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相続・事業承継コラム
作成日:2025.08.27
更新日:2026.01.02
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

住宅取得資金贈与の非課税特例|条件と手続きの流れを税理士が解説

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住宅取得資金贈与の非課税特例|条件と手続きの流れを税理士が解説

住宅取得資金贈与の非課税特例とは、親・祖父母など直系尊属から住宅購入や新築等のための資金を受けた場合に、一定の条件を満たせば最大1,000万円(省エネ等住宅)まで贈与税が非課税になる制度です。住宅購入は資金計画が先行しやすく、手続きの遅れや要件漏れで「非課税のはずが課税に戻る」ことが実務上の課題になります。本記事では、検討中の方が迷いやすい条件と手続きの流れを、税理士法人 辻総合会計の実務目線で要点整理します。

住宅取得資金贈与(住宅取得等資金)とは

住宅取得資金贈与は、自己が住むための住宅の「新築・取得・増改築等」の対価に充てるための金銭(住宅取得等資金)を、直系尊属から贈与で受け取るケースを指します。制度上は、住宅本体だけでなく、一定の場合は敷地の取得(先行取得を含む)も対象になります。

ポイントは「不動産そのものの贈与」ではなく、「金銭の贈与」であることです。親から資金を受け取り、受贈者(子・孫)が住宅を取得し、所有者になる構図が基本となります。

非課税限度額はいくらまで?(省エネ等住宅1,000万円・その他500万円)

適用期間は、令和6年(2024年)1月1日から令和8年(2026年)12月31日までです。要件を満たすと、贈与を受けた人ごとに次の金額まで贈与税が非課税となります。非課税枠は「受贈者ごと」であり、同一年に複数の直系尊属から受ける場合も合算管理が必要です。

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区分非課税限度額住宅の性能要件(概要)証明の要否
省エネ等住宅1,000万円新築はZEH水準等(断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上等)住宅性能証明書等を申告書に添付
その他の住宅500万円上記以外原則不要(ケースにより耐震等の証明が必要)

国土交通省は、令和6年度税制改正で本措置の適用期限が3年延長され、新築住宅の省エネ要件がZEH水準に見直された点を整理しています。「省エネ等住宅」かどうかで500万円差が出るため、売買契約前に証明書の取得可否まで確認するのが安全です。

ここがポイント
「省エネ等住宅」に該当させるには、住宅性能証明書など一定書類を贈与税申告書に添付して証明する必要があります。証明書の取得に時間がかかることがあるため、引渡し・申告期限から逆算して準備してください。

適用条件(受贈者・住宅・期限)をチェック

非課税特例は「条件が細かい」点が最大の難所です。特に、年齢・所得・床面積・期限の4点は、実務で見落としが起きやすい項目です。

受贈者(もらう人)の主な要件

代表的な要件は次のとおりです。18歳以上などは形式要件のため、該当しないと一発で適用不可になります。

  • 贈与者の直系卑属(子・孫など)であること(配偶者の親は原則対象外)
  • 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上
  • 合計所得金額が2,000万円以下(ただし、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅を新築等する場合は1,000万円以下)
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、資金の全額を充てて新築等をすること
  • 翌年3月15日までに居住、またはその後遅滞なく居住する見込みがあること(原則、翌年12月31日までに居住していないと修正申告が必要)

住宅(買う家・建てる家)の主な要件

住宅側の要件も多岐にわたります。最低限押さえたいのは床面積と中古住宅の基準です。

  • 日本国内にある住宅であること
  • 登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下(区分所有は専有部分)
  • 床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること
  • 中古住宅は、原則として昭和57年(1982年)1月1日以後に建築されたもの、または耐震基準適合を一定書類で証明できるもの等

「親から資金をもらって夫(妻)名義で購入」は要注意

よくある相談として、資金は親、購入名義は配偶者(または共有割合が合わない)という設計があります。非課税特例は、受贈者が住宅を所有(共有持分を含む)することが前提になるため、資金の出し手と名義・持分が一致しているかを必ず確認してください。

手続きの流れ(申告期限・添付書類)をステップで解説

非課税でも贈与税の申告が必要です。申告がないと特例適用ができません。期限と書類を「やること順」に落とし込みます。

Step 1: 住宅の区分と要件を確定する(契約前が理想)

  • 省エネ等住宅に該当するか(1,000万円枠か500万円枠か)
  • 床面積、居住用割合、中古住宅の耐震要件などの適合性
  • 住宅性能証明書等が取得可能か、発行スケジュール

Step 2: 贈与の実行と資金管理(証拠を残す)

  • 贈与契約書(簡易で可)を作成し日付を明確化
  • 受贈者名義口座への振込で資金移動を可視化
  • 住宅取得に充てた支払の証憑(請負・売買契約、領収書、振込控え)を保存

Step 3: 翌年3月15日までに住宅取得等を完了し、居住要件を満たす

  • 資金を全額充当し、引渡し・登記まで進める
  • 居住開始(または遅滞なく居住の見込み)を担保する
  • 期日を越える可能性が出た時点で、早めに専門家へ相談

Step 4: 翌年2月1日〜3月15日に贈与税申告(添付書類を揃える)
申告期間内に、特例適用を記載した贈与税申告書を所轄税務署へ提出します。添付書類の例は次のとおりです。

  • 戸籍の謄本
  • 新築・取得の契約書の写し 等
  • 省エネ等住宅の場合:住宅性能証明書等(該当を証明する書類)
  • マイナンバーに関する本人確認書類(提示または写し添付が必要になるケースあり)
    なお、土地・建物の登記事項証明書は、不動産番号の記載等により添付省略が可能な場合があります。

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住宅取得資金贈与(住宅取得等資金の贈与税非課税措置)は、直系尊属からの資金贈与が最大1,000万円まで非課税となる制度です。適用期限、所得・床面積要件、申告手続き、失敗しやすい注意点を実務目線で整理します。

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失敗しやすい注意点(税務上の落とし穴)

制度自体はシンプルに見えますが、実務では次の落とし穴が頻出です。

  • 申告を忘れる(非課税でも申告が必要)
  • 期限(翌年3月15日)までに「全額充当」「取得完了」が間に合わない
  • 省エネ等住宅の証明書が申告期限に間に合わない
  • 床面積要件(40㎡以上)や居住用割合(2分の1以上)を満たさない
  • 親の資金で購入したのに受贈者名義・持分が無い(または持分が不整合)

税理士法人 辻総合会計でも、売買契約後に要件不適合が判明し、設計変更や資金移動のやり直しが必要になったケースを見かけます。特に契約前に「省エネ枠の可否」と「証明書の段取り」まで確認しておくと、リカバリーコストを大きく下げられます。

相続時精算課税との関係(必要な人だけ押さえる)

住宅取得資金贈与では、「非課税特例」とは別に、相続時精算課税を選択するための特例が用意されています。一定の条件を満たすと、贈与者が60歳未満でも相続時精算課税を選択できます。もっとも、この特例は「非課税特例を適用した後に、なお課税価格に算入される住宅取得等資金がある場合」に限って適用される点が重要です。判断を誤ると、その後の贈与課税方式に長期影響が出るため、制度選択は個別検討が前提です。

よくある質問

Q: 住宅取得資金贈与は非課税なら、贈与税申告は不要ですか? ▼

A:

不要ではありません。非課税特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、特例適用を記載した贈与税申告書を提出する必要があります。
Q: 省エネ等住宅(1,000万円枠)にするには何を準備すればよいですか? ▼

A:

住宅性能証明書など、一定の書類を贈与税申告書に添付して「省エネ等基準に適合する」ことを証明します。証明書の発行主体や必要書類はケースで異なるため、建築会社・売主・検査機関に早めに確認してください。
Q: 贈与を受けた翌年の12月31日までに入居できない場合はどうなりますか? ▼

A:

原則として特例適用ができず、修正申告が必要になります。工期遅延や転勤等の事情が見込まれる場合は、期限前に対応方針を検討してください。
Q: 親から資金をもらい、夫婦共有名義で購入する場合の注意点は? ▼

A:

受贈者が住宅を所有(共有持分を含む)することが前提です。資金の贈与先、名義(持分割合)、実際の資金負担が整合しているかを設計段階で確認してください。

まとめ

  • 住宅取得資金贈与の非課税特例は、令和6年1月1日〜令和8年12月31日が適用期間
  • 非課税限度額は、省エネ等住宅1,000万円・その他500万円(受贈者ごと)
  • 年齢(18歳以上)、所得、床面積(40㎡以上240㎡以下)など要件が細かい
  • 非課税でも贈与税申告が必須(翌年2/1〜3/15)で、証明書等の添付が重要
  • 期限(翌年3/15の取得完了・居住要件)と名義設計の不整合が失敗要因になりやすい

参照ソース

  • 国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm
  • 国土交通省「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000018.html
  • 国税庁「No.4503 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4503.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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