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相続・事業承継コラム
作成日:2026.01.24
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

実家相続後どうする?売却・賃貸・居住の税金と手続き|税理士が解説

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実家相続後どうする?売却・賃貸・居住の税金と手続き|税理士が解説

実家相続後にまず整理すべき結論

実家を相続したら、結論として「売る・貸す・住む」のどれかを早めに決めるのが合理的です。特に、相続人が複数いるご家庭では、共有名義のまま意思決定が止まり、維持費だけが積み上がることが問題になりがちです。税金面でも、手続きの期限(相続登記・相続税申告)を過ぎるとコストと手間が増えます。税理士法人 辻総合会計では、相続後の不動産に関するご相談を継続的に受けており、まずは「期限」「名義」「利用方針」を同時に整理することを推奨しています。

まず迷ったら、次の3点で判断してください。

  • 近い将来に現金化が必要か(納税・介護費・相続人間の清算)
  • 実家を利用する具体的な人がいるか(居住・二拠点・事業利用)
  • 維持管理を継続できるか(固定資産税、修繕、見回り、近隣対応)

実家相続で最初に必要な手続き

相続後の実務は「戸籍・遺産分割・名義変更・申告」の順で進むと混乱が減ります。売却や賃貸の前に、誰が所有者になるかを確定させることが先決です。

Step 1: 相続人と遺産分割方針を確定する
戸籍で相続人を確定し、遺言書の有無を確認します。遺産分割協議を行う場合は、実家を「誰が取得するか」「代償金を払うか」まで決めると後戻りが減ります。

Step 2: 相続登記(名義変更)を申請する
不動産の名義が被相続人のままだと、売却・担保設定・賃貸の一部手続きが進みにくくなります。相続登記は制度上の義務化が進んでおり、期限管理が重要です。

ここがポイント
相続登記の申請義務化は令和6年4月1日施行で、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が基本です。施行前の相続でも未登記なら猶予期限が設けられています(詳細は法務省公表情報を確認)。

Step 3: 相続税の申告要否を判定する(期限は10か月)
相続税の申告期限(10か月)は、原則として「死亡を知った日の翌日から10か月以内」です。基礎控除の範囲内なら申告不要ですが、判定には財産評価(不動産の評価含む)が必要です。納税資金が不足しそうなら、売却の検討を前倒しすることがあります。

実家 相続 売却の税金

実家を売るときの税金は、相続税そのものではなく、主に譲渡所得(売却益)に対する所得税・住民税が論点になります。売却価格そのものに課税されるのではなく、「売却価額 −(取得費+譲渡費用)」で計算した利益が課税対象です。

売却時に押さえるべき代表的な特例(空き家特例)

相続した実家が一定の要件を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(いわゆる空き家特例)」が検討対象になります。空き家の3,000万円特別控除はインパクトが大きい一方、要件が細かいため、売買契約を急ぐと取りこぼしやすい点に注意が必要です。

ここがポイント
令和6年1月1日以後の譲渡で、相続人が3人以上の場合は控除上限が2,000万円となる取扱いがあります。共有関係のまま売る前に、要件確認と名義整理を行ってください。

Step 1: まず「誰が売るか」を確定(登記・契約主体の整理)
遺産分割で取得者を決めて単独名義で売るのか、共有で売るのかを決めます。共有売却は全員の合意が必要で、実務では止まりやすい典型論点です。

Step 2: 特例の要件チェック(空き家特例を含む)
対象となる家屋の要件、居住状況、売却時期、リフォームや取壊しの要否などを、売買契約前に確認します。要件の確認は税理士・司法書士・不動産会社の連携が有効です。

Step 3: 確定申告(翌年2/16〜3/15が原則)
譲渡所得が出る場合は確定申告が必要です。損失の場合でも、特例や他の所得との関係で申告が有利になるケースがあります。

実家相続後に賃貸する場合の税金と実務

賃貸にすると、売却益ではなく「家賃収入」に対して不動産所得として課税されます。ポイントは、収入だけでなく必要経費(修繕費、管理費、固定資産税、保険料、減価償却費など)を適切に集計し、収支を見える化することです。

賃貸で起きやすい税務・実務トラブル

  • 共有名義のまま賃貸し、家賃の受取口座や経費負担が曖昧になる
  • 大規模修繕が必要で、投資回収期間が読めない
  • 相続後に初めて賃貸を始め、確定申告(青色申告の可否や帳簿)でつまずく

賃貸は「持ち続ける」意思決定なので、収益性の見込みと管理体制(遠方・空室時対応)をセットで検討してください。相続人の誰かが住む可能性が残る場合は、賃貸借契約の形(普通借家・定期借家)も重要になります。

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実家相続どうする?判断基準と売却・賃貸・住む比較|税理士が解説

実家を相続したときの選択肢(売却・賃貸・住む)を、税金・手続き・リスク・家族関係の観点で比較。相続登記の期限や空き家の特例も踏まえ、失敗しない判断手順を整理します。実家の相続で悩ましいのは、「気持ち」と「数字(税金・維持費)」が衝突しやすい点です、結論としては、後戻りコストを抑えられます、売却も賃貸も進まず。

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実家に住む場合の税金と注意点

実家に住む場合、売却時の譲渡所得税の問題は直ちには発生しませんが、固定資産税・修繕費などの維持コストは継続します。また、将来売却する可能性があるなら、「いつ・誰が・どの名義で住むか」を決めておくと出口が楽になります。

住む選択をしたときの実務ポイント

  • 相続登記を済ませ、居住者と所有者(名義人)を一致させるか整理する
  • リフォーム費用の負担と、将来の売却代金の分け方を合意しておく
  • 相続人が複数いる場合、住む人が他の相続人へ代償金を払う設計も検討する

「住む」は感情面の納得が得やすい反面、費用負担と権利関係が曖昧なまま時間が経つと、次の相続で問題が複雑化しがちです。

実家 相続 空き家を放置しないための判断軸

空き家は、固定資産税・火災リスク・近隣クレーム・防犯など、金銭以外のコストも増えます。判断を先送りしないために、選択肢を比較表で整理しておきましょう。

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選択肢主なメリット主なデメリット/税務向いているケース
売却現金化しやすく相続人間の清算がしやすい譲渡所得の申告が必要、特例要件の確認が必須維持が難しい、納税資金が必要、遠方
賃貸継続収入が見込める不動産所得の申告・管理負担、修繕投資が必要立地が良い、管理体制を作れる
居住住居確保、思い出を残せる維持費継続、共有のままだと将来揉めやすい家族が住む予定が明確

税務は「制度」だけでなく「実行手順」で結果が変わります。迷う場合は、まず相続登記と相続税の要否判定を進め、並行して不動産会社の査定(売却価格・賃料相場)を取り、数字で比較すると判断が進みます。

よくある質問

Q: 実家を相続してすぐ売ると、必ず税金がかかりますか? ▼
売却しても必ず課税されるわけではなく、課税対象は「譲渡所得(利益)」です。取得費や譲渡費用を差し引いた結果、利益が出なければ所得税は基本的に発生しません。利益が出る場合でも、空き家特例などで税負担が軽減できる可能性があります。
Q: 実家相続の「空き家特例(3,000万円控除)」は誰でも使えますか? ▼
使えるのは一定の要件を満たす場合に限られます。家屋の要件、売却時期、相続人の数による控除上限など、確認項目が多いため、売買契約前に要件チェックを行うことをお勧めします。
Q: 実家を賃貸にしたら確定申告は必要ですか? ▼
家賃収入が発生すれば原則として不動産所得の申告が必要です(赤字でも申告が有利な場合があります)。共有名義の場合は、持分割合に応じた収入・経費配分も整理が必要です。

まとめ

  • 実家相続後は「売却・賃貸・居住」を早めに決め、期限と名義を同時に整理する
  • 相続登記と相続税の申告期限(10か月)の管理が、後工程のコストを左右する
  • 売却は譲渡所得課税が中心で、空き家の3,000万円特別控除など特例要件の事前確認が重要
  • 賃貸は不動産所得として申告・管理が必要で、共有状態だと運用が止まりやすい
  • 空き家放置は金銭以外の負担も増えるため、査定など数字で比較して意思決定する

参照ソース

  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
  • 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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