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相続・事業承継コラム
作成日:2025.07.05
更新日:2026.01.01
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

相続税の申告期限は10ヶ月|期限を過ぎた時の対処法|税理士が解説

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相続税の申告期限は10ヶ月|期限を過ぎた時の対処法|税理士が解説

相続税の申告期限は「10か月」|まず結論

相続税の申告・納税期限は、原則として「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」です。期限までに申告できないと、無申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。一方で、遺産分割が未了でも「期限が延びる」わけではなく、期限内に出すための実務的な打ち手(未分割申告、分割見込書、延納・物納等)があります。税理士法人 辻総合会計でも、相続開始直後の情報不足や相続人間の調整難で期限が逼迫するケースは多く、早期の段取りが結果的に税負担とトラブル双方の抑制につながります。

相続税の申告期限はいつまで?10か月の数え方

「起算日」は死亡日ではなく「死亡を知った日の翌日」

相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日(通常は死亡日)の翌日から10か月以内です。たとえば1月6日に死亡した場合、11月6日が申告期限になります(期限日が土日祝なら翌開庁日扱い)。申告先は「相続人の住所地」ではなく、原則として被相続人の死亡時住所地を所轄する税務署です。

期限が近いほど「判断の順序」が重要

期限が迫ると、財産評価や遺産分割協議を完璧に整えるより、次の順序で“期限内提出”を優先します。

  • 申告が必要か(基礎控除超か)を概算で判定
  • 大枠の財産と債務を棚卸し(不動産・有価証券・預金・保険金等)
  • 期限内に「出せる形」で申告・納税(未分割でも可)
  • 分割確定後に修正申告/更正の請求で整える

申告期限に間に合わない主因と打ち手(早見表)

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典型的な遅れの原因期限内にやるべき打ち手期限後のリスク/追加対応
遺産分割協議がまとまらない未分割のまま法定相続分で申告(未分割申告)特例が当初使えない→分割後に更正の請求等
財産の全体像が見えない(通帳・証券・貸金庫等)判明分で申告し、後日判明分は修正申告申告漏れは加算税・延滞税リスク
不動産評価に時間がかかる概算で期限内提出し、評価確定後に修正調査対応も見据え根拠整理が重要
納税資金が足りない延納(分割納付)や物納の可否検討(申請期限に注意)期限後は延滞税が増える可能性
ここがポイント
遺産分割が未了でも「申告期限が延びることはありません」。分割できていない場合は、法定相続分等で取得したものとして計算し、期限までに申告・納税する必要があります。

申告期限に間に合わない場合の具体的手順(期限内に出す)

期限が厳しい局面では、「完璧な申告」より「期限内に成立する申告」を作ります。ポイントは、後日修正・更正で整えられる設計にすることです。

Step 1: 申告要否を概算判定する

財産(預金・有価証券・不動産・保険金等)-債務・葬式費用を粗く集計し、基礎控除を超えるかを確認します。超えそうなら、申告準備を止めない判断が安全です。

Step 2: “未分割申告”を前提に資料を集める

遺産分割が未了なら、法定相続分での申告を想定し、最低限の裏付け資料(残高証明、評価資料、保険金支払通知等)を優先的に確保します。

Step 3: 特例を後日適用できる形にして提出する

小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、未分割のままだと当初申告で使えないのが原則です。ただし、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付しておき、申告期限から3年以内に分割が成立すれば、後日これらの特例適用が可能になります。

Step 4: 納税が厳しい場合は延納・物納も同時検討する

相続税は申告期限までに納税が原則ですが、資金が不足する場合は延納(分割払い)や物納の制度があります。重要なのは、原則として申告期限までに申請が必要という点です。申告だけ出して納税が遅れると延滞税が増えやすくなります。

ここがポイント
分割後に税額が変わる場合、税額が増えるなら「修正申告」、減るなら「更正の請求」で調整します。更正の請求は、分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内など期限管理が要注意です。

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期限を過ぎたらどうなる?加算税・延滞税の考え方

期限後申告は「出さないより早く出す」が鉄則

申告期限を過ぎた場合でも、放置は禁物です。期限後申告を行うと、状況に応じて無申告加算税が課される可能性があります。加算税は「いつ出したか(調査通知前か後か等)」と「税額規模」により段階的です。

  • 無申告加算税は、納税額(増差税額)が一定額を超えると税率が上がる設計(例:50万円超や300万円超の部分で段階加重)
  • 高額無申告では、300万円超部分の税率が高くなる枠組みがある(ただし、相続税で他の相続人の財産が事後的に判明する等、納税者に責めがない場合は判定から除外され得る)

延滞税は「納期限の翌日」から日割りで発生

延滞税は納期限の翌日から納付日まで日数に応じて課されます。税率は年によって変動し、納期限から2か月を境に段階が分かれます。期限後になった場合、納税資金の手当ても含めて早急に動くほど負担が抑えられます。

よくある落とし穴|期限内提出のために押さえる実務ポイント

「相続人のうち1人が情報を出さない」問題

相続税は共同申告の形式ではなく、各相続人が申告義務者です。ある相続人が財産情報を出さないと、他の相続人の申告にも影響します。期限が迫る場合は、判明分で申告し、後日判明分は修正申告する方針が現実的です(証拠として確認経緯の記録を残す)。

「遺産分割が3年以内にできない」場合の救済

申告期限から3年以内に分割できないと原則として特例適用が難しくなります。ただし、訴訟提起など一定のやむを得ない事情がある場合、所定の承認申請により、分割成立後に特例適用を受けられる道があります。争いがある局面ほど、期限と書類の管理が重要です。

災害など「やむを得ない理由」の期限延長

地震・水害等の災害やその他やむを得ない理由により期限内に申告・納付できない場合、期限延長の指定を受けるための手続があります。該当し得る場合は、早めに税務署へ相談し、必要書類の提出可否を確認してください。

よくある質問

Q: 相続税の申告期限は「死亡日から10か月」で合っていますか? ▼

A:

正確には「死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」です。通常は死亡日=知った日となるため、実務上は死亡日の翌日を起算として数えることが多いです。
Q: 遺産分割がまとまらないとき、申告期限は延びますか? ▼

A:

延びません。未分割でも期限内申告が必要で、法定相続分等で計算して申告します。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は当初使えないのが原則ですが、申告書に分割見込書を添付し、一定期限内に分割できれば後日適用できる場合があります。
Q: 申告期限を過ぎたら、何から手を付けるべきですか? ▼

A:

まず期限後申告を速やかに行い、納税(可能なら全額、難しければ資金手当や延納の相談)を進めます。放置すると加算税・延滞税が増えやすく、調査対応も重くなるため、優先順位は「申告提出→納税→内容精査(修正/更正)」です。

まとめ

  • 相続税の申告期限は「死亡を知った日の翌日から10か月以内」
  • 遺産分割が未了でも期限は延長されないため、未分割申告で期限内提出を優先
  • 特例を後日適用したい場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」の添付など手続設計が重要
  • 期限後申告は放置せず、速やかに提出して加算税・延滞税の拡大を抑える
  • 納税が厳しい場合は、延納・物納の申請期限(原則、申告期限まで)も含めて検討する

参照ソース

  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
  • 国税庁「No.4208 相続財産が分割されていないときの申告」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4208.htm
  • 国税庁「No.4208(QA)遺産分割未了時の各種特例」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4208_qa.htm
  • 国税庁「B1-5 申告期限後3年以内に分割する旨の届出手続」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/2327.htm
  • 国税庁「延滞税の割合」: https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai_wariai.htm
  • 財務省「加算税制度の概要」: https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/tins/n04_3.pdf
  • 国税庁「災害による申告、納付等の期限延長申請」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/kosei/annai/2834.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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