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相続・事業承継コラム
作成日:2025.04.24
更新日:2026.01.01
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

教育資金贈与の一括贈与1500万円の使い方|税理士が解説

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教育資金贈与の一括贈与1500万円の使い方|税理士が解説

教育資金贈与(1500万円非課税)とは

教育資金贈与(正式には「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」)とは、祖父母や父母などの直系尊属から、子や孫が教育費に充てるための資金を一括で受け取り、一定の手続を行うことで、最大1,500万円まで贈与税が非課税になる制度です。ポイントは、単に「振込で渡す」だけでは足りず、金融機関等で教育資金管理契約を結び、領収書等で支出事実を確認してもらう実務設計にあります。

一方で、使途・年齢・所得要件を外すと非課税にならない、使い残し(管理残額)に課税され得る、贈与者死亡時に相続税の論点が出るなど、入口より出口の設計が難しい制度でもあります。家計支援のつもりが想定外の課税につながらないよう、条件と運用ルールを先に押さえましょう。

ここがポイント
本制度の適用対象期間は「平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間」とされています(令和7年4月1日現在法令等)。延長・改正の可能性があるため、実行前に最新情報の確認が重要です。

非課税になる条件と上限(30歳未満・所得制限など)

制度の骨格は「誰が・いつ・いくらまで・どんな手続で」非課税か、です。まず押さえるべき条件は次のとおりです。

  • 受贈者:契約締結時点で30歳未満
  • 贈与者:受贈者の直系尊属(父母・祖父母など)
  • 期間:平成25年4月1日〜令和8年3月31日
  • 非課税枠:非課税拠出額1,500万円まで(金融機関等を経由して申告書提出等)
  • 所得制限:受贈者の前年分の所得税の合計所得金額が1,000万円以下であること(超えると適用不可)

実務上の落とし穴は「所得制限」と「年齢」です。例えば、就職後に所得が増える、資産運用益が大きい、役員報酬がある等のケースでは、前年の合計所得金額の判定で制度が使えないことがあります。また「30歳未満」は“契約日”基準である点も重要です。

教育資金の対象範囲(学費・習い事・留学費用の考え方)

非課税の対象となるのは、教育に通常必要と認められる支出ですが、何でも対象になるわけではありません。大枠として、学校等に支払う入学金・授業料等に加え、学校等が必要と認めた金銭、通学定期券代、留学の渡航費などが含まれ得ます。さらに、学習塾やスポーツ・文化芸術など「教養の向上のための活動」に係る指導料等も対象となり得ます。

ただし、年齢や内容により対象範囲が狭くなる点が実務上の肝です。特に、受贈者が23歳を超える局面では、塾・習い事等について対象が限定される扱いが示されています(例:教育訓練給付金の対象となる教育訓練費用に限る等)。運用上は、23歳以後の対象範囲を前提に、どの費目をどのタイミングで払出すかを設計し、領収書・証憑を整備するのが安全です。

ここがポイント
領収書の宛名・日付・内容が不十分だと金融機関等で「教育資金の支払事実」として確認できないことがあります。制度は“税務の理屈”より“証憑の体裁”で詰まる場面が多い点に注意してください。

暦年贈与・都度負担との違い(使い分けの判断軸)

教育費は本来、扶養義務者間で必要の都度支払う限り、贈与税の問題になりにくい領域です。一方、一括贈与非課税は「将来必要となる教育費をまとめて確保したい」ニーズに応える制度で、領収書管理・口座管理を前提に非課税枠を使う点が異なります。

使い分けの目安を比較すると、次のように整理できます。

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観点教育資金の一括贈与(非課税)必要の都度の教育費負担(一般論)暦年贈与(110万円枠)
非課税枠最大1,500万円(条件付き)教育費として直接支払う範囲年110万円(一般贈与)
手続負担金融機関で契約・申告書・領収書提出低(直接支払が中心)低〜中(贈与の証拠化)
使途制限教育資金に限定、証憑必須教育費に限定(直接支払が前提)使途自由
リスク管理残額への課税、贈与者死亡時の論点支払方法次第で贈与認定リスク名義預金・連年贈与等

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、祖父母が「学費以外も見込んで多めに拠出したい」と希望し、結果として使い切れずに残額課税の検討が必要になったケースが少なくありません。教育費の見通し(進路、留学、習い事の継続可能性)を置かずに上限まで拠出するのではなく、資金需要の蓋然性に応じて段階的に設計する方が、税務リスクと実務負担を抑えやすい傾向があります。

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手続きの流れ(金融機関での契約〜領収書提出まで)

制度は「口座を作って入金すれば終わり」ではありません。金融機関等での契約と、支出に紐づく領収書等の提出・提供が運用の中心です。一般的な流れをステップで整理します。

Step 1: 金融機関等で教育資金管理契約を締結し、口座等を開設する

信託銀行・銀行・証券会社等の取扱金融機関で、教育資金専用の管理スキームを選択します。受贈者の年齢(30歳未満)と、前年の合計所得金額(1,000万円以下)など、入口要件の確認がここで重要になります。

Step 2: 教育資金非課税申告書を取扱金融機関経由で提出する

非課税の適用は、金融機関等の営業所等を経由して所定の申告書提出等を行うことで成立します。書面による贈与(贈与契約書)も実務上は整備しておくと説明可能性が上がります。

Step 3: 教育資金口座から払出し、教育資金を支払う(領収書等を確保する)

入学金・授業料・教材費・通学定期券代など、対象費用に該当する支出を行い、領収書等を必ず保管します。学校等が必要と認めた金銭などは、必要性を裏付ける資料が求められることがあります。

Step 4: 領収書等を金融機関等に提出・提供し、支払事実を確認してもらう

領収書等は、支払年の翌年3月15日までに提出・提供する運用が案内されています(支払と払出しの前後は問わない整理もあります)。ここが遅れる・証憑不備があると、教育資金支出額として認められないリスクが上がります。

注意点とリスク(使い残し・贈与者死亡・終了時の課税)

制度の注意点は「終了時」と「贈与者死亡時」に集中します。

  • 契約終了時:非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額(管理残額)があると、その残額について贈与があったものとされ、贈与税の申告が必要となる場合があります。
  • 贈与者死亡時:契約期間中に贈与者が死亡した場合、管理残額が相続等により取得したものとみなされるなど、相続税の論点が発生し得ます(一定の場合はみなされない取扱いもあります)。
  • 年齢到達:受贈者が30歳・40歳など、一定の事由で契約が終了する仕組みがあり、教育資金の支払状況と残高が税務に直結します。

特に、拠出額を大きくしすぎると、教育費の見込みが外れたときに管理残額への課税が現実化します。家族会議では「何に、いつまでに、いくら使う想定か」を先に置き、拠出額を“必要見込額+安全余裕”にとどめるのが実務的です。

よくある質問

Q: 親から子へ、教育費をその都度振り込んでも贈与税がかかりますか? ▼

A:

一般に、扶養義務者が必要な都度、教育費として直接支払う範囲は贈与税の問題になりにくいとされています。ただし、子の預金口座へまとめて送金して自由に使える状態にすると、教育費の実態が説明できない場合に贈与認定リスクが高まります。用途と支払経路の設計が重要です。
Q: 1,500万円を入れたあと、使わなかった分はどうなりますか? ▼

A:

契約終了時点で教育資金支出額に充てられずに残った管理残額がある場合、その残額について贈与があったものとされ、贈与税の申告が必要となることがあります。拠出額は「使い切れる見通し」を前提に設計してください。
Q: 受贈者が社会人になってからも、習い事や塾代は非課税対象ですか? ▼

A:

対象範囲は年齢等により限定される扱いが示されています。特に23歳を超える局面では、対象となる費目が絞られるため、社会人以降の支出を見込む場合は、対象費用の該当性と証憑の整備を前提に、拠出額・払出時期を設計するのが安全です。

まとめ

  • 教育資金贈与は、一定の手続により最大1,500万円まで贈与税が非課税となる制度
  • 受贈者は契約時30歳未満、前年の合計所得金額1,000万円以下など入口要件がある
  • 対象費用は幅広いが、年齢等により範囲が限定されるため「使い道の設計」が重要
  • 手続は金融機関での契約・申告書提出と、領収書等の提出・提供が中心
  • 契約終了時の管理残額課税、贈与者死亡時の相続税論点など“出口”の注意点を先に潰す

参照ソース

  • 国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm
  • 国税庁「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(PDF)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201304/pdf/0023004-114_02.pdf
  • 文部科学省「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」: https://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/1332772.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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