乳幼児加算の集計方法に言及)」
    https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/070304_002.pdf
  • 厚生労働省(審議会資料)「予防接種に係る費用負担のあり方について(予防接種法の体系/市町村支弁の整理)」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000ts0v-att/2r9852000000tsiq.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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