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相続・事業承継コラム
作成日:2026.02.08
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

相続税お尋ねが届いた時の対応と回答法|税理士が解説

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相続税お尋ねが届いた時の対応と回答法|税理士が解説

相続税の「お尋ね」とは|届いたら何をすべき?

相続税の「お尋ね」とは、相続や申告内容について税務署が事実関係を確認するために送る文書(照会)です。結論としては、無視せず、内容を読み解いて、根拠資料を添えて期限内に丁寧に回答するのが基本対応です。

誰にとって何が問題かというと、相続人(または申告担当者)にとっては「何をどこまで書けばよいか分からない」「放置すると調査になるのでは」と不安が大きい一方、税務署側は申告漏れや評価誤りが起きやすい論点を確認したい、というギャップが起点になります。現場感として、回答の質がその後の展開(追加照会・調査移行)に影響するケースは少なくありません。

ここがポイント
「お尋ね」は税務調査の開始通知とは限りませんが、質問内容は調査論点と連動しやすいのが実務の実感です。だからこそ、感情的に構えず「事実+根拠」で組み立てるのが近道です。

相続税のお尋ねが届いた理由|よくある論点

税務署が「お尋ね」を出す典型は、申告書や添付書類、外部情報(登記・支払調書等)から見て確認したい点がある場合です。相続税は財産評価・特例適用・名義と実態のズレが生じやすく、照会が入りやすい分野です。

よくある確認テーマは次のとおりです。

  • 申告要否(申告していないケースで、基礎控除超過の可能性がある)
  • 預貯金の動き(死亡前後の大きな出金、名義預金の疑い)
  • 不動産評価(路線価評価の補正、貸家・貸宅地、小規模宅地等の特例の前提)
  • 生命保険金・退職金(非課税枠の計算、受取人・原資)
  • 生前贈与(相続開始前の贈与、贈与税申告の有無)
  • 非上場株式・持分(評価資料、役員借入金・貸付金の整理)

なお、相続税の申告書作成で誤りやすい事項は、国税庁がチェックシートとして整理しています。照会が来たら、該当箇所を再点検するのが効率的です。

相続税のお尋ねを無視するとどうなる?|リスクと現実的な帰結

「忙しいから」「何となく怖いから」と相続税のお尋ねを無視するのはおすすめしません。実務上起こり得る帰結は、次の順で重くなっていきます。

  • 電話・再照会(追加質問、提出期限の再設定)
  • 申告内容の見直し要請(行政指導的な修正要請)
  • 税務調査(質問検査等の手続に移行)
  • 修正申告+加算税・延滞税(過少申告、無申告等のリスク)

税務当局には、調査に先立ち原則として事前通知を行うなど、調査手続の枠組みが整備されています。一方で「お尋ね」は、調査そのものではなく、照会・行政指導の文脈で行われることがあります。だからこそ、早期に整合性のある回答を返し、疑問点を解消するのが合理的です。

相続税のお尋ねの回答方法|書き方・添付資料・提出先

ここからが実務の核心です。相続税のお尋ねの回答は、作文力よりも「事実の特定」と「根拠の添付」です。税理士法人 辻総合会計でも、回答書は後から第三者が読んで再現できることを重視して組み立てます。

回答前の整理ポイント(まずここを固める)

  • 質問項目を分解し、論点ごとに回答欄(下書き)を作る
  • 申告書の該当箇所(財産明細、評価明細、特例、債務控除)と突合
  • 根拠資料を「何を証明するための資料か」で紐づける(資料だけ束ねない)

添付資料の例(論点別)

  • 預貯金:残高証明、入出金明細、通帳コピー、定期解約資料
  • 不動産:登記事項証明書、賃貸借契約書、固定資産税課税明細、地積測量図(必要に応じ)
  • 保険:保険証券、支払通知、契約者・被保険者・受取人の関係が分かる資料
  • 贈与:贈与契約書(ある場合)、振込記録、贈与税申告書控
  • 非上場株式等:株主名簿、決算書、評価明細、議事録(論点に応じ)
ここがポイント
添付資料は「量」ではなく「論点との対応」が重要です。たとえば名義預金ではないを示すなら、資金原資・管理主体・使用実態が説明できる資料が要点になります。

回答書の基本構成(定型で迷わない)

文章は長くせず、次の型に寄せるとブレません。

  • 1)結論(質問への答え)
  • 2)理由(事実関係:いつ・誰が・何を)
  • 3)根拠(資料名・添付番号)
  • 4)補足(例外事情がある場合のみ)

提出方法・提出先の考え方

原則は、文書に記載された所轄税務署(担当部門)宛てに返送・持参します。期限が明記されていない場合でも、放置せず、到着から概ね1〜2週間以内を目安に一次回答(回答+追加資料は後送)まで進めるのが安全運転です。

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税務調査との違い|「お尋ね」「行政指導」「調査」を比較

「お尋ねが来た=調査確定」と決めつけるのは早計ですが、違いを理解しておくと対応の温度感が定まります。

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区分目的典型的な連絡手段納税者側の基本対応
お尋ね(照会)事実確認・疑問点の解消文書(質問票)、電話事実+根拠資料で回答し、整合性を示す
行政指導的な見直し要請計算誤り等の是正促し電話、文書自主点検し、必要なら修正申告を検討
税務調査(質問検査等)課税標準・税額等の確認原則事前通知の上で実施事前準備・立会い、帳簿書類の提示提出対応

実務感では、「お尋ね」で論点が解消されればそこで収束しやすく、説明が曖昧だったり資料が出ないと追加照会が重なり、結果として調査に移る、という流れをよく見ます。

相続税のお尋ね対応の手順|届いた当日にやることから

最後に、迷わないための手順をステップで整理します。

Step 1: 文書をスキャン・共有し、質問項目を分解する
質問を箇条書きにし、申告書のどの欄と関係するかをメモします。税理士に依頼している場合は、まず全文を共有してください。

Step 2: 申告書・添付書類と突合し、ズレの候補を洗い出す
金額の転記、評価明細、特例要件、名義と実態のズレを点検します。国税庁のチェックシートもこの段階で有効です。

Step 3: 回答骨子を作り、根拠資料を添付番号で紐づける
「結論→理由→根拠」の順で短くまとめます。資料は添付番号を振り、本文に参照を書きます。

Step 4: 期限内に提出し、追加資料がある場合は提出予定を明記する
すべて揃っていなくても、一次回答を先に出して、追加提出日を明記すると無用な疑念を避けやすくなります。

Step 5: 回答後の連絡ログを残し、次の質問に備える
電話連絡があった場合は、日時・担当者名・要旨を記録します。後日の見解相違を防ぐ基本動作です。

よくある質問

Q: 相続税のお尋ねが届いたのですが、必ず税務調査になりますか? ▼
必ずではありません。「お尋ね」は事実確認の照会として行われることがあり、回答で論点が解消すれば収束することもあります。ただし、説明が不十分だと追加照会や調査に移る可能性はあります。
Q: 相続税のお尋ねの回答は、どこまで詳しく書くべきですか? ▼
原則は「質問に必要十分な範囲」です。結論、事実関係、根拠資料を対応づけ、第三者が読んでも再現できる粒度を意識します。関係の薄い事情を長文で書くと、論点が増えることがあります。
Q: 相続税のお尋ねの期限に間に合わないときはどうすれば? ▼
放置せず、担当部署に連絡して事情を説明し、提出予定日を伝えます。一次回答だけ先に出し、資料は後送する運用も実務では一般的です。
Q: 税理士に依頼していないのですが、回答書は自分で作れますか? ▼
可能です。ただし、不動産評価や名義預金・生前贈与など判断が割れる論点は、回答内容次第で影響が大きくなります。迷う場合は、回答書作成と論点整理だけでも専門家にスポット相談するのが現実的です。

まとめ

  • 相続税の「お尋ね」は税務署の事実確認の文書で、無視せず期限内に回答するのが基本
  • 回答は「結論→理由→根拠資料」の型で、論点と資料を対応づける
  • 申告書の再点検には国税庁のチェックシート等が有効
  • 「お尋ね」「行政指導」「税務調査」は目的と手続が異なるため、違いを踏まえて準備する
  • 追加照会を防ぐコツは、短く明確に、資料で裏付けること

参照ソース

  • 国税庁「相続税の申告のしかた(令和7年分用)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2025/index.htm
  • 国税庁「相続税の申告のためのチェックシート(令和6年分以降用)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/2023/pdf/r05-01.pdf
  • 国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」: https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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