
執筆者:辻 勝
会長税理士
相続税税理士費用相場と選び方|2026年版・依頼前チェック

相続税を税理士に依頼する費用相場は、「遺産総額の一定割合」または「基本報酬+加算報酬」で決まることが多く、概ね20万円台から、案件によっては100万円超まで幅があります。問題は、金額そのものよりも追加料金がどこで発生するかと、相続税に強い税理士かどうかを見抜けるかです。相続税は土地評価・特例適用・分割設計などで結果が変わりやすく、依頼先の力量差が出やすい領域ではないでしょうか。
相続税を税理士に依頼する費用相場はいくら?
相続税申告の報酬は、次のいずれか、または両者の組み合わせで提示されることが一般的です。
- 遺産総額に対する料率型(例:0.5%〜1.0%程度)
- 基本報酬+加算型(例:基本30万円+土地評価・非上場株評価などを加算)
当法人(税理士法人 辻総合会計)の相談実務でも、金額差の理由は「財産の種類」と「評価・資料収集の工数」に集約されます。現預金中心の相続と、不動産や非上場株が絡む相続では、同じ遺産総額でも難易度が別物です。
料金目安(遺産総額別・実務レンジ)
※あくまで目安です。地域・事務所規模・財産構成・申告期限までの残期間により変動します。
| 遺産総額(概算) | 報酬の目安 | 典型的な内容 |
|---|---|---|
| 〜5,000万円 | 20万〜50万円 | 現預金・上場株中心、土地が少ない |
| 5,000万〜1億円 | 40万〜90万円 | 自宅土地あり、小規模宅地等の検討が必要 |
| 1億〜3億円 | 80万〜200万円 | 土地複数、賃貸不動産、評価・分割検討が増える |
| 3億円超 | 200万円〜 | 非上場株、複雑な分割、二次相続まで設計するケース |
費用の内訳とは?見積りで確認すべきポイント
見積りは「何が含まれていて、何が別料金か」を分解して読むと失敗が減ります。
基本報酬に含まれやすい業務
- 財産・債務の一覧化、申告要否判定
- 相続税申告書の作成・提出(電子申告含む)
- 税務署対応(照会対応の範囲は要確認)
- 遺産分割の一般的な助言(法務行為そのものは別領域)
加算されやすい項目(追加料金の“地雷”)
- 土地評価(路線価評価・倍率評価):1利用区分・1筆ごとに加算されることが多い
- 賃貸不動産:契約書・レントロール確認、評価補正などで工数増
- 非上場株式評価:資料収集・評価手法選択で高額化しやすい
- 相続人が多い/遺産分割が未確定:打合せ回数・シミュレーションが増える
- 期限間近の駆け込み:短期集中対応の追加料金
「安く見せる見積り」に要注意
一見安い提示でも、後から加算が積み上がると総額が読めません。最低限、次の3点は書面で明確にしてもらうのが実務的です。
- 総額の上限(キャップ)や、加算の計算ルール
- どの資料が揃えば追加が発生しないか(前提条件)
- 税務署からの問い合わせ・税務調査の立会いが含まれるか
相続税に強い税理士の選び方|比較ポイントと落とし穴
相続税は「所得税・法人税の延長」と考えると危険です。選び方の軸は、相続税の“経験量”と“評価の解像度”に置くのが合理的です。
選び方のチェックリスト
- 相続税申告の年間対応件数(目安でも良いので開示できるか)
- 土地評価の体制(評価担当者、現地確認の有無、評価明細の説明力)
- 特例適用(小規模宅地等・配偶者税額軽減等)の検討プロセスが明確か
- 面談で、分割案と税額の関係をシミュレーションで示せるか
- 連絡速度と担当者固定の有無(期限10か月の中で致命傷になりやすい)
避けたいサイン(赤旗)
- 「とにかく安い」を強調し、加算の説明が曖昧
- 土地評価を外注前提で、誰が責任を持つか不明
- こちらの事情(相続人関係・財産種類)を聞かずに即見積り
- 納税資金や二次相続まで話が及ばない
依頼の手順と必要書類|いつ動くべき?
相続税申告には期限があり、準備の遅れがそのままリスクになります。特に不動産がある場合、評価や賃貸資料の収集に時間がかかります。
Step 1: 初回相談(財産の棚卸し)
通帳・証券・不動産の固定資産税課税明細など、現時点で出せる資料を持参し、申告要否と難易度を把握します。
Step 2: 見積り取得(基本+加算を分解)
加算項目の単価と上限、期限間近の場合の追加条件を確認します。
Step 3: 契約・資料収集(不足資料の洗い出し)
戸籍一式、残高証明、評価資料(登記事項証明・公図等)、賃貸資料などを整理します。
Step 4: 評価・特例検討(分割案と税額を往復)
分割の方向性が固まるほど、特例や控除の適用判断が精緻になります。
Step 5: 申告・納税(提出後対応の範囲確認)
提出後の照会対応、修正申告の要否判断など、フォロー範囲を確認します。
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税理士に依頼するメリット・デメリットと注意点
メリット
- 土地評価・特例適用の精度が上がり、申告の納得感が増す
- 期限管理と資料収集の段取りが明確になり、心理的負担が軽い
- 税務署対応の窓口が一本化され、コミュニケーションが整理される
デメリット(=対策で潰せる)
- 報酬が発生する
- 対策:見積りの内訳と上限、追加条件を契約前に固定化する
- 税理士によって品質差がある
- 対策:相続税の実績・体制・説明力を面談で評価する
よくある質問
Q: 相続税の税理士報酬は値切れますか?
A:
一律の値引き交渉より、「加算項目の単価」「上限(キャップ)」「前提資料が揃った場合の固定化」を詰めるほうが実務的です。総額が読める状態にすることが重要です。Q: 相続税に強い税理士かどうか、面談で見抜くコツは?
A:
土地評価の説明が具体的か、分割案と税額の関係をシミュレーションで示せるか、資料収集の段取りが明確かを確認してください。「何が難所で、どこがリスクか」を先に言語化できる税理士は信頼性が高い傾向です。Q: 申告期限が近いのですが、まだ間に合いますか?
A:
財産内容次第です。現預金中心なら短期対応が可能なこともありますが、土地評価や賃貸不動産、非上場株がある場合は工数が増えます。期限が近いほど追加料金が発生しやすいため、早期に現状資料を揃えて相談してください。まとめ
- 相続税の税理士費用は「料率型」または「基本+加算型」で、20万円台〜100万円超まで幅がある
- 総額差は遺産総額よりも、土地評価・特例・資料収集の工数で決まりやすい
- 見積りは「加算のルール」「上限」「前提条件」を書面で固定化すると失敗が減る
- 選定は相続税の件数・土地評価体制・説明力(シミュレーション)で比較する
- 期限が近いほどリスクと費用が上がるため、早めの棚卸しが重要
参照ソース
- 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
- 国税庁「相続税申告書(e-Tax等に関する資料)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0019009-058.pdf
- 衆議院「税理士法」: https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/01019510615237.htm
この記事を書いた人

辻 勝
会長税理士
税理士 / 行政書士
税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。
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