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クリニック向けコラム
作成日:2026.01.05
更新日:2026.01.05
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

在医総管の算定要件と点数|2026年版・訪問診療を税理士が解説

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在医総管の算定要件と点数|2026年版・訪問診療を税理士が解説

在医総管(在宅時医学総合管理料)とは

在宅時医学総合管理料(在医総管)とは、通院困難な在宅患者に対し、計画的な訪問診療を継続しながら「総合的な医学管理」を行うことを月単位で評価する点数です。訪問診療(在宅患者訪問診療料)とは別に、管理の手間・連携・指導を含めた包括評価という位置づけになります。

訪問診療を始めたものの、レセプトで返戻になりやすいのが「算定要件の取り違え」と「記録不足」です。特に在医総管は月1回の請求である一方、要件は月内の運用(訪問回数・同意・計画・包括)にまたがるため、院内フロー化が重要です。

税理士法人 辻総合会計では、クリニックの顧問業務を通じて在宅医療の収益構造とレセプト運用を多数確認してきました。本記事では、医療事務・院長双方が判断しやすいように要件を分解して解説します。

在医総管の点数(2026年時点の点数表ベース)

在医総管(C002)は「在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院かどうか」と「院外処方(処方せん交付)か院内処方か」で点数が分かれます。

  • 在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院

    • 処方せんを交付する(院外処方):4,200点
    • 処方せんを交付しない(院内処方等):4,500点
  • 上記以外(在支診・在支病でない)

    • 処方せんを交付する(院外処方):2,200点
    • 処方せんを交付しない(院内処方等):2,500点

「処方せんを交付しない」の区分は、一般に院内で薬剤交付を行う場合等を想定します。点数差があるため、調剤体制(院外連携か院内か)とコスト構造をセットで検討することが実務上のポイントです。

ここがポイント
在医総管は「月1回」の点数ですが、算定の前提として月内の運用要件(訪問回数・計画的管理等)を満たす必要があります。月末にまとめて整合性を取ろうとすると漏れが起きやすいため、訪問ごとに要件チェックを行う運用が安全です。

在医総管の算定要件(押さえるべき核)

在医総管は、点数表上の注記から要件の骨格が読み取れます。要点は「対象患者」「施設基準の届出」「月2回以上の定期訪問」「特定施設入居者等の除外」「月1回算定」です。

対象患者:通院困難な在宅患者(特定施設入居者等を除く)

対象は「在宅で療養を行っている通院困難な患者」です。ここで重要なのが、介護保険の特定施設や特養等で療養する患者など、点数表上の「特定施設入居者等」は在医総管の対象から除かれる点です(この場合は後述の“特定施設入居時等医学総合管理料”側を検討します)。

施設要件:施設基準の届出が前提

在医総管は、施設基準に適合し地方厚生局長等へ届出を行っている医療機関であることが前提になります。届出の有無は監査・適時調査でも確認されやすい項目です。開業直後や体制変更時は、届出書類と運用実態の整合(24時間対応、連携体制など)も含めて点検してください。

運用要件:月2回以上の定期的な訪問診療

在医総管は「計画的な医学管理の下に月2回以上の定期的な訪問診療」を行っている場合に、月1回に限り算定できます。訪問回数要件は、単に訪問した事実だけではなく「計画的管理」の裏付け(同意、計画、記録)がセットです。

併算定:特定施設入居時等医学総合管理料(C002-2)との関係

在医総管は、同月に「特定施設入居時等医学総合管理料(C002-2)」を算定している患者については算定しません。患者の居住場所(自宅か施設か)をフロントで誤ると、月単位で請求が崩れます。

在医総管で“返戻を防ぐ”実務ポイント

在医総管は「管理料」なので、診療録・計画書・同意書・訪問実績などの整備が請求適正化の中核になります。現場でよく起きるミスと対策を整理します。

同意・計画・記録:監査で見られる3点セット

訪問診療では、同意書、訪問診療計画、診療時間や場所の記載などが基本動作になります。これらが不十分だと、在医総管だけでなく訪問診療料側の整合性も疑義になりやすい点に注意してください。

包括範囲の理解:二重請求のリスクを回避

在医総管を算定した場合、「別に厚生労働大臣が定める診療に係る費用及び投薬の費用は所定点数に含まれる」旨が示されています。つまり、包括対象を別算定すると二重請求の指摘につながります。包括・出来高の線引きは、医療事務と院長で共通言語化しておくべき領域です。

ここがポイント
在医総管は「月内の管理」を評価するため、訪問回数・居住場所・包括範囲・併算定の有無が、月次で同時に整合している必要があります。月次レセプト確定前に「在医総管チェックリスト」を回す運用が有効です。

在医総管と施設入居時等(C002-2)の違い(比較表)

在宅医療では、患者の居住場所により管理料が変わります。誤りやすいポイントを比較表にまとめます。

←横にスクロールできます→
項目在医総管(C002)特定施設入居時等(C002-2)
対象在宅で療養する通院困難な患者(特定施設入居者等を除く)特定施設入居者等(介護の特定施設、特養等)で通院困難な患者
算定頻度月1回月1回
訪問回数要件月2回以上の定期訪問診療月2回以上の定期訪問診療
点数(在支診/在支病・院外/院内)4,200点 / 4,500点3,000点 / 3,300点
点数(上記以外・院外/院内)2,200点 / 2,500点1,500点 / 1,800点
実務上の注意居住場所の判定ミス、包括の二重請求施設区分の確認、同一建物患者の管理

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算定開始までのステップ(院内フロー雛形)

在医総管は「要件を満たしているつもり」でも返戻になるケースがあるため、開始時点でフローを固めるのが近道です。

Step 1: 施設基準と届出状況を確認する

在支診/在支病の該当性、届出の有無、体制(連携・24時間対応等)を棚卸しします。点数区分が変わるため、経営インパクトも合わせて試算します。

Step 2: 同意書・在宅療養計画・診療録の記載項目を統一する

患者・家族の同意、計画的管理の根拠、訪問日時・場所・時間、主病名・指導内容など、必要項目をテンプレート化します。

Step 3: 月2回以上の定期訪問を運用として担保する

キャンセルや入院で回数が割れる月が出ます。代替訪問の判断基準や、算定の可否判断を“訪問時点”で確定できるようにします。

Step 4: 月次でレセプト前の突合チェックを行う

居住場所(自宅/特定施設)、同月の併算定、包括の対象外算定、処方せん交付の区分などを月次で突合します。ここを仕組み化すると返戻率が下がります。

税理士としての視点:在医総管は「月次収益」と「現場運用」を同時に整える

在医総管は月1回算定のため、訪問件数が増えると月次の医業収益が読みやすくなる一方、要件不備による返戻が出ると入金が月単位で崩れます。結果として、資金繰り予測・人員配置・外注費(訪問看護連携等)の意思決定がぶれやすくなります。

同一建物患者数や訪問ルートの設計、院外処方・院内処方の選択は、診療報酬だけでなく運用コストにも直結します。会計面では、在医総管を含む在宅医療の収益を院内の部門別に把握できるよう、科目設計や補助科目の導入も検討すると管理が安定します。

なお、個別の患者属性・地域連携・届出状況により最適解は変わります。疑義がある場合は、保険者対応も含めて専門家に個別確認することを推奨します。

よくある質問

Q: 在医総管は「月1回」ですが、月の途中で開始した場合も算定できますか? ▼

A:

在医総管は月内の運用要件(計画的管理の下で月2回以上の定期訪問診療等)を満たすことが前提で、算定自体は月1回です。月途中開始は可能性がありますが、月内の訪問回数・同意・計画・記録が要件を満たすかを月単位で確認してください。
Q: 自宅ではなく有料老人ホーム等に入居している患者は在医総管の対象ですか? ▼

A:

介護保険の特定施設や特養等に該当する場合は、点数表上「特定施設入居者等」として在医総管の対象外となり、原則としてC002-2(特定施設入居時等医学総合管理料)側で検討します。施設の区分確認が重要です。
Q: 「処方せんを交付しない場合」の点数が高いのはなぜですか? ▼

A:

区分上、院外処方(処方せん交付)と院内処方等(処方せんを交付しない)で点数が分かれています。実務上は調剤体制とコスト構造の違いが背景にあります。請求区分の選択は、運用実態に即して行ってください。
Q: 在医総管の返戻が多いのですが、最初に見直すべき点は何ですか? ▼

A:

まず「居住場所の判定(C002かC002-2か)」「月2回以上の定期訪問の充足」「同意・計画・記録の整備」「包括の二重請求」を優先して点検してください。月次の突合チェックを仕組み化すると改善しやすいです。

まとめ

  • 在医総管(在宅時医学総合管理料)は、在宅患者への総合的医学管理を月単位で評価する点数
  • 算定の核は、施設基準の届出、通院困難な在宅患者、月2回以上の定期訪問、月1回算定
  • 特定施設入居者等は原則対象外で、C002-2(特定施設入居時等)との判定が重要
  • 点数は在支診/在支病かどうか、院外処方か院内処方かで段階的に異なる
  • 返戻防止には、同意・計画・記録と、月次の突合チェック(居住場所・併算定・包括)が有効

参照ソース

  • 厚生労働省「第2部 在宅医療(点数表・C002在宅時医学総合管理料を含む)」: https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken12/dl/index-012.pdf
  • 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要(在宅医療の評価構造等)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001226864.pdf
  • 地方厚生(支)局「指導のための資料作成について(訪問診療の要件・記録等)」: https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/news/000326889.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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