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相続・事業承継コラム
作成日:2024.07.16
更新日:2026.01.15
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

相続税計算の方法とシミュレーション例【2026年版】|税理士が解説

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相続税計算の方法とシミュレーション例【2026年版】|税理士が解説

相続税計算とは?結論と全体像

相続税の計算は、「財産合計に税率を掛ける」だけではありません。結論として、基礎控除で課税対象を絞り、いったん法定相続分で仮計算して総額を出し、最後に実際の分割割合に振り分けて控除を適用する流れです。基礎控除の式(3,000万円+600万円×法定相続人の数)は国税庁が明示しています。

「自分で概算したいが、手順が多くて途中で不安になる」方は少なくありません。税理士法人 辻総合会計でも、まずは家族で大枠を共有するために、簡易シミュレーションを作るケースが多いです。以下では、相続税 計算方法を自分で再現できるよう、計算順と具体例をセットで解説します。

相続税の計算方法:自分でできる7ステップ

相続税 計算 自分で行う場合は、順番が最重要です。国税庁の「相続税の計算」が示す骨格に沿って、実務で使える形に並べ替えます。

Step 1: 法定相続人の数を確定する
戸籍で相続人を確定し、相続放棄があっても「基礎控除の計算上は放棄がなかったもの」とする点に注意します(法定相続人の数の考え方は国税庁の解説に沿います)。

Step 2: 財産を洗い出し、相続税評価で金額化する
預金・有価証券・不動産・事業用資産・生命保険金(みなし相続財産)などを整理します。不動産評価は路線価・倍率方式等で評価するため、ここがブレると全体が崩れます。

Step 3: 債務・葬式費用など控除できるものを差し引く
ローン残高、未払金、葬式費用などを差し引き「正味の遺産額」を作ります。

Step 4: 基礎控除を差し引き、課税遺産総額を出す
課税遺産総額=課税価格の合計額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)です。
ここでマイナスなら申告・納税は原則不要になります。

Step 5: 法定相続分で按分し、税率(速算表)で仮計算する
課税遺産総額を法定相続分で分け、相続税の速算表に当てはめて各人の算出税額を出し、合計して「相続税の総額」を作ります。税率表は国税庁が公開しています。

Step 6: 実際の分割割合で総額を振り分ける
相続税の総額を、各人の課税価格割合で按分します(法定相続分どおりに分けた場合とズレるのが通常です)。

Step 7: 各種税額控除・加算を反映し、納付税額を確定する
配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除等を差し引きます。配偶者の税額軽減は「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」まで実質的に相続税がかからない制度として整理されています。

相続税の速算表(抜粋)

←横にスクロールできます→
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%0円
1,000万円超〜3,000万円以下15%50万円
3,000万円超〜5,000万円以下20%200万円
5,000万円超〜1億円以下30%700万円
1億円超〜2億円以下40%1,700万円
2億円超〜3億円以下45%2,700万円
3億円超〜6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円
ここがポイント
速算表は「各人が実際に取得した金額」に直接当てはめるのではなく、いったん法定相続分で按分した金額に当てはめる点が誤解されやすいポイントです。
相続税の基礎控除とは|計算方法と申告要否を税理士が解説【2025年版】

【具体例】相続税シミュレーション(配偶者+子2人)

ここでは、相続税 シミュレーションとして、現実に近い数字で一連の流れを再現します(端数処理は理解優先で概算)。

前提(相続人と財産)

  • 相続人:配偶者1人、子2人(法定相続人3人)
  • 財産(相続税評価ベース)
    • 自宅土地建物:8,000万円
    • 預金:4,500万円
    • 上場株式:1,000万円
    • 死亡保険金:1,200万円(受取人は相続人)
  • 債務・葬式費用:合計1,000万円

1) 死亡保険金の非課税枠を確認

相続人が受け取る死亡保険金には、非課税限度額(500万円×法定相続人の数)があり、超える部分だけが課税対象です。
法定相続人3人なので非課税限度額は1,500万円。死亡保険金1,200万円は全額非課税枠内のため、課税対象は0円(概算)とします。

2) 課税価格の合計額(正味の遺産額)を計算

課税対象になり得る財産の合計:8,000+4,500+1,000=1億3,500万円
債務・葬式費用控除:▲1,000万円
よって課税価格の合計額(正味の遺産額):1億2,500万円

3) 基礎控除を差し引き、課税遺産総額を計算

基礎控除=3,000万円+600万円×3人=4,800万円
課税遺産総額=1億2,500万円-4,800万円=7,700万円

4) 法定相続分で按分して仮計算

法定相続分:配偶者1/2、子は各1/4

  • 配偶者:7,700×1/2=3,850万円
  • 子:7,700×1/4=1,925万円(各)

速算表で税額を算出(概算)

  • 配偶者:3,850万円×20%-200万円=570万円
  • 子:1,925万円×15%-50万円=約238.75万円(各)
    相続税の総額=570+238.75×2=約1,047.5万円

5) 実際の分割割合で総額を振り分け

実際の分割(例):配偶者6,000万円、子A3,500万円、子B3,000万円(合計1億2,500万円)
按分税額(概算)

  • 配偶者:1,047.5×6,000/12,500=約502.8万円
  • 子A:1,047.5×3,500/12,500=約293.3万円
  • 子B:1,047.5×3,000/12,500=約251.4万円

6) 配偶者の税額軽減を反映

配偶者が実際に取得した正味の遺産額が「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い金額までなら、配偶者の相続税はかからない(軽減)と整理されています。
本例の配偶者取得6,000万円は範囲内のため、配偶者の納付税額は0円(概算)。結果として、家族全体の納税は子の合計(約544.7万円)が目安になります。

【比較】法定相続分での仮計算と実際の分割の違い

相続税の計算が難しく感じる最大の理由は、「仮計算(法定相続分)」と「実際の分割(遺産分割協議)」が二段階で出てくる点です。

←横にスクロールできます→
観点法定相続分での仮計算実際の分割(協議・遺言)
目的相続税の総額を算出するため各人の納付税額を配分するため
使う割合民法の法定相続分実際に取得する割合(合意内容)
よくある誤解実際の取得額に税率を掛ける「仮計算の税額=その人の税額」と思い込む
影響する論点税率(速算表)、相続人の数配偶者軽減、2割加算、控除の適用可否
ここがポイント
配偶者の税額軽減は「実際に取得した財産」を基準に判定され、申告期限までに未分割だと原則として適用できません(一定の救済手続はあります)。

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計算でつまずきやすい注意点(よくある落とし穴)

相続税の計算は、入力ミスが「申告要否」そのものを逆転させることがあります。特に以下は、当法人の相談でも頻出です。

  • 生命保険金の非課税限度額:相続人が受取人の場合は「500万円×法定相続人の数」までが非課税枠で、超える部分が課税対象です。
  • 不動産評価:路線価評価・倍率方式、貸家建付地、借地権などで大きく変動します。概算では「評価のズレ」を前提に幅を持たせてください。
  • 生前贈与の加算:一定期間内の贈与が課税価格に加算される場合があります(制度改正により期間が延びる論点もあるため、相続開始時期で整理が必要です)。
  • 2割加算:配偶者・一親等以外(兄弟姉妹、おい・めい等)には税額の2割加算があり、孫養子などで例外論点も出ます。
  • 二次相続:配偶者軽減で一次相続の税負担を抑えても、配偶者の死亡時に税負担が増える設計になりやすく、家族構成と資産の偏りを踏まえた設計が重要です。
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申告・納税までの流れと期限(10か月)

相続税は、計算だけでなく期限管理が実務の山場です。国税庁は、申告が「死亡を知った日の翌日から10か月以内」と明示しています。

  • 期限までにやること:相続人確定、財産評価、遺産分割協議、申告書作成、納税(または延納・物納の検討)
  • 提出先:原則として被相続人の住所地を所轄する税務署
  • 提出方法:e-Tax(電子申告)または郵送等(国税庁の案内に沿って選択)
ここがポイント
「配偶者の税額軽減で税額が0になりそう」でも、軽減を受けるには原則として申告書の提出が必要です。申告要否の判断が微妙な場合は、国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」を使い、入力前提(評価の置き方)をそろえた上で確認すると整理しやすくなります。

よくある質問

Q: 相続税の計算は自分でどこまでできますか? ▼
概算(申告が必要か、税額のレンジ)は、基礎控除と速算表を使えば可能です。一方で不動産評価や特例(小規模宅地等)で結果が大きく変わるため、評価が絡む部分は専門家チェックを前提にすると安全です。計算の骨格は国税庁「相続税の計算」に沿って整理できます。
Q: 生命保険金は相続税がかかりますか? ▼
被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は課税対象になり得ますが、受取人が相続人であれば「500万円×法定相続人の数」まで非課税枠があり、超過部分のみが課税対象です。
Q: 配偶者が相続すれば相続税は必ず0ですか? ▼
「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」までなら配偶者に相続税がかからない(軽減)という整理ですが、実際の取得額・分割の成立時期(申告期限までに未分割だと原則対象外)などの要件があります。
Q: 申告期限の10か月を過ぎるとどうなりますか? ▼
期限後申告になると、加算税や延滞税がかかる場合があります。申告期限は「死亡を知った日の翌日から10か月以内」です。

まとめ

  • 相続税の計算は「基礎控除→法定相続分で仮計算→実分割へ配分→控除反映」の順で行う
  • 基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、課税遺産総額を作るのが第一歩
  • 税率は速算表を使い、いったん法定相続分で総額を算出するのがポイント
  • 配偶者の税額軽減や生命保険金の非課税枠など、控除・非課税の適用で税額が大きく変わる
  • 申告期限は原則10か月。評価と分割のスケジュール管理が成否を分ける

参照ソース

  • 国税庁「No.4152 相続税の計算」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
  • 国税庁「No.4155 相続税の税率」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
  • 国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
  • 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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