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相続・事業承継コラム
作成日:2025.09.28
更新日:2026.01.01
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

相続登記義務化の期限・罰則と対応手順|2024改正を解説

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相続登記義務化の期限・罰則と対応手順|2024改正を解説

相続登記の義務化とは|2024年4月から何が変わった?

相続登記の義務化とは、相続で土地・建物を取得した相続人が、一定期限までに名義変更(相続登記)を申請しなければならない制度です。結論から言うと、令和6年(2024年)4月1日以降は、相続した不動産を放置すると「期限超過」になり得ます。

これまで相続登記は実務上「やった方がよいが未了でも直ちに不利益が出にくい」手続きとして先送りされがちでした。しかし、所有者不明土地の増加が社会問題化し、相続をきっかけに名義が更新されない状況を解消するため、申請義務と過料(行政罰)が整備されました。

相続人にとっての問題は、「遺産分割がまとまらない」「戸籍収集が大変」「不動産がどこにあるか分からない」といった理由で登記が止まり、結果として期限を超えるリスクが生じる点です。早めに全体像と段取りを押さえておくことが実務対応の核心になります。

相続登記はいつから義務?|施行日と経過措置(過去の相続も対象)

義務化の施行日は2024年4月1日です。ここで重要なのは、施行日以後に発生した相続だけではなく、施行日前に発生した相続で未登記の不動産も義務の対象になることです。

施行日前の相続はいつまでにやるべき?

義務化前に相続した不動産で、名義が被相続人のまま残っているものは、原則として令和9年(2027年)3月31日までに相続登記を行う必要があります(猶予期間のイメージとして把握してください)。

施行日後の相続は「知った日」からカウント

施行日後の相続では、義務の起算点が「相続で取得したことを知った日」と整理されています。現場感覚では、相続開始(死亡日)とずれるケースがあるため、「いつ知ったか」を意識した管理が有効です。原則は3年以内に申請が必要です。

ここがポイント
相続登記と合わせて、不動産の「住所・氏名変更登記」も義務化が予定(住所等変更登記の義務化)されています。相続後の名義更新だけでなく、その後の住所変更等も登記管理の対象になるため、家族内で登記情報の棚卸しを行うと手戻りを減らせます。

罰則はある?|期限・過料と「正当な理由」の考え方

相続登記の義務に違反すると、10万円以下の過料の適用対象となり得ます。過料は刑罰ではありませんが、行政上の制裁であり、放置を前提にした運用は推奨できません。

期限(原則)の整理

  • 施行日(2024年4月1日)以後の相続:取得を知った日から3年以内に申請
  • 施行日前の相続で未登記:2027年3月31日までに申請(猶予の目安)

「正当な理由」がある場合

実務上は、相続関係が複雑で戸籍収集に相当の時間を要する、遺産分割協議が係争状態で進まない、相続人が多数で連絡が取れないなど、やむを得ない事情が争点になります。とはいえ、「何もしない」状態が長いほど説明が難しくなるため、次に説明する負担軽減策を使い、手続を前に進めるのが安全です。

相続人申告登記とは?|遺産分割が終わらないときの負担軽減策

相続登記の義務化に伴い、負担軽減策として相続人申告登記(相続人である旨の申出)が新設されています。遺産分割協議が未了でも、一定の申出をすることで「義務への対応を進めている」形を取りやすくなる制度設計です。

現場では、「誰がどの不動産を取得するか決められないが、期限は迫る」というケースが典型です。この場合、最初から完全な相続登記を目指して止まるより、段階的に進める方がトータルのリスクを下げられます。

相続登記と相続人申告登記の比較

←横にスクロールできます→
項目相続登記(名義変更)相続人申告登記(申出)
目的不動産の名義を相続人に移す自分が相続人である旨を届け出る
遺産分割が未了原則、協議内容が必要な場面が多い未了でも進めやすい設計
実務効果売却・担保設定など実務が動きやすい「つなぎ」になり得るが最終的には名義変更が必要
推奨場面分割内容が固まっている、売却予定がある相続人間調整が長期化しそう、まず期限対応したい
ここがポイント
一定要件の土地については、相続登記の登録免許税に免税措置が設けられています(期限付き運用)。費用面がネックで放置されがちな案件ほど、適用可否の確認が有効です。

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対応方法|相続登記の手続き手順と必要書類の全体像

ここでは、一般的な相続登記の進め方を、手戻りが少ない順序で整理します。なお、登記申請はご自身でも可能ですが、期限管理や書類の整合が重要なため、司法書士等の専門家活用が現実的なケースも多いです(税務は税理士、登記は司法書士という役割分担が基本です)。

Step 1: 相続不動産を特定する

固定資産税の課税明細、権利証、名寄帳、被相続人の郵便物などから不動産を洗い出します。相続人が把握していない土地が混ざることがあるため、最初に「漏れ」を潰します。

Step 2: 相続関係を確定する(戸籍収集)

被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)を収集し、法定相続人を確定します。相続人側の戸籍・住民票等も揃えます。

Step 3: 遺産分割の方針を決める

遺言書の有無を確認し、遺産分割協議が必要かを判断します。協議が必要な場合は、協議書の作成と署名押印が実務の山場になります。

Step 4: 登記申請書を作成し、添付書類を整える

登記原因証明情報(遺言・協議書等)、相続関係説明図、固定資産評価証明書などを整備します。登録免許税は評価額に応じて計算されます。

Step 5: 法務局へ申請(窓口・郵送・オンライン)

管轄法務局に申請します。補正(修正指示)が入ることもあるため、期限ギリギリの申請は避け、余裕を持って動くのが安全です。

税理士法人としての実務的な補足

税理士法人 辻総合会計では、相続税申告や遺産分割の前提整理の中で、不動産の名義が長年未更新のまま残っているケースを多数見てきました。税務と登記は別領域ですが、財産目録の整備や相続関係の整理が進むほど、司法書士による登記もスムーズになります。相続登記の義務化は、相続手続を「放置できない仕組み」に変えた点が実務インパクトです。

※本記事は制度の一般的な整理です。個別案件は相続関係・不動産の状況により必要書類や手順が変わります。

よくある質問

Q: 相続登記の期限は「死亡日から3年」でしょうか? ▼

A:

一律に死亡日から起算するのではなく、原則は「不動産を相続で取得したことを知った日」から3年以内と整理されます。施行日前の相続で未登記の場合は、猶予期限(2027年3月31日まで)を意識して早めに着手してください。
Q: 遺産分割がまとまらない場合でも、罰則の対象になりますか? ▼

A:

期限を超えると過料の対象となり得ますが、事情に応じて「正当な理由」が問題になります。実務上は、相続人申告登記などの負担軽減策を活用し、「何もしていない」状態を避けることが重要です。
Q: 相続登記をしないと売却や担保設定はできますか? ▼

A:

原則として困難になります。買主・金融機関は登記名義の整合を強く求めるため、未登記のままだと取引が止まるケースが一般的です。相続税申告や遺産分割と並行して、登記の段取りも組むのが実務的です。

まとめ

  • 相続登記は2024年4月1日から義務化され、未対応だと期限超過リスクがある
  • 原則は「取得を知った日から3年以内」、違反すると10万円以下の過料の可能性
  • 義務化前の相続で未登記の不動産も対象で、目安として2027年3月31日までの対応が重要
  • 遺産分割が長期化する場合は相続人申告登記など段階対応でリスクを下げる
  • 不動産の洗い出し→戸籍収集→分割方針→申請の順で進めると手戻りが少ない

参照ソース

  • 政府広報オンライン「相続登記 令和6年から義務化」: https://www.gov-online.go.jp/article/202512/entry-10446.html
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
  • 法務省「相続人申告登記について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00602.html
  • 法務省「住所等変更登記の義務化特設ページ」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00687.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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