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相続・事業承継コラム
作成日:2026.02.22
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

生前贈与7年加算ルール【2026年版】対策スケジュール|税理士が解説

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生前贈与7年加算ルール【2026年版】対策スケジュール|税理士が解説

生前贈与の7年加算とは?結論(いつから加算されるか)

生前贈与の「7年加算」とは、相続で財産を取得した人が、被相続人から相続開始前一定期間に受けた暦年贈与を、相続税の課税価格に持ち戻して加算するルールです。
2026年時点の実務で重要なのは、「いつ贈与したか」だけでなく「いつ相続が開始したか(死亡日)」で加算範囲が変わる点です。

相続税対策として毎年贈与を続けている方ほど、改正の影響で「想定より相続税が増える」ケースが出ます。特に50代以上で、親からの贈与を受け始めている方は、今後の資金移転計画を早めに組み直す必要があります。

旧ルール(3年加算)と新ルール(7年加算)の違い

何が変わったのか(ポイント3つ)

  • 加算対象期間が、原則「相続開始前3年以内」から最長7年以内へ拡大
  • ただし一気に7年へ移行するのではなく、相続開始日(死亡日)に応じて段階的に適用
  • 相続開始日が一定以後の場合、3年超部分の加算については「総額100万円まで加算しない」調整がある(対象・計算は要注意)
ここがポイント
よくある誤解として「7年以内の贈与は全部が相続税で二重課税になる」があります。実際は、加算された贈与に対応する贈与税は相続税から控除(税額控除)されます。問題は、110万円以内で贈与税がゼロだった贈与も加算され得る点です。

3年加算 vs 7年加算(比較表)

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項目旧:3年加算新:7年加算(段階的移行)
対象となる贈与相続開始前3年以内の暦年贈与相続開始日によって最長7年以内の暦年贈与
110万円贈与3年以内なら加算対象になり得る7年(移行期は2024以降の贈与等)で加算対象が広がる
影響が出やすい人死亡直前に贈与が多い家庭毎年コツコツ贈与している家庭ほど影響が出やすい
対策の軸直前3年を避ける「贈与の目的・制度選択・タイミング」を再設計

2024年〜2031年の段階的移行スケジュール(早見表)

7年加算は「令和6年(2024年)1月1日以後の暦年贈与」から制度設計が変わり、相続開始日(死亡日)で加算対象期間が切り替わります。
以下は、2026年時点で相談が多い「どの年の贈与が戻るか」を、実務で使いやすい形に圧縮した早見表です(暦年贈与が前提)。

早見表:相続開始年(死亡年)ごとの「加算される贈与年」

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相続開始(死亡)年相続税に加算される贈与の範囲(原則)
2024年2022〜2024年(3年以内)
2025年2023〜2025年(3年以内)
2026年2024〜2026年(3年以内)
2027年2024〜2027年(2024/1/1以後〜死亡日)
2028年2024〜2028年(同上)
2029年2024〜2029年(同上)
2030年2024〜2030年(同上)
2031年2025〜2031年(原則7年以内)
  • 2026年までの相続開始は、従来どおり「3年以内」が基本です。
  • 2027〜2030年は移行期で、「2024年以後の贈与」が幅広く加算対象になり得ます(結果として4〜7年相当になることがあります)。
  • 2031年以後の相続開始で、原則として「相続開始前7年以内」が完成形になります。
ここがポイント
上の表は「年」で丸めた実務用です。実際は死亡日から遡った日付で判定します。たとえば同じ2027年相続開始でも、死亡日が1月か12月かで加算対象の実年数が変わります。

「暦年贈与110万円が使えなくなった?」誤解の解消

結論から言うと、110万円の基礎控除(暦年課税)は残っています。変わったのは「贈与税がかからない=相続税でも無関係」ではなくなった点です。

110万円贈与で損したと感じやすいパターン

  • 毎年110万円を子に贈与してきた
  • ところが相続開始が移行期(特に2027〜2030年)に当たった
  • 直近の贈与は贈与税ゼロでも、相続税の課税価格に加算され、相続税が増える

ここで重要なのは、「110万円贈与が無意味」ではなく、次のように目的に応じて使い分ける発想です。

  • 生活費・教育費など、都度必要な費用の負担(要件に沿った実費精算)
  • 不動産取得、事業承継など資産の性質に合わせた制度選択
  • 贈与契約書・資金移動の証拠を整え、贈与の実体を固める

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相続時精算課税制度との賢い使い分け(2026年の実務視点)

暦年贈与(110万円)と、相続時精算課税は「どちらが得か」ではなく、資産規模・相続人構成・資産の中身で最適解が変わります。税理士法人 辻総合会計では、相続税申告・生前対策の現場で、次の切り口で判断します。

使い分けの目安

  • 暦年贈与が向くケース

    • 受贈者が複数いて、毎年分散して移転したい
    • 将来の相続開始がまだ遠く、計画的に贈与の目的を積み上げられる
    • 贈与する財産が現預金中心で、評価変動が小さい
  • 相続時精算課税が向くケース

    • 将来値上がりしそうな資産(自社株・不動産など)を早めに移したい
    • 相続人を限定して資産承継の筋を作りたい
    • 2024年以後の改正により、相続時精算課税でも年110万円の基礎控除(別枠)が使える設計が整ったため、少額移転も織り込みやすい

注意点(制度を混ぜるときの落とし穴)

  • 相続時精算課税は「選択したら原則戻れない」ため、入口設計が重要です。
  • 暦年贈与の7年加算は加算対象期間の拡大なので、短期の節税テクニックより、資産移転の設計が問われます。

今すぐ始める生前対策(不動産・保険・教育資金)スケジュール

制度が複雑化した今ほど、「何をいつやるか」の工程表が効きます。以下は、対策を実務に落とすための基本スケジュールです。

Step 1: 資産の棚卸し(現預金・不動産・保険・有価証券)

財産目録を作り、相続税の概算(基礎控除・法定相続人)と、贈与に回せる余力を把握します。
不動産は評価(路線価・固定資産税評価額)と収益性もセットで確認します。

Step 2: 「贈与の目的」を決めて制度を当てはめる

  • 教育費・生活費:都度必要な費用としての負担(要件確認)
  • 住まい:住宅取得等資金贈与の非課税の適用余地
  • 事業承継:株式移転の方法(評価・議決権・納税資金)
  • 介護・老後費:親の資金繰りを崩さない設計

Step 3: 2027〜2031を見据えた加算リスクの平準化

移行期に相続開始が重なる可能性があるなら、暦年贈与だけで突っ走らず、相続時精算課税や保険(受取人設計・非課税枠)を組み合わせ、加算の影響を平準化します。

Step 4: 書面と証拠の整備(贈与契約書・振込・管理)

暦年贈与は、税率以前に「贈与の成立」を否認されないことが重要です。毎年の契約、振込記録、受贈者の管理実態を整えます。

よくある質問

Q: 生前贈与の7年加算は、いつの贈与から対象ですか? ▼
「令和6年(2024年)1月1日以後の暦年贈与」から制度上の扱いが変わり、相続開始日(死亡日)に応じて加算対象期間が段階的に拡大します。2026年までの相続開始は原則3年、2027〜2030年は移行期、2031年以後は原則7年が目安です。
Q: 110万円の贈与は、もう意味がないのですか? ▼
110万円の基礎控除自体は残っています。ただし、加算対象期間内の贈与は、贈与税がゼロでも相続税計算で加算され得ます。意味がないのではなく、「贈与の目的」と「制度の選び方」を再設計する必要があります。
Q: 7年加算になると二重課税になりますか? ▼
原則として、加算された贈与に対応する贈与税は相続税から控除されます。問題になりやすいのは、110万円以下で贈与税が発生していない贈与も加算対象になり得る点で、相続税が増える体感につながります。
Q: 暦年贈与と相続時精算課税、どちらを選ぶべきですか? ▼
資産規模・相続人構成・資産の性質(値上がり見込み、流動性)で結論が変わります。特に不動産や自社株など評価変動の大きい資産は、相続時精算課税の検討余地が高い一方、選択後の撤回が難しいため、試算と出口設計が必須です。

まとめ

  • 生前贈与の加算期間は、相続開始日(死亡日)により段階的に拡大し、最終的に原則7年へ
  • 2027〜2030年は移行期で「2024年以後の贈与」が広く加算対象になり得る
  • 110万円贈与は廃止ではないが、加算対象期間内なら相続税で持ち戻され得る
  • 暦年贈与と相続時精算課税は「得・損」ではなく、資産の中身と承継方針で使い分ける
  • 2026年の対策は、制度理解よりも「スケジュール化(棚卸し→制度選択→証拠整備)」が差になる

参照ソース

  • 国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm
  • 国税庁「令和5年度 相続(パンフレット)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf
  • 財務省「令和5年度税制改正の大綱(相続税・贈与税関係)」: https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2023/05taikou_02.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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